会社概要

片山圭一朗氏(以下、片山):本日はお忙しい中、決算説明会にご来場いただきまして、ありがとうございます。限られた時間ではございますが、私どもが過ごしてきたこの1年間、そして次の今年の1年に向けて、お話をさせていただければと思っております。

私どもの経営体制は、ここ数年変わっておりません。社長が私、それから代表取締役副社長の松本がCFO。そしてもう1人、和田がシステム開発担当の取締役になります。社外取締役が2名で、元NTTドコモ副社長であった宇田、ソフトバンクの創業メンバーで取締役であった稲葉という、この両名の社外取締役がいて、(さらに)監査役が3人という体制でございます。

グループ概要

ホールディングスの体制でございますが、直下に2つの事業会社があります。

1つが、株式会社フライトシステムコンサルティング。これが、もともと2004年に上場したときの母体となっている会社で、100パーセント子会社です。それから、持株比率が90パーセントの、株式会社イーシー・ライダーという、B2Bのeコマースをやっている会社がございます。

そして、フライトシステムコンサルティングの下に2社、FLIGHT SYSTEM USAとFLIGHT SYSTEM TAIWANという会社がございます。こちらは、今行っているiPad等による電子決済の海外展開のための事業準備会社という立ち位置になっておりまして、現在は現地の金融当局・銀行等との、いろんな折衝等を行っております。

事業概要

事業セグメントが3つございます。

まず左から、コンサルティング&ソリューション事業(C&S事業)。これが、もともとの会社の創業の事業でございまして、2004年に東証マザーズに上場したタイミングでは、この事業だけできておりました。いろいろなシステム開発を受託していて、和田が事業部長を兼ねております。

それから(真ん中が)、リーマンショックの後の2010年からスタートさせたものが、自社の製品・サービスを販売するところで、サービス事業でございます。現在、主力の製品としては、iPadでクレジットカードを決済する電子決済のソリューションが載っておりまして、ここは私自身(片山氏)が、事業部長を兼務しております。

そして、ECソリューション事業です。こちらは、B2Bのeコマースです。「eコマース」と言うと、どうしてもみなさまはAmazonさんや楽天さんを思い浮かべると思うんですが、(当社は)後方の取引……メーカーとお店(のB2Bを行っています)。

後で例が出てきますけれども、(例えば)町の喫茶店がUCCコーヒーにコーヒーの豆を発注するもの(手段)は、今までは電話とかFAXだった。そういったものを、ブラウザ1つでスマホからでもオーダーできる。そんな企業と企業をつなぐeコマースを、やっている部署でございます。

連結業績概況

2018年3月期の連結業績業況でございます。

売上で21億円、経常利益で4,800万円という結果になっております。1つ前の期の2017年3月期が(売上で)31億円、経常利益で5億7,000万円と非常に大きかったんですが、これはApple Payがスタートすることに伴う特需で、10億円分ぐらいボンと載っているものです。

(2018年3月期に)急に業績が下がったわけではなく、この前の年(2016年3月期)も20億円ぐらいでしたので、昨年の3月は特別な時期でした。(2016年の業績の要因は)2社でまとめて20数億円ほど、我々の電子決済装置を買っていただいたことになります。

事業別概況 C&S事業

セグメントごとに見てまいります。まず、コンサルティング&ソリューション事業(C&S事業)。こちらは堅調に伸びてきておりまして、たぶんこれで4期連続伸びている(ということです)。

売上は約8億円、営業利益は5,400万円となっております。物流系の案件を中心に、幅広いお客さまのお仕事をしてきています。この事業部は、今期も非常に堅調で、またこの上(の数値)に伸びていくと思っています。

事業別概況 サービス事業

それから、サービス事業。ここ(の売上)が、昨年(2017年)の3月期は23億円ということで、Apple Payの特需がありましたけれども、今年(2018年)の3月期は約11億6,000万円となっています。本当は、もう少し大きな売上を見込んでいたんですが、2件ほど大きなお客さまが店舗でちょこっとテストして終わってしまって、全国展開にいかなかったところで、今期に期ズレしております。それでも、こちらの事業も堅調に伸びております。

事業別概況 ECソリューション事業

3つ目のセグメントは、ECソリューション事業です。これは、もともとイーシー・ライダーという会社を2年半ぐらい前に買収してスタートしているんですが、ようやく軌道に乗ってまいりまして、売上も1億円を超えてまいりました。(2018年3月期は)1億3,600万円で、収支はほぼトントンですが、戦う態勢はだいたい整ったので、我々としてはこれからが楽しみな事業体でございます。

C&S事業の戦略と結果①

それぞれの部門のアクティビティについて、1年間で何をしてきたかを、少しお話しします。

まず、コンサルティング&ソリューション事業です。ちょっと前……リーマンショックの前までは、「来たものは何でもやる」受託開発をやっていました。今の時代は、「得意なところで絞って勝負しよう」というところで、物流改革・システム金融関連・クラウドサービスに軸足を置いています。

物流改革は、リーマン・ショック後、日本の大手メーカーさまはみんな、乾いた雑巾を絞るほどのリストラとコスト削減をやってきて、最後に残ってしまったところが、この物流です。目立ったニュースとしては、昨年(2017年)の真夏……8月に、キリンビールさん主導のもと、競合するライバルビール会社の大手4社が、北海道で共同配送を始めた(ことです)。

家電量販店もそのようなところがありますが、コストの問題もあるし、トラックのドライバーも数が集まらない。(そのため)物流はまだまだ、いろいろ改革していきます。倉庫の改革だったり、配送の改革だったり、仕事があります。

あと、みなさまの会社もそうじゃないかと思うんですけど、会社の中にメールサーバーやファイルサーバーを持つ会社が、だんだん減ってきているんです。会社の中に(サーバーを)置いちゃうと、メンテナンスするシステム部の人が必要です。そういう人たちって、役員のメールを見ようと思ったら見れちゃいますから。(それを防ぐために)やっぱりGoogleとかAmazonのクラウドに移行する会社さまが増えてきて、そういうところのご支援をする。

また、この1年、技術者をがんばって採用しようとしてきております。

それから、「Pepper」を中心としたロボットのソリューション「Scenaria(シナリア)」をやってきています。

C&S事業の戦略と結果②

(C&S事業の結果は)まず、3つの主軸に注力。これは、だいたい予定通りに進んでおります。

技術者は、中途採用が計画通りになかなか進んでいませんが、ここのところ新卒が採れているので、若い戦力を使いながら、伸びていきたいと思っています。

そして、ロボットのソリューションでは、これから新しい展開が出てくるところでございます。

C&S 事例紹介

領域としては、地方自治体の仕事もそこそこやっていて、公共系・金融・物流といったところが強いんですが。もともと、私どもが2004年に上場したときは、デジタル放送系の開発ということで、スカパーとか地デジ・ワンセグというセグメントの開発が得意という、特殊な領域を持った開発会社として、上場しているんです。

もうどう考えても、今から新しいテレビ局も増えませんし、衛星放送もスカパー以上の新しい局は出てこないんですが、私どもは放送する仕掛けそのものも作ってきておりますので、メンテナンスや入れ替えを含めて、なんだかんだで、年間で1億円ぐらいの仕事は受けております。

この1年のおもしろい仕事で言うと、ちょうど(2018年)4月1日からスタートしたお客さまです。いろんなレストランやお店に入っても、有線放送で、何か音楽が流れるじゃないですか。この有線放送って、何か黒い箱があって、電話線やネットにつながっているわけですが、Androidタブレットを置くだけで、電波を飛ばして有線放送になるサービスを始めた会社さまがいらっしゃいます。

この仕組みは、音を送り出したサーバー側からAndroidの端末側まで、全部当社でやったものでございまして、デジタル放送で培ってきた技術が役に立っております。

当社のPepperソリューション

それから、ロボットのソリューションということで、「Pepper」に力を入れております。これは、好むと好まざると(にかかわらず)、2020年には新卒が7パーセントぐらい減って、どんどん人手がなくなるわけです。

よく例に出す話ですけども、私どもの本社は恵比寿にありまして、信号を1つ行くと、上場企業のカレーのCoCo壱番屋さまがいらっしゃいますけど、店長以外、全員外国人です。駅の反対側にある、これもハイデイ日高という上場している(企業さまの)日高屋さん。ここも店長以外、全員外国人なんです。

それぐらい、日本の若者は集められないので……2020オリンピックのときなんて、一部の案内係は、ロボットがやる以外に手がないんです。もしくは、(来日する)外人のために外人を雇って対応する。それしかない中で、まだまだ「Pepper」は、売れていると言ってもぜんぜん(たかが)知れているレベルですけど。

2020(オリンピック)という段階で考えると、「Pepper」に限らず、いろんな役に立つロボットが日本で動いている中で、我々としてはそれらをコンテンツマネージメントする仕掛け……「Scenaria」を後ほどご紹介しますが、そういう領域に力を入れています。

IBM Watsonエコシステムプログラムに参画

ただ、まだどのロボットも、残念ながら知能レベルはそんなに高くなくて。AIスピーカーと言われている「OK Google(Google Home)」とか「Alexa」のレベルと大差ないところを補うために、私どもはIBMと協業しております。「Watson」という人工知能を、「Pepper」の後ろにつなげております。

例えば、今日この部屋に入ってきた方が、「この部屋は禁煙ですか、喫煙できますか?」と聞く。これぐらいは、「Pepper」が答えられる。それはいいんです。

(答えられないのは)そうじゃなくて、例えば「僕、ヘビースモーカーなんだよね」と言われても、「Pepper」はキョトンとなっちゃうわけです。(「Pepper」の後ろに)「Watson」までつないでおくと、「ヘビースモーカーなんですか。たいへん申し訳ありませんが、この部屋は禁煙です」ということが答えられるところで、非常に気軽な「Pepper」のソリューションにエッセンスを加える意味で、私どもは(事業を)やっております。

サービス事業の戦略と結果①

続きまして、サービス事業でございます。この1年間のテーマは、新規決済パートナーの拡大をやっておりました。私どもは、2010年からこの事業をやっていて、今まで三菱UFJ銀行さま1社と組んでいたんですが、そこをもう少し広げていくことに取り組んできています。

そして、「ペイメント・マイスター」と「Incredist Premium」という決済のアプリケーションへの拡大。

さらに、ロボットの展開をテーマにしてやってまいりました。

サービス事業の戦略と結果②

まず、新規センターパートナーの拡大という意味では、後ほど詳しく述べますが、三井住友カードさまとの提携を、先週発表させていただいております。

そして、自社製品の「ペイメント・マイスター」と「Incredist Premium」の拡販という意味では、これは先月(2018年4月)の終わりに開示させていただいておりますが、ソフトバンクさまに続いてNTTドコモさまも、全店で導入していただいたところです。また、後ほどご紹介する新製品の「Incredist Trinity」も出てきております。

ロボットは、東京慈恵会医科大学さまと提携したソリューションです。これも、また後でご紹介させていただければと思いますが、2010年9月から、当時はiPhoneで決済(を行う)ということで、我々は決済事業をスタートしています。

日本では、もちろん私どもが一番最初でございまして、世界で見てもiPhoneで決済というのは、当社が2番目です。iPhoneやiPadにつなぐソフトをつくるには、全部Apple社の審査と許諾が必要になるんです。

アメリカで非常に有名な会社ですけれども、Squareさんと私どもが、ほぼ同時期にAppleに許認可申請を出して、タッチの差でSquareさんが早くカットオーバーされて(当社は)残念ながら2番目になってしまいましたが……そのぐらいのタイミングで、我々はスタートさせている事業でございます。

いろんな特許を取得しておりまして、競争力の高い製品を出しております。

当社決済ソリューション

スマートフォンやタブレットを使った決済は、今、市場が二極化しています。東証一部上場企業さまとか、国際ブランドの大手さまに関して言うと、タブレット用決済では、我々がシェアの99パーセントぐらいを取らせていただいています。

その逆で、個人でやられている美容院とかレストランみたいなところでいうと、楽天さんが楽天ペイということで、シェアの9割以上を取られていると思います。

この二極化している中で、大手企業といったところでは、私どものソリューションが非常に活躍しております。

電子決済普及のキーワードと当社対応状況

電子決済のキーワードが、3つございます。

まずは、「EMV決済」です。「IC決済」と書かれているところもございます。日本政府としては、2020年3月までに、すべての決済を磁気ではなくてIC化すると。

(クレジットカードを示して)「IC化」と言っているのは、ここにありますが、金色のチップに情報があります。これを差し込んで、暗証番号で決済するということですね。これに、2020年3月までに全部切り替えるというので、法律も割賦販売法が改正されました。今年(2018年)の6月何日かにもう施行されるんですが、これをやらなきゃいけないということです。

ヨーロッパは、もう90パーセント以上が終わっているんですが、日本とアメリカはかなり遅れております。(そのような中で)当社は4年ぐらい前から、もう(EMVに)完全対応しております。

そして、もう1つの大きな鍵が、「コンタクトレスEMV決済」という、聞きなれない名前だと思うんですけれども。少し見えづらいかもしれませんが、私の持っているクレジットカードに、アンテナの絵が描いてあるのが見えますか? これが、NFC(近距離無線通信)が入っているマークなんです。

日本では、Suicaと同じようなイメージです。ピッとかざしていただくと。Suicaは、残念ながら日本でしか使えませんが、NFCアンテナマークの決済を、世界ではもう57ヶ国がスタートしているんです。VISAやMasterCardなど。

当然、2020(オリンピック)に外国人が来ると、これでピッて(電車に)乗れなかったり缶ジュースが買えなかったりすると、困ってしまうので。政府としても、なんとかNFCをやってくださいと業界に強く言っている中で、私どもは国際6ブランド……MasterCard、VISA、American Express、中国銀聯、JCB、Discoverの認定を取っています。

日本だと、まだまだ使えるところは少なくて、成田空港に着いた時のリムジンバス乗り場や、一部のIKEA、マクドナルドでは全店スタート化したというところですが、これからは(ますます)進んでまいります。

余談ですけれども、(2018年)1月にニューヨークの展示会に出展したんですが、3日間の会期中、コーヒーを飲むのもジュースを買うのもお弁当を買うのも、全部これでピッと(決済ができる)便利な中で……本当に、Suicaを使えるイメージです。

でも、Suicaはチャージしないといけないじゃないですか。これは使った分だけ、あとでクレジットカードに請求がくるので、チャージという面倒くさいことがないんです。こういうことで、これ(コンタクトレスEMV決済)が、また大きなテーマになります。

3つ目が「Apple Pay」というところです。海外のApple PayはNFCです。日本のApple Payは、Suicaと同じソニーの「FeliCa」という技術を使っているんですが。私の予測では、来年(2019年)、Apple Payが大ブレイクするんです。

なぜならば、一昨年(2016年)の10月25日に(Apple Payは)スタートしたんですけれども、Apple Payのためだけに、24ヶ月の縛りが残っているのに携帯を買い替える人は、あまりいないじゃないですか。

今年の10月25日を超えて24ヶ月(の縛り)が切れた人がiPhoneに買い替えれば、自動的に全部、Apple Payがついてくるわけです。

私も、Apple Payがスタートしてから、コンビニはこれでしか買っていないです。ピッてかざせば買えるので、まったく現金がいらないんです。最近は(現金を)持ってなくて、これだけあれば電車にも乗れますし、コンビニとかで買い物ができると。

欧米のNFC型Apple Payから、日本の電子マネー型のApple Payのどちらにも、私どもは対応しております。

【事例】ソフトバンク株式会社様

導入事例でございます。まず、ソフトバンクさま。ソフトバンクさまは今、「Incredist Premium」という……こちらの機種ですね。iPhoneよりは小さいけれども、コンタクトレスEMVも電子マネーもクレジットもできるということなんですけれども。

これの1つ前の機種を、2013年に全国4,000店舗ぐらいでご利用いただきました。その後、「Incredist Premium」という小さいものが出た段階で、またこれも、全部買っていただいております。

そして、2016年10月からは、ドコモさんの(電子マネーの)「iD」を使って、Apple Payの決済を使っています。

ドコモさんのiDをソフトバンクさんが使うというのは、非常に不思議な感覚なんですが、Apple Payとして、便利に使っていただいています。

さらに、ソフトバンクさんにはいろんな使い方をしていただいております。携帯電話を契約する時は、必ず本人確認が必要になります。(本人確認には)免許証とかパスポート、健康保険証(が必要)となるわけですが……一般にはなかなか想像しづらいと思いますが、カラープリンターで作った偽物の免許証で来る人も、けっこういるんです。

違う名前の免許証を10枚ぐらい作って、1日の間にどんどん契約していって……あまりに何日も続くとばれてしまうので、1日のうちにダーッと契約して、10台ぐらい(携帯電話を)ゲットしたら、転売してしまうと。

ところが、免許証の中には、NFCが入っています。なので、我々の決済機器の装置ですけれども、例えばNFCが反応するかどうかわかるんです。実は今、免許証の偽造確認を、ソフトバンクさんはIncredist Premiumでやっていらっしゃいます。

非常に、いろんな使い方をしていただいています。あと、携帯のSIMの書き換えも、Incredist Premiumでやっていただいております。

【事例】株式会社NTTドコモ様

続きまして、今年(2018年)4月に開示させていただきましたが、ソフトバンクさんに続きましてNTTドコモさまにも、全国のショップでIncredist Premiumを使っていただいております。こちらは(ショップに)行って目にされるとすぐわかりますが、Androidでお使いになっています。

【展示会】NRF2018 in NYC(米国)

そして今年(2018年)は、1月にNRF(National Retail Federation)という、世界最大の小売業界のイベントに、当社グループとしてFLIGHT SYSTEM USA社が、初出展しました。

現地での金融パートナーを探すということや、市場の動向を見るために出てみたんですが、中南米とアフリカからいっぱい人が来てくれました。まさにEMV決済・IC決済が始まりそうな感じの国が、いっぱいあるんだなということを体感しましたし、とてもいい金融パートナーが見つかって、有意義な展示会でございました。

Incredist Trinity(インクレディスト・トリニティ)①

続いて、今年(2018年)3月5日に「Incredist Trinity」という製品を発表しております。iPadはとても便利なんですけど、決済するためだけにiPadを買ったら、とてももったいないですよね。6万円も7万円もして。

いろんな用途で、iPadを使いながら決済をする。例えば、POSレジ代わりにするとか。これは、非常にいいことなんですが、iPadを使うニーズがまったくなくて。それでも、NFCの決済対応とか(今後)そうなってくる人のために、Incredist Trinityという製品を発表しています。

こちらです。Incredistのここに、ぽこっとくっついているものになります。

少し動画で、内容をお知らせいたします。

(動画が流れる)

片山:このように連携しています。オートカッター付きプリンターが内蔵されています。こちらは、店員さんが操作するところです。もちろん、非接触ICにも対応しております。NFC決済ですね、今のところは。

Incredist Trinity(インクレディスト・トリニティ)②

片山:今年(2018年)の7月から、販売を予定しております。訪日外国人を考えると、先ほどのNFC決済は外せませんということで、プリンターも内蔵、バッテリーもオプションでつくので、持ち運んでテーブルチェックもできます。LTEも内蔵しておりますので、WiFiのない環境で、携帯の電波を使って決済するということもできます。

3月5日に、六本木ヒルズで発表記者会見を行っているんですが、なんとVISA社の本体からゲストが登壇してくださいました。なんで来てくれたかというと、VISAの新しいルールは、今までの……まず、そもそもの普通のクレジットにNFCができるというのが、日本だと、パナソニックさまと当社しかないんです。

なんで我々だけに応援で(記者会見に)出てくれたかというと、今のVISAの新しいルールで、磁気をこする、ICで暗証番号を入れる、非接触でいくという3つの決済方法を同時に待ち受けていけなきゃいけないというルールがあるんです。どこでやられても、反応(決済)しなさいと。この3月5日の時点では、パナソニックさんだと磁気で決済しますとか、ICで決済しますとか、NFC使いますということが、できなかった。

(それに対して)我々は全部同時につけたということで、「これはすごい」ということで、わざわざVISAの方が(記者会見に)出て、演説をしてくださったという次第でございます。

そのあと、パナソニックさんも対応完了ということで、追いつかれてしまいましたけれども。今のところ、私どもとパナソニックさんの2社で行うと見ております。

今年の平昌オリンピックでも、実はVISAのコンタクトレスといわれているNFC決済は、すごく使われていたんです。こんな世界が、もうすぐ日本にもやってまいります。

Pepper向けプログラムレスCMS「Scenaria/シナリア」①

続いて、コンサルティング&ソリューション事業とサービス事業を融合した、新しいソリューションの「Scenaria(シナリア)」をご紹介したいと思います。ロボットの、コンテンツマネジメントのソリューションになります。

購入されて3ヶ月くらいで電源が切られちゃう(使われなくなってしまう)「Pepper」が、すごく多いんです。同じコンテンツしか置いていなくて(使い道がないと)。

Webブラウザだけで、プログラムが使えちゃうんです。「こういう動きを(してほしい)」ということです。男性だとか女性だとかという、条件分岐もできます。

このAI機能というのが、全国何百店舗・何千店舗に散らばった「Pepper」を、集中管理できるということです。現時点で、英語と中国語に対応しています。

Webブラウザだけで、簡単にデモ(ソフト)が作れると。今、いろんな業種のお客さまからお問い合わせいただくと、有名な会社さまが相手だったりすると、簡単なデモソフトを作って「Pepper」で見せるんですけれども。

このソフト自体は、開発者が作っているのではなく、営業の女性スタッフが自分で、ブラウザで作っているんです。そのくらい簡単に、プログラム開発ができるところが特徴でございます。

Pepper向けプログラムレスCMS「Scenaria/シナリア」②

あと、多店舗で「3号店の『Pepper』だけこういうことをさせたい」とか、そんなコントロールができたり。例えば、1店舗に(「Pepper」が)2台いて、入り口の「Pepper」は案内係、商品の横にいるのは商品の説明をする「Pepper」だとして。

「キャンペーンの日、2台まとめて前(案内係)に出したいよね」といったら、昨日までは商品説明だった「Pepper」は、今日は案内係をしなきゃいけない。そういったコンテンツを、切り替えていく。時間で切り替えることもできるし、曜日も(切り替えることが)できるんです。土日だけ(案内係をする)とか、そのようなこともできます。

【事例】当社株主総会にPepper登場

正式発売は7月からだったんですが、これのデビュー戦が(2017年)6月28日の、私どもの株主総会でした。私の代わりに、「Pepper」が報告事項等を説明しています。決議事項は議長の私が行ったのですが……報告事項は(「Pepper」が行いました)。ソフトバンクさんの決算説明会も、たしか孫さんに代わって、報告事項は「Pepper」がやっていましたね。

また、株主総会の後に、毎年「事業説明会」という、株主の方に「当社は、こんな事業をやっています」「今年は、こんなことをしました」と(いうご説明会を)やるんですが。「Scenaria」については、「じゃあ、『Pepper』。『Scenaria』について、自分で説明して」と私が言って、このソリューション自体は「Pepper」が自分でしゃべって説明するかたちで、やっていました。

【事例】Inter BEE 2017 TBSテレビ様

また、昨年(2017年)の秋(に開催された)11月の国際放送機器展「Inter BEE 2017」では、株式会社TBSテレビさまのブースで(「Pepper」が)いろんなお手伝いをしていまして。トークショーが1日に何度も行われるんですが、そのトークショーの紹介です。「次に登壇されるのは、誰と誰だ」とか。

そんな紹介を、日本語・英語、あと中国語も、ちょっとがんばってやっていました。多言語対応のファーストトライアルがこの現場だったということで、非常に盛り上がりました。

医療機関での「Pepper」で共同研究 ~東京慈恵会医科大学、ジェナ社、当社~

また、東京慈恵会医科大学と提携しました。医療現場で「Pepper」がどう使えるかを検証していて、最終的にはちゃんと製品化していきたいと思います。

今、3つのテーマでやっています。1つは、検診センター(におけるコンシェルジュ)です。人間ドックなどの、いろんな案内です。

もう1つが、「白衣高血圧」という呼び名(症状)があるんですが。血圧の高い方が病院に行って、血圧を測ろうとして……「すごく高かったらやだな」なんて思いながら、病院の先生とか看護師さんを目の前にすると、本当に(血圧が)上がっちゃうんです。

本人のふだんの血圧に戻るまで、4回くらい測らないと、なかなか落ち着かない。1回ずつ、その間に1分くらい時間を空けるんですけれども、けっこう15分とか時間がかかって、先生や看護師さんを拘束してしまうというところで。

「Pepper」には、人の感情を、ある程度見分ける機能があるんです。「笑っている」「怒っている」「泣いている」「悲しんでいる」とか。

それで、「Pepper」が(患者さんと)いろんな会話をしながら、「あ、この患者さん、ちょっと和んできたね」「落ち着いてきたな」といったら、電子制御で、血圧計でぽんとシグナルを出して計測することを、今は実際にやっています。どれくらい役に立つのだろうというのを、今は実証実験中です。

あと、非常にハードルが高くて、だいぶ時間がかかりそうですけれども……(自然な対話の中から行う)認知機能検査。これがやっぱり、ものすごくお医者さんの手数がかかるので、問診の一部を「Pepper」でできないかということをやっています。

ちょっと、血圧(測定)の例を見ていただきましょう。

Pepper:ぼくは、Pepperという名前です。よろしくね。今日は、外は雨みたいだね。ここまで来るのに、疲れてない? ちょっとここで、ひと休みしていてください。

片山:この間、カメラで(患者さんの)感情認識をやっています。

Pepper:ねえ、知ってる? 血圧って、1拍ごとに変わるんだよ。今、この瞬間の「血圧は……」って言ってる間に、もう次の瞬間には変わっていることもあるんだって。ぼくなんて、電源スイッチを押されたら、いきなりガクンってなっちゃうんだもん。

片山:喋りながら、ずっと表情を読んでいますね。

Pepper:じゃあ、そろそろ血圧の計測を始めるね。リラックスしててね。はい、終わりました。お疲れさまでした。次は、いつ会えるのかな? 楽しみにしてるよ。

片山:看護師さんって、世の中の労働基準法でいうところの、一番ブラックに近いくらい……労働環境が悪いです。本当に(人が)足りないんです。なので、こんな15分の計測でも、それが「Pepper」でやれるなら、ずいぶん楽になるので。そんなことができるんじゃないかと思って、今いろいろ実験をしています。

続いて、検診センターです。

(動画が流れる)

片山:どちらかと言うと、「Pepper」は英語が流暢なんですね。今、当社の会社の受付に「Pepper」がいるんですが、お客さまがいらっしゃると「いらっしゃいませ。受付をお願いします」と話して、登録してある社員の顔を見ると「お疲れさまです」と言うところまでは、教育が進んでいる感じになっています。

総務省副大臣、Pepperの血圧測定を視察

このソリューションとか、さっきの血圧のソリューションは、けっこう話題になりました。昨年(2017年の)暮れには、総務省副大臣がわざわざ見にくるというような出来事がありました。実際に坂井副大臣がここで、(血圧を)測っていったと。医療の現場でのロボットということで、総務省がとても気になっていると。なんで厚生労働省じゃなかったのかが、わからないですけどね。

【セミナー】ロボット×AIが創る未来のソリューションセミナー開催

昨年(2017年)12月には、提携しております株式会社ジェナさまと共同で、ロボットのセミナーを開催しています。アイ・ビー・エムさまからも、ゲストスピーカーが出ております。

ECソリューション事業の戦略と結果①

続いて、ECソリューション事業ですね。こちらは、「お店とメーカーをつなぐ」「お店と問屋をつなぐ」ソリューションのものを売っています。東京にいると、コーヒーを飲むのもStarbucksとかTULLY'Sとか、そういうのがいっぱいあると思うんですが。

地方に行ったら、この部屋の半分ぐらいで、おじいちゃんおばあちゃんがやってる喫茶店なんか、いくらでもまだ残ってるわけで。そういうところって、パソコンもなにもないんです。そうすると、豆の発注とか冷凍ピラフの発注とかを、例えば電話でとかFAXでやってるわけです。

そういったものを、電子化する。スマホが1つあれば、ブラウザでぴぴっとボタンでできると。そのようなことを、いろんな法人に提供しているのが、この「EC-Rider」というソリューションでございます。

ECソリューション事業の戦略と結果②

計画通りに事業そのものが推移しておりますし、カスタマイズ案件、倉庫管理、基幹システムとの連携のようなことも一緒に、今はやろうとしているんですが、これもけっこう案件が増えております。そして、兄弟会社である、フライトシステムコンサルティングや、また大手SIerとの共同提案も進んでおります。

けっこう、いろんなところで使われていて。変わったところでは、100円ショップのキャン・ドゥさんです。キャン・ドゥさんが、やっぱりコストをかけられない中で、海外との出店先と取引するのに、コンテナ1箱でいくらかということをやっています。

EC-Riderのアライアンス

あと、法人取引なので、クレジットカード決済になかなかいかないので、売掛金をどうやって回収するか。(これに特化した)売掛金回収代行の「Paid」というサービス、それから「portia」。この2つのサービスと連携しています。発注する側にも与信権限ができて、例えば、平社員だと1日30万円まで、部長だと100万円までとか。そういった人ごとに権限を管理していくことができます。

【導入事例】「コロコロ(R)」のニトムズ様

開示されている事例としては、お掃除用具の「コロコロ(R)」。ニトムズさまの製品の販売であったり。

【導入事例】フーヅフリッジ様

フーヅフリッジさまという、UCCグループの会社です。全国の喫茶店とUCCをつなぐサービスとして、使ってくださっております。

2019年3月期 連結業績予想

このような1年を経て、じゃあこの(2018年)4月からの我々の1年間は(どうなるのか)ということになりますが。

連結業績予想としては、売上高で25億円、経常利益で2億5,000万円。実は、これは去年の開示と一緒なんですが。前期はそこに達成できなかったので、今期はまずこれを最低限の売上にしようということで、考えています。

C&S事業の戦略

それぞれのセグメントの戦略といたしましては、コンサルティング&ソリューション事業に関しましては、引き続き物流系で、ものすごく仕事がきています。物流~倉庫管理~在庫システムですね。今期はこのセグメントで、売上の半分ぐらいは物流系になるんじゃないかなというぐらい、ものすごくそのセグメントが伸びてます。

それから、新しい楽曲配信サービス。これは、先ほどお話ししたAndroidタブレットの有線放送。これを、今お客さまが展開しているのですが、さらにいろんな機能の追加等をするということです。あと、クラウドサービスへの移行(支援)サービスです。

あと、技術者の採用強化。そして、新卒が3年連続でけっこう採れているので、若者の積極的な登用ということも、やってまいります。ちなみに先ほどの「Senaria」というのは、一昨年(2016年)の11月に、その年の4月に入った1年生が、もうすでに勝手に自分で研究して、作っているんですね。

あるとき、「社長、見てほしいものがあります」と言うので、見たらこんなのだったと。「これはすごいね」というので、商品化したのですが。去年の新卒と今年の新卒は、みんなエリートなんです。こういう若者も積極登用しながら、やっていきたいなと。

そして、ロボットのさらなる展開。「Pepper」に限らず、いろんなロボットが出てきています。そういったところの、コンテンツマネージメントの展開。それから、最近増えてきているのが「iBeacon」というBluetoothを使って、位置情報がわかるという技術。こういったものも(お客さまからの)相談が出てきてますのでやっていこうかなと思っています。

「iBeacon」というのは、みなさまの発信……スマホなんかの電波を見ながら、「今、近くに誰がいる」とか「何人いる」とか。距離によって、「すぐ目の前にいる」とか「1メートルぐらいの圏内にいる」とか「あと15メートルぐらい離れている」とか。3段階ぐらいで距離がわかるので、いろんなサービスに活用できるというところでございます。

サービス事業の戦略

サービス事業部の戦略でございます。幅広い決済ニーズに対応するために、まず2010年から、モバイル決済ということで進んでまいりました。それを据置型(にした)、さっきの新製品Incredist Trinityを投入していくと。

それから、決済パートナーの拡大をやっていきたい。

そして、新しいビジネスモデルとして(ストック型ビジネス)。今まで、私どもは去年の3月期が31億円とか(でしたが)物販でしかないんですね。決済装置とソフトになっていましたが。

これも、2020年までに、政府は北海道から石垣島まで(日本全国で)全部クレジットが使えるようにしようとしてますので、だんだん市場は拡大していくと。入れ替え需要があるんでしょうけど。そうなった時にでもちゃんと利益が出るように、使われた分だけ手数料がちゃんと、うちに入ってくるということで、新しいストックのビジネスもスタートすると。

それから、ロボットの市場で「Scenaria」をスタンダードにしていって、いろんなところに使っていただければと思います。いろんなロボットを作っている会社さんが、うちの会社では、それなりにコンテンツマネージメントができております。

当社決済ソリューションの戦略

決済ソリューションの戦略について、具体的なところで言うと、決済端末の種類としてはIncredist Trinityを販売します。今年(2018年)の7月から開始する予定です。(パートナー&ビジネスモデル拡大は)接続するカード会社の拡大ということです。

三井住友カードと包括加盟店契約を締結

今まで、三菱UFJニコスの1社接続だったのですが、先週発表させていただいておりますが、三井住友カードと提携をいたしました。これからは、三井住友カードへの接続もございますと。

いろんな大手企業さまって、だいたい三菱系か三井住友系でございます。あとは、みずほも入りますけれども。だいたいの会社さまの、資本系列だったりメインバンクの系列であっても、対応できる体制になりましたと。そして、2020年超えを考えた手数料収入の徴収という意味では、三井住友カードさまとの間で、包括加盟店契約という契約を結んでおります。

これはなにかと言うと、お店と三井住友カードの間に当社が入って、そこでお店の管理をする場合に、我々も手数料を取らせていただくということでございます。これは、我々としては悲願でした。物販から脱却して、金融収入が上げられるということが、2010年からずっと(悲願で)それになんとかトライしようとしていました。

我々は、カード会社でもないし、金融免許もない会社が取るのはなかなか難しかったのですが、ようやく理解を示してくださった企業さまが現れたということです。

すでに、三井住友カードはけっこう進んでいて、さっきのNFC決済にも対応している、数少ないカード会社です。なので、最先端のNFC決済ができて、さらに手数料が取れるということですね。我々としては、非常にいい提携ができたなと考えております。

ECソリューション事業の戦略

ECソリューション(事業の戦略)に関しては、引き続き、だいぶいろんなことを知っていただけるようになったので、拡販をしてまいりたいと(考えています)。このECソリューションの特徴は、他社と違ってBtoBのeコマースなんですが。

お客さまの要望で、いろいろなカスタマイズができるんですね。なので、最初に受注すると「開発」というフェーズに入りますと。稼働を始めると、ASPとして月額利用料が入ってきますので、お客さまの数が積み上がっていく。そうすると、自然と月額でちゃりちゃりと入ってくる金額が、増えていくということで。

もうあと1年ぐらいがんばると、月々に入ってくるお金がいいかたちになってくると。今年は、踏ん張りどころですね。顧客を、どれだけ引き上げられるかというところだと思うのですが。

このような3セグメントの戦略で、売上高で25億円、経常利益で2億5,000万円という壁に向かって、走っていきたいと考えております。

非常に駆け足でございますが、私どもの過ぎ去った1年間と、これからの1年について、ご説明申し上げました。ありがとうございます。