キーワードは「保けいこ」

佐々木寛子氏:「赤すぐ」「妊すぐ」編集長の佐々木寛子です。出産育児領域のお話をさせていただきます。

私たちは妊婦さん、それから赤ちゃんのママ・パパに向けての通販サイトの運営、情報誌やカタログの発行を通じて子育て世代を応援しています。

そんな私たちが2015年のトレンドとして提示しますのが、こちら「保けいこ」、保育託児とお稽古の両立を可能にするサービスです。

共働き世帯が増えている中、フルタイム勤務の親は子どものお稽古の送り迎えというものが難しい、そんなお稽古の送迎という障壁をクリアするようなサービスが2015年には活性化するでしょうというお話になります。

保けいこが出てくる社会的背景なんですけど、年々、専業主婦世帯が減少して共働きが増えています。80年代とかとすっかり逆転していますので、今30歳くらいの子どもを育てる世帯の人が自分が子どもだったときは母親は専業主婦だったけど、大人になって自分が親になったら共働きです、というのが今の日本の現状になります。

特にですね、女性の正社員については、産休、育休をとって、働き続けるというような女性が増えています。それはフルタイムで働くお母さんが増えてきているということも言えるかと思います。

未就学児のお子さんがいる方に調査しましたところ、ほとんどの親がお稽古を習わせたいというふうに考えています。

複数回答でこちら、「何をやらせたいですか?」と答えてもらったんですけど平均すると3つくらい選んでくれている。英語やダンス、結構これは最近のトレンドだなあと思うんですけど、水泳、ピアノ、習字といった今親である世代がやっていたお稽古ごとというのが根強い人気があります。

働く母親と専業主婦、子どものお稽古に対する関心は同じ

では、働くお母さんと専業主婦でお稽古に対する関心って違いますか? というと違いません。20代、30代ではですね。

赤い部分が関心があることになるんですけれども、ほとんど変わらない。30代前半では、就業女性のほうがお稽古に関心が高いくらい。働くお母さんも子どもにお稽古を習わせたいということがわかります。

そして、フルタイムで働くお母さんの子供っていうのは保育園に入ることが多いですね。2歳までは基本的に保育園になりますし、それで保育園は厚労省の管轄で保育に欠ける乳児、幼児を福祉の観点で預かるところで、幼稚園は文科省の管轄で教育する場所というふうに、親の就業状況によって、子どもの扱いがわかれているというのが今の現状です。

幼稚園と保育園一体型の「こども園」というのも政府は増やす方針なんですけど、幼稚園・保育園の数に比べるとまだ全然少ないという状態です。

こちらにプラスして、お稽古というものがあるんですけど、未就学児童のお稽古というのは平日の日中から夕方のはやい時間になります。幼稚園が午後2時に終わって、お稽古というのは普通にありだと思うんですけど、フルタイムでの保育園が6時に終わりますと、そのあとはもうご飯、お風呂、ねんね、終わりみたいな感じでですね。平日のお稽古というのは現実的ではないですね。

そうするとですね。今土曜日にお稽古をはしごしている保育園ママが結構いらっしゃったりして、週末になかなか家族の時間が持てないというようなことが状態になってしまいます。

送り迎えの課題を解決するサービスが増加の兆し

フルタイム勤務の親にとってお稽古の障壁が何かというと、何より送り迎えです。この送り迎えの部分の障壁を取り除くというようなサービスがうまれています。主なスキームが4種類あります。

1つ目が園でお稽古を提供するパターンですね。2つ目はお稽古の事業者が送迎も一緒に行っちゃいますよというもの。3つ目は送迎だけをやるパターン。4つ目はベビーシッターさんがおうちでお稽古をしながら親が帰ってくれるのを待っててくれるというような4種類になります。

1つずつ見ていきます。1つ目の園でお稽古っていうふうなパターンですね。こちらは特に目新しいものではなくって、以前からあるんですけど導入数が増えていたりだとか、お稽古のバラエティが広がっているというのが最近の傾向になります。

無認可保育園の中には、よく幼児園というような名前で使っていたりするんですけど、保育だけではありませんということですね。スポーツだったり、あとはたとえば英語みたいなところの付加価値を強化したお稽古特化型の園というのもとても人気があります。

そして2015年に子ども・子育て資金支援制度がはじまってですね、都市型の小規模保育が増えるということで保育園の民間参入というのも基本的に実態があまり問われなくなるというような状況でですね。こういった付加価値で注目されるような園が増えているのではないかというふうに見ています。

家計にやさしいワンコインの送迎サービス

次がお稽古の事業者が送迎もやるパターンですね。こちら、塾の明光義塾が小学生向けに民間学童をやっているものの未就学児バージョンをはじめました。2年前ですね。保育園にピックアップに来てくれて、教室まで連れて行ってくれるというものです。葛西などを含めて6エリアまで展開を予定しているということです。

次は送迎に特化したサービス。これまでもタクシー会社とかがですね。送迎サービスをやってたんですけど、1回2、3000円していました。こちらAsMamaというワンコイン子育て支援のサービスなんですけどSNS上で来週、お迎えお願いできませんか、というようなことを言ってですね、ワンコインでやってもらう。500円とか700円くらいでやってもらう仕組みになっています。

主婦にとってはけっこうお小遣いも稼げるし、今は主婦だけど音大出てます私、とかですね。 子どもが生まれる前は幼稚園の先生でしたみたいなお母さんもいて2番目のスキームみたいな託児しながらちょっとお稽古というようなのもAsMamaさんではやっています。

次が最後ですね。ベビーシッターに付加価値のついたサービスということで、ただ預かるだけじゃなくてシッティング中に英語を習えたり、ピアノの練習をみてもらったりできるというような技能をもったシッターさんを売りにしているというところが増えています。

単なるシッターは高いしもったいないけど英語の個人レッスンが1時間2000円ならいいかなという方もいるかと思います。

2015年はお稽古元年

次は利用者の事例ですね。こちらはAsMamaを使ってダンスを週に1回サポーターさんに連れて行ってもらうという事例です。習い事をさせたい理由というのが、園や学校以外に子どもの居場所とか大人との関係を作ってあげたいということだったんですけど、お母さんは子供にお稽古させてあげたい気持ちを自分が働いているからって我慢しなくていい、お稽古サービスでそんな世界が実現しています。

お稽古には税制も追い風です。おじいちゃん、おばあちゃんの教育目的の贈与は非課税なんですけど、お稽古は500万円まで非課税対象になっています。

このようにフルタイムで共働きの世帯が増える中でお稽古のニーズに着目したサービスがもっと増えて、2015年には「保けいこ」元年になるのではないかというふうに考えています。以上です。ありがとうございました。