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「F1層」はもう古い!–SNSの隆盛でメディアマーケティングはこれだけ変わる

「F1層」はもう古い!–SNSの隆盛でメディアマーケティングはこれだけ変わる

マスメディアが作り上げるステレオタイプの情報は無益。そんな時代がやってくる--メディア研究者のジョハナ・ブレクリー氏がソーシャルメディア時代のマーケティングを解説。ユーザの年齢・性別・収入などを把握することよりも、ユーザ個人個人の好みを掴むことのほうが重要だ、と語りました。(TEDWomen 2010より)

スピーカー
メディア研究者 Johanna Blakley(ジョハナ・ブレクリー) 氏
参照動画
ソーシャルメディアとジェンダーの終焉について

マスメディアが苦しむ要因は、マーケティングの失敗にある

snsw_R ジョハナ・ブレクリー氏 今日は少し不思議な議論をしようと思います。「ソーシャルメディアとジェンダーの終焉」です。……では、説明しましょう。私たち全員が知っていて、愛してやまない、または憎んでやまないソーシャルメディアによって、社会がジェンダーに対して持っている愚かな仮定から、私たちは解放されようとしているのです。 ソーシャルメディアによって私たちは、旧来のメディアや広告に見るバカげた夢想的な固定観念を、瓦解させることができるでしょう。 お気づきでないかもしれませんが、一般的にメディアの空気と言うものは、私たちの生活やジェンダーに関するとてもゆがんだ鏡、ともいえるものです。しかしそれが今、変わりつつあります。テレビやラジオ、出版、ゲームなどのほとんどのメディアは、オーディエンスを理解するのに、非常に厳格なセグメント理論を持っています。 johanna01 しかしそれはもう、古い統計手法なのです。この統計は私たちを定義するべく、とても限定的な肩書きを与えます。おかしなことに、誰でもこの統計に落としこんでさえしまえば、その人はもう予測可能である、とメディアは信じているのです。 この人はこの味が好きだ、あの人はこっちが好きだ、という風に。それによる奇妙な結果として、私たちの流行は現に、これらの統計の推定に基づいているということです。 年代別による統計を見てみましょう。で18歳から49歳の人々は、ベビーブーマーがまだ若かった1960年代からこの国(アメリカ)のすべてのマスメディアにおいて、大きなインパクトを持ってきました。 johanna02 彼らはすっかり年をとりましたが、ニールソンのような高い格付けの調査会社は、54歳以上のテレビ視聴者には目もくれないのです。今までのメディア環境においては、まるでいないも同然かのようです。 アメリカで人気のテレビ番組『Mad Men』をご存知ですか? フェイ・ミラー博士がサイコグラフィックスとよばれる消費者の複雑な心理的プロファイルを作成していた、1960年代から始まった番組です。しかしメディア事業においては、サイコグラフィックスは大きなインパクトをもっていません。基本的な統計だけでした。

オンライン上の行動を全てモニタリングされる功罪

私は南カリフォルニア大学のノーマン・リア・センターで働いています。統計の結果が、国内や海外でメディアや環境にどのような影響を与えるかについて、7~8年間たくさんのリサーチを行ってきました。直近の3年間は特にソーシャルメディアに目を向けて、いったい何が変わったのかを調べてきました。 そして、とても興味深いことを発見しました。ソーシャルメディアネットワークに参加するすべての人々が、メディアや広告会社が彼らを理解するために使っていた従来の統計においても、同時に属していることが分かったのです。 しかし、これらの分類はもう以前ほど意味がなくなりました。なぜなら、オンラインのネットワーキングツールにより、統計の”箱”から抜け出すことが簡単になったからです。オンラインではとても自由に人々とつながることができ、また自分自身を改めて定義し直すことも容易にできるようになりました。 johanna03 オンラインで年齢を詐称することは簡単です。特定の興味に基づいて人々とつながることもできます。もはやこれにメディアは必要ありません。従来のメディアはこれらのオンラインコミュニティに非常に注目してきました。彼らはこれが将来の大きなオーディエンスでありマーケットだと知っているのです。 従来のメディアはなんとかこれを理解しようとしていますが、苦しんでいます。なぜなら、彼らはいまだに旧来の統計を使っており、それによって広告レートを決めています。彼らも私たちがどう動くかをモニターしているものの、ユーザの年齢、性別、収入を把握するのにはとても苦労しています。”推測”をすることが限界です。 しかしオンラインでなら、ユーザが何を好きか、何に興味をもつかについて、たくさんの情報が入手できます。そのほうが、ユーザが誰なのかを理解するよりはるかに簡単で、有益なのです。あなたの好みはモニターされています。なんだか気味悪いですね。 ただプラスの側面もあります。私たちのほんとうの好みが今突然、注目され始めているのです。過去には「予想」するしかなかったのに。 オンラインでどう人々が集まるかを見てみると、彼らは年代や性別、収入で固まってはいません。彼らは、自分が愛すもの、好きなものに集まります。そして考えてみると、共通の興味や価値のほうが、旧来の統計の分類よりはるかに強力な、正しい分類となるのです。ある人が何歳であるかより、ある人が『吸血キラー 聖少女バフィー』を好きかどうかのほうが知りたいですよね。

女性が支配するSNSが、マスメディアを支配していく

他にも、ソーシャルメディアについて発見した驚くべき事実があります。それは、ソーシャルメディアの隆盛は、女性が主導しているということです。世界規模での統計結果があるのですが、ソーシャルメディアの利用率は、どの年齢カテゴリーにおいても女性が男性を圧倒しているのです。 johanna04 さらに利用時間で見てみると、本当にソーシャルメディアの領域は彼女たちによって支配されています。そしてソーシャルメディアは、古いメディアに大きな影響を及ぼしているのです。 johanna05 ここで質問です。このことは私たちの文化にどんな影響があるのか、それが女性にどんな意味をもっているのか? ソーシャルメディアが古いメディアを支配していて、女性がソーシャルメディアを支配しているとしたら、それは女性がグローバルにメディアを支配することを意味するのでしょうか? テレビやゲーム、マンガに、女性キャラクターがもっと多く登場することになるのでしょうか? 次の「総制作費○○億円!」という超大作の映画において、主人公は女性になるのでしょうか? メディアたちが突然、その立ち位置をフェミニストの側に置き始めるのでしょうか? 実際にこんなことが起こると私は思いません。私は、メディアが女性の重要性を認識して、もっと多くの女性を雇うようになり、女性はソーシャルメディアの支配を今後も続けていくと思います。 そして皮肉ですが、女性には安っぽいカテゴリー分けを無くしていく責任が生じます。女性はすべからく女性向け映画が好きだ、といった安っぽい分類を無くしていく責任が生じます。ヒスパニックはあれが好きだ、若者はこれに惹かれる、といったような分類は、物事をあまりに単純化しすぎています。 未来のメディアは、データをとても重視するようになるでしょう。それはつまり、女性が主に活動しているオンライン上のコミュニティからのデータに基づいて動く、ということです。

ステレオタイプな報道が世界から無くなる未来

「何が人々を楽しませるか」を知ることはなぜ重要なのか、お聞きになる方がいるかもしれません。なぜこれを知らなければいけないのか? もちろん、古いメディアや広告会社はこれを知っておかなければなりません。 しかし私の話は、もし世界村を理解しようと思ったら、人々が何に情熱をもち、彼らが何を楽しみ、彼らが自由時間に何をすることを選ぶのかを理解しようとするのは、おそらく良い考えではないでしょうか。これは人々を知るにあたって、とても重要です。 私は本職に携わっている時間のほとんどを、メディアやエンターテインメント、そしてそれが人々の生活に与える影響について調査してきました。単に楽しいからやってきたわけではありません。実際とても楽しいですが。 しかし私たちのリサーチが何度も何度も示してきたことは、エンターテインメントや遊びが、人々の生活に大きなインパクトを与えているということです。例えば、彼らの政治的信念や健康においてです。だからこそ、もしあなた方が世界を理解しようと思うのならば、人々がどう楽しむのかを観察することは、その手始めとしてとてもいい方法です。 ジェンダーや他の統計に対する不十分なステレオタイプに支配されていないメディアを想像してみてください。どんなものか想像できますか? いったいどんな世界が現れるのか、私は待ちきれません。ありがとうございました。

  
※ログミーでは、TED Talksおよび各TEDxの定めるCCライセンスを遵守し、自社で作成したオリジナルの書き起こし・翻訳テキストを非営利目的のページにて掲載しています。
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