Facebookの「いいね」は「どうでもいいね」

竹田匡宏氏(以下、竹田):じゃあ話を続けていきます。トークンエコノミーの中って、「コミュニティを作って終わり」じゃないじゃないですか。

小川さんと安さんはおふたりともサービスを作っていますが、やっぱり使ってもらう人たちがずっといないとサービスって大きくなっていかないし、運用するのは厳しいなと思っていて。1年後であったりとか、サービスを作ってからどうユーザー数を増やしていくかとか、ユーザーとしては「ここのサービスだから使う意味あるよな」というところが必要ですよね。

インセンティブみたいなところって、PoliPoliもタイムチケットも実際もうあるとは思うんですけど、西粟倉村もこのトークンエコノミーという中で運用していく上で、既存のWebのサービスと違いってあるのかもしれないですけど。なにか考えていますか。

小川さんから、例えばVALUで結婚した人がいるんでしたっけ?

小川晃平氏(以下、小川):そこにいます(笑)。

竹田:噂には聞いていたんですよ。VALUER同士でとかみたいな。

小川:目の前に座っています。そこに。

竹田:すごい。えー、すごい(笑)。ぜひ前に。

伊藤和真氏(以下、伊藤):どうぞどうぞ。

山田邦明氏(以下、山田):写真撮らせてもらっていいですか?

竹田:ビビった。タイミング良すぎて。

山田:すごいな。

参加者1:今からたぶん大事な話するはずなんで、手短に。VALUで結婚したというわけではなくて、付き合っている人がVALUを知って、僕のプロフィールを見てくれたらより深い仲になれたということで。

VALUはほかのサービスと違って、プロフィールをちゃんと書くんですよね。VALUやっているときにいつも思っているんですけど、FacebookとかInstagramにつく「いいね!」の意味がわからなくなっていたんですね。そこに価値はないのですから。僕はずっとFacebookの「いいね!」って「どうでもいいね!」だと思っているんですけど。

竹田:(笑)。

参加者1:挨拶ですよね、みんな。書いてることが良かろうが悪かろうが。

「〇〇の飯、食いました!」とか「友達と〇〇行きました!」みたいなつまらないものが一切上がってこないのがVALUなので。「僕、これについてこうやってがんばってます。今度こういうことやろうとしています」という、その人の現実の動きが見えるというのがVALUのいいところかな。

そこに対して、「いいね!」だけじゃなくて、チップであったりもそうですけど、VAの購入で自分のお金を使って買ってくれる人とは、信頼関係を結びやすい。だから「高度な出会い系」とも呼んでいますね。

実際に僕は、たぶんVALUユーザーと100人以上会ってるんですよね。それまで会ったことなかった人と。

竹田:すごい。えっ、途中からその女性にやっぱり……。

(会場笑)

竹田:なんだろう? 「カッコつける」ではないですけど、やっぱりよく見てもらいたいじゃないですか。

参加者1:それはぜんぜん関係なくて。僕はVALUやっていることを言ってなかったんですけど、向こうがたまたま見つけて。たまたまって流れもあるんですけど……この話、めっちゃ長くなりますよ(笑)。

小川:じゃあこのぐらいで切ったほうがいいですね(笑)。

竹田:すいません。ありがとうございます。

参加者1:じゃああとで。

ユーザーの啓蒙が重要に

小川:VALUをリリースした当時って、たぶん異常だったと思うんですよね。6月だったかな。5月、6月……7月あたりからVALUを触っていた方々って、「なんでこんな儲かるんだろう?」みたいな感じだったと思うんですよね。

稲田暁さんというユーザーさんがいらっしゃるんですけど、「暁さんみたいに使ってくれるユーザーさんって、どうやったら増えるんだろう?」みたいなところをすごい試行錯誤していて。まだちょっと投機性みたいのは残っているんですけど、そういったコミュニティ運営ができるような機能追加をずっと1年してきました。

ただ、今だとあまりにも投機的なところを抑え過ぎちゃっているので、本当に投資をしたいとか本当にお金で支援したいという人たちがちょっと詰んじゃっている状態になっているんです。それをどうバランスを取っていくかというのが、次の1年の勝負ですね。

この1年は投機的になりすぎたところを「ぐっ」と抑えて、今使ってくれるようなユーザーさんをどんどん増やしていって、どうバランスを取っていくかというところに、コミュニティのマネジメントを置いています。

結局ICOとかって、短期的にお金が儲かるから人気になるわけですよ。そうじゃなくて、エクイティファイナンスだと短くても2〜3年、長かったら10年とか20年ぐらいかかるわけで。そのぐらいの規模でちゃんと個人を応援してくれる人とかをどう増やしていくかみたいなところを今はすごく考えていますね。

例えばNPO法人とかって、たぶん最初はICOでお金集まると思うんですけど、それでけっこう簡単にパンプできるじゃないですか。規模が小さいですから。

だから今はミニマムの上場が30とか40億ぐらいなんですよね。そこでパンプさせたところで誰もついてこないと。だけどICOとか、去年だったらNEMとかもたぶんそうですし、ビットコインも簡単に乱高下が起こるじゃないですか。

ああいったことをどうなくしていこうか、どうやって健全にその人の価値を見つけていくかみたいなところが、次の1年とか5年ぐらいの勝負かなと僕は思ってるんですね。それについてくれるようなコミュニティとかユーザーさんを集めたりとか……。

お金ってやっぱり怖いので。人を狂気にするってところがありますし、それが自分の責任だったらいいですけど。

今の日本人って、そんなに金融リテラシー高くないじゃないですか。例えば「エクイティファイナンスってなんなの?」「株って指値と成行があるけど、わかる?」とか言っても、わからない人が多いですよね。そういうのをどういうふうに1個1個変えていくかみたいなところで、コミュニティマネジメントについてすごく考えています。

コミュニティが見るに堪えないものに落ちる理由

竹田:わかりました。ありがとうございます。続いて、安さんにも同じところでおうかがいしたいと思います。ALISを運営してみて「こういうことしてきてよかったな」とか、「うわ、これめっちゃミスったな。でも、これ次に活かせるな」みたいなことって経験されてきたと思うんですけど、ぜひそのあたりを教えていただければ。

:もともとRという、すごい資本主義的な出世争いに巻き込まれるところにいて、かつ、ユーザーをLTV(Life Time Value)として捉えがちな企業にいました。僕は真逆をやりたいと思ってずっとやってきて、それがやっぱりすごくよかったかなと思っています。

ユーザーって、別にあなたのお金をつくるためのものじゃないですよね。一緒になにかを作っていくための存在ですし、よく「運営は神だ」みたいなことを自ら言っちゃう運営もいるんですけど、僕はそれ、おかしいと思っていて。

全員が一緒につくっていくコミュニティの一員であって、別に運営メンバーだからって、冗談抜きで別に上だとか下とか思ってないみたいな。フラットな関係でいたい。だからこそ僕たちは、「情報を全部開示して、目線を一緒に共有していくべきだ」みたいなことができてすごくよかったなと思っていて。

なにがよかったかって、今日は何人かALISのコミュニティのみなさんもいらっしゃっているんですけど、みなさんは当然のように応援してくれますけど、加えて業界のけっこう熱を持った中心的な人が応援してくれているんですよ。「すごくディセントライズド(分散的)な世界を目指しているのがわかるから、ぜひ応援したい」みたいな感じでやってくれるんです。

それはすごい助かっているなというのがまず大前提としてあって、これによって僕たちは投機的なところを防げているんですよね。投機筋がALISトークンの値段の上下だけを気にして入る、みたいなところを防いでいる。

これが起きちゃうと本当に下品なコミュニティになっちゃうんですよ。

(会場笑)

本当にもう、見るに堪えない。「いつニュース出すんだ?」とか「なんで運営がトークンを買い上げないんだ?」みたいな。

徹底的に防いでいかないと、トークンエコノミーなんてもう先のまた先みたいになってしまうので、これはもう大前提です。まず、やる。だから運営側がトークン買い占めるとかもありえないですし。

そういう大前提をやった上で、振り返ってみてなにがよかったかなって思うと、目指すビジョンと、それをどうやろうとしているのかを徹底的にコミュニティで会話しながら作っていくところが、すごく大事だったなと思っていますね。

そこに、みなさんすごく共感してくださっていて。そういう信頼できる人に出会えるとか、今までつながりをつくれなかった人たちとつながることができる、みたいなところ。「ぜひ一緒にやりたい」といろんな方が集まってくださったので、ビジョンとしてなにを置くかはやっぱりすごく重要だったなっていうところと、それをどうやるかの徹底性というか。それはすごく効果があったなと。

引き続きこれを維持しながら、コミュニティのみなさんがALISに関わることで、自分がやりたいことがやれるみたいなところを担保しながら、自分たちのビジョンの実現を目指していく。そうしながらコミュニティを大きくしていきたいなと思っていますね。

そうすることで、投資家へ価値を返していくことは言うまでもなく大前提です。

自立経済圏をつくるための独自通貨

小川:ちょっと聞きたかったんですけど、ICOをするときにたぶん3パターンぐらい検討することがあると思っているんですよね。トークンをブロックチェーン上に発行するというパターンと、ブロックチェーンそのものを作るというパターンがあるわけです。

ブロックチェーンそのものを作るというのは、ビットコインのコードをコピーしてきて、自分たちでマイニングの仕組みを作るというので。トークンを発行するというのは、すでにあるビットコインとかイーサリアムの上に紙切れみたいのを発行して、それを売るってパターンですね。

3つ目に、「そんなのどうでもいいから、イーサリアムとビットコインのコミュニティとかNEMとかのコミュニティに自分たちも加わっちゃえ」というパターンも検討できると思うんですよね。

それなのに、なんで自分たちが発行主体になりたいなと思ったかというところが気になっていて。僕たちはどっちかというと3を選択したので。なので今はビットコインを使っているじゃないですか。サービス設計の時に「ビットコインのコミュニティに加わっちゃえ」というような考え方をしたんですよね。それをしなかった理由というのを教えていただければなと。そうだ、今日はこれを聞きたかったんですよ(笑)。

:回答はシンプルです。先ほどちょっと私がプレゼンの中でお伝えしたんですけれども、トークンエコノミーの2点目の「自立経済圏」って僕はすごく大事だと思っていて。10年後の世界はちょっと別の話だと思っているんですけど、今の時代って、やっぱりユーザーがトークンを持ってその価値を上げられるというファクトがすごく重要だと思います。

でも「ビットコインとかイーサリアムを使って一緒にこの価値をあげましょう」となると、僕たちでコントロールできない話になってくるじゃないですか。そうじゃなくて、やっぱりALISトークンというものをみんなで、ユーザーも含めてコントローラブルな状態にして、その価値を上げていくことで経済圏を作りたかったから、というのが回答になります。

ただ、これは良し悪しがあって。とくに悪い部分は、先ほどから小川さんが何度も言っているとおり、パンプとかめっちゃ起こせる。投機がいくらでも作れちゃうんですよ。運営がその気になれば、いくらでもお金をむしり取れるみたいな状態になるので、これ実は良し悪しが本当にあって。

ただ、僕たちはそこの良い部分に賭けて。そのかわり透明性を徹底的に出して、絶対売買しないですよねってことを担保しながら、一緒にユーザーとそこの価値を上げるという取り組みをやっているって感じですね。

非中央集権で良い体験ができたのはビットコインだけ

竹田:わかりました。じゃあ続いての話題にいこうと思うんですけど、未来的な部分を聞いていきたくて。最初にトークンエコノミーの未来という部分と、あとそれぞれのサービスがどうやって未来というか、事業を作っていくんだろうみたいなところを、前半・後半として聞いていければと思うんですけど。

最初の部分で、「トークンエコノミーって来るんだろうか。どうなんだろう?」みたいなところは1つ、たぶん議論はされるところなのかなと思っていて。僕はけっこう来るかなと考えている部分です。

今だとそれこそ「俺、ALISトークン使っているわ」みたいな状況だとは思うんですけど、VALUを使っている、PoliPoliのPolinを使っているとなると、今僕らは日本円を使っている感覚ってないと思うんですよね。

そういう状態がいろんな経済圏でできてくるのがトークンエコノミーなのかな? みたいな感覚を僕は持っているんですけど、「そういう状況にどれぐらいでなっていくんだろう?」とか、「それまでの過程にどんなことが必要なんだろう?」みたいなところを聞いていきたいと思います。

山本大策氏(以下、山本):トークンエコノミーが実現するかですが、僕はもうメルカリの経済圏のように、ポイントとかでも普通に回ると思うんですね。

興味があるのはやっぱり非中央集権的な運営です。そういうDAO(Decentralized Autonomous Organization)的なところですね。それが本当にこれからの世の中で成立していくのか、求められていくのかというところは非常に注目していて。

中央集権と非中央集権のメリット・デメリットみたいな話もあると思うんですけど、やっぱり非中央集権のいいところというのは、インターネットの歴史からも明らかで。

電子メールとかWWWとか、そういうオープンなプロトコルって、基本的には開発者とか起業家たちが「これおもしろい」「もっといいもの作ろう」と思って、スパムメールとかどんどん廃止していこうみたいな流れで非中央集権的に開発者が開発していいものができあがってきたと。

一方Twitterとかって、最近も開発者の締め出しとか、サードパーティに対してAPI制限するとかで、なかなかスパムがなくならないみたいな状況もあったりしますよね。FacebookもCambridge Analytica問題とかがあったりして。EUもGDPRといって、個人データの法規制とかがあります。

分散化したサービス運営に有利な流れがきているのは感じているんですね。ユーザー自身も「中央集権的なサービス運営ってどうなの?」と感じている状況ですし、もしかしたらそういう非中央集権的なサービスがトークンを発行して、そういうのが回っていくのかなと。

ただ実サービスとして、サービス体験として自分自身が良い体験をできたと感じたのは、非中央集権的な運営ではビットコインぐらいで、まともなDapps(Decentralized Applications)というか、アプリケーションという部分ではまだ自分はメリットを感じていないので、そこがうまくいくのかなというところは一番興味があります。自分がチャレンジしたいところですね。

竹田:わかりました。ありがとうございます。

日本円に換算された瞬間、資本主義に飲み込まれる

:僕もちょっと。

竹田:お願いします。安さん。

:ちょっとしゃべりすぎて申し訳ないなと思いつつ。ごめんなさい。

僕は資本主義はワークしてるので別にこれはこれでいいと思っているんですけれども、やっぱりこれと別の併存する社会をつくりたいというのが、繰り返しお伝えしているように、あって。

ここでのトークンの役割がなにかというと、今まで円では買えなかったとか、買おうと思わなかった価値がそのトークンによってやりとりされている世界なんですよ。結局トークンって、絶対日本円の代わりにはなりえないというのはいろんな理由で結論づけていて。

例えば、先ほどHEROの話とかもあったんですけど、まさにああいうことで。10年間ずっとホームレスの方々の生活を助けていた人たちに対して、僕はICOの知見とかトークンの設計の知見を逆に渡しますみたいな、そういうやりとりがなされる経済圏がたぶんたくさんできる。

でも、これが円に換算された瞬間、資本主義に飲まれていくんですよ、ぐわーって。資本主義に飲まれちゃうと、結局僕も資本主義の最底辺みたいになる。おやつはにんじんみたいなところで私は育ったので、それしか知らないと、大多数の人類は幸福になれないと思ってるんですよ。

そういう世界を10年後とか、なんとか引き寄せたいなと。もう「来ると思う」とかじゃなくて「引き寄せたいな」というところがあって。

ALISのユーザーが100万人ぐらいになったときに、僕は情報とかがその最たる例だと思っていて。この決断がどういうふうな影響を与えたのかって、これって値段つかないわけじゃないですか。円でいくらになりますみたいな。

でも、これをALISトークンで買ってくれる人がいるとか、仮に自分が得たALISトークンで別の人の提供価値みたいのをもらうみたいなところを増やしていくことで、「円の世界もいいけど、こっちもいいよね」みたいなのがやりたいなということですね。

竹田:わかりました。ありがとうございます。どうですか、伊藤くん?

伊藤:僕らも中長期的にはいろんなコミュニティを、例えば政治とかインターネットって弱者やそういう人たちを助けると思っていて。こういうビジョンをくどいぐらいずっと言ってるんですね。

僕らはしょぼいスタートアップですし、サービスとかもまだぜんぜんなんですけど、そのビジョンに共鳴している方ってけっこう人数いるんですね。100人以上いて。そういうのってうれしいなと思っていて。

やっぱりビジョンとか、実現したい未来の運営者は、僕らもフラットに考えているんですけど、コミュニティに独自経済みたいなのが作られていって、自分の好きなコミュニティにいくつも選択して入れるような世の中ができるんじゃないかなとは思っていますね。

竹田:わかりました。ありがとうございます。

分散の最小単位は個人だけなのか?

山田:僕もちょっとだけ。

竹田:はい。お願いします。

山田:問いの立て方になっちゃうんですけど、地域って聞いたときになんとなく分散っぽく聞こえる人もいるかなと思うんですけど、別に地域って分散じゃなくて。地域には自治体というのものが存在しますし、そこにおける、ある種の中央集権みたいなものができあがっていて。

だから、「地域=分散」で話が合ってますみたいな聞かれ方すると、「ちょっとなに言ってるかよくわからない」というか、まぁ、よく思うんですよね。

竹田:確かに。

山田:でも一方で、これは本当に問いでしかまだなくて申し訳ないんですけど、「分散といったときの最小単位って個人だけなのかな?」というのを最近問いとして持っていて。「もしそうじゃないんだったら、地域というのもさっき言ったときの分散の1つのかたちとしてしゃべれるのかな?」みたいなのを問いとして持っているので、誰かわかる人がいたら教えてもらえるとありがたいです(笑)。

なにが言いたかったかというと、結局どっちの世界もあるということで。安の考えに僕は共感度が高くてですね。揺り戻しも絶対に起こるし、両方ある。螺旋階段状に発展していくというのが、たぶん歴史的にも間違いないなと思うので。

一気に中央集権にグッと寄せたのがこの時期だったら、そうじゃなくなる力がグッと働いて、さらにもう1回来たってときにバージョンアップされていくことはぜんぜんあるので。その流れにどういう乗り方をするのかというので、僕は今「地域」というプレイヤーでそれができているのはおもしろいなと思っているという感じですね。

資本主義はなくならない

竹田:わかりました。ありがとうございます。じゃあ最後の流れで、それぞれのサービスがどう作られていくのかというところを聞いていきたいんですけど。

あと追加で1個、小川さんと伊藤くんに聞きたいなと思うことがあって。魅力的な自分たちのサービスに投資をしてくれる人たちって、どんなスタンスで共感してもらって、家入さんであったりとか堀江さんであったりとかって集められたというか、仲間にできたのかな、みたいなところをすごく聞きたくて。

やっぱり資本主義ってなくならないと思うので、しっかりとしたお金の集め方を聞きたい。システムとして、それこそ個人で上場とかたぶんできると思うんですけど、そんなにたぶん甘くはならないとは感じているので、そのスタンス、お金を集めるときに大事にしたことみたいなのを教えてください。

追加でその2つを聞きながら、例えばVALUがどうなって、どうサービスを運営していくんだろうというところを、小川さんから順におうかがいできればと思うんですけれども。

小川:VALUってちょっといびつな始まり方をしていて。そもそも僕、堀江さん達とその前の仕事でフリーランスの時に1回絡んでいるんですよね。

その時に、彼がホリエモントークンみたいなのを発行していて、「あ、知ってますわ」とか言っていて、じゃあ「それなんか使いにくいですよね」みたいな、「もっとシンプルにしましょうよ」みたいな感じで始まったのが、実はVALUだったりするので、最初からある種仲間ではありながら。なので、単純な投資家というわけでもないんですよね。

この前、追加出資していただいた千葉さんは生粋の投資家なので、VALUというサービスをローンチしたあとに食いついてくれて、ものすごい使ってくれましたと。

そうすると、やっぱり少額なんだけど、金融のリテラシーが高められるみたいなところにものすごい興味を持っている。プラスアルファ、今まで自分は株式会社とか既存の金融商品にしか投資してこなかったけど、それ以外にも投資してちゃんとリターンが得られるというところに彼はものすごい興味を持ってくれて、投資してくれましたって感じですね。

なので、どっちかというと、今まではまだエンジェルラウンドでしかないんですけど、自分たちがやっている構想とかビジョンみたいなところを共有して仲間になっていってもらっているみたいな感じですね。

情報公開が流動性につながる

竹田:わかりました。じゃあその続きで。「VALUはこれからどうなっていくんだろう?」みたいなところって、けっこう僕自身も気になりますし、たぶん世間の人すごく気になっているところだと思うので、「どういうサービスになっていくのか?」みたいなところをおうかがいできればと思うんですけれども。

小川:VALUとして、今はSNSをどんどん強化していきたいというのは前から言っていて。やっぱり情報公開をすることが流動性につながるんですね。

これ、ちゃんとまじめに考えればおもしろくて。もともと情報って統制されていたじゃないですか。それがSNSによって分散化されたと。今なにが起こっているかというと、金融も、ものすごい統制されていたけど、それが分散化されてICOできるみたいな。だから、個人が勝手に資金調達ができたりとか、個人でトークンを発行できるという状態になっているんですよね。

だから、メディアで起こったことが完全に金融の世界で起こっているというふうに考えているんですよ。なので、その情報の発信をするところというのをものすごく強化していきたいと思っています。

それ以外にも個人的にいろいろとやってみたいプロジェクトがあと2〜3個あるので、年内ぐらいにアナウンスできたらいいのかなと思っていますね。

お金に換えられない価値は、実はない

竹田:わかりました。ありがとうございます。じゃあ続いて、山本さんもお願いします。

山本:タイムチケットとしては引き続き、個人の時間を売買できるプラットフォームとしてのところと、タイムコインの流通をしていくというプラットフォームというところです。

タイムチケットの基本部分については、「次の“はたらく”を作る」というミッションはあるんですけど、「タイムチケットの売上だけで生活してますよ」みたいな人もちらほら出てきているような状況で、ここはぜんぜん普通に伸ばせるなと。

ただ、それだとやっぱり普通のシェアリングエコノミーで終わっちゃうので、シェアリングエコノミー2.0というか、タイムコインを使ってコミュニティに貢献した人に対して、価値をタイムコインとして報酬として配布していくというところをやっていきたくて。

コミュニティに対して、ボランティアスタッフとかイベント手伝ってくれたりとか、ユーザーを通報してくれたりとかという部分に対して、運営とかでは「やっぱりこれってお金に変えられない価値だよね」みたいな、そういうことを言ってしまいがちなんですね。そのときのお金って日本円でしかないんですよね。

お金で払えない価値は、実はないと。それを自分たちで作って、そういうコミュニティに対して貢献してくれたユーザーさんにちゃんと報酬として支払っていこうと。そういうコミュニティを作って、最終的にはタイムコインだけで流通していくみたいな、そういうプラットフォームになっていけばいいなと感じていますね。

自分が思い描くトークンエコノミーを実現したい

竹田:わかりました。ありがとうございます。では続いて、安さん。ALISの動きで、直近1年とか短いところかわからないですけど、大きい部分とか、どういうスタンスでやっていかれるのかみたいなところをお聞きできればうれしいですね。

:繰り返しになってしまって恐縮なんですけれども、やっぱり自分が描くトークンエコノミーみたいなものを一番体現できるサービスにはしたいなと思っていて。

それを具体的にいうと、今ってクローズドβなんですけれども、ちゃんとオープンβにして誰でも登録ができるように、自分の横の友達も「ALISで実は記事見てるわ」みたいな状況にすることで、トークンエコノミーといっても小さいと意味ないので、ちゃんと本当に意味のあるトークンエコノミーというところにしていきたいなというところをやりつつ。

とはいうものの、現実にはいろいろクリアしないといけない問題があったりするので、そこは虎視眈々しっかりクリアしつつ、ユーザーのみなさんが安心して巻き込まれるトークンエコノミーというのを作っていきたいと思います。

ホワイトペーパーにも書いているんですけど、ゆくゆくは本当シェアリングエコノミーみたいなものがALISトークンでできる。これ、すごい相性いいと思っているので。ALISで発信し続けたことで企業からお声がかかるとか、そういうところまで持っていけたらいいなと思っていますね。

竹田:わかりました。ありがとうございます。では続いて、伊藤くん。

伊藤:お金の集め方でしたっけ?

竹田:いや、これからPoliPoliがどういうふうになっていくのか……。

伊藤:その1個前に家入さんにという話があったと思うんですが。

竹田:そうそう。そこですね。

絶対にビジョンをブレさせない

伊藤:僕、元ベンチャーキャピタルの「F Ventures」というところで働いていて、その時ずっと言われていたのは「事業とかって絶対変わるから、人しか見るな」みたいな。「事業はちょっとでいいよ」みたいな感じで、本当に人に投資してたんですね。

実際僕らも、ネットエイジの西川さんという人に最初に投資してもらったんですね。本当にお金がない時に事業とかPoliPoliのことを聞いてたんですけど、「ぶっちゃけどうなるかわからないけど、君はおもしろそうだから投資する」みたいなスタンスだったんですね。

でもそれって、ICOもけっこう同じなんじゃないかなって僕は思っていて。運営はその人たちが上とかではないんですけど、それを本当に動かしていく人がどういう人柄で、ちゃんと透明性を持ってやるかというのにすごい価値があるんじゃないかなと思っています。

現状、そのICOに参加する人たちが、人を見るみたいなところがまだまだできていないのがけっこう問題なのかなとかも思っていますかね。

PoliPoliは政治って言ってますけど、日本の政治ってけっこう括弧付きだと思っていて。政治って聞いたら外交とか軍事とか浮かぶじゃないですか。もちろんそれもあるんですけど、だけじゃなくて、身近ないじめとか道路が狭いとかのレベルでいいんですけど、それの問題をそこの人たちで議論する。

その議論を解決する手段として、政治家さんがいる。実際、昔からそういう職業なんですよね。その課題とか解決するため、行政に反映させるためのもので、それを政治家さんにアクセスする。

その手段としてトークンというのがあって、いろんなインセンティブが与えられるので、すごいおもしろいなとは思っています。そんな社会課題解決プラットフォームとして機能してきたらいいなと思っていますね。

僕は19歳なのでいろいろ注目を集めるところもあるんですけど、炎上しないようにだけはすごい気をつけてます。

竹田:確かに(笑)。

伊藤:株主には、「2年間ぐらい別にマネタイズとか考えなくていいから、突っ走れ」みたいな感じなんですけど。

竹田:それはすごくいいですね。

伊藤:そうですね、なんか「炎上するな」みたいな。いずれしそうですけど。

小川:政治家を巻き込んで大炎上してほしいですけどね。

伊藤:なんか一応炎上仲間みたいな人がいて。だからもう「君は次の候補だから」みたいな。炎上するとけっこう精神病むんですよ。

小川:この前の野田さんみたいにならないようにね。

竹田:そうですよね。やばい。あれもやばいですよね(笑)。

:あまり突っ込むと危ない話題なので、そっとしておきましょう。

竹田:そうですね。やめておきましょう。

伊藤:あと、政治的発言はあんまりできないんですよね。僕はノンポリって言われるもの、けっこう「政治ってなにしてんねん?」ぐらいのスタンスで入ってて、フラットな自信はあるんですけど。

特定の主義・主張をすると、色がついて、「それプラットフォームとして大丈夫なの?」みたいなのもあって。あと、どこの派閥と付き合うとか、どこの政党と付き合うとか、どこに写真あげられたかって、もうめちゃめちゃ見られているんですよ。

僕が若くてテクノロジーが実際好きなんですけど、「こういう課題解決したい」という本当に真心というか、ちゃんとしたビジョンを持っていて。それがブレたら、このサービスは本当にめちゃめちゃ危うい。でも、そういう価値はあると思っているので、がんばりたいなというところですかね。

地域のトークン化はストックオプションに近い

竹田:わかりました。ありがとうございます。じゃあ最後に山田さん。西粟倉村をどうしていきたいのか?

山田:「僕が言うことなのか?」みたいな話ですよね、それ(笑)。ただ、ちょっと大きい軸というか、考えていることがあるんですけど。

地域って、もともとは生まれたところにすごく縛られるというのが、すごいずっと世界中であったことだと思っています。それが、憲法的にいうと、移動の自由みたいなものが生まれて、人は地域というのものを選べるようになってきました。じゃあ次どうなるのというと、僕はたぶんつくる時代になるんだろうなというのはすごく考えていて。

地域というとすごくふわっとしちゃうんですけど、結局そこにいる人なんですね。コミュニティとリアルの場のかけ算というのが、僕は地域だと思っていて。もっとそのコミュニティに対して貢献した人がいいものを得られるような状態は作っていけると思っています。それには例えばトークンというのが相性がいいと僕は思っています。

これは誤解も生じるし、あんまりこう広まってほしくないんですけど、例えば地域というものがトークン化とか株式化みたいなかたちになって、そこに対して自分が貢献をすると自分の持っているコインも上がるというのは、ストックオプションに近いですよね。そんなかたちを創造するような世界は来るだろうなと思っていて。

今は「ICO」ってワードでヒットをしているんですけど、そういう世界を目指していくってところの過程にICOがあると整理をして、「ここって俺が育てた村だぜ」ってみんなが言うようになる世界が僕は好きだし、いいなと思う。ぜひそういう世界を目指していきたいなと思っています。

なぜ大企業でトークンエコノミーを実現できないのか

竹田:わかりました。ありがとうございます。続いて、もうあと3分とか4分ぐらいで質疑応答の時間で。たぶん全員が質問できるわけじゃないので、そのあとの懇親会で随時みなさんとお話してもらえればいいと思うんですけど、1〜2問、質疑応答の時間をとりたいと思うんですけれども。質問したい方、挙手をお願いします。

質問者1:時間ないので、ALISの安さんにピンポイントでお尋ねなんですけれども。大きな会社さんとかって、自分のところのプロダクトやいろんな商品とかにファンを作って、白けられないようにしようとけっこう必死でやられていると思うんです。ステマの問題とかありますよね。

いずれのみなさんもやっぱり自分たちの経済圏をつくる、自分たちのファンをつくるというのをすごい得意とされていると思うんですけど、そのようななかで、そういった企業から実際に声かけがあったりとか、「いやいや、あそこの企業こんなんやっているけど、もっとうちのやり方をやったらうまいこと大企業さんでもファンづくり成功するのにな」みたいな感じられるところ、どちらでもいいので、あれば教えていただければと思います。

:大企業のコミュニティづくりの妙みたいな話ですかね?

質問者1:だけじゃないですけど、例えばそう声かけされたりとか、「いや、うちのサービス使ったら実はもっとうまくコミュニティづくりできるよ」みたいな、そんなベンチャーさんと大企業の連携みたいなところとかですね。

:はいはい。連携みたいな話ですか。ちょっとお答え逸れるかもしれないですけど。

まず大前提は、僕、大企業でこういうトークンエコノミーに入るのはすごく難しいと思っているんですよ。それがリクルートを辞めた理由でもあるので。だって、どうしても金の匂いするじゃないですか。大企業の。投機筋しか入ってこないというのがあって。

いろんな大企業の方と連携の話とかもするんですけれども、話しててもいつも「うーん……」って感じになって終わるんですよね。

逆に、大企業の方に「トークン使ってなにがやりたいんですか?」って話すと、「トークンを使いたい」が目的、「コミュニティをつくりたい」が目的になっちゃってるみたいなことが多くて。「いや、もともとなにしたくてコミュニティ作りたいんですか?」みたいな感じになって「うーん……」で終わっちゃうので。大企業でやるのは構造的に難しいんだろうなと、まず前提を置いてお話しするんですけれども。

これ本当難しくて。ちょっとあとで直接議論したいんですけど。そもそもまず、構造的な問題を解決しないといけないというのをやらないとダメです。

例えば、大企業で新規事業をやっている場合は、子会社に切り出してリスクを離すとかいう前提をまず置かないと、どうしても「LTVどれぐらい出るのか?」とかそういう議論でやっちゃうと、コミュニティって駒になるんですよ。

なので、どんだけ担当者ががんばってTwitterで1個1個リプライとか返していても、上からしたら「なにやってるの、お前?」みたいな。「広告単価安いところ探して、ガンガン出稿しろや」ってなっちゃうんですよね。

だから、意志を持った優秀なそこそこの権力を持っている人が子会社のトップに就いて、ある程度予算引っ張って、そこでやるみたいなことがまずあれば、あとは別に僕たちがやっているようなコミュニティを育てることってぜんぜんできると思っていて。

別にALISのプラットフォームを使って、企業がすごい個人かのように投稿して、お互い利益を得るみたいなことをもあるし、いろいろやりようはぜんぜんあると思っていて。

ただ、そもそも大企業でやるというところの、その前提の仕切りみたいのがすごく大事だなと。ちょっとお答えになっていないんですけど、思います。

VALUが考えるコミュニティマネジメント

竹田:次の質問、誰か? どうしましょう? 最後おふたりいきます? じゃあおふたり。最初にじゃあVALUで結婚された方。暁さんでしたっけ(笑)。

質問者2:VALUの小川さんに聞きたいんですけど、Twitterからみんな聞けって言ってくるので。「利用者拡大はどう考えているのか?」。「アプリはどうなっているんだ?」というのをみんなが言っています。

もう1つ言うと、僕はALISも参加させてもらっているんですけど、コミュニティマネジメントたいへんすばらしいなと思っています。こういった仕組みがVALUにもあればいいのになと常々思っているんですけれども、そのへんどうでしょうか?

竹田:すげえ(笑)。

小川:まず、アプリは出ます。来月の頭ぐらいに出ますのでお待ちください。

竹田:8月の前半ということですか? 来月の。

小川:はい。出ます。

竹田:おお、早い!

小川:あと、コミュニティマネジメントをどう考えているのかなんですけど、僕たちけっこう放棄してるじゃないですか。理由があって、やれないんですよね。

安さんの場合だと、ICOしてるじゃないですか。自分たちのトークンの価値があるじゃないですか。だから、やらざるをえないわけです。なので、純粋にやれない。僕もいきまくると疲れちゃうからそんなにいけないし。なので、あんまりやっていないというのはありますね。

だから、もう少し社員が増えてきて、例えばじゃあタイムチケットみたいに30〜40人ぐらいになったら、もっともっとやっていきたいなと思っています。

ユーザー拡大に関しては、やっとアプリが出てくるので、Facebook広告とか、そういう今の基本的なIT業界がやっている人たちがやっていることを始めようかなと思っていました。

それをなんでここまで遅らせてたかというのは、さっきも話したとおり、投機的になりすぎて。1回落としすぎて、どうなるのか見てみたいと。1回沈静化させてから、もう1回あげようというのが僕が考えた戦略なので。

今まで実はPRしかやっていなかったんですよね。だから、僕たぶん記事はけっこう書いてもらっていて。それは、そこでしか導線がなかったから、導線ってそこしかなかったので、そこからのユーザーの流入だけを狙って記事にいっぱい書いてもらってましたと。

これからは、普通にアプリとかで出てきて、ちょっと落ち着いてきてやっと理解力もみんな上がってきたので、既存のITがやっている広告とか、そういうのを始めていきたいなというふうに思っています。それが2年目ですね。サービスのローンチ。だけど、それはけっこう前から考えていました。そういうふうに。

竹田:わかりました。大丈夫ですかね。ありがとうございます。じゃあ続いて、最後の後ろの方。

コミュニティは結局、人と人とのつながり

質問者3:まったく異なった観点で山田さんに質問なんですけれども。地域のほうがもっとおもしろいことができるというのは僕も感じていることで。

実際にその地域にトークンエコノミーを用いて地域活性をしていこうとしたときに、もともと地域には既存のコミュニティがあって、そこに対してまったく新しい観点のものを持ち込んで、その地域活性をしていこうってなかで、やっぱりその地域との付き合いってけっこう大事になってくるのかなと思ってて。

そこに例えば、さっき山田さんがおっしゃっていたように、イチゴの好きな人がイチゴのお店を出すときに、そこに対して、たぶんいろんな抵抗であったり「この人は誰なんだ?」みたいなところがあると思うんですけど、そういうようなサポートみたいな、コミュニティを活性化させるためのサポートというのはどういうふうに行われていたのかなと思って。

山田:今、現実で起こっていることでいうと、そもそも完全に新しいものが入るって基本なくて。なんでかというと、そもそもその場所を使うわけじゃないですか。だから、そもそもその場所を使う人との関連はもう絶対生まれるんですよね。その人とその人の、もう人との関係になってくると思うんですよ。

その人が「私が地域を助けてあげたい」って来たらイラッとするんですけど、「私どうしてもイチゴの店がやりたくて。でも、ここでできると一番うれしいんですよね」と言ったら、人は応援するんですよね。それによって「自分のやりたいことをわざわざ自分たちの村でやってくれるんだ。だったら応援しよ」って人たちがやっぱり出てきていて。

そういうコミュニティが生まれてきているというのが今の西粟倉村だし、コミュニティの作り方というとちょっと驕った言い方になるんですけど、なにか人と人とのいいかたちの1つかなと思って。そうなっていますね。

質問者3:ありがとうございます。

竹田:これでトークセッションを終わります。続いて懇親会ですかね。ありがとうございました。

(会場拍手)