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人類がすべての蚊を絶滅させたらどうなるか?

人類がすべての蚊を絶滅させたらどうなるか?

安眠を妨げ、かゆみをもたらす「蚊」。うっかり刺されてしまった日には、絶滅させたい気持ちになる……かもしれません。世界にはおよそ3,000種以上もの蚊がいますが、そのうち人間の血を吸うのは数百種とされており、危険な病原菌を媒介する蚊はさらに限られます。今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」では、蚊と戦う研究者たちの作戦について紹介します。

スピーカー
Hank Green(ハンク・グリーン) 氏
参照動画
What If We Killed All the Mosquitoes?

世界中には約3,000種以上の蚊がいる

ハンク・グリーン氏 蚊は(血を吸うので)嫌です。文字通り血を吸うだけではなく、かゆくてイライラさせます。またある種の蚊は、寄生虫やマラリア、黄熱病、ジカ熱といった病原ウィルスを媒介し、毎年数十万人を感染させ、死亡させます。 私がジカ熱について数週間前にお話したとき、「なぜ、蚊をすべて殺してしまわないのだろう?」と多くの人が同じ疑問を持ちました。完全にすべての蚊を殺処分してしまうのです。 歴史的に人間は、種を絶滅させることがとても得意です。ですから、こうした血を吸う蚊たちを取り除いてしまうことは難しいことはないでしょう。そうですよね? しかし実際はそうではありません。まず、世界中にはおよそ3,000を超える種類の蚊がいます。そのうちのたった数百種が人間の血を吸います。 蚊は、人間よりもはるか昔の数百万年前から存在し、多くの捕食者と環境変化のなかを生き抜いてきました。 Capture1 蚊は殺すにはとても難しい昆虫であり、多くの蚊を殺したとしても人間にはほとんど影響がないでしょう。 人間は化学薬品を使って蚊の根絶を試みてきましたが、DDT(有機塩素系殺虫剤)のようなものは、この地球と人間にとって非常に有害だということがわかりました。 Capture2 環境を破壊しない方法ですべての蚊を殺すことができるとしましょう。私が星に祈ったら、次の日にはすべての蚊の存在がぱっと消える感じです。それは、地球にとって悪いことでしょうか? いく人かの科学者らは、そうではないといいます。蚊が食物連鎖から切り離されたとしても、ほとんどのエコシステムはすぐに回復し、他の生物がその穴を埋めることでしょう。

すべての蚊を根絶しないほうがいい理由

しかしその他の科学者らは、ある特定の種の蚊が、環境においてとても重要な役割を果たしていると議論しています。 カナダやロシアの北極圏に生息する蚊は群生で飛び回り、そこで巨大なバイオマスの一部を形成します。そして北極地域の植物の受粉を行い、渡り鳥の主な食糧源となっています。 こうした北部の蚊や、または南方にいる魚や鳥、その他の昆虫の餌となる種類の蚊を取り除くことは、エコシステムを引き裂き、その他多くの植物や動物を危険にさらしかねません。 ですから、すべての蚊を殺さないほうがいいでしょう。また、その必要もありません。私たちは、どの種類の蚊が人間に最悪のウィルスや寄生虫を感染させたり媒介するかを知っています。 多くの研究者たちは、現在これらの蚊を対象にして蚊自体や、蚊が体内に保有する危険なものを殺す方法を開発しています。 ヒトスジシマカ属の蚊は、多くの恐ろしい病気を媒介します。とくにたちの悪いのがネッタイシマカ属の蚊で黄熱病、デング病、チクングニア熱、ジカ熱といった病気の主要な媒介生物となっています。 Capture3 ネッタイシマカはただの害虫ではなく、医学上もっとも重要な害虫の一つです。この蚊の根絶が、近年の多くの実験の中核となっています。

病原菌を運ぶ蚊を遺伝で殺す

とはいえ、いくつかの有望な研究は、蚊を徹底的に殺すことを目指してはいません。その代わりに蚊を遺伝的に変えようとしています。 2015年、英国の会社OXITECがオスのAネッタイシマカを作り出しました。この蚊は、自己の細胞の通常機能を止めることができる遺伝子を持っています。 遺伝的に修正を加えられた蚊が放たれ、野生の環境でメスの蚊と交尾すると、この自らを制御する遺伝子がその子孫に受け継がれます。 これらの子孫は適切に発達することができず、成虫になる前に死んでしまいます。成虫の蚊がいなければ、病気の伝染はないのです。 同様にカリフォルニアの科学者のチームが、マラリアの寄生虫を媒介するある特定の種のハマダラカに修正した遺伝子を組み込みました。 Capture4 修正した遺伝子は、蚊の中で生きているマラリアの原因となる寄生虫を人間に伝染する前に殺すことができます。 この遺伝子の修正の特典として、この寄生虫を破壊する遺伝子は、99.5%の蚊の子孫に遺伝するように設計されています。 ですから、やがてこのすべての種の蚊がマラリアを伝染させることができなくなるのです。そして科学者たちは、同じ技術がその他の蚊や寄生虫、ジカ熱のようなウィルスに適用できると考えています。

人類の夢をかなえる? スーパー・モスキート戦略

最後にある科学者たちは、火との戦いに火を使うように、意図的にAネッタイシマカに感染させたバクテリアを使い、ウィルスと戦おうとしています。 ネッタイシマカの蚊は、ボルバキアと呼ばれる細菌を持っています。ボルバキアはこれらの蚊の中でほとんどのウィルスの成長を止めるようです。 Capture5 ですから、デング熱などに感染している人間に蚊が吸い付いたとしても、ウィルスは次の人間に伝染するだけの期間を蚊のなかで生き残ることができません。 現在、ウィルスは急激に変異しているため、科学者たちはボルバキアに抵抗する致命的なウィルスを偶然に作ってしまうことを恐れています。 今週出された研究では、一つの系統以上のバクテリアを感染させたスーパー・モスキート(蚊)戦略を提唱しています。 この方法によってウィルスは、バクテリアへの抗体を簡単には発展させることができません。そして私たち人間が病気に感染せずに、こうしたバクテリアを持つ蚊を維持することができるのです。 これは穏当ですね。基本的にすべての蚊を殺すことは非常に難しく、そして(環境にとって)有害となる可能性があります。 私たちは近いうちに、ある特定の種類の蚊が持つ、人間に病気を感染させる能力を取り去ることができるでしょう。世界をより安全にするのです。 しかし、かゆさは同じです。

  

SciShow

Hank Green(ハンク・グリーン)たちがサイエンスに関する話題をわかりやすく解説するYouTubeチャンネル。

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