2018年3月期決算ハイライト(連結)

藏本 健二氏(以下、藏本):それでは、よろしくお願いいたします。

2018年3月期の決算に関しましては、5期ぶりの赤字ということで、あまり芳しい数字ではございませんでした。

これを受けまして、本日は、この決算の内容について、ご説明申し上げるとともに、今期以降の事業の進捗ならびに計画について、ご説明をさせていただきたいと思っております。

それでは、まず、2018年3月期の決算ハイライトです。

先ほど申し上げましたように、5期ぶりではございますけれども、売上減ということで、大幅な計画との乖離がございました。

結果として、営業利益では、2億6,800万円の赤字を計上することなりました。

とくに海外事業について、予定しておりました肝炎関連の大型の受注が遅れたことと、それに伴い、その後の受注の売上が達成できなかったということで、結果的には、過去最高の受注残を残してしまうということになっております。

大手の製薬企業さんの予定変更の影響を受けたことが、一番大きな要因になっております。

また、DMPK/Toxに関しましては、前年度は、脂質代謝系のモデルで大型の受注をしておりましたけれども、開発が少し遅れ、実際の受注が減少し、DMPK/Toxでも落ちてしまいました。

結果として、このような数字になっております。

2019年3月期 業績予想(売上高:分野別)

これが、過去4年間ならびに今期の受注予想です。このような計画を立てているということでございます。

このうち、昨年(2017年)の11月にカナダのKMT社を買収し連結対象ということで、今期には、その売上が加算され、海外では、約1億円ほどの売上増が見られるということを予測しております。

したがいまして、2019年3月期は、売上としては約15億円の売上を見込んでおります。そのうち、肝炎関連が9億2,300万円ですが、この9億2,300万円の内の1億円が、KMT社の売上です。

したがって、肝炎関連では、2016年3月期とほぼ同額程度の単体としての売上になると見込んでおります。

DMPK/Toxの分野はもう少し後ほど詳しくご説明をいたします。従来は、DMPKすなわち薬物動態が中心でございましたけれども、さらに、安全性・毒性評価の分野でもかなり使えるということが証明されてまいりまして、そちらの需要も増えており伸びを見込んでおります。

今期よりも約1億7,000万円ほど増額になるであろうということで、約1割強の実績増が見込めると見ております。

国内は、厚生省のB型肝炎創薬事業の第2期目が2022年に終わり、約5ヶ年の延長がございます。

したがいまして、この需要が引き続いてあるということで、国内の約半分近くが、この事業計画の予算で賄われるだろうと見ております。

それ以外で、製薬企業さんが使っていただくDMPK/Toxの分野ですね。

とくにTox分野については、製薬企業さんだけではなくて、化学品のメーカーさん、農薬のメーカーさんと、幅広い受注を受けているところであります。こちらも今期は、順調に伸びていくという見込みでございます。

2019年3月期 業績予想(営業利益)

営業利益でございます。

当社は上場後、中期の約5ヶ年の事業計画ということで、海外事業に基点をおいて、社内体制の強化ということで、とくに人員増を中心に計画してきました。

生産、R&Dの研究分野、受託試験を受けてのサービスの分野、営業の分野、管理の分野ということで、すべての分野で5ヶ年の進捗に向けた体制づくりをしていくということです。専門性がございますので、当社で即戦力になるということではございませんので、だいたい2年~3年の教育訓練期間がどうしても必要になってまいります。そういった体制を整えてまいりたいと思います。

したがって、経費の中では人件費の負担が大きくなってくなり、それに見合うだけの売上、利益の担保が、我々の今の使命でございます。

一方、R&Dの部分についても、現在のマウスの事業だけではなくて、さらに発展をさせ、将来性を見込んだ関連事業をしていかなければいけないということで、こちらにも力を入れているわけでございます。

昨年は、南カリフォルニア大学との共同研究が実現しました。従来は国内の製薬企業さんや大学関係、公的機関と共同研究というかたちで進めておりました。この分野で海外、とくにアメリカの大学とのコラボレーションということで、今後、広がっていくと見ております。

先ほど申し上げました、KMT社は昨年の11月に完全買収、子会社化いたしました。これに関わるのれんの償却ということで、年間3,700万円くらいの償却費用を見込んでおります。為替の環境がありますけれども、現時点では一応3,700万円ということで、これで償却を進めていくということでございます。

2019年3月期 業績予想(経常利益・当期純利益)

結果的に、利益は、来年度は連結で約15億円の売上に対して、経常利益段階で1億2,200万円を担保できるのではないかというところで、予定いたしております。

他年度との比較上、あまり大きな利益は出てるわけではございませんが、先ほど申し上げましたように、先行投資的に人件費等(の支出を)進めておりますので、こちらが整いしだい、売上も上がってまいりますでしょうし、それに伴い利益も出てくると見込んでおります。

事業の現況

事業の中身をご説明した上で、これをどのように展開していくのかというところをご説明いたします。

我々の事業は、やはり主体は創薬の関係で、非臨床の試験分野のDMPK/Toxの分野で動物を使っていただいてやっていく、そのいろんな研究対象になるということでございます。

一方、国内のB型肝炎の研究等もありますが、今、B型肝炎の特効薬の期待が非常に高まっているわけです。

ヒトに特異的なB型肝炎ウイルスが我々のマウスの中にたくさんあるわけですけども、増殖したそのウイルスをダイレクトに叩く薬も開発中で、薬効試験の現時点では唯一のモデルということで、使われております。

今の新型肝炎と同じように特効薬的なものが出れば、それで開発は終結するということでございますが、その間はこういった開発が非常に行われるということに考えております。

今、申し上げたのが2本柱です。

DMPK/Tox分野の拡大 新世代医薬品開発での利用促進

もう少し視野を広げていきますと、ヒトのゲノムの開発・解明が100パーセントできるようになって以降、ヒトの疾病の原因は、DMPK背景によるということが言われています。

したがって、その遺伝子が持っているいろんな蛋白が数ある疾病の原因になっているということです。それ以外に、外から入ってくる肝炎のようなウイルスであったり、インフルエンザであったりの攻撃によって病気になる場合もございますけれども。

宿命的に、遺伝子にのっている病気があるということで、これが1つの創薬の大きな曲がり角になっています。

それをターゲットにしていくということで、抗体医薬や核酸医薬という遺伝子をターゲットにした蛋白もしくは遺伝子そのものをターゲットにした薬が開発が進んでおります。

2000年から約20年近くかかってるわけですけれども、もう既にいくつかの薬が出ております。

最近の傾向でいろんなデータが出ておりますけれども、製薬企業さんの開発費用の約7割、8割が、こういった分野の薬の開発に使われていると言われています。

従来は、低分子医薬品、いわゆる化学合成をした物質を使った薬が開発の中心だったわけですけれども、トレンドは生物学的医薬品です。

なぜ今説明しているかというと、実はこの分野というのは、たくさんの開発の中でのいろんな経験値があって、安全性や副作用については、一定のルールが決められていて、それを事前に予測するという予測精度の高い規定があるわけです。

そういうレギュレーションがあったわけですけれども、現時点で開発されている核酸医薬品や抗体医薬品は、予想外のことが起こっているということがあります。

したがって、遺伝子の治療的なものの薬が開発されるんですけれども、ところがそれが実際に薬としてヒトに作用するときに、思わぬ副作用等が起こる可能性が非常に言われています。

現在、非常にたくさんのお金をかけて製薬企業さんが開発しているのですけれども、それを証明できるものがないというところで、実は我々のようなヒトの臓器そのものを持っている動物が、そういった評価をする上で重要になるんじゃないかということで、注目され始めています。

我々もこの分野では、かなり数年前から力を入れて、公的な機関や製薬企業さんと研究をしてきました。

今、火が付いてきてるということで、我々の作っておりますPXBマウスの新たな市場、分野としてDMPK/Toxを考えているわけですけども、そういった製薬企業さんの中で、新たな使われ方が出てきているんだということで、その分野に今後注力していきたいと考えております。

事業の現況と今後の展開 KMT社(カナダ アルバータ州)

話が戻って申し訳ございませんが、(2017年)11月にKMT社を買収しましたので、こちらについて、少しだけ振り返ってご説明します。

KMT社は、当社とほぼ同じような社歴を持っていまして、アルバータ大学の研究室からスピンアウトした企業です。

この(スライドの)写真の右側に写っている方が、クネットマン(KMT社 CEO Dr.Norman Kneteman氏)というドクターで、この方は肝臓の著名なドクターですが、彼が我々と同じようなモデルの動物を作っておりまして、我々とは競合していたのです。

彼が持っていた特許を我々が利用させていただいて、古くから友好な関係でございます。

もう少し早く合併しようということで、お互いの話はあったんですけれども、我々の2016年の上場のタイミングがありまして、あまり上場前に大きなことはしたくないということもあって、やっと我々と一緒に新たな事業をやるということができました。

何が最大のメリットかというと、彼らはアメリカのNIHのバジェット(を使えること)でございます。

このバジェットを最大使えるとすると、年間7億円くらい使えます。日本ではちょっと、とても考えられないような金額ですが、そういったルートを取っています。

我々としては、海外、とくにアメリカに製薬企業が集約してますので、そこでマウスのモデルを売っていく上で、どうしてもこういった公的機関、それからアカデミアとの関連性を強めたいと考えていたわけです。

彼らと我々との大きな違いは、我々はどちらかというと製造業に近いことですね。我々の方が設備投資が早かったんです。圧倒的設備投資をして、PXBマウスにいう完全な商品化された完璧な動物を作っていきました。

彼らはどちらかというと、アライアンス事業に特化しています。研究開発をして、そのノウハウを特許化していって、アライアンスしていくかたちです。

我々にとって今、彼らの立ち位置が非常に重要なのは、先ほど申し上げたように公的機関、アメリカの大手機関とのネットワークがあるということ、彼ら自身がアカデミアであるということです。

もう1つは、世界最大の実験動物を扱っているCharles River社と契約をして委託生産をしていただくということで、2013年から取り組んできました。どうしてもアメリカ全土のほか、もう1ヶ所、生産基地を持ちたいということがございました。ちょうど彼らがエドモントンに彼らの拠点がありますので、そこを第2の我々の生産基地にしたいということで、それで買収することにしたわけです。

今後、動物を生産するためにはノウハウが必要なんですけれども、いわゆる大量生産できるノウハウを現地に技術移転していきます。我々から人も派遣しています。同時に設備投資もして、第2の拠点にしていくということでやっています。

大規模な設備投資の前に、まず足慣らし的にやっていくということで、現在我々がサービスラインの1つとしてつくっている、マウスから取り出したフレッシュ肝細胞の「PXB‐cells」の生産を彼らに技術移転しようとしています。まずここから生産を開始して、今年度中には我々がつくっているのとまったく同品質の動物がつくりたいと考えています。

それからまだ確定してませんけれども、来年度以降、計画的な設備投資をしていきます。

我々の販売力がどんどん増えていかないと、ものだけつくっていてもしかたがないですけれども、それと並行するかたちで、第2の拠点としての設備をしっかりしていくということで計画しております。

事業の現況と今後の展開

まず2022年まで、いわゆる国の方針として、日本初のB型肝炎の創薬をやるという厚生省の強い意志が働いていまして、そちらの予算がありますから、国内は肝炎の事業として1つやるということが確定しています。

KMT社に関しては、約7年間のNIHのバジェットがありますので、こちらのバジェットを利用しながらやっていくというのが1つございます。

DMPK/Toxの中では、化学的なスモールコンパウンドと言われるような化合物でやっていく薬と、核酸や抗体については今後また広がっていくので、また細かく分かれていくことになるとは思います。

我々としてはDMPK/Toxといった分野の動物のほうが可能性が非常に大きいということで、それを拡大していきます。

そのために、動物を国内でつくって、受託試験というかたちでお客さんからコンパウンドをもらって試験をして、サンプリングしてお返しするということになっていたのでは、時間的なロスがものすごく大きい。現地に近いところ、いわゆる消費地に近い、製薬企業さんがたくさん集まっているアメリカで、動物をどんどん送り込んでしまおうということです。

必要であれば、そういった受託試験を専門的にやるCROとコンビネーションして、どんどんサービスを膨らませていくかたちで、今後はアメリカでの生産基地が2つになるということを含めて、生産をどんどん増やして現地の製薬企業さんにどんどん使ってもらいます。

同時に、新しいサービスラインとして、できるだけ実験動物として我々のような生きたマウスを使う、いわゆるvitroの試験(試験管の中で扱う試験)とは違って、生きた動物を使うvivoの試験というのは、工程の中のうしろに来るわけです。

けれども、できるだけ前のほうのもっと早い段階、そういった分野にも、我々は今「cells(PXB‐cells)」という新しい商品を出しています。

それをリプレイスしていって、「我々の商品ははじめから同じ肝細胞でvivoでも使えるしvitroでも使えます」ということを売りにして展開していき、製薬企業さんとのお付き合いを広げていくことをもくろんでいます。

実績の蓄積とプロモーション 1DMPK/Tox分野拡大での課題と施策

今年は、コンソーシアムについて2016年から始めて3年目に突入しているので、一応論文がそろそろ出てきそうです。

(コンソーシアムに参加している)会社さんも、メガファーマのうち2社入っています。そういったところで今やっている成果もそろそろ出てくると思います。

新たにコンソーシアムを拡大しようということで、今、仕組んでいるところでございます。年内にはIRできるところまでたどり着きたいと思っております。

実績の蓄積とプロモーション 2コンソーシアム

おかげさまで、いろんな場面で我々の知名度はけっこう上がってきております。

従来は知らない会社などが多いのではないかと危惧していたんですけれども、実は興味を持っているところはいくつもあり、我々がそこにリーチできていなかったということがわかりました。

これに関しては、KMTなどから、我々の商品をあそこもやってる、ここもやってるみたいな話を、我々が教えてもらうということもあります。地道な努力でやってまいりましたけれども、知名度についてはおかげさまで上がってきているので、ここらへんで一挙にスプレッドしなければいけないと考えているところであります。

先ほどのコンソーシアムの話で、我々として理想のかたちを申し上げると、我々の動物が、レギュラトリーサイエンスの中の1つとして取り上げられていくということだと考えています。

なかなかそのとおりにならないかもしれませんけれども、そうすると必ず製薬企業さんは黙っててもうちの商品を使うので、非常にありがたい話になります。

我々のものを使った効果というか、今よりもいっそう、製薬企業さんが精度の高い商品を早くつくり、失敗するリスクが回避されていったりというメリットが出てこないといけないし、ひいてはそれが疾病で苦しんでいる人たちの希望にならないといけないだろうとは考えております。

研究開発の状況①

トピックスで、少し変わったことをやっているというところだけを2つほど取り上げております。

OTC欠損症は、赤ちゃんに遺伝的に出てしまう病気です。

尿酸がアミノ酸分解をしていくと必ずアンモニアが出るわけですが、これがうまくおしっことして出ていかない。そういう酵素が欠落してしまうということで、尿毒症になっていきます。

その薬を開発していくためのモデルが、なかなかなかったわけです。大学の先生からご提供いただいたアミノ酸の赤ちゃんの肝臓を、我々のマウスの中に入れて殖やします。その遺伝子を持った肝臓を持っているマウスを使う。

これで実際に同じような症状が出て、薬の開発に役立てるようなモデルができました。こういうのはなかなかほかの動物では実現不可能なので、非常にレアなモデルとなっているということです。

それから、下のほう(Liver/Gut on-a-chipの開発)は、アメリカ、ヨーロッパでも取り組まれていて、日本の厚生省も取り組んでいて、基本的に、動物を全部使うのをやめましょうということです。

動物愛護の問題があって、動物がなかなか使えなくなりつつあります。けれども、そうなると、「じゃあ、なにでやる」という話になるので、例えば肝臓の分野はヒトからとってきた肝臓を再構築して、ヒトの肝臓だけが動いているようなものをつくりましょうとか、腎臓は、小腸はと、ヒトのそれぞれの部品を独立的につくって、あたかも人体模型のようなものができます。

うちは、もともとヒトの肝臓が殖えていて、肝臓の組織を売っているものですから、実はもう肝臓のところは終了しているんです。

小腸や腎臓がくっつくと、いいものができるんじゃないかと思うんですけれども、我々の動物がそういうことにも使えるという注目を受けて、今、国の取り組みでもつくられる予定でございます。

研究開発の状況②

あと2つほどご説明します。

我々のマウスは、免疫が欠如している部分があるわけです。そのおかげで、ヒトの細胞が入っても、マウスの認識としては「敵じゃない」と攻撃をしないわけです。

免疫系がちゃんとあると攻撃されるわけです。我々のホストマウスは免疫不全になっているがために、つくれるわけです。

逆にいうと、このマウスの欠点は、免疫が働いていない。薬には、薬そのものの機序だけで働くものと、免疫の助けを借りて一緒に病気をやっつけるという場合があります。そうすると、そういうの(免疫の助けを借りて一緒に病気をやっつける薬)に、なかなか使えないという話になるわけです。

そこでマウスの免疫を入れたのでは意味がありませんので、新たにヒトの免疫を入れましょうという技術があるわけです。ヒトの免疫を入れておくと、ヒトの細胞が入ってきても敵と思わないので攻撃をしません。ただし、今度はマウスの体の中にヒトの免疫を入れるので、その免疫がマウスの体全体を攻撃してしまう可能性があるわけです。

そこをうまく調整する技術がございまして開発が進んでいるので、うまく合わせて、ヒトの免疫系を持ってヒトの肝細胞を持っているマウスをつくろうということです。これだと、免疫系の働く薬の開発もできるので、少しご紹介しました。

最後は、先ほど申し上げた核酸や抗体医薬の分野でございます。とくに核酸医薬の分野で、実験動物として一番いいのはサルです。

サルが一番いいというのはヒトに近いということなんですけれども、ご存知のとおりサルで、類人猿と言われているチンパンジー、ゴリラ、ボノボは、98パーセントぐらいヒトと相同性があるんですが、これは絶対使えないんです。

ワシントン条約があって、ダメということになっているわけです。

その次に、カニクイザルだとか、少しヒトから離れているおサルさんがいるわけなんですけれども、これだと95パーセントぐらい相同性があると言われております。たしかにマウスやイヌ、ブタに比べると、ヒトに近いということで使えるということなんですが、5パーセントも違うと、実はものすごく反応が違うんです。

そういったものを使って、いろんな評価や安全性を予測しようとしているんですけれども、なかなか難しい。それで我々のマウスはどうなんだろうということになると、肝臓だけを見ると、ヒトのものが100パーセント入っています。

実は置換率は90パーセントぐらいなんですけれども、ヒトの肝細胞そのものは100パーセント、ヒトの遺伝子を持ったもので入っています。

薬を投与する場合、多くの場合は、例えば皮膚であったり目であったり、そういった疾病に関しては直接患部に薬を入れることは難しく、だいたいの場合は飲んだり注射したりして、全身循環する薬が多いわけです。

そうすると、必ず、ファーストパスで肝臓にたどり着きます。肝臓が第一関門になるので、肝臓での評価が、毒性だとか安全性だとかの評価の1つの大きな指標になると言われています。

そこで、我々のマウスを使ったらわかるのではないか、という話がテーマになって取り組んでいただいていて、いい成果がいろいろ出てきているということであります。

ただ、(肝臓に相当する部分の)ほかのところは全部マウスなので、毒性の評価として果たしてどうか、というのはまた今後の議論があるかと思いますけれども、核酸医薬が今まで動物が使えなかったところに、新たに有用動物として使えるという可能性を挙げているということでございます。

以上で終わらせていただきます。