日本財団会長・笹川陽平氏が登壇

司会者1:それでは、ここで日本財団会長笹川陽平より主催者を代表して開会のご挨拶を申し上げます。

(会場拍手) 

笹川陽平氏(以下、笹川):ようこそ、みなさん。大勢の方にお集まりいただきまして心から感謝申し上げます。司会の日本財団の職員がベラベラ話しまくって、私には持ち時間3分ということで。これが日本財団の下克上でございます。

(会場笑)

したがいまして、会長というのは名だけで、前座を務めさせていただきます。

第3回のイノベーションフォーラムということで、(会場となっている)青山学院大学の堀田理事長は実業家としても名を成した人でございます。新しい大学の在り方を探りたいということで、これだけ学院全体を開放してくれたというのは初めてのケースでございまして、私たちは本当にありがたいことだと思っております。

青山学院は箱根駅伝だけではありませんから! ここは笑ってもらわなきゃいけない。

(会場笑)

1つの欠点は偏差値が高すぎるというところです。これは欠点ではなく長所ですね(笑)。どうかみなさんのお知り合いには、これからぜひ青山学院を受験するように薦めていただきたいと思います。先ほど堀田理事長の話では、この渋谷が今日発展してきたのは、青山学院のおかげだとおっしゃっていました。

(堀田理事長に向かって)どうぞ、ちょっとお立ちになって。

(会場拍手)

本当に感謝していまして、私たちの仕事というのは10年、20年、30年続けるというところに意味がありますので、ぜひこれからも青山学院を使わせていただきたいと思います。

ここには長谷部さんという若い区長さんがいます。大変やり手でいらっしゃいます。私はこれからロンドン、パリ、ニューヨークだけではなくて、その中に渋谷を入れようと。東京ではありませんよ。渋谷を入れる。

ということで、このイノベーションフォーラムを中核にして、街頭も使ってさまざまな文化活動を全般的にウィークとしてできるようにもっていきたいと思っておりますので、どうかみなさん方のご協力をいただきたいと思います。

悲観論を捨てて日本を盛り上げていく

最近、地方の区長さん、あるいは市長さんに大変やり手な若い人たちがたくさん出てきました。大変力強いことで、仕事が早くできるんですね。ところが国会となるといろいろな手順があって、法律や政策を実施するまでになかなか時間がかかるわけでございます。

そういうお忙しい中、今日は小泉進次郎さんにわざわざ出ていただいております。彼は農業改革、国会改革、そして子どもの保険というものをどんどん打ち出してきました。

これを実行していこうという新しいタイプと言いますか、未来志向の新しい政治家がここに存在するわけでございます。彼の話を今日聞けるというのは、大変ありがたいことでございます。

ともすれば、日本社会は常に悲観論が世の中を支配する国でございます。これではいけないわけで、やっぱり明るい日本の未来をどうするかという積極姿勢が大事です。

かつてフィリピンに(コラソン・)アキノ大統領という女性がいて、「笹川さん、フィリピンは明日お金がなくても今日幸せならいいよ、と言って、お金をみんな使っちゃうのよね。 ところが日本は……この前名古屋に行ったときに、105歳まで生きられた金さん・銀さんに、『コマーシャルでいただいたお金はどうするんですか?』と聞いたところ、『老後のために貯金します』とおっしゃっていました」と言っていました。

ここ、笑える話なんですが、今日はまじめなお客さんが多いですね。

(会場笑)

フィリピン人と日本人を足して割ると素晴らしい国民性になるんじゃないかという笑い話をしたことがあります。

この2000年続いてきた我が日本というのは、災害大国です。大阪の地震、岡山、広島、愛媛、そして近々の北海道で、多くの方が亡くなられました。ここは教会堂もございますし、冒頭で、私はみなさんとともに心から弔意を表したいと思っております。(日本は)そういう困難な中で今日まで発展してきた国なんです。

ですから、悲観論を日本人が捨てて、これからの明るい未来をどうするか、ということについて……全国に本当に素晴らしい若者がたくさんいらっしゃる。そういう方々がこれからこういうイノベーションフォーラムの場を使って相互に連絡を取り合いながら、日本全体を盛り上げる。

日本は、今や世界に尊敬される国なんですよ。さらにそれを豊かなものにする。そしてここがみなさん方の気づきの場所になってほしいというのが私どもの願いでございます。

私は前座でございますので、あまりしゃべりませんが、次はがんばり屋の長谷部さんに登場してもらいましょう。

(会場拍手)

地方自治体の政策の根幹になる「基本構想」の改定

長谷部健氏(以下、長谷部):みなさん、おはようございます。

参加者一同:おはようございます。

長谷部:ご紹介いただきました。渋谷区長の長谷部健です。ソーシャルイノベーションウィークの開催が今日からスタートということで、誠におめでとうございます。そして、ここは渋谷区ですから、この街でこういったイベントが行われることが、渋谷区長として大変嬉しく、心強く思っております。

先ほど笹川会長からもお話がありましたが、渋谷区は今、前に向かっていろんなことにチャレンジしております。ちょうど私は就任して4年目、任期の最終年に入ります。この4年間、とにかく渋谷を前に進めようということでがんばってまいりました。

何を前に進めるかということで、当然さまざまなことがあるんですが、まず最初に取り掛かったことは、渋谷区の基本構想を改定いたしました。

「基本構想」という言葉を初めて耳にする方がたぶんたくさんいるんじゃないかなと思います。地方自治体は必ず(基本構想を)持っていまして、その地域によっては基本計画と呼ぶところもあります。

政策の最上位ラインにおける1番重要なものになります。おおげさなことを言えば、国で言う憲法みたいなものに当てはまるのかな、と思います。

僕ら地方自治体は、その基本構想をもとに10ヶ年、5ヶ年、単年と、すべての政策をそこに紐付けて考えております。ですので、この基本構想というものは渋谷区にとっては大変重要なものです。

渋谷区の基本構想は、私が就任するちょうど20年くらい前に作られていました。「自然と文化とやすらぎのまち、渋谷」ということが大きなテーマになっていました。

これ自体も非常にいい基本構想なんですが、当時は人口がそのあと減ってくるという前提で作られていたり、2020年のオリンピック・パラリンピックについても当然見据えられていませんでした。さらには、今はこれだけITが発展しておりますけれども、そういったことも織り込まれてません。

ですので、そういったことを踏まえたうえで次の20年を見据えようということで、新しく基本構想を改定したわけです。1年かけて審議会を作って、いろんな方から意見をいただきながら基本構想を作りました。

基本構想というのは、基本的には最大公約数を取っていくものです。だから、どこもそんなに代わり映えがしないと言ったら言い過ぎかもしれませんが(笑)、文化を継承しよう、国際化を図ろう、自然を大切にしよう、というところで、たぶんそんなに変わらないんです。

20年先のビジョン「ちがいをちからに変える街、渋谷」

ですが、ここにもう少し渋谷らしさを加えたいということで、大きなテーマとしては多様性、ダイバーシティ、インクルージョンといったものを織り込んだ基本構想にしたいということを私から審議会に投げかけて、それぞれの中で揉んでいただいて。

シンクタンク系のところでこれを考えてくれるんです。渋谷区の場合ももちろんシンクタンクなんですが、今回ポイントだったのは、そこにあえてコピーライターを入れました。

全部の審議会に参加してもらって、みなさんの言葉をやわらかく、みんなにわかるように紐解いてほしい。要するに多くの人に知ってもらって意見をもらいたい。 基本構想は政策が紐付くもとになります。(基本構想に)紐付いた提案であれば我々は受けやすいので、多くの区民に親しんでもらいたいということで、基本構想の制作にコピーライターを入れました。

決まった1番目のワードとして「ちがいをちからに変える街、渋谷」というのが20年先のビジョンになりました。その下に教育や福祉や災害といういろんなのカテゴリーが7つ用意してあって。 例えば健康・スポーツという分野は「思わず身体を動かしたくなる街」というテーマのもと、渋谷区を15平方キロメートルの運動場と見立てて、健康・スポーツを考える。

要するに、代々木公園などのように、今大きなグラウンドを作ったり体育館を作るのはなかなか難しい。でも、例えば僕ら(が子ども)の頃は、住宅街の道路(で)もキャッチボールをしていました。区全体をフィールドとして考えて、子どもたちがそういうことができるような場所を作っていこう、工夫してやっていこう、というようなことを基本構想に織り込んでいます。

ちょっと基本構想の話が長くなりましたが、ダイバーシティ、多様性を多分に織り込んだ基本構想をこれから大切にして進んでいきたい。そこに紐付けていろんな政策を前に進めてきました。話すときりがないので、個別の政策についてはホームページを読んでいただいたり、別の機会にしようと思います。

ソーシャルイノベーションウィークに込められた思い

そういった想いの渋谷区と日本財団さんの想いが1つになって、今年からこの渋谷でソーシャルイノベーションウィークというかたちになりました。昨年までは、実は渋谷区ではダイバーシティサミットをやっていたり、日本財団さんは丸の内でソーシャルイノベーションフォーラムをやっていたりしました。

こういった両者の力を1つに結集して、多様性が1番呼び込まれて、これから発信されていくこの街から、このフォーラム、このウィークを開催できるという運びになりました。

笹川会長をはじめ、多くの関係者のみなさまに感謝を申し上げ、ここから約1週間、こういった機運がこの街から東京だけではなく日本、世界へ広がるように渋谷区としても精一杯応援していきたいと思います。そして、お集まりのみなさまがその気持ちを持って、この街でさらにアクティブに活動していただければと思います。

ご挨拶が長くなって恐縮です。ぜひみなさまと一緒にこの街を盛り上げていきたいと思いますので、渋谷区政府に力を貸していただけばありがたいと思います。 そこのポイントは基本構想。よかったら1度読んでいただいて、そこに紐付いたご提案なりをいただけると大変ありがたいなということを最後に宣伝させていただきました。

このあとは、いよいよお待ちかねの小泉進次郎さんの基調講演になります。ちょうど世代としてはほぼ一緒……僕のほうがちょっと上なんですけれども、思わず向こうのほうが先輩じゃないかというくらいに、私もいろいろ学ばせていただいております。

ぜひ小泉さんの話を聞いていただいて、今日はこのあとも素敵な時間をお過ごしいただければと思います。本日は本当にありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。

(会場拍手)

Be the Difference、人と違っていい

小泉進次郎氏(以下、小泉):おはようございます。

参加者一同:おはようございます。

小泉:まずは2年連続お招きをいただきまして、日本財団の笹川会長、ありがとうございます。

先ほどの笹川会長から、渋谷に対する強い誇り―ニューヨーク、ロンドン、パリ、そして渋谷。そう言われる街にするんだ、という熱い想いを語られましたが、横須賀じゃないのかなと。私は横須賀だという想いでがんばっていきたいなと思いながら(笑)。

(会場笑)

実は長谷部区長とは昨年もこちらで一緒に登壇させていただいて。私の地元横須賀と長谷部区長の地元渋谷は、渋谷はハチ公、横須賀はタマ公という犬のつながりがあるから、この戌年になにか盛り上げようという話をしながら、昨年は渋谷オリジナルのスカジャンを私がいただいてここに来た、というのを思い出します。

昨年と比べて違うのはこの会場です。(会場に)青山学院の堀田理事長がいらっしゃいます。今、私がここに着けているこのピンバッチが青山学院の新しいスローガンを表しています。

Be the Difference―違っていい。違いであれ。人と違っていいんだ、という。日本はどちらかと言うと、空気として人と違うことを恐れる傾向がすごく強い国です。でも、堀田理事長の掲げるBe the Difference、違っていいというこの想いに先ほど控え室で強く共鳴して、「私、今日はそれを着けますね」と言って着けさせていただきました。

そのBe the Differenceというのも、ソーシャルイノベーションフォーラムに通ずる1つのテーマだと思います。今日私はこれから笹川会長と長谷部区長と鼎談というかたちでいろんなお話をしますが、そのテーマと。

また今日明日と続くソーシャルイノベーションフォーラムの参加者のみなさんになにかヒントになればという想いで、今日は少しスライドを用意してきました。それをみなさんと一緒に見ながら、短い時間ですけれど、共有できたらいいなと思いますので、スライドをお願いします。

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