リエンゲージメントユーザーの消費力は高い

三野泰宏氏(以下、三野):話したくてウズウズしてる笑顔をされてますが、どうでしょう? リエンゲージメント、2016年くらいからずっとあると思いますけど。

佐々直紀氏(以下、佐々):リエンゲージメントがいいというのはみんなだいたいわかっているのですが改めて最近Adjustで調査したデータをご紹介します。

新規で入ってきたユーザーとリエンゲージメントで休眠から復活したユーザーと、その後30日間の数値を比べてみました。

アプリの中でいろんな機能を使ったりとか買ったりというイベントの総数でいくと、リエンゲージメントのユーザーのほうが、新規に比べだいたい150パーセントくらいになりました。

30日間の累積の売上でいくと、だいたい37パーセントほどリエンゲージメントユーザーのほうがお金をしっかり落としていった。セッションに関しても新規のユーザーに比べて戻ってきた日から(計測して)DAY1、DAY2、DAY3と追っていったときに、5パーセントくらいずっといい状態が継続率でも続いていたんです。

改めて見ていくとデータでもそういう結果があるので、そういう意味ではリエンゲージメントにもある一定のバランスでずっと続けていき、ユーザーの育成としてやっていくのがいいかなと思います。

もともとそのアプリを使っていたユーザーなので戻ってきたあと、しっかり使うイメージができているユーザーが多いということが言えると思いますね。

ユーザーにはまるものをつくる

三野:そうですね。ターゲティングの構成がかなり肝になってくるかなと思います。(リエンゲージユーザーの獲得は)通常のユーザーアクイジションキャンペーン、略してUAC、新規獲得と言われているところと比べると、クリエイティブに対してマーケターの意識を思い切り変えていかなきゃいけないところがあると思うんですが、AppLiftさん的にはそのへん、なにか思うところがありますか?

黒上洋甫氏(以下、黒上):UA(User Acquisition)の場合はやっぱり興味を持たせることが一番になると思うんですけど、リタゲの場合は、例えば昔やってたキャラクターが出てきたり、昔クリアできなかった面が出てきたり、そういったちょっと悔しい思いや心残りみたいなやつを増やさなきゃいけないというのがあると思います。そのあたりはまったく別のクリエイティブを使うのがうち的には良いとされてますね。

三野:効果の高いクリエイティブの特徴みたいな、ちょっとざっくりした聞き方になっちゃうんですけど。

黒上:特徴っていうのはゲームというか、アプリによって変わってしまうと思うので。これがいい、こういうのがいいというのはないんですけど、アプリ内のデータをしっかり反映させた、ちゃんと当てたいユーザーにはまるようなクリエイティブを意識して作るというのが一番のポイントだと思います。

三野:実はトピック的には次の「最先端のマーケティング手法、ズバリ何ですか?」にちょっと移動している感じはあるんですけれど、今AppLiftさん的に最先端はリエンゲージメントですかね?

黒上:プロダクト的にリエンゲージメントが最先端かと言われたらすごく微妙なところなんですけど、うちとしては先ほどちょっとお話した、2018年のテーマでもあるプレイアブルをもうちょっと有効的に使いたいなと思っていて。

大切なのはユーザーコミュニケーション

黒上:最近僕がお話させてもらったなかで、ディスカッションしていておもしろいなと思ったものなんですけど。

パズル系のゲームだとステージをクリアしていくじゃないですか。必ず難しすぎてわからないところがあるので、そこで詰むユーザーが離脱していくことが多いんです。

そこをちゃんとイベントを立ててあげて、そのデータを使うことによって解けなかった面とかをプレイアブルでヒントを出しまくって解かせてアプリに戻させて、実際にやらせてクリアさせて次の面に進ませてDAUを増やしましょう、といったお話をさせてもらいました。

けっこうこういうのってユーザーが離脱してきたから、とりあえず辞めたユーザーを戻すためにリタゲを始めるといった感じで、全体を当てて、とりあえず配信でいいよねっていう流れが僕は多かったと思っているんです。

ちゃんとロジックを立てて、ストーリーを立ててあげればもっとおもしろいことができて、もっと確実に(ユーザーが)戻ってくることができるかなと思っているので、その結果をゲットしたら僕はこのへんでバッと大声で言いたいですね。

三野:まだゲットしてない?

黒上:そうですね。この前お話ししてきたことなので、これから実践していきたいですね。

三野:はい、そうですね。デジタル広告でパフォーマンスアドになってくると数でものごとを考えるようになってしまうんですけど、結局ユーザーコミュニケーションだよね、という本質の話ですよね。

黒上:そうですね。

地道に、正攻法でいく

三野:パズルゲームと言えばココネさん、最近新しいタイトルを出されたと思うんですけれども。

井藤美貴氏(以下、井藤):昨年末から『猫のニャッホ』という女性向けのストーリーも楽しめるパズルゲームをリリースしています。

三野:この間御社にお伺いしてから200面までいったんですが、200からめちゃくちゃ難しくなってですね。そのときにプレイアブル広告があるといいんじゃないかなと、今ふと思いました。

井藤:そうですね。まさに私の立場(マーケター)としては、プレイアブル広告などを実行していきたいなとは考えています。今は、既にニャッホで遊んでいただいてるお客様に楽しんでもらうための企画・開発・運営に注力をさせてもらっているので、遅い未来ではないタイミングで考えていきたいなと思っています。

三野:佐々さん的になにかマニアックなリエンゲージメントの設定で「こんなのあったよ」とかはありますか?

佐々:う~ん、正直これは強烈だなというのはまだあまり見たことがないんですが、(リエンゲージメントは)わりかしオーソドックスではありながら、あまりできてないかなと実は私も思っていまして。

リエンゲージメント、さっき黒上さんもおっしゃっていたようなターゲットに対してはまるクリエイティブを当てなきゃいけないというところで、例えばなにかの機能のリニューアルがあったときに、その機能を昔使っていた人にフォーカスしてクリエイティブを当ててみようとか。

細かくやりすぎると大変なんですけど、地道に、インパクトのあるセグメントをしっかり切ってやるという正攻法みたいなのが今後はきちっと実施されてくるんじゃないかなとは思いますね。

三野:ありがとうございます。