高ストレスの後に体調を崩す理由

オリビア・ゴードン氏:ベルが鳴って答案用紙を提出すると、ほっと安堵の吐息をもらしますよね。期末試験が終わればやがて、長期休暇が訪れます。ところが、いざそこまで漕ぎつけるとなぜか突然、体調を崩すことがあります。

もしこんな経験があれば、それはあなただけの話ではありません。一週間続くテスト期間や、会社の大きなプロジェクトの進行期というような、まさにストレスがかかっている時ではなく、その後に体調不良になることは、よくあることなのです。

プロジェクト進行中の悪い生活習慣が原因である場合もあります。しかし主な理由は、実はストレスに対応する免疫システムにあるのです。

期末試験に向け、ビーフジャーキーとエネルギードリンクを片手に、深夜3時まで詰め込み勉強をしていたのであれば、試験終了後に風邪で寝込んでも無理はないでしょう。睡眠不足などの悪い生活習慣は、体を壊す原因となります。しかし、僧侶のような規則正しい生活をしていても、ストレス負荷がかかれば体調に不良をきたす原因となりえます。

ストレスがかかると、身体は闘争や恐怖の反応を示し、心拍数が上り、息切れが起こります。これを経験をした人は多いでしょう。この反応は、同時に免疫反応にも大きな影響を与え、複数のホルモンを刺激します。

この場合の主なものは、ストレスホルモンのコルチゾールの増加です。コルチゾールが増加すると、通常の免疫活動は、特定の病原体を標的とするものに変化します。

さて通常であれば、体内の細胞に侵入者が入り込めば、異物としてのマーカーがつけられ、身体は侵入者に即時攻撃を加えます。これは細胞性免疫というものです。しかし、ストレスが加えられている間は、沈黙しています。

その代わり、身体は液性免疫というものが増加するよう命令を受けます。これは、特定の病原体を撃退するたんぱく質を生成する、免疫システムです。

ところで、このシステムは病原体を即時攻撃するわけではありません。たんぱく質を生成するには、一定の期間が必要であるためです。この変換活動がなぜ発生するかはいまだ不明ですが、ストレス負荷が加えられる期間をうまく乗り越えるために、身体が体調不良を制限する手段なのかもしれません。

みなさんが数式を暗記するのに躍起になっている間に、免疫システムは着々とたんぱく質を生成しながら静観し、期末試験が終わったタイミングで、コルチゾール量は通常レベルに戻り、免疫システムの緊張は解かれます。

ここで問題となるのは、免疫システムの緊張が過度に解かれてしまうことです。

増幅された免疫システムから信号を受けていたホルモンは、ストレス負荷がなくなった時点で活動を抑制されてしまいます。細胞に、外敵を攻撃するよう信号を発信するメッセンジャーが存在しなくなるので、身体は免疫に費やすエネルギーを抑制します。つまり、期末試験が終わった途端、身体は病原体の格好の標的となってしまうのです。

試験の後の休暇を、満席の飛行機や込み合ったビーチで過ごしたり、試験期間中に病原菌に感染してしまった場合は、お気の毒ですね。ティッシュペーパーを準備してください。

みなさん、健康には気をつけてくださいね!