発熱と悪夢の関係性について

ステファン・チン氏:体調を崩すことは恐ろしいです。一日中寒気や鼻水に悩まされるだけではなく、夢にもその苦痛が現れるのです。熱にうなされる、この奇妙で感情的に強烈な夢は、体温が相当高い時に見るもので、みなさんも経験があるのではないでしょう。

多くの人が不安や病気に関連した悪夢を見たことがあるにも関わらず、科学的な検証の対象になることはありませんでした。しかし、専門家は温められた脳によって不運な副作用を受けているのだと考えています。

調査によれば、熱によって見た夢では、空間のひずみや暗闇に落ちていく感覚を覚えたり、もしくは恐ろしい生き物に遭遇したりします。熱による夢はネガティブなものとなります。

2013年に行われたある小規模の研究で、熱と一緒に起こる全ての症状が分類されました。その結果、熱のせいで夢を見るとき、かかっている病気は関係がないことが示されました。

28人の対象者に症状について質問すると、寒気や発汗などの一般的な症状が回答されましたが、そのうちの3人は奇妙な夢を見たと回答し、研究者たちは興味を持ちました。その対象者たちの病気の診断は同じではなく、唯一の共通点は熱が出たことだけでした。このことは、夢にうなされるのは病気によるものではなく、熱そのもののせいだと示しています。

専門家たちはこのことを長い間疑っていました。なぜなら、体温が上がることで脳にどんな影響が出るのかをより詳しく知っているからです。病気や熱中症、もしくは何かの薬のせいかどうかに関わらず、高温はニューロン伝達信号の速度と活動を活発化させます。

扁桃体のニューロンを含めて、該当する脳の部分は、恐怖や心配を管理する責任を負っています。

健康な人ですら、扁桃体はレム睡眠の中で活動します。レム睡眠は睡眠サイクルの一部で、この時によく夢を見るとされています。睡眠時間に扁桃体がより活動的になることは、悪夢を見ることと関連があります。

熱によって体温が上がることで扁桃体のニューロンを増加させ、怖い夢を見させることも可能です。しかし、高温は自分で何とかできるものではありません。

病気のせいで熱が出ることは、とても複雑な免疫システムが作用していると言えます。免疫システムが攻撃をすると、サイトカインと呼ばれる小さな化学信号が脳を含む体中に連絡を送ります。急激な体温の上昇がなくても、扁桃体はその活動を増やすことでこういった化学信号への対応をします。

ネズミでも人間でも、免疫システムの活動を活発化させることと、サイトカインの放出を促すことで不安感を増加させられます。

そのため、熱が出ている間、病気に誘発された化学物質と体温の上昇は一緒に起こり、扁桃体を活発化させます。脳はさまざまな恐ろしい出来事でいっぱいになりますが、ようやく少しの休息期間が訪れます。それでは、素敵な夢を。