電子レンジのマイクロ波は栄養素に悪影響か?

オリビア・ゴードン氏: 電子レンジは素晴らしい発明品ですよね。冷凍しておいたものから残り物のスープまで、あらゆる料理を簡単に、すばやく温められます。ですが、その一方で、「マイクロ波が食べ物の栄養素に影響を与えるのでは?」と疑問に思う人も多くいます。

答えを簡単に言ってしまえば、確かに影響はあります。ですが、それは他の調理方法でも同じことです。それどころか、焼いたり煮たりする他の調理方法に比べて、電子レンジ調理の場合、栄養素の欠落は少なくてすみます。

オーブンを予熱モードにすると、電熱線が温められてその熱がまわりの気体の分子へと伝わるという流れが起こります。この一連の動きは、熱エネルギーです。そこに冷凍のピザを入れると、気体分子が食べ物へと入り込み、外側から熱を加えるのです。

一方で、電子レンジは電磁放射を使って調理を行います。電磁波は、電場と地場を変化させる働きを持っており、とくに水分子のように、両側で異なる電化を持った極性分子に影響を与えます。

残り物を電子レンジに入れると、極性分子が電磁場の変化に合わせてひっくり返ったり揃ったりを繰り返すことで温まります。

マイクロ波は、ブリトーの全体を透過するため、ブリトーの中心部分と外側は基本的には同時に温まります。ですが、気体分子が極性分子ではないため、中の空気はすぐに温まりません。

食べ物の栄養について心配する人は、あらゆる栄養を気にかけています。炭水化物、タンパク質、いろいろなビタミンなど、人間が体内で作れない栄養素は食べることでしか摂取できないからです。

電子レンジ調理はビタミンCの減少を防ぐ

こうした物質は、電子レンジによって変化してしまいます。ですが、他の調理方法とそこまで大きな違いがあるわけではありません。

例えば、タンパク質は熱によって消化しやすい形に変えられます。もちろん、他にも違いはあります。電子レンジを使えば、他の調理方法よりもすばやく温められます。

これは、熱に長い時間さらされると壊れてしまうビタミンに影響を与えます。その中でも、ビタミンCはとくに熱に敏感な物質です。そのため、調理時間が短ければ短いほど、(栄養素を)そのまま残すことができます。

他にも、水に溶けやすいビタミンもあります。そうしたビタミンは、野菜を茹でると水に溶け出てしまいますが、電子レンジならこの問題を回避できます。

中国の研究者チームは、ブロッコリーを異なる方法で調理することで、ビタミンCや他の栄養素がどのように変わるかを調べ、研究結果を2009年に発表しました。

ブロッコリーに含まれるビタミンCの減少は、茹でた場合は33パーセント、炒めた場合は24パーセントですが、電子レンジ調理の場合はたった16%パーセントですんだのです。蒸した場合はさらに効果的で、ほとんどビタミンCの減少が見られませんでした。

電子レンジは、補助調理器具としてとても便利なものです。キッチンで便利に使えるというだけではなく、ビタミンを閉じ込めておける最善の方法の1つでもあるのです。ポップコーンも作れますしね。