なぜ井上氏は“集中”にニーズを見出したのか?

井上一鷹氏(以下、井上):昼ごはんのあとだと、聞いている(だけだ)とつらいですよね。

(会場笑)

ざっくりでいいので、この辺を聞いてみたいという質問があったら。いったん終わりますが、どうでしょうか。

質問者1:(JINS MEMEは)はなから集中ということを考えていたのか、それとも最初は違うものを考えていて、あるときから集中はニーズがある、ターゲットであるというふうになったのでしょうか。

井上:完全にそうです。もともとは認知症対策でつくられたものなので、ぜんぜん思ってなかったですね。ちょうど次からその話をします。質問してもらったのにそんな返しで……。

(会場笑)

一回話してみましょうか。その集中の話に入りますと、オフィスという領域で僕がやっているのは、簡単に言うと今の働き方改革にはみんなもう飽き始めていて、結局残業削減の話しかしていないんですね。

これに対してもうちょっとデータを。ピークアナリティクスと呼ばれる話で、人がどう振る舞ったかを見て、ちゃんとフィードバックした働き方改革をスマートに進めましょうというソリューションをつくっています。

また手前味噌なんですが、経産省と厚労省で働き方改革に関して一番やっているという賞をいただいていて、経産省に至っては一般ソリューションコンテストや働き方改革のサービスなど日本全体で103社集まって、そのなかでグランプリをいただいています。

先ほどの質問の答えとして、「JINS MEME」はこんなことができますという発表をして、200社ぐらいが来て、200社が来るとどの産業が出口として熱いのかという配分があるじゃないですか。それがまさにここだったんです。

HRの領域で、HRテックと呼ばれるものの株価が、ここ3年でがっつり上がっているんですね。リンモチ(リンクアンドモチベーション)だけは違う理由なんですが、上がっています。そのHRテックという領域でソリューションがなかったので、そこが一番(JINS MEMEへの)食いつきが良かったんですよ。このシーズは誰に刺さるかということがしっかり定量的に見えてきたので、そこ(HRテック)にリソース配分を張ったという考え方です。

多くの働き方改革が上手くいかない理由

なにをしているかと言うと、働き方改革という言葉にみんな飽きていて、よく言っているのは、恥ずかしいんですけれど「働き方改革」と言いながら、体重計に乗ったことのない状態で痩せようとしているんですね。上手くいく気がしないんです。なにをもって成功したか、失敗したかが定義できないので、ぜんぜん改善にならないんですね。だから進まない。

例えば、残業削減の話しかしていない理由は何かと言うと……うちの会社もまだそうなんですが、弊社には200人います。そして、1ヶ月に1回ぐらい経営が振り返れる定量的な指標が、個人ごとに何時間残業しているか。これしか定量的なデータが残っていないんですね。材料がそれしかないから、そこの議論が熱くなってしまうんです。

本当は「年収600万を超えると残業しているほうが幸せ度が高い」という研究データがすでに出ているのに、それでも残業は圧縮しようという無駄な話をしているんですね。

そうではなく、アウトプットは基本的に時間×パフォーマンスなので、その物差しさえあれば、パフォーマンスが低いところを選択的になくして、高い瞬間をみつけたらなぜ高かったかを振り返って改善活動をしましょう、ということなんです。

これは言いすぎなんですけれど、僕らが思っているのは日本のホワイトワーカーの生産性は先進国で一番下だということなんです。これを30年間言っているんですね。だけど、ブルーワーカーの生産性はたぶん一番高いとみんなが信じているんです。この差は改善できるかどうかなんですね。

ブルーカラーの方で、例えば工場の生産設備をやっている人は、昨日10秒で回したネジを8秒にするために何をするかという定量的な小さい階段をつくると、日本人はこういう国民性なので勝手に良くなるんですよ。だから、ホワイトワーカーも改善活動の糸口さえあれば、勝手に良くなってくるというのが僕らの考え方です。

(スライドを指して)それでつくったのがこちらです。集中を測るデバイスで、音にはほぼ意味はないです。出社したら「JINS MEME」とスマートフォンをbluetoothで繋いでいただきます。あとはもうかけているだけです。かけていれば、いまの時点で集中しているか、今日一日でどれだけ集中したかをずっと測ってくれます。

冒頭でも申しあげましたが、人は1日4時間しか集中できないと言われていて、この4時間という有限な資源をちゃんと大事なタスクに使えているかを振り返れる、そういうデバイス、アクティベーションにしています。

水曜日をノー残業デーにするのは非効率的?

これが見えてくるとちょっとおもしろくなってくるのがここで、いままで延べ5,000人くらいの方に「JINS MEME」を使っていただいて集中をずっと測っていると、日本人はどの曜日に集中しているかが見えてきます。

感覚的に、月曜と金曜は集中しないんですよ。休み明けと休み前に僕らはほぼ集中していなくて、ウィークデーの中では水曜が一番集中していて、今日が一番集中できるはずなんです。そうすると何の議論が始まるかと言うと、ノー残業デーを水曜にやるのはもったいなくないか? という話なんですね。

でも「ノー残業デーの会社が多いからみんな集中しているんじゃないの」と真逆のことを言う人もいます。どちらも正しいと思うんです。なので、組織ごとにどう休むかというのもデータを取って、そういった集中はどうやって上がるかを見て休み方を改革したほうがいいです。

もっと大事なのは人によって違うことで、(スライドを指して)これはうちの会社のほぼ同じワークスタイルの4人です。Iさんは午前中しか集中していないんですね。Kさんは昼以降しか集中していないんです。この人たちが同じ時間に働いていたんですね。

なので、このデータを見るとうちの社長もやっとフレックスタイムは絶対にやらなければいけないとわかり、来月ぐらいから、コアタイムは決められるフレックスタイムにするようになりました。

朝型か夜型かというのは時計遺伝子にも書いてあるんですね。だから、朝はどうしてもがんばれない人はいるんです。それなのにがんばれと言われてしまうんですね。パフォーマンスを考えると、時間を最適化することは大事です。

たいていのオフィスは仕事に向いている場所ではない

そしてもう1個、場所です。これは僕のデータです。どこで働くと一番集中できるかという研究をしていくと、僕のデータではルノワール最強説をずっと唱えています。

(会場笑)

土曜の昼の公園が集中できたと。でも、ここはあまり意味がなくて、6割ぐらいの人は図書館が一番集中するんですね。静かなほうが集中する人は多いです。

もっと大事なのが、9割5分くらいの人間はオフィスが一番集中できているんです。これがかなりの問題で、測ってみるとみなさん驚愕するんですけれど、人はなにかに集中しようと思ってから深い集中に入るのに、アイドリングの時間として23分かかるんですね。23分かかって、やっと深い集中に入るようにできているんです。

それなのに、現代人は12分に一回話しかけられるか、見なきゃいけないメールかチャットがあるんです。その最たる場所がオフィスなんですね。オフィスは面積あたりの知り合いの数が一番多い場所なので、本当に魔法の言葉の「ちょっといいですか」ですよね。

(会場笑)

この「ちょっといいですか」を30分で4回やられているんです。集中とコミュニケーションという両方の質を上げなければいけないんですが、今の環境はどうしても集中に向いていないんです。これは後ほどお話しします。

企業向けに展開しているのは、例えばビズリーチさんのエンジニアで、エンジニアさんは集中することが大事なので、1週間目はふだんどおり働きながらJINS MEMEをかけていただく。

そうするとどの時間帯に集中できるかが見えてくるので、夕方に集中している人は「昼に出社してください、朝は捨てましょう」となります。自分が集中しやすい時間に働くだけで、人は1日あたり集中できる時間が15分延びるんですね。

15分と聞くとそうでもないんですが、年間に換算するとだらっと仕事をしていた61時間分の時間がシャキッと集中に変わるんです。そうなると、彼らはたぶん外注したらひと月(の給与が)120万~150万ぐらいなので、かなりの効果がある。メガネはたった3万9千円なので、絶対にやったほうがいいと思います(笑)。

場所に関しても先ほど申し上げたとおりなので、マイクロソフトさんでは品川の彼らのオフィスと、ご自宅もしくはカフェで仕事をすると、やっぱりこっちのほうが集中が30パーセントぐらい上がります。

留意点としては、マイクロソフトは昔からテレワークを導入し、ITインフラとしてテレワークに向いた業務改革もしているんです。その上ではこのぐらい伸びるというのが見えてきます。

正しいデータにもとづいた本当の働き方改革

今日のティップスなので、みなさん知って帰っていただきたいんですが、気象条件と集中の相関を見ると、気温とCO2濃度はかなり相関します。

気温は何かと言うと、環境庁でエコの話が始まったときに夏のエアコンの設定として28℃を推奨しているんですね。これには、なんの根拠もない説と、60年前の論文を引っ張ってきた説という2つの説がありますが、どっちでもやばいんですね。

(会場笑)

「JINS MEME」で測った場合、男性は23℃から25℃、女性は26℃から27℃が一番集中すると他の文献でも言われています。なので、エアコン設定をもうちょっと下げてでも生産性を上げて、早めに帰ったほうがエコでもあるんですね。そんなことを考えています。

もう1個、CO2濃度についてです。人はかなりのCO2を出しています。例えばこの会議室はそんなに狭くないですけれど、この人数で30分いるとCO2濃度が1,000ppmを超えます。建築基準上1,000ppmを超えていたら、眠くなって当然ですね。

会議は30分にしたほうがいいという話には、こっち(CO2)の話も入れて、30分を超えたら一回ドアを開けて閉めるだけでもけっこう変わるので、ここは気にしたほうがいいです。今ちょうどこのフレーズ2とこのくらいで30分のはずです。みんな絶対に眠いです。

(会場笑)

「JINS MEME」では、1つの施策を打ったときに「どのくらい生産性を上げているか、下げているか」ということを見える化して、それをKPI管理してしっかり改善していきましょうというインフラを整えています。

そこで、AGCさん、旭硝子さんと一緒にやったもので、例えばちょっと細かいのでさっと見て言うと、どういう集中のタイプか、どの時間帯に集中できる人か、どこで集中できるかというような、何に対して集中しているかをデータで残して、レポートをして、来月から働き方を変えましょうというサービスをやっています。一応20社くらい各社でPOCを含めてやっています。

ここではハードの売上ではなく、サービス課金に変わってきて、実際月額みたいなものが少しずつ始まっていたりします。

そういうものがJINSとしてのチャレンジになります。ここまでが「JINS MEME」の話です。

自分たちが集中できなければ“世界一集中できる場所”はつくれない

ここからは「JINS MEME」でわかってきたことによる「Think Lab」というワークスペースの話に入ります。世界で一番集中できる場所。世界一というのは証明できないので、言っているだけなんですけれども。

なぜかと言うと、僕がHRソリューションコンテスト(でグランプリ)を取りましたと、そして、勝手に他の会社さんにメガネを売ってきて、「みなさんの集中を上げましょう」と言っているわけです。

そうすると、別に意地悪じゃなく言われるのが、みなさんに「じゃあJINSさんの社員はむちゃくちゃ集中しているんですか」と聞かれるんですね。そりゃそうだと(笑)。なので、改めて、n数を増やして測ってみたんです。

そうすると、僕らは9時半始業18時帰りだったんですが、僕なんかオフィスにいる時間にぜんぜん集中していない。朝6時、7時に来ている人か、夜中に働いている人が集中しているんです。空間として明らかに集中に向いた場所じゃなかったんですね。

ここも手前味噌なんですけれど、4年前に飯田橋のいまのオフィスに越してきて、そのときに日経が選ぶ一番いいオフィスで、その年の一番いいオフィスに選んでいただいたんですよ。それなのに、集中という観点ではこれだけ低かったんですね。

僕らは今まで5,000人が(JINS MEMEを)使ってきたので、どんな介入をすると人の集中は上がるかを体系化しました。集中を上げる方法が25種類あります。この25種類をできるかぎり一個の空間に集めきるというのが「Think Lab」の考え方です。

うちは当然メガネ屋なのでソリューションプロバイダはできませんが、18社と組んで、今の25個の考え方をできるかぎり押し込んだものが「Think Lab」になります。「Think Lab」の紹介動画をつくっていて、1分くらいなのでちょっとお見せします。

(動画が流れる)

こういう場所ですね。420坪ぐらいあります。けっこう張りきった場所にあるんですが、ここのコンセプトワークで入っていただいたのが石川善樹さんという予防医学の先生です。

いわゆる「不調」を「普通」に変えるというゼロサムの事業をやっているヘルスケアの人で、それはゼロの状態をプラスに変えることと同じベクトルです。つまり、プラスに上げるためにどうやってパフォーマンスを上げるかも彼の研究領域なので、一緒に話をしています。

生産性や効率ばかりを追っていると、人の存在価値がなくなる

僕は今日、ずっと集中集中と申しあげているんですが、なぜ集中が重要かという、僕らなりの解釈のお話をさせてください。まず生産性という言葉をやめたほうがいいと思っているんです。これはすごくハイブローで急に言うんですけれど、生産性と言うのはやめたほうがいい。なぜかと言うと、生産性という言葉はメーカーの製造ラインで使うために生まれた言葉なんですね。

そうすると、この製造ラインで何のアウトプットをするかが決まっているんですね。例えば、もともとカローラをつくる、ということが決まっているんです。なので、ここでの生産性というのはインプットの効率化のために使っていた言葉なんです。

そうすると、知的生産をしている僕らが、知的生産をしているチームメンバーに話して「君の生産性を上げてください」という言葉を使ったときに、なんの互換を示せるのかと言うと、「あなたのアウトプットはどうせこの辺なんだから、インプットを効率化してよ」と聞こえるんですね。なので誰もモチベートがないんです。

しかも、AIが伸長してくれば、効率的な仕事を5年ぐらい詰めたら(そのデータを)一番美味しく食べてくれるので、その人の存在価値がなくなってしまうんですね。なので、生産性という言葉を追って効率的な仕事をしすぎるとかなり危ない時代だなと思っています。

じゃあその真逆であるイノベーティブな仕事やクリエイティブな仕事は、いま何に研究されているかと言うと、よく出てくるのが経営学の中でイノベーションを研究されている早稲田の入山先生です。この方がよく言っていて、「両利きの経営」と呼ばれています。

知の進化と知の探索という2つのベクトルを両方同時に保持していない組織・個人は、イノベーションを起こせないんですね。両方を持っていなければいけない。アカデミアなので難しい言葉なんですけれど、簡単に言うとコミュニケーションと集中なんです。

コミュニケーションの質を上げ、集中の質を上げ、両方の質が掛け算されるとイノベーションが起きやすくなるんですね。確率論ですが、上がります。ずっとお話ししているとおり、コミュニケーションのインフラはものすごく整っているんです。

どのオフィスに行っても、コミュニケーションしやすく全部をオープン化していく方向にオフィス設計はされているし、いつだって、こいつ(Wi-Fi)が繋がるんですね。飛行機に乗ってもWi-Fiが繋がるので、いまの状態は、本質的に独りになれないんです。

不安を感じやすい日本人はそもそも「集中できない国民性」

ここで象徴的だなと思うのが、ICTを一番先端で推しているGoogleさんがコミュニケーションの手段を与えながら、実は社内で1割の人間はマインドフルネスをしているんですね。コミュニケーションだけを売っていくとどうなるかと言うと、昨日聞いた話をそのまま誰かに話している可能性があるんですね。ルーターのような人生を送っています。

ルーターのような人生を送ったときに、ルーターに勝てる理由がありません。ちゃんと自分で考える時間と空間が足りないので「Think Lab」をつくった、というのが背景です。

集中がどんどん……日本人はとくにですが、日本人はセロトニン・トランスポーターという遺伝子が他の人種と違っていて、不安を感じやすいんです。あらゆる人種の中で一番不安を感じるのは日本人なんですね。なので一番東まで逃げてきたという背景があるんです。

それで、不安を感じるとどういうことが起きるかと言うと、「あの人はどう思っているだろう?」「空気を読め」「誰かがなにかを怒っているんじゃないか」というように、“気にしい”なので、“気にしい”の人は集中ができないんですよ。

目の前のことをやらなきゃいけないのに「上司が怒っているかも」「社長がブチギレているわ」というように(笑)。それによって、やっぱり集中できない国民性なんです。禅的な思想がそもそも進んでいるんですね。

そもそも集中ができない人たちだから、それを高める方法が生まれているのが日本なんです。なのに、マインドフルネスという読み解きをして西海岸に持っていかれているんです。

なので、日本の寺社仏閣がつくってきたようなものを、しっかりエッセンスとして、オフィスに取り込んだら何ができるかというので、藤本壮介さんという建築家に入っていただいてつくりました。

鳥居から一番奥の本殿まで寺社仏閣は一本道になってます。オフィスは会議するところと集中する場所を全部回遊できてしまうんですね。なので、脳がウォームアップせずに集中に入ってしまうんです。例えばイチローさんがなんとなくバッターボックスに行くことはないのに、僕らは僕らでオフィスのプロなのに、なんとなく座って始まるんですね。

その時点でやっぱりパフォーマンスが上がらないはずで、どういうふうにウォームアップすると人は集中できるかというルーティーンをつくらないといけないということです。

下を見る集中と上を見る集中

なので鳥居から……これはちょっとやりすぎなんですけれど、飯田橋の29階に25メートルの真っ暗な参道を作ったんです。ここを歩きながら、高野山をつくろうということで高野山の匂いをここで焚いていて、匂いでスイッチを入れながら真っ暗な道を独りで歩くので、神経を研ぎ澄ましてちょっと緊張感が生まれますね。

交感神経を有意にしたあとにパッと南側の皇居を見おろす方向に開いていきます。東洋人がリラックスしやすいような環境をつくったので、緊張からのリラックスというルーティーンで集中できるようにつくっています。これは見ていただくのが一番いいので、もしお時間があったら来てください。

集中するときに人の集中を削ぐのは絶対に人なので、目が合わないように全員が同じ方向を向いています。寺子屋スタイルと言っています。そして、窓から遠い側は下を見る集中です。いわゆる集中、これはロジカルシンキングに向いてます。

ネガティブ思考なので、やっぱり下を見ると人はロジックが強くなるんですね。間違い探しをするときには下を見たほうがいいです。でも、アイデアを出すとなると人は絶対に上を見るんですね。理由は簡単で、上を見るとポジティブになりやすいんです。なのでアイデアが出やすい。

窓側は上を向いて発散系の思考、窓から一番遠いところは収束系の思考で、両方向を選ぶかたちをとっています。これは証明にもならないんですけれど、けっこう僕が気にしているのは、こうやってプレゼンすると、みなさんポジティブなフィードバックになるんです。

「自分だったらこうやって考える」というアイデアを出せるんですね。だけどこの資料をそのまま配って話をすると、「いろんな話がおもしろかったけれど、ロジックが飛んでいない?」という感想が出るんですね。

数字を詰めるときは絶対に下を見たほうがいいですけれど、ポジティブなフィードバックやアイデアが欲しいときは、絶対にこうやってプレゼンしたほうがいいですね。そういうことを思いながら暮らしています。

そして一番奥に個別の集中スペースがあります。

そこでディープ・シンク、集中した人たちがそのあとに集まってコミュニケーションをする場所というのをはっきり分けてあります。そんな場所です。

「Think Lab」が展開するシェアリングエコノミー

そんな場所を展開しています。ちょっと言葉遊びな部分もあるんですけれど、僕らはこれによって空間を提供したいのではなく、ちゃんと自分の人生に集中できる空間をつくりたいなと思って、こういう言葉をつくって話をしています。

実際に、まずはこうなったら集中できるかなと思って、一次案として(Think Labを)つくったんですが、だいたい2倍ぐらい集中できるようにつくられています。

飯田橋から2分ぐらいでこのぐらいの、こっち(の月額)は高く見えるんですけれど、こっち(時間)は意外と、そんなに(価格は)高くないかなと思います。

ここからは本当に絵空事で、僕らはこれを通じて何をしたいかと言うと、こういうふうにしたいなと思っています。

こういうものを本当になくそうと思っています。

なにを話しているかと言うと、いま「Think Lab」を展開していて、僕としては「Think Lab」に会員を増やしたいので、毎日見学会をしているんですね。

すると、1週間で150人~200人ぐらいの人が見に来るんですよ。それなのに、8割ぐらいの人はこの話をメモして、「ありがとうございました」と言って帰るんですね。やっぱり、借りようとしているのではなく、自分のオフィスをどうやってつくればより良くなるかということを学んで帰っていくんです。

「それじゃ困るな」と思っていたんですけれど、案件として、各社が自分の会社の中に「Think Lab」をつくってくれという話がけっこう出てきたんです。そうすると何ができるかと言うと、僕らは飯田橋にいるんですけれど、毎日飯田橋に行く理由は実はそんなにない。つまり、各社の中に「Think Lab」をつくって、お互いの「Think Lab」を使いあうという、企業主導のシェアリングエコノミーをつくれないかなという話をしています。

これは、うちの社長が2ヶ月前にUberにうかがって、Uberのデータサイエンティストに聞いてきた話です。自動車領域でUberのようなシェアリングエコノミーを突きつめて、究極まで行くとどうなるかと言うと、世界全体の車は3パーセントしか要らなくなるそうなんですね。

1週間に1回も動いていない車はとても多いんです。3パーセントはやりすぎなので、いろいろレポートを見ていくと、16パーセントくらいの言い方をしているのが基本です。それでも6分の1なんですね。

じゃあ、東京の今のオフィス環境は9時17時で考えても、しっかり固定席をつくらずにシェアリングすると、ある試算では80パーセントは要らなくなると計算されています。それなのに、新しいワークスペースをつくってどんどん供給過多にしている。これは間違っている気がしていて、それよりはシェアをしていくほうがいいかなと思っています。