政治をエンターテインメントする「PoliPoli」

司会者:ありがとうございます。では続きまして、株式会社PoliPoli代表の伊藤さんに前に出てきていただきたいと思います。伊藤さんよろしくお願いします。

伊藤和真氏(以下、伊藤):どうもはじめまして。PoliPoliの伊藤です。よろしくお願いします。僕は今定期試験中でがんばってきたというところで、大先輩がいるなかけっこう恐縮なのですが、話させていただきます。

政治をエンターテインメントするPoliPoliです。よろしくお願いします。僕らはまず3つの課題を解決したくて。

まず1つ目が「政治的な発言をしやすいプラットフォームがない」。これTwitterとか2ちゃんねるとかを想像してもらえばすぐわかるんですけど、政治家さんとかがなにかを言うと、「なんだお前?」みたいな人たちってめちゃいっぱいいて、右なことを言ったら左がすごく叩くみたいな。まともなコミュニティが今ぜんぜんないというのが、いま一番解決したい課題です。

2つ目が、まぁでも、言っても政治家さんの情報発信ってめちゃめちゃ大変。このめちゃめちゃ荒れるコミュニティに投稿するというのがまずリスク。かつ、政治家さんってみなさん……政治家さんの方ってちなみにいますか? いないですよね。

僕とかも手伝ったりしてるんですけど、政治家さんってかなりいろいろ大変で、普通の業務に加えて、いろんなSNSの発信とかもあって。

国会議員さんとかのレベルだったらいいんですけど、地方とかだとそこまで工数が回っていなくて、「ラーメン食べました」とか「この駅前に立ちました」みたいな情報発信がけっこう多くなっちゃうみたいな。「それなにしてるのかわからないよね」みたいな課題があります。

3つ目が「政治家の情報が足りない」。スマホ世代中心なんですけど、とくに投票前とか、過半数ぐらいの人が政治家ってなにしてるかわからないというのがあって。

マスメディアとかは、やっぱりスキャンダルとか大物政治家さん、進次郎さんとか石破さんとか総理とか、ああいうところにやっぱり集中しちゃって、本当に自分の課題とかに直結するような地域の政治家さんがなにしてるかわからない。「さぼってるの?」みたいな。そういうのがけっこうあります。

荒れないのが特徴のトークンコミュニティ

この3つの課題を解決するのが僕らPoliPoliで。ビジョンとしては「トークンエコノミーで政治コミュニティをつくる」ということです。参考というか似ているなと思うのはSteemitさんとかALISさんとかのホワイトペーパーですね。がんばって読み込んで「わからんねぇ」とか思いながら。

似てる点と言えば、コミュニティに参加すればするほどトークンがもらえるみたいなかたちです。僕らの場合だと、政治コミュニティ、僕らのコミュニティに参加すればするほどトークンがもらえて、そのトークンがもらえることで政治参加とかがよくなるというかたちです。

これはいつも話すんですけど、アメリカのメイナー市にイノバック制度というのがありまして、行政がある程度金額負担して政治参加し、行政とか政治家に提案すればするほど、地域内通貨みたいなものがもらえるんですね。この地域内通貨をいろんなところで使えたりとか、あとは行政にそれをあげたりすると名誉市長になれるみたいな、そういうインセンティブがあるんです。

これの根本的な問題って、市がお金を負担しているんですね。なので、継続性が生まれない。これは実験的にやってたんですけど。それをビジネスとして継続的にできるようなモデルがトークンエコノミーであって、僕らPoliPoliじゃないかというふうに思っています。

トークンエコノミーっていろいろ魅力があるんですけど、1つは荒れないというところ。トークンってインセンティブがあって、コミュニティが荒れたりしたらトークンの価値って下がるんですね。それでトークンの価値を保つようなインセンティブがユーザーさんたちに働くので、政治の中でも、いろいろ細かい設計はあるんですけど、荒れないコミュニティが築けるよというのが2つ目です。

PoliPoliの通貨「Polin」の集め方

ちょっとビジネスモデルを簡単に説明すると、政治家さんがなにか政策とか主張とかを発言したりすると、市民は「この政治家さんいいな」とか「この質問とか答えてくれたな」みたいのがあったら、PoliPoliの「Polin」という通貨を投げ銭します。

このPolinをユーザーさんはどうやって取ってくるかには2つあって、1個目に信頼スコアというのがあって、PoliPoliコミュニティに活動すればするほど、この信頼スコアが上がるんですね。

具体的には、「いいね!」された量と、トークン保有量と、あと政治家さんに投げ銭した数で決まります。この信頼スコアは活発になればなるほど信頼スコアが上がって、これに基づいてトークンが配られます。これが1個目ですね。

2つ目がデータですね。政治的データ。けっこうアンケートとか「この政策どっちが好き?」みたいな、そういうのをどんどん答えるほどPolinがもらえます。これが2つ目ですね。

ぶっちゃけ、ユーザーさんとか政治家さんとかはここまでしか理解しなくていいんですけど、(今日のお客さんは)トークンエコノミーに興味ある方なので、ビジネスモデル自体を概要なんですけど説明します。

最初って本当にただのポイントなんですね。もう本当に。たぶん法定通貨ともペッグせずに、サーバ上の数値みたいな感じでポイントとして使います。

ポイントは、一番最初の使い方としては、政治家さんが選挙前とかってこの政治情報みたいな「この地域のこの年齢層ってなに考えるの?」みたいな、そういう人たちに届けたいメッセージってめちゃめちゃあって、このデータってめちゃめちゃ貴重なんですね。かなり高い金額でやりとりされているという現実があります。

これって、既存は電話とかで取ってくるんですけど、僕らの場合だとかなり正確なデータを取れる。というのも、個人献金に行く行くはなるので、ユーザーさんのデータやパスポート認証とかは正確にして、かなり正確なデータを取ります。もちろん個人の情報はろ過するんですけど、このデータがPoliPoliの中に貯まっていく。このデータを使って民意をデータドリブンの思考でちゃんと政策とか反映できる。

政治家さんは、もらったPolinを使ってこのデータとかアンケートとかを見ることができます。

トークン需要を高める3つの施策

数年後とかの世界なんですけど、「Polinがもっと貯まっていったら、世論調査とかリプレイスできるんじゃないかな?」みたいなのは想像してますけど、まぁ、これは夢物語ぐらいですね。

これってただのポイントで、トークンエコノミーかまだわからないぐらいなんですけれども、このトークンの需要を高めることがすごい大事だと思っていて。全部そうなんですけど、トークンの需要を高める施策として、僕らは大きく3つ考えています。

まず1つ目が、ユーザーさんがこのコミュニティに価値を感じる場合。つまり、信頼スコアを上げたいとか、もっとこのコミュニティで議論をしたりとか、政治家さんにもっと自分の意見とかを言いたいという場合が1つ。

2つ目が、政治家さんをもっと応援したい、「進次郎さんすごいから応援したい」みたいな気持ちって、既存では数百億円とか数千億円ぐらいあって、これってかなり既存の市場のあるので、ある程度働くんじゃないかというのが2つ目。

3つ目がデータですね。「このデータが欲しいので、このPolinが欲しい」。

という感じで、この3つトークンの需要の仕方があるんですけど、みなさんそうだと思うんですけど、仮想通貨交換業を取れないんですね。ベンチャーなので取れないんです。Polinを買いたいユーザーさんがいるんですけど、実際にこのPolinを取ってくる方法は、もう政治家さんと市民ががんばってPoliPoli内で活動するしかないんですね。

もっとお金で買いたい人っていると思うんですけど、僕らは売れないという状況が続いていて。たぶん2年ぐらい後なんですけど、国内で今話を進めているんですけど交換所とかの交換業を持っているところと資本提携とかそういうのを結んで、交換所にこのPolinを上げてもらいた。

そこではじめて換金性が生まれるということを想定していますけど、明言はしないです。これが仮想通貨になるとは明言はしないです。なるかもしれないという打ち出し方しかちょっと今は厳しいんです。なるかもしれない。

政治コミュニティ内で使える通貨にしたい

ここからは仮定にもとづいてしゃべると、Polinを換金性を持った場合、本当にはじめて政治家さんとユーザーさんが、なにか政治的ないいことを言ったらトークンがもらえたりする。換金性が持たれたら、いろんな決済点が生まれたりする。

これは別にコンビニとかカフェとかはまったく想定していない。これはただのトークンの需要ではまったくないので。想定しているのは、選挙前とかってチラシとか選挙コンサルとかのお金ってめちゃくちゃ動くんですね。そういう政治コミュニティの中で使われる通貨になりたいなと思っています。質問があったらぜひあとからでも受けるので。

マネタイズはぶっちゃけあんまり考えていないんですけど、通貨発行益と呼ばれるものですね。トークンの発行量のだいたい30パーセント分を僕らはもらおうかなと思っているんですけど、2年ぐらいとかはぜんぜん考えていないですね。

最初ってただのポイントなんですけど、なんでユーザーさんが参加するかというと、政治サービスって運営者は政治家と政党からしかお金を取れなかったんです、既存では。それがすごい課題だったんです。

トークンエコノミーのマネタイズって、コミュニティが盛り上がればマネタイズできるみたいなことがあって、僕らの運営もこのトークンが収益になる。最初に参加しているユーザーさんたちも、「いずれ運営の人たちも、こういうマネタイズだから、ある程度最初に参加したい」っていう先行優先が働くので、そういう論理もある程度働くかなと思っていますけど、これは本当に仮説ですね。

トークンエコノミーとか仮想通貨界隈って本当にわからないことだらけなので、とりあえずやりながら、本当に大事なのはコミュニティをつくることだと思っているので、今はコミュニティをつくることをすごいしっかりやっています。

β版をリリースしているので、ちょっとエラー多いんですけど、見てください。

11月の福岡市長選が桶狭間

法律的な問題はけっこうよく質問されるんですけど、ぶっちゃけ仮想通貨自体の法律ってまったく問題なくて。総務省に1回話に行ったんですね。「これって大丈夫なんですか?」みたいな。そしたら想定の3倍ぐらい甘くて。現状は今、仮想通貨の献金の法律ってないんですよ。だから、何千万でも何億でも献金できるというのが現状なんですね。

これけっこうやばいんですけど、まぁ現状はそうなので。個人献金で年間150万までなので、僕らは自主規制しようかなと思っています。価値がついたらですけど。

それより一番大事なのは本人確認のほうで、パスポート認証とかしっかり取ろうと思っています。これも仮定なんですけど7月に1回リリースして、けっこうなユーザーさんがついて、いろいろ使ってくれています。

11月がけっこうな桶狭間だと思っていて、福岡市長選があるのでここで、昨日も福岡行ってきていろんな行政の方とかとしゃべっていたんですが、本当にトークンとか絡ませずにポイントみたいなかたちでコミュニティを作って、政治とか選挙を盛り上げたいなと思っています。

12月に完成版をリリースってあるんですけど、ポイントかペッグされたトークンとかじゃないと厳しいなとは思っています。参議院選と地方統一戦があるので、ここもある程度盛り上げるだろうなと思っています。

メンバーはこんな感じですけれど、けっこうまだほかにもいるという感じですね。みんな若いのでここからがんばるという感じです。

以上です。ありがとうございます。

幻冬舎の新メディア「あたらしい経済」

司会者:伊藤さん、ありがとうございました。では続きまして、本日のトークセッションのファシリテータを務めていただきます、株式会社幻冬舎で「あたらしい経済」というメディアをされていらっしゃいます竹田さんにご登壇いただきたいと思います。お願いいたします。

竹田匡宏氏(以下、竹田):はじめまして。幻冬舎の竹田と申します。

このメディア自体は、ローンチしたのが6月23日で、本当に1ヶ月ぐらい前です。僕がここの幻冬舎に関わりだしたのが2月で、それまで準備を進めてきて、やっと6月23日にローンチできたというかたちで、今メディアを運営しています。

僕自身も地元がこちらで兵庫県の西宮市で、大阪でイベントでしゃべれるのはすごくうれしいなと思いながら、今回楽しみに来ました。

まずは自分がそもそも誰なんだというところから、メンバーの紹介を。なんでこのメディアを立ち上げたんだろうというところと、現状どういうコンテンツを出しているのかというところ。あとは取材歴とこれからの部分ですね。

あと最後に、僕自身も取材記事をつくっていて、この中にメディアの方がいるかどうかはわからないんですけれども、こうして取材のコンテンツを作っているよというところを、せっかくなので共有させてもらえたらなと思っています。

この業界は、2年ぐらい前からすごい好きで。自分自身よく言うんですけど、インターネットの波にあんまり乗れなかったので、この次の波は乗りたいし作りたいなというところでした。どこが得意かとなると、メディアの運用とか運営の部分ですごく自分が好きなので、そこの部分で関わってしっかりとしたコンテンツを作っていこうと思ってやっています。

ブロックチェーン界隈には良質な情報が少ない

ブログのほうも基本的に並行しながらやっていて、3年半ぐらい。中学生時代からDecologというサービスでやってたんですけれども、それも含めると10年ぐらいやっています。

めちゃくちゃマネタイズしているかと言われるとそうではないんですけど、基本的に毎日絶対に死ぬまで書いたらすごい人になっているんじゃないかというところで、3年半ぐらい毎日毎日、昼休みとか、仕事疲れたらちょっと仕事の時間使って書いたりとかしています。

「あたらしい経済」のメンバーなんですけれども、編集長が設楽という者で、サウナサロンとか畳み人サロンとかをやっています。

「個人の時代」って今言われているところだと思うんですけれども、たぶん僕と設楽もそうで、個人の時代だから乗っかっているというよりも、普通にこういうのをやりたいとか思ったら、そもそも発信とかいろいろやっていて。

時代がこうだからこうするというよりも、もっと自分らしく生きるというところを素直に忠実にやっていると、あと、それこそ僕も使っているんですけど、VALUとかいうサービスとかがどんどんでてきて、より個人が生きやすい時代になってきているだけなのかなみたいなところを感じながらやっています。

「なぜメディアを立ち上げたのか?」なんですけれど、やっぱりこの暗号通貨とブロックチェーンの業界に良質な情報が少ないなというのはすごく感じています。

確かにビットコインの上がりとかイーサリアムがどうなったみたいなところとか、去年だと「おすすめの暗号通貨の取引所はどこだろう?」みたいなところでたくさんブログがあったとは思うんですけれども、それってただの値上がり値下がりで、事実にはなんの関係もなくって。

あと、とくにアフィリエイトの部分とかも、おすすめと言いながらアフィリエイト単価が高いやつが一番上に来てたりすると思うので。なんかそういうのってメディアの情報として違うよなというところがあって、今登壇されている方々もそうだと思うんですけれど、事業としてしっかりとこの業界に携わって取り組んでいる人たちの味方になって応援できるようなメディアにしていきたいと思っています。

自分のブログだと本当に限界があるなと感じたので、やっぱりこういう企業という部分、とくに出版社というところの信用の部分を借りながら、しっかりと情報発信を今はしているという段階です。

ラジオは最先端の情報を伝えるのに適したメディア

基本的に取材と連載とラジオみたいなところでやっているんですけど、現状特集の部分で、大半の記事は僕が取材をしていて、メタップスの佐藤さんのEXAについてであったりとか、河崎純真さんの「なぜブロックチェーンチェーンが必要なのか?」、あと僕がぜひやりたかったのが村井純先生という「インターネットの父」、SFCの学長さんの取材ですね。取材が本当に大好きです。

本当にまだ2人とか3人なんですが、そういう人たちにインタビュー取材をしていてちょっと手が回らないというか、まだまだコンテンツを循環して回すのがすごく難しい段階ではあるんですけれども、こういうかたちで回っています。

ラジオは自分たちのオリジナリティとして出していて、デイリーニュースとかで記事にしていこうかどうかなみたいなところも考えていたんですけど、結局ラジオというかたちに落ち着きました。

理由としては、やっぱり値下がり値上がりも興味ある人もいて、メディアとして伝えないといけないのかなとか。日々のコンテンツとかもたくさんあると思うんですけど、それはほかのメディアさんがやられている部分であると思うので、そこはもう僕たちは完全に捨てて、自分たちはラジオをやっています。

ラジオでは、毎日それこそ海外のメディアを基本的に読んだりとか、お話が来た部分、「こういうのやります」という部分を一次情報として拾って、ラジオというかたちで今更新しています。

ラジオをやると自分たちが一番いいなと思うのは、情報収集にすごく敏感になって、例えば、僕たちがラジオで言ったニュースを、後々なにか違う媒体で2日後ぐらいに取り上げてバズってたりみたいなところもあったりしてて、ラジオってすごく最先端の情報をすぐ伝える媒体として優れているなというところを感じています。

他にも、それこそPoliPoliの伊藤君も取材させてもらって出させてもらったのと、まだ一部ですけどLayerX、Gunosyの福島さんとNayutaという会社の栗本さんの対談の部分も今作っているのと、AnyPayのICOコンサルで事業部長の山田さんだったりとか、Quantstampという会社の日本の方にインタビューしたり、諸々です。まだ外には出せていないんですけれども。

取材は「その人と仲良くなりたい」と思いながらするもの

この分野には、言葉を選ばず言うと詐欺師とかそういう人たちもすごく多いので、僕たち自身もメディアとして、詐欺のところをあげたりすると「あのメディアはそういうメディアなんだ」というブランドが確実についちゃうと思うので、本物の部分をしっかりと見極めて伝えていかないといけないなというところで、慎重にやりながらも、かつ、ゴリッといくところはいくというところでメディアを運営しています。

「あたらしい経済」のこれからなんですけれども、今言ったように「『あたらしい経済』だから読みたい」であったりとか「『あたらしい経済』だから取材してほしい」であったりとか、そこまでPVとかにもこだわらなければいけないところはあるんですけど、それ以上に「〇〇だから」みたいなところがすごく大事なのかなというのを思っていて。

そこの部分でちゃんとこういうブランドがあるメディアなんだというところは位置づけてやっていかないといけないなと思うのと、僕ら自身もトークン発行はしていくので、8月の中旬か下旬くらいに自分たちのトークンをTestnetで出すんですけれども。

社会実装というか、社会への仮説みたいなところがあって、メディアに取材させてもらった人や関わってくれた人にトークン発行でトークンを持ってもらう経験をAirdropというかたちでしていこうかなというのがあって。そうやって持ってもらう経験ってなんかおもしろいかなというところもあるので。

現状はたぶん広告コンテンツであったりとかさまざまです。やっぱりコンバージョンのところがすごく強いからこそ、GoogleとかFacebookがゴソッと広告って持っていってると思っていて。

そこはまだ僕たち個人であったりとかコンテンツ作る側がどんどんフラットにしていかないといけない部分なのかなというのはすごく思うので、トークンとかコンテンツというかたちで進めていけたらなと思っています。

僕自身、やっぱり取材をするときに心がけているのは、「その人と仲良くなりたいなと思ってちゃんと取材する」というところを本当一番大事にしていて。

編集者として取材が一番楽しいなと思うところが、本当に普通に仕事をしながら、取材というものを言い訳にしてその人と出会えたりするというのがすごくいいなと思っていて。

僕は起業家でもないですし、そんなに優れたことをしているわけではないんですけれども、取材させてもらうというところで、そこの中での仕事観というのがたぶんお互い見えると思うので、「こいつなら取材受けよう」とか、そういうのがどんどんこれから出てくるのかなって思っています。

あと、やっぱり最近ちょっと話題になってた部分だと思うんですけど、取材記事を確認せずにメディアとしてあげてしまうみたいなところがちょっと炎上はしてたと思うんです。

僕らはやっぱり、タイトルを変えて数字を狙うというよりも、そのあとの関係性がすごく大事だなと思うので。お互い嫌な気持ちになって「あのメディアこういうふうにやるんや」と言われるのはすごく嫌なので、お互い気持ちよくコツコツ作っていくのがすごくいいのかなと思って、ここは意識しています。

最後の部分なんですけれども、毎日、平日は月曜日から金曜日まで、その日の最先端の情報を僕たち編集部がキュレーションして、ラジオとして夜の18時頃にあげているので、よろしければ聴いていただけるとうれしいです。

本日はよろしくお願いいたします。

(会場拍手)

7人に1人。これは貧困層の子どもの数

司会者:ありがとうございました。このあとは、事前に募集をしておりましたLT(Lightning Talk)枠で2つご応募がございましたので、ご登壇をいただきたいと思います。1人目はKids Code Clubの石川様にご登壇いただきたいと思います。石川さん、お願いいたします。

石川麻衣子氏(以下、石川):はじめまして。Kids Code Clubの石川と申します。本日はLT枠をいただきまして、ありがとうございます。今日は福岡市のほうから参りました。お話しさせていただきます。

まず、こちらの数字を見てください。7人に1人ですね。ピンとくる方いらっしゃるかもしれないんですけれども、これは、日本で一般的な家庭の半分以下の生活費で暮らしている、いわゆる貧困と呼ばれる子どもの数ですね。1人親家庭だと、これが2人に1人になります。50パーセントです。

こういった家庭に生まれると、習い事とか塾とかに行けなかったり、大学に通えなかったりと、学ぶ機会がどんどん少なくなっていってしまうというのが想像できると思います。

もちろんこの問題って日本だけではなくて、世界に目を向けると、なんと1億5,000万人という子どもが働いていて、満足に学校にも通えていないような状態なんですね。

一方、学べる環境はあるのに意欲がないという子どもたちがいます。実は私もそうだったんですけれども。授業料が払えなくて大学を中退したんですけど、そもそも4年間そんな高い授業料を払って学び続ける理由がわからなかったんですね。

でも、今は違います。私は今、自分自身でつくりたい世界があって、そのためにいろんなことを学んで、新しいことを学ぶたびにすごくワクワクするんですね。トークンエコノミーとかとくにそうなんですけれども。

今ここにいらっしゃってるみなさんもきっとそうだと思うんです。自分たちが信じている世界に向かって、日々勉強して、改善して、実践して。そうやって目標に近づいていくことで希望を感じたことがあるんじゃないでしょうか。

こんなふうに、自ら意志や目的を持って学ぶという人間の行動には、生きる希望や未来につながる大きな価値があると私たちは信じています。そうやって学んだことによって生まれた価値をほかの価値に交換できる仕組みを作ることで、誰もが好きなことに出会い、それを思う存分学べる世界を実現するのが、私たちのミッションです。

学ぶことでインセンティブがもらえる世界

こういったビジョンの下、いま私たちは、プログラミングを学ぶ人とそれをサポートする人がインセンティブを受け取れる、「Tsukuru」という学び合いのコミュニティを開発しています。

細かい仕組みは、実は今日からWebのほうで公開させていただきました。Speaker Deckを公開していますので、ぜひご覧いただきたいんですけれども。

簡単に説明すると、Tsukuruのコミュニティの中にはビギナーとメンターがいて、ビギナーはプログラミングを学び、その内容をTsukuruに報告すると、トークンが発行されます。

発行されたトークンは、メンターからわからないことを教えてもらうなど、サポートを受けるために使ったり、次の学習に使えます。将来、ほかの通貨に替えられるようになれば、学んだことがダイレクトに生活の助けになるかもしれません。

ビギナーとメンターというのは、自分の得意分野とかそういう学んでいる分野に応じて入れ替わることが可能で、行ったり来たりしながら、新しい学びに常に挑戦することができる環境を提供します。

Tsukuruのコミュニティは、プログラミングとデザインでなにかをゼロから作れる人が育つことを目標として設計されています。このようなクリエイティブな人材というのは今世界中で求められているので、例えば企業が採用したり仕事を依頼したり、そういった過程でトークンを購入してもらうようなケースが出てくるのかなと想定しています。

また、Tsukuruには、個人の学習履歴とか、あと実績がポートフォリオみたいにどんどん蓄積されていくので、例えば採用の判断基準にしたりとか、あとはそれを分析してその人に合ったカリキュラムをレコメンドしたりとか、そういうデータ自体の使い方によってはお金を出してでも買いたいというニーズが出てくるのかなと想定しています。

このような仕組みを使って、「学ぶのにお金がかかる」という世界から、逆に「学ぶことでインセンティブをもらえる」という世界に変えていきます。学んだ結果ではなくて、学ぶというその行為そのものに価値を認めるトークンエコノミーを作って、学び方の選択肢を増やし、好きなことを好きなだけ学べる世界を実現していくのが、私たちの使命です。

実は今日からこちらのURLでコミュニティの参加受付を開始しています。Slackになるんですけれども、どんな関わり方でも構いませんので、このビジョンに共感を持っていただけた方、ぜひ参加していただければと思います。ありがとうございました。

(会場拍手)

価値ある行動がお金にならない違和感

司会者:石川さん、ありがとうございました。続きまして、LT枠お2人目の方をご紹介いたします。「HERO」の番匠谷さんにご登壇いただきます。番匠谷さん、お願いいたします。

番匠谷拓実氏(以下、番匠谷):「やさしい社会をつくるヒーローが、お金に困らないように。」。番匠谷拓実といいます。はじめまして、よろしくお願いします。

京都から来て……あっ、ちゃうわ。ミスった。神戸から来ました(笑)。ごめんなさい。京都出身なので。神戸から来ました。大学生で、今、休学をしています。

僕はふだん大学では、社会をよくするリーダーを輩出するために海外インターンシップを運営したりとか。あとは、廃棄食材というのがもったいないから、それを使った食堂を運営したりとか。あとは、ホームレスの方に夜回りでご飯を配るような活動とかをしています。

これから社会をもっとよくするためには若いリーダーが必要だとか、それが今いなくてやばいなと思っていたりします。僕は一人暮らししているんですけど、食費削ってバイトしてるのに、目の前でめっちゃご飯捨てられたら腹立つじゃないですか。それで廃棄食材もったいないなと思って、それを変えていきたいなと思っています。

そんなふうに思いを持って活動をしているんですけど、1銭にもならないんですね。一人暮らしをしてるんですけど、バイトをしながら活動して、活動がお金にならないなと思いながらやっています。

貯金とかあんまりしないタイプなんですけど、それが原因で今年の初めにお金がまったくなくなってしまいました。この前、成人したんで成人祝いもらえるかなと思ったら、思ったよりも少なくて、完全にお金がなくなってしまいました。

そこまではお金ないなというのを笑ってやってたんですけど、ほんまに金銭的に余裕がなくなったら、精神的にも身体的にもどんどん余裕がなくなっていきます。その時すごい苦しくて。友達にお金借りるのはよくはないと母に言われていたし、家族を頼るにしても、家族も余裕ないのは知っているのであんまりやりたくなくて。

でも、そんな中で思ってたのが、僕たちの活動とかほかのNPOの活動って価値は絶対あるのに、でも、それはお金には変わらないということにすごい違和感がありました

社会課題とは「ビジネスになりにくいニーズ」

社会課題って、定義はいろいろあると思うんですけど、僕は「ビジネスになりにくいニーズ」やと思っています。お金のない子どもとかに勉強を教えたとしても、そこからお金を取ることはできなかったりとか、地球にいいことをしても、地球はお金を払わないじゃないですか。そんなふうにお金になりにくいニーズというのが社会課題だと思っています。

だからこそ、NPOの方とかは、資金調達をするためにクラウドファンディングしたりとか、あとはいろんなところを回って寄付を集めてきたりとか、助成金獲得したり、あとはほかの事業を作って収入を得たりとかしています。

でも、本当にやりたい活動って、その社会課題を解決するための活動じゃないですか。価値はそこにあるんですよ。でも、ほかの時間使って、ほかの人、ほかのお金を使って、お金を集めてくるというのをしています。そこにすごい、無駄ではないんですけど、必要やからわかるんですけど、でももっと効率よくその活動の価値がそのままお金に変わったらいいんじゃないかなと思っています。

お金がなかった時にそんなことを考えていて、その時、ALISを知って、価値をそのままお金に変えるというのができるんじゃないかなって思って。

僕たちがしたいのは、社会的価値をお金に変えるということです。絶対に価値はある活動なので、その価値をお金に変えるだけ、それだけでいっぺんにやさしい社会になるなと思っています。

お金がないので採用にお金をかけられないから、ファンドレイザーを雇えなかったりとか、ちゃんとビジネスができる経営層を雇えなかったりとか、そうするとお金がどんどんまた減っていきます。

スキルとかノウハウを得るために、獲得するためにはやっぱりお金がいるので、そこにも投資をできなくて、お金がなくなっていく。事業を拡大できないので「価値がめっちゃあります」って言いづらくって、またお金がなくなっていく。

いろんな課題があるんですね。これらを包括的に全部アプローチしていかないと本当に根本的には解決できないので、僕たちは事業を3つに分けています。

やさしい社会をつくるヒーローが、お金に困らない社会

まだ途中って感じなんですけど、先にコミュニティを作っています。ファンドレイズのためのコミュニティで、各団体がファンドレイズのノウハウとかスキルを得られるようなコミュニティを今作っています。

そこで広報のスキルを上げたりとか、活動の価値をもっともっと高めていって、次の段階でメディアで発信をしていきます。イメージは、簡単に言ったらnoteみたいな感じですね。各団体が活動の価値を発信していきます。それで評価を得ていく。最終の段階でその評価をトークンに変えていきます。

こうして、やさしい社会をつくるヒーローが、お金に困らないような社会をつくっていきたいと思っています。

認定NPO法人「Future Code」という医療支援を、海外のハイチとかでやっている団体の代表が「知ってしまった人には知ってしまったなりの責任があると思っている」と言っています。そうやって活動されているんですね。

NPO法人「ヘルパーGOGO」の理事長は、1分1秒を楽しんで生きてほしいから、重度障がい児の介護というのをやっている。すごいやさしいし、価値のある活動をされているのに、その理事長とかは生活保護を一時期もらっていたりとか。泣きながらそんなことを語ってくれました。

彼らがなんでお金に困らないといけないのかって、普通に仕組みがないだけだからと思っていて。だから、僕たちは社会的な価値をお金に変えられるような仕組みをこれから作っていきます。ありがとうございました。

(会場拍手)