繁殖期と人間にまつわるサイエンス

ハンク・グリーン氏:あなたが子どもの時、人間の赤ちゃんがどうやったら生まれるかを聞いたことがあっても、特定の時期に赤ちゃんが生まれる話は聞いたことがないでしょう。他の多くの動物とは異なり、人間には繁殖期はありません。1年のうちいつでも赤ちゃんが作れるというわけです。それに異論の余地はありません。

我々がなぜ交配の季節を持たないのかを知るためには、なぜ他の動物には交配の季節があるのかに関係があると思われます。

その主な理由は、子どもを育てる方法と関係があるようです。多くの動物、馬、鳥類、やぎ、羊、そしてその他の生物には交配の季節があります。彼らは季節繁殖動物と呼ばれます。

その種類の動物たちには1年のうち一定の期間だけ、特定のホルモンサイクルが訪れます。そのサイクルが来るとメスは卵を排出し、オスにも体の変化が起こり、行動にも変化が起こるので、それが交尾につながります。この流れにより、1年のうちでも過ごしやすく食べ物が豊富な時に子孫が生まれるようになるのです。

例えば、北極圏にいる多くの鳥は5月に卵を産み始めるので、ヒナは6月か7月にかえります。

その季節なら獲物がたくさんいるのです。

繁殖の季節の始まりと終わりは、環境の変化にあります。例えば、生物の体内時計はもしかしたら、日が長くなるのを感知することができ、春が近いのを知ることができるのかもしれません。それにより、繁殖に必要な身体的変化が促されるのかもしれません。

それとは対照的に、人間の繁殖サイクルは1年周期ではありません。他の霊長類と同様、私たちは継続的繁殖動物と呼ばれ、どの季節においても子孫を作ることができます。とはいえ、人間が毎日同様に繁殖力があるというわけではありません。

だいたい毎月、卵子は受精に最適な状態になります。だいたい予想できる、1年を通して28日の周期でそれが起こります。これに関する進化的理由ははっきりとしていません。もしかしたら人間の子孫が環境から受けるリスクがそれほど深刻でないからなのかもしれません。

人間や霊長類は新たに生まれた子どもに多くのエネルギーとケアを注ぐので、赤ん坊たちは自分で食物を探すように放置されることや、危険な環境にさらされることはありません。

しかしそれが正確な理由なのかどうかはわかりません。もちろん、繁殖期がなくても、子どもができやすい季節というものがあります。アメリカの出生率を例にとると、夏と秋にその率は一番高くなりますので、人々は冬の間に多くセックスをし、子どもができているということがわかります。

もしかしたら、アメリカの多くの地域では、寒い環境が人々を家にいるようにしてしまい、家にいる人はとくにやることがないのでそうなるのかもしれません。または精子の生存に関わるのかもしれません。

2013年の「米産科婦人科学会誌」によれば、6,000以上のサンプルを分析した結果、平均的に精子の状態がよかったのは冬でした。冬場は熱により細胞がダメージを受ける危険が少ないからです。

しかし暖かい季節でも、暖かい気候の場所で普通に妊娠が見られます。いづれにせよ、もしあなたがアメリカにいて、誕生日が8月であったら、あなた以外にもそのような人はたくさんいるということですよ! それは繁殖期とは関係はありません。