景気の回復を個人消費の増大につなげるために

生活・小沢:日本経済の6割以上は個人消費なんですね。ですから景気を良くしようとしたら、個人の収入を増やして、消費を拡大する以外にないわけですよ。

今話題になっていますけれども、雇用の点につきましても、非正規社員では将来の身分保障もありませんし、収入も少ない。等々で、本当に生活が将来まで安定している、という感じは誰も持たないんですね。ですから消費が増えるはずがない。

それから農村において象徴的なのは、米価が急落しております。したがってそういう中では、農家も、あるいは農村、地域も消費が増える、景気が良くなるということは無いわけですね。ですからそういう大事な国民生活の分野では、きちんとセーフティネットを作って、それの上で個人消費を上げるようにする、ということが大事だと思います。

維新・江田:確かにお金は流しましたが、これは景気が本格的に回復して、国民の皆さんの給料が上がることが肝心ですね。そのためには、モノ・サービスを動かす、実体経済を動かす、これがまさに成長分野、規制改革をして新しい血を入れる、新規参入させていく。

しかし農業での減反廃止、これは名ばかり廃止ですよ。転作奨励金を出して、転作を促して減反をしているようなものですね。株式会社が農地を取得して参入できるようになりましたか? なっていませんね。

電力の再編、自由化、確かに法律は通りました。しかし電力会社の影響下に送電線を分離するといっても、実際に置かれたら、この前みたいな新エネルギーの接続拒否みたいな事態が起こるわけです。

我々維新の党はこれを完全に切り離して、影響力の無いところで太陽光発電、LNG火力発電、そして風力発電、小さな地域分散型の、ローカル発電をやっていけば、今過疎で困っている地域で雇用が生まれ、給料が払えるようになる。これが本当の地方創生、そして経済再生だと思っています。

共産・志位:私は安倍さんがよく言う、大企業が儲ければいずれは国民の暮らしにまわる、という考え方自体が誤っている、ということを事実が証明したと思うんですね。

私はここを切り替えて、285兆円まで膨らんだ大企業の内部留保を一部活用して、国民の所得を増やすを増やすという政策に転換する必要があると思います。

そのために政治が為すべきは、非正規から正社員への流れを強くする、雇用のルールを作る、長時間の過密労働を是正する、あるいは中小企業への手当てをしっかりとやりながら、最低賃金を大幅に引き上げる、ブラック企業は無くしていく。

それから中小企業に対する下請け単価を適正なものに引き上げて、中小企業で働く方の所得も増やしていく。国民の所得を増やす改革が必要だと思います。それから消費税10%は、先送り実施ではなく中止と、こういうことを強く求めたいと思います。

多様な働き方に即した労働法改正を

公明・山口:賃金の上昇は、政労使の協議の場を設けてこれが促されてまいりました。雇用の増大も同様であります。そして成果がこの春から、賃金のベースアップ、あるいは賞与等、結果として名目の賃金が上がってきています。

さらに来年もこの秋に政労使の協議の場を設けて、来年の春闘でも賃金を上げる必要がある、というのが使用者側の認識でありまして、ぜひこれを実行していかなければならないと思います。

その上で大企業から中小企業、小規模企業に仕事を流していく、そういうことも同時に促しているわけでありまして、そうした取り組みがこれから効果をあげていくと思います。

また賃金によらない所得で生活している方々もいるわけですから、そこに対する支援、というものも緊急経済対策でやっていく必要があると思います。賃金上昇が物価に追いつき、追い越すということ、これを連立政権で推進したいと思います。

自民・安倍:例えば今回は、先ほど申し上げましたように4月に2%、賃金が上がりました。同時に例えば、パートやアルバイトで頑張っている皆さんの時給は1050円、これは統計をとってから最高になっているわけであります。

そして先ほど派遣法の改正についてお話がありました。派遣ではなくてしっかりと正社員で働きたいという方々が、派遣で仕事をされている方の半分くらいいらっしゃいます。

一方、自由な働き方をしたい、という方々もおられるわけであります。正社員になりたい、という方々に対してましては、しっかりと派遣元に対して3つの義務を今度は課しています。そして派遣で働いている皆さんについては、その派遣の待遇を改善していく、そういう対応をしていきます。

キャリアアップをしっかりと応援していきたい、同時に、多様な働き方に対応した労働法制に変えていく必要があると考えています。みんなが望む働き方、そこで輝ける社会を作っていきたいと思います。

民主・海江田:今の話ですけれども、多様な働き方を私たちが全く認めないというわけではありませんけれども、その場合は前提として同一労働同一賃金、というのが世界的な考え方なんですよ。日本はその点は全く遅れている。今回国会で、私たち民主党と維新の党が一緒に法案を出しましたけれども、自民党はこれを一考だにしなかったということ。

それからもうひとつ、円安の問題というのは今回のアベノミクスの副作用の面で、大変大きなものがあるわけです。先ほど倒産が減ったというお話がありましたけれども、去年から今年にかけて、とりわけ今年に入って、円安による企業の倒産が一挙に去年の3倍近くになっています。

それからまさに国民が自分は恩恵を得ていないと言う一番大きなものは、円安によって物価が上がっているということ。この事が非常に大きいわけですから、その点に目をつぶってしまってはいけないと思います。

雇用を法で守るのか、競争の先にセーフティネットを作るのか

共産・志位:先ほど派遣法の問題が議論になりました。与党が出した労働者派遣法の大改悪というのは、とんでもない内容だと思うんですよ。

これまでの派遣法というのは、とにかく派遣労働というものは、臨時的・一時的なものに限るんだと。常用雇用の代替にしてはならい、というのが大原則だったんですね。これを取り払ってしまって、そして原則1年、最長でも3年という期間制限も取り払ってしまって、無期限に派遣が使い続けられるようになるわけですから、これは生涯派遣、正社員ゼロという批判が出るのは当たり前なんです。

こういうことをやっておきながら、賃下げ政策を進めながら、賃上げを進めるというのは、言ってることとやってることが違うと。

私は派遣法は抜本改正して、派遣労働は本当に一時的・臨時的なものに限る。そして均等待遇をきちんとする。そういうことによって正社員が当たり前の社会にしていく、これが政治の責任だと思います。

維新・江田:さっき海江田代表がおっしゃったように、我々も働き方の多様性を認めながら、働く者の立場を守る、という意味で、正規・非正規に関わらず同一労働同一賃金。

それから、経済セクターは好むと好まざるとにかかわらずグローバルなんです。国際大競争なんです。そこは市場主義、自由主義でやっていく。しかしそこからドロップアウトした方々、これは手厚いセーフティネットで救うということが大事だと思います。

例えばスウェーデンは、(自動車メーカーの)ボルボ、サーブ、潰しましたね。しかしそこの大失業者はしっかりと国のほうで職業訓練をやって、次の就職先まで斡旋するようなこともやっている。我々が目指すセーフティネット、経済政策というのは、こういう北欧型のものを目指していきたいと思っております。

円安は不況をもたらすか

自民・安倍:先ほど海江田さんが、円安による倒産、というお話をされました。例えば2年前は、円安による倒産はありませんよ。だって円高なんですから。ですからその比較は間違っているんだろうと思います。ですから大切なのは絶対数であって、我々は民主党政権時代よりも2割、倒産を減らしています。

同時に先ほど志位さんからお話があった残業代ゼロ、それは全くそんなことはあり得ない。

共産・志位:その話はまだしてませんよ。派遣労働の問題です。

自民・安倍:あ、派遣労働の話ですね。派遣労働については、しっかりと私たちはキャリアアップについても支援をしていきますし、望んだ方については、望む方向に状況が改善していくように、我々は全力をあげていきたいと考えております。

同時にまた、先ほど江田さんからお話がございました改革について、我々はすでに農業においても農業改革、60年やっていなかったことに手を付けている、ということも申し上げておきたいと思います。

民主・海江田:ひとつだけね、先ほど働く方たちの賃金が2%上がったといいますけど、それは極一部の方々の話ですよ。働く方たちの97%は中小企業、ここの給料は2%も決して上がっていません。厳然たる事実ですから。

あたかも働いている人が全ての給料が2%上がったというような誤解を与えますが、そんなことは全くないわけでありまして、そこのところを正確におっしゃらなければいけないと、私は思いますね。

「なんでも反対の野党」ばかりでは良い政治にならない

次世代・平沼:今の議論を聞いていると、野党の人たちは与党のやることを全部反対、という論調なんですね。しかしお互い政治家っていうのは、日本を、国を良くするためにやっているわけですから、良いことは良い、悪いことは悪い、こういう是々非々の立場にたって国政を論じなければいけないと思います。

なんでも粗を探すみたいに、ここが悪いあそこが悪い、これを言ってたらキリがないと私は思うんです。ですから、良いこと良い、こういう形で認めるところはしっかり認めていかなければ、日本の政治は良くならない。こう思っています。

角谷:それでは次の吉田さんで、一旦このテーマは終わりにしたいと思います。

社民・吉田:もちろん経済政策ですから、100点or0点ということはありません。安倍総理もこの道しかない、とか言うのではなくて、現実に大企業や富裕層を優遇する政策にいろんな問題点が出てるわけですから、そう言わずに、悪いところはこう改める、としっかり言うべきだと思います。

今平沼党首のお話を聞いて私もそう思いましたけれども、この道しかない、ということではないと思いますよ。いかがですか? ……もう終わり?

角谷:なにかありますか?

自民・安倍:デフレから脱却して経済を成長させるためには、3本の矢の政策しかない、とこう申し上げているわけであります。そして先ほど、一生派遣だということをおっしゃっておりましたが、そんな事はないわけであります。しっかりと法律の中にそれは明記されているわけですから、それは誤解のないようにしておきたいと思います。

角谷:はい。経済政策はさまざまな側面もありますけれども、このへんで時間の都合上、終わらせていただきたいと思います。