見えない危険を可視化する

それでは、本題の事例を3つ紹介させていただきますけども、1つは「安心して走れる交通社会実現のために」ということで取り組んでいる内容をご紹介します。

今井:会員車両のデータから、急ブレーキを踏んだポイントが分かります。そのデータを完全に公開を致しました。その映像をまた見ていただきます。

<映像開始>

(ナレーション)これまで自動車やバイクは、長年交通事故の被害を軽減する技術を磨いてきました。しかし、すべての人の願いは、事故を未然に防ぐこと。

(ナレーション)1件の重大な事故の背後には、約30件の軽微な事故があり、300件の危うく事故になる瞬間が存在すると言われています。そこでホンダは見えない危険を可視化する、新しい地図をつくりました。それがセーフティーマップです。

今井:全国を走るHonda internavi搭載車両から、毎月毎月2億kmもの走行データが上がってきます。

今井:そこから5400万件もの急ブレーキを踏んだというデータが解析できました。これを地図上にマッピングをします。警察の事故情報と歩行者とかドライバーからの投稿情報、これを重ね合わせることによって、潜在的に事故が起こりうる危険性がある場所、これを浮かび上がらせる、ということができるわけです。

(テロップ)HOW TO USE つかいかた (女子高生がスマートフォンでセーフティーマップを見ながら歩いている)

(ナレーション)いつもの道でセーフティーマップを使ってみましょう。急ブレーキがどんな場所で踏まれているのか、そこがどのように危ないのかを知ることができます。

(車内で助手席の女性がスマートフォンでセーフティーマップを見ながら、運転手の男性と話している)

(ナレーション)知らない道をドライブするとき、目的地を入力すれば、そのルートにある危険な場所を事前に把握することができます。乗り物別で事故多発エリアを表示することもできます。

(子どもがパソコンでセーフティーマップを見ている)

(ナレーション)自分だけが知っている危険な場所も投稿することができます。そして、その情報は皆の意見で精緻化されていきます。

古谷知之氏:セーフティーマップは、急ブレーキ箇所の非常に大きなデータ、いわゆるビッグデータと呼ばれるようなデータ処理技術、そしてソーシャルメディアの普及といった要素が掛け合わせることで、ようやく可能になった新しい交通安全プラットフォームと言えるでしょう。

園原紘佑氏:埼玉県ではホンダと協定を締結し、急ブレーキや交通事故の減少といった大きな成果を上げています。

(ナレーション)セーフティーマップを元にした、自治体、企業、NPOによる道路整備やさまざまな交通安全対策が町を変え始めています。

(道路標識、歩道橋、交通案内看板の設置例などを紹介)

(ナレーション)事故を未然に防げる世の中が始まります。皆でつくる安全、セーフティーマップ。

<映像終了>

今井:はい。これは先ほどありましたように、2007年から、埼玉県って交通事故が全国で2番目に死者数が多かったってことで、上田(清司)知事のほうから何とかならないかということで、こういった取り組みをやってきたものでございます。

道路側をうちのデータで対策をしてもらいます。で、それによって対策前、対策後で7割もの急ブレーキのポイントが無くなってきている、という実績が出てきているものでございます。

減災のためにビッグデータで出来ること

今井:次ですね。「減災のために」ということで、ビッグデータを活用した取り組みを説明をさせていただきます。私どもは気象協会さんとサーバーが直結しておりましてですね、気象のビッグデータを活用した取り組み、これも相当に力を入れてやってきております。

例えば今ここで晴れていても、10分先ゲリラ豪雨にあいますよとか、予測情報も含めてやってるんですけども、こういった取り組みをやっていっています。それから、凍結の恐れがありますとか、地震が発生したり、津波が発生したりしたときに、パッとカーナビに提供していくということをやってきております。

1つ最近の事例をご紹介しますけども、今年の冬、北海道でホワイトアウト予測警報の試験運用を開始致しました。北海道では、毎年10人くらいもの方がこのホワイトアウトで亡くなっています。

記憶に新しい方もいるかと思いますけども、家まで数百メートルのところだったんですけども、お父さんが娘さんを(抱いて)車を出て、どこが家か道か分からなくなっちゃって。(娘さんを)抱いたまま翌朝見つかったんですけども、娘さんは助かったんですけども、お父さんは亡くなっていた。こういったことを何とかしなきゃいけない。

今年(2014年)も1月に、秋田新幹線にぶつかってしまった車があるんですね。そこでやっぱり女性の方が亡くなってしまったということで、何とかしないとということで去年あたりからやってきたんですけども。

気象協会さんが、結構予測精度、ホワイトアウトが出来そうだということで、その予測データをうちのほうに出してくれました。こういった形で警報をしております。さらに、万が一ホワイトアウトが発生した場所に入ってしまった場合に、登録したメールアドレス宛に「ここでホワイトアウトにあってしまいましたよ」という情報、地図を送ることができるという機能も入れて、試験をしてまいりました。

この(試験が)終わった後ですね、会員の人に、それを使っていただく方々にアンケートを取った内容なんですけども、非常に有意義な情報であったということでですね。渋滞情報大事だけども、気象障害情報ものすごく大事だということで、来年も北海道だけじゃなくて、東北地方も含めてやってほしいという話を意見としていただいております。

制作協力:VoXT