エグゼクティブサマリー

津谷祐司氏:本日は、お暑いところご参加いただきまして、ありがとうございます。それでは、2018年6月期の決算のご説明をしたいと思います。

エグゼクティブサマリーは、前期の決算からお話しいたします。前期は、我々としては非常に、大変厳しい期でございました。売上高は前年比16パーセント減の74億円弱、営業利益は上場以来の赤字ということで、マイナス10億4,200万円になりました。

通期 決算概要

売上高は、前期と比べて84パーセント程度。また、営業利益はマイナス10億4,200万円で、当期純利益はマイナス13億円になりました。

費用のうち、広告宣伝費が増えているのは、前期と比べて、意図的に広告費を増加させたという背景があります。

Q毎 売上推移

売上の推移です。四半期ごとに見ていきますと、ご覧のグラフのようになります。前々期(18期)の後半から売上が下がっていますが、前期(19期)は第1四半期から、売上の減少をストップさせて、横ばいを維持しております。

「日本語女性」は、今は競争が大変激化しておりまして、根本的なコンテンツ・ビジネスの改造を行っているのですが、成果が出るまでにはもう少し時間がかかる部分がございます。

逆に、5~6年前から始めております、「英語女性」と「男モノ(その他)」が、前期ぐらいから非常に快調に成長しておりまして、売上と利益を伸ばしております。この2つと「日本語女性」を足し合わせて、売上自体は横ばいを実現しております。逆に、「英語女性」向けと「男モノ」向けの構成比が(足し合わせると、全体の)約4割まで拡大しております。

あと(特筆すべき事項は)赤字幅です。第1四半期はCMを大幅に出しておりましたが、その後適正化に努めまして、営業利益の赤字幅は少なくなり、コントロールできているかなと考えております。

Q毎 経費推移

その(四半期ごとの)経費です。(19期の)第1四半期がグッと膨らんでいるのは、広告宣伝費を5億6,100万円出したことが(要因で)ございます。その後、効果を見定めて、第2四半期からは(広告宣伝費を)絞って適正化を行ってまいりましたので、売上原価では前年比の8割まで、圧縮を行いました。それにより、営業利益の赤字幅が縮小している状況になりました。

貸借対照表、キャッシュ・フロー計算書

貸借対照表です。純利益で13億円程度の赤字となりましたので、資産は前期末の44億2,900万円から、今期末は30億円弱という数字になっております。

19期の振り返り

当面の方針です。前期の19期を振り返ります。上期と下期を分けて記載しております。

まず、上期の事業区分です。これは、さらに先の18期からですが、「日本女性」向け、「英語・男性」向け、「新立地」と、すべてのジャンルにおいて、いろいろなことを一通り、実験していたという状況でした。(重点テーマとして)アプリの大型化を目指して、積極的にCMを出すことも行っておりました。

上期の後半から、「なかなか、簡単に(アプリを)大型化できるような状況ではない」「思ったより、逆風が激しい」ということを認識いたしまして、コントロールに努めたのが、下期でございます。

アプリ型ごとにゲーム設計を最適化したり、広告精度の向上をしたり。また、組織規模も適正化していくというコントロールに努めました。

同じく、組織運営に関しましても、期初から「働き方」改革をやっておりましたが、より細かいコントロールを行いました。全社を5~6のビジネスユニットで、わりとおおざっぱな組織体制で見ていたもの(BU制)を、タイトルごとに10分割ぐらいにして、しっかり見ていくこと(タイトルユニット、TU制)を導入いたしました。

あとは、タイトルユニットの微調整ということで、職種細分……社内では「PDリスト」と呼んでいるような、キャリアパスの整備を行ってまいりました。

市場環境と当面の方針

この資料は前回(の決算説明資料で)も掲載しているものですが、この背景としては、2015年あたりから、国内市場の成熟化が起こっております。アプリ市場全体は3~5パーセントぐらい伸びておりますが、日本国内の企業の売上でいくと、2015年あたりから厳しくなっています。

我々ボルテージも、東証一部になって、12期から順調に売上を伸ばしておりましたが、営業利益は15・16・17期と、なかなか厳しくなっております。

18期からは、構造改革を始めるにあたって、逆風もあって売上が下がったということで、「成長の次ステップ」を模索してまいりましたが、先に、自分たちの規模感を適正サイズにするという「スマート運営」が必要かなと(考えました)。これを先んじて、19期に行ってまいりました。

20期は、この「スマート運営」と「成長の次ステップ」の模索を、引き続き行ってまいります。

A:スマート運営

「具体的にどうするか?」というところなのですが、(1つは)「スマート運営」に関しては、さらに固定費を下げていくことを考えております。

もう1つ、売上に関してはずっと横ばいということでやっておりましたが、大幅に増加(させる)というよりも、微増で展開していくことを(固定費のスリム化と)両立していこうと考えております。

B:成長の次ステップ

「成長の次ステップ」に関しては、2年ぐらい、ずっと模索しておりました。結果として、今はこのような状況にまとまっています。

日本の女性ユーザーさんを「カジュアル」「カジュコア」「コア」と、3つの層に分けると。それ以外には、英語の女性のところ(「英女」)があります。これらに対して、アプリの最適化を図っております。

社内では、「読み物型」「アバター型」「カード型」と呼んでおります。ストーリーを中心にした「読み物型」、プレイヤー女性を模したアバターの着せ替えができる「アバター型」、カード主体で登場人物をカード化した「カード型」という3つの型に分けて、それぞれのユーザーさんに向けたかたちにしております。

また、アプリ以外にもイベント、グッズ、映像・音楽で施策を随時放っておりまして、ユーザー体験の最大化を図るという方向で、コンテンツをつくってまいります。

アプリ(日女向け)

いくつか具体的に、すでに直近に実施したものと、これから実施するものをご紹介していきたいと思います。

まず、今の主力の1つであります『100シーンの恋+(100恋+)』という、「カジュアル」(向け)の「読み物型」(のアプリ)なのですが、(2018年)5月に『マスカレード・キス~危険な駆け引き~』というタイトルの、新作を発表しております。好調な滑り出しで、『100恋+』全体も順調に拡大中と(いうことです)。これは、競合がなかなか少ない分野でして、我々としては自信を持って進めているところでございます。

「コア」(向け)の第1弾でありました『アニドルカラーズ』は、4月に第2部のストーリーを追加して、アプリ自体も大幅にリニューアルを行っております。

「操作性は非常に向上した」と、ユーザーからの反応もいいのですが、課金KPIがなかなか伸び悩んでいるところがございまして、今後の課題として取り組んでいきたいと思っております。

アプリ(英女向け、男モノ)

英語女性向け(英女)では、『Lovestruck』のアプリ内で10作目となる『Astoria:Lost Kisses』が(2018年6月に)開始いたしました。全体として、非常に好調に成長を続けておりまして、前期は(SFスタジオの)設立7期目になるのですが、通期で初の黒字化を達成いたしました。

次に、男モノですが、『六本木サディスティックナイト』を主力に進めておりますが、効率運営下でコンテンツの魅力アップを推進しております。これも、配信開始から約2年半が経っておりますが、去年は初の通期黒字を達成いたしました。

英女と男モノの2つが、非常に好調に推移しております。

アプリ外(イベント)①

アプリ外のイベントです。『アニドル』は、先ほど「(アプリの)課金KPIで、なかなか苦しんでいる」というお話をしましたが、コンテンツそのものは非常にユーザーさんに受け入れられておりまして、IPとしての手応えはあると感じています。

他社とのコラボですが、2.5次元の舞台を後楽園で上演いたしまして、非常に観客さんの好評を得たということでございます。

英語モノの『Love365』は、先月(2018年)7月に、ロサンゼルスで「アニメエキスポ2018」がございました。もう3年連続で出展しているものですが、今回はファンミーティングを開いて参加を行いました。300席が満員になった(ということで)アメリカ女性からも大変な人気を得ています。

アプリ外(イベント)②

『鏡の中のプリンセス Love Palace(ミラプリ)』です。八景島シーパラダイスで行われた「アイランドフェスタ」に出展しています。3周年を迎えましたので、カラオケコラボやケーキ販売なども実施いたしました。

VR第2弾の商品に、『挙式VR』を持っているのですが、これも積極的にアミューズメント施設への展開を行っています。(2018年)4月は、セガさんがお持ちの「VR AREA AKIHABARA」、6月は「VRカフェバー」に出展いたしました。売上がそれほど大きくはないのですが、あちこちから引き合いをいただいています。

アプリ外(グッズ・映像)

グッズです。アバター型全体では、『天下統一恋の乱 Love Ballad(恋乱)』や、6点ぐらいあるアバタータイトルで、(2018年)4月に「ボルショップ」の第4弾として、池袋でショップを開催いたしました。ユーザー投票で上位の人気キャラのグッズを製作して、それを販売している状況です。

映像系では、『恋乱』の(短編)アニメを配信開始いたしました。当初はテレビアニメを考えていたのですが、採算的になかなか厳しいところがあって、並行して短編アニメをやっていましたが、こちらを(5月に)配信を開始することにいたしました。出演していただいている3人の声優さんに、舞台にご登壇いただいて、記念イベントも実施しています。

20期1Q以降

今期(20期)の第1四半期以降の予定ですが、主な2点をご紹介したいと思います。

『天下統一恋の乱 Love Ballad(恋乱)』で今月(2018年)8月末から9月の頭に予定していますが、リアル恋アプ体験イベント「夏恋し 天下の宴」ということで、東銀座のホテルを借りまして、お食事イベントを開催いたします。同時に、オリジナルグッズも販売する予定でございます。

もう1つ、アプリに関して、『あやかし恋廻り』をこの秋に配信する予定でございます。現在は、事前プロモを実施中なのですが、6月に事前登録を開始以来、直近でまた登録者が伸びまして、現時点(2018年8月14日)で20万人を突破しています。これも、非常に順調に事前登録者を伸ばしていると認識しています。

新規タイトルローンチ・イベント実施予定

新規タイトルのローンチとイベントの実施予定は、ご覧のとおりでございます。英語女性で3作、『100シーンの恋+』の中で1作を予定しています。

FY2019 業績予想

(タイトル別の具体施策のご説明は)以上ですが、当期の業績予想としては、上期のみを開示させていただきたいと思います。今期は、上期の状況がはまれば、下期は伸びていきますし、そうでなければ方針変更となりますので、上期のみの開示とさせていただきます。

売上高で36億円。営業利益は、赤字幅はちょっと縮まりますが、上期の合計でマイナス2億5,000万円。四半期純利益で、マイナス2億6,000万円と予想しています。

株主還元(剰余金の配当)

最後に、配当のお話です。当社は、配当に関しては、内部留保とバランスの取れた利益還元を、株主のみなさまに行っていきたいと考えています。以前は「配当性向は20パーセントくらい」と出していますが、(それを)考慮しつつ、配当金額をなるべく長期的に安定して出していきたいと考えています。

それで実施していったのですが、当期につきましては、純損失が13億円強と大変厳しい結果になりましたので、大変残念ですが、今回は無配とさせていただきます。

次期につきましては未定ですが、適切な利益還元を検討してまいりたいと考えています。

ご説明は以上となります。ありがとうございました。