目次

石川泰彦氏(以下、石川):みなさん、こんにちは。今日はお忙しい中、ありがとうございます。それではさっそく、説明会の資料に沿いまして、私からご説明をさせていただきます。

まず、資料の中身なんですけれども、最初に2018年3月期の実績。2番目に新経営ビジョンと重点戦略。3番目に今期、2019年3月期の業績予想。これらの点についてご説明をさせていただきます。

業績ハイライト

そうしましたら、まず昨年度2018年3月期の結果でございますけれども、まず売上高、こちらは13.6パーセントの増収。営業利益は14.6パーセントの増益という結果でございました。両方とも、ご覧になっていただきましたらわかります通り、当初出しておりました業績予想を上回ることができました。

左下の経常利益でございますけども、こちらも14.8パーセント増ということで、同様の成長を成し遂げることができました。当期純利益は9.6パーセントの増益ということで、これも予想を上回ることができました。

業績増減要因:売上高 前期比

今申し上げました、売上高に関しての増減の要因でございますけれども。全体としては89億1,500万円増えたわけですけれども、その中身を見ますと、医療事業で27億円。医療事業としては、5.5パーセントの増収ということでございました。5.5パーセントというと、そんなに大きくないように見えますけれども、私どもの医療の受託といった業態に関しましては、それなりの成長率かなと思っております。これらは、新規受注及び派遣の部分が、引き続き好調に推移したということでございます。

介護でございますけれども、やはり全体としては伸び率・額としても、一番大きく伸びました。(金額としては)約60億円で、率としては48.4パーセントという成長率になりました。これは主として、M&Aによる事業所の増加。また、既存の事業所も利用者さんの数が順調に増えましたので、そのあたりが貢献をしたということでございます。

業績増減要因:営業利益 前期比

続きまして、営業利益の増減要因でございますけれども。全体としては5億3,400万円増えたわけですけれども、ここではやはり、従来同様、医療が一番大きく貢献をしてくれました。6億5,000万円です。医療の営業利益の成長率といたしましては、約13.1パーセントということでございます。

その主たる要因は、生産性向上と。現場における生産性の改善ということを、いろいろやってまいりましたので、それが一番大きく貢献をしました。その他にも新規あるいは派遣の増収というところからくる効果も、ございました。

一方で、私どもは積極的に処遇改善といったような人材投資をやっておりまして、これは当然コストですのでマイナスに効くわけですけれども、そこを含めても13.1パーセントの営業利益の増益を達成したということでございます。

介護は、金額といたしましては、1億9,200万円の増益でございました。率としては26.7パーセント。これは、増収効果、生産性向上。一方で、介護も医療と同様に、人材投資というところを積極的にやってまいりました。

やはり、一番大きなといいますか非常に大きな、いわゆるこの部分でマイナスとして上がってくるのが、M&Aの一時費用でございます。積極的にM&Aをやってまいりましたので、その分の費用がかかったと。先ほど見ていただきましたように、売上では大きなプラスということでしたけれども、利益という面では、どうしても一時費用がかかってまいりますので、こういう結果になったということでございます。

その他、一番右側の全社費用のところでは、私どもは人材採用・人材投資というのを積極的にやっておりますので、その部分が一部費用としても増えたということでございます。

医療関連受託事業(四半期業績)

次のページをご覧いただきましたら(おわかりのように)ここからは、医療関連受託事業の中身を見ていきたいと思います。ここは、四半期(業績)の表現になっておりますので、ご注意願います。

まず、左上の売上高。一番最近の第4四半期で、5パーセントの増収ということになりました。第1四半期からずっと、5パーセント台を維持した成長率を達成することができました。

その一部をなしているのが、右側にあります、派遣売上の成長率でございます。ずっと20パーセントを超える……ときによっては30パーセント台の前年同期比の成長率だったんですけれども、第4四半期には派遣ですので、稼働日というのがけっこう効いてきます。そういったような影響もあって、少し下がったように見えますけれども、20パーセント前後の成長を維持しているというのが足元の状況でございます。

左下には営業利益を四半期ごとに書いてますけれども、一番最近の第4四半期で営業利益率11.2パーセント。これは、今までで最高の営業利益率を達成したということでございます。

右下に、離職率の……数字は出してございませんけれども、方向性というかたちで示させていただいております。私どもは、いろんな意味で総合指標的なものとして、離職率を非常に重視しておりまして、着実に下がっているということでございます。このあたりは、私どもとしても、大変喜んでいるというところでございます。

介護事業(四半期業績)

続きまして、介護事業でございます。左上の売上高が大きく伸びて、第4四半期は80パーセントを超える伸び率を達成したと。これは、上にも書いてますように大型M&Aベストケア、ケアリンクを昨年(2017年)の10月、11月でクローズできましたので、そこが大きく寄与したということでございます。そのことが、右側の利用者数の伸び等にも反映されているわけですけれども。

同時に、そんなに大きくは見えませんけれども、いわゆる既存。新たにM&Aで付き合ったところでなしに、オーガニックの部分につきましても、きっちりとした伸びを維持していると。後で申し上げますけれども、そういうことが前提としてございます。

右下の施設系の入居率に関しましても、引き続き90パーセントの半ば前後以上の入居率を維持しているということでございます。

左下の営業利益でございますけれども、点線と実線で2つの折れ線グラフがございます。実線が、実際の営業利益率。点線が、M&A等の一時費用を除いたといいますか、そこを調整した数字を示しております。

その両方が、第4四半期に4.6パーセントというようなかたちで(現れており)点線はその前よりも下がったように見えてございますけれども。(原因については)今年の冬はけっこう寒くて、場所によっては雪とかインフルエンザ、こういった問題が出て、利用者数あるいは利用者さんが我々のサービスを受けに来られる(回)数が減ったという影響があったことが、このグラフに反映されているということであります。

しかしながら、4.6パーセントを達成できた(という)こと(です)。あるいは、営業利益の額という意味では、きっちりしたかたちで終われたんじゃないかなと思っている次第です。

介護事業:開設・M&A実施時期別の業績

今、少し申し上げましたが、M&Aを積極的にやっているものですから、どの時点で我々のアセットになったかという、開設及びM&A実施時期別にアセットの売上、あるいは利益を、次の9ページで見ております。

棒グラフで4Q①、②、③とついてございますけれども。①というところが、2016年3月期以前から我々の事業アセットとしてある部分。②が、2017年3月期に新たに我々のアセットになったところ。③が、昨年度M&A等を通じて我々のアセットになったところ。そこからできている棒グラフでは売上高(を示しているの)です。

その右側の表で、売上高と営業利益の状況というものを記載しております。右側の表を見ていただけましたら、①というところ……2016年3月期以前売上高のところは、3.1パーセントの伸び率を示しましたということです。いわゆる、以前からあるアセットの売上の伸び率が、3.1パーセントでしたということです。営業利益は計画通り。

2017年3月期(②)に関しましても、売上高が大きく伸びて112パーセントの増収と。営業利益のほうは、計画通り。

そして、③の昨年度の新たに加わったところ。これは最近ですので、率がうまく出せませんけれども、こういった22億9,100万円という売上を、昨年度計上しました。営業利益のほうは、計画以上と。

営業利益はコストの配分がありますから、なかなかそこが恣意的になりますのでどうしても数字では出してませんけれども。こういった計画通り、あるいは計画を上回るようなかたちで、推移しているということでございます。

新経営ビジョン:目指す会社の姿

続きまして、次のセクションに入らせていただきます。新経営ビジョンと重点戦略ということで、新しい経営ビジョンについて少しお話しさせていただいたあと、M&A、そして生産性とクオリティーの向上というところで、人に関するところとITに関するところをお話しさせていただきます。

(2018年)2月に、新しい経営ビジョンを発表いたしました。ビジョンのクオリタティブなところは今(こちらのスライドに)出しているようなかたちですけれども、

新経営ビジョン

次の12ページで、売上高3,000億円・営業利益200億円。これを目指していくんだというところで、出させていただきました。

もう1点、ぜひ見ていただきたいのが……ちょっと字が小さいですけれども、その数字の右のほうですね。売上高は、医療で1,000億円、介護で1,500億円、まったくの新規で500億円というようなところを目指しております。すなわち、もしこの経営ビジョンが達成できれば、売上という面に関しましては、少なくともソラストは介護のほうが大きい会社になるということでございます。

あと下の四角に書いているところで、1つは人海戦術で続けるというよりも、やはり(サービス業の)デジタルカンパニー(に脱皮して)IT、こういったところをとことん使って生産性を上げていく必要があると。さもなくば、どこか別の会社がそういうやり方で我々のビジネスを取っていっちゃうのではないかというような考え方を持っています。

そして、2つ目。これも非常に社内でも盛んに言っているんですけれども、生産性2倍、処遇2倍ということでございます。

やはりみなさま方もよくご存じのように、我々の業界、医療事務の業界も……あるいは介護の業界も、仕事の中身に比して処遇が良くないということ。したがって、人材の採用というところも難しいのではないかと言われています。ぜひとも、よりフェアな処遇を実現していきたい。そのためにも、生産性というのは欠かせないんだということで、取り組んでいる次第です。

介護事業:M&Aの状況及び今後の方針

さて、重点戦略の1つ目としてM&Aでございますけれども、14ページでございます。

ここには、昨年(2017年)後半に大型の案件ベストケア、ケアリンクがクロージングできたということで。その直後から、真ん中に書いてますようにフォーカスはpost merger integration(PMI)ということで、買収後の統合と。それによるシナジーの早期実現というところに取り組んでまいりました。やはり、これをしっかりとやったうえで、さらに次の買収案件により積極的に取り組んでいきたいということでございます。

今もそれが続いておりまして、今年度の第1四半期は、軸足はそこにおいてやっていきたいと。足元は、非常に良いかたちになっておりまして、早期にこれがめどをつけられるんじゃないかというような感触を持っております。

介護事業:PMIの状況

それを示す1つとして、15ページを見ていただけましたら(おわかりのように)、我々シナジーと言ったときにはいろんな分野がシナジーがございます。例えば、人の採用というのは非常に重要ですけれども、総じて我々の買収対象になる会社よりもソラストのほうが、採用力があります。したがって我々の中に入ってこられれば、採用という面でのメリットが出せると。あるいは、規模という面でもほとんどのケースで我々のほうがIT化というものには、よりメリットが出せます。

そして運営のノウハウ、経営力という面でも、プラスが出せる。あるいは、その買収対象の会社さんの地域性とか、どういったアセットを持っておられるかにもよりますけれども、いろんな意味で地域の補完、それが出せるとか。当然のこととしては本社費用、これが二重にかからないわけですから、それに対してシナジーが出せるということでございますけれども。

この左側に、採用という面でのメリットの実例として、例えばベストケア社。我々のグループに入ってから、応募者数が1.4倍になりました。それから、運営ノウハウの一部として、入居率というのがケアリンクのケースでは、非常に改善してきているというような実例がございます。

介護事業:開設・M&A実施時期別の業績推移

次のページでございますけれども。昨年度もそうなんですけれども、今年度も左側のグラフで売上高の伸びというところに、いかにこの濃い青のところの面積が多いか。この濃い青の面積というのが、実はベストケアとケアリンクから出てくる売上の動きです。したがって昨年度買収したこれらの案件が、売上の成長を牽引するということでございます。

同時に、営業利益のほうも同じなんですね。2018年3月期、昨年度におけるこの2社の営業利益の貢献というのは、そんなに大きくなかった。それは、一時費用が発生したからですね。ところが今年度は、右側のグラフを見ていただけましたら(おわかりのように)青い濃い面積が大きいと思いますけど。やはり介護、あるいは我々全社としての営業利益成長に、このベストケア社およびケアリンク社が非常に貢献するということでございます。したがって、先ほどから申し上げておりますように、ここを確実にしていかなければいけないということでございます。

重点戦略

さて、次の生産性のクオリティーということでございますけれども。まずは、人への取り組みということで、これは従来からずっと申し上げてることにもなるんですけれども、今回は2つほど別の実例を示したいと思います。

18ページに、従来から申し上げているように、我々ソラストのコスト構造を見ると、90パーセントは人件費なんだということは(おわかりいただけると思います)。費用は、人件費しかないと、人しかいないと。だから、会社として物事を達成していく手段としてのリソースというのは、人しかいないんだと。そのため、人に関する施策というのをやらない限り、なにもやってないに等しいんだと。

人に関する施策というと、トレーニングと人材採用、人材のアップグレードっていうことにつきてきます。したがって、我々事業の現場ではトレーニングという点にものすごくフォーカスをしております。

医療関連受託事業:トレーニング成果の事例

次の19ページに、今回は立川支社という、東京の立川にある支社の例を示しております。「実践的な組織運営プロセスとコミュニケーショントレーニングにより、組織運営が『正のスパイラル』へ」と書いてありますけれども。とくに、ここでは離職率(にご注目ください)。右のグラフを見ていただきましたら、離職率が8ポイント改善したと。とくに、右下の1年以内に入社した人たちの離職率が、大きく改善したということなんですね。

これが、どういうことでそういうことが起こったのかというのが、左下のところ(に書いてあります)。組織運営プロセスとコミュニケーショントレーニングの実践ということで、離職を防ぐための面談の仕方。極めて……なんというんですかね、地に足のついたというか、そういうことなんですけれども。こういうことが、現場では効果を発揮します。極めて、日常的といいますか、現実的な内容なんですけれども、それが大事だということなんですね。

そういうトレーニングをやることで、この右側の結果が出てきているということです。離職率が改善すると、いろんなことが良くなります。当然、現場のオペレーションは安定してきます。そして、業務のトレーニングが(活きてくる)。せっかくトレーニングしても人が辞めれば、何の意味もないわけですので。やはり業務のトレーニング自体が、活きてくるわけですよね。

そういう中で、生産性改善ということで、ジョブローテーション。つまり、ジョブローテーションしようとすると、1つの業務だけじゃなしに、2つ3つの業務を覚えてもらわんといかんということが起こってくるわけですね。そういうことが、上手く回るようになったり、そしてみんなが「本当にこんな仕事必要なんですか?」というような考え方を、出すようになってくる。こういったことで、生産性が上がってくるというようなことなんですね。

これは非常に、立川支社のある病院(に反映されています)。私も実は、この病院に何度も行って、個々の責任者とも何度も会って。しっかりしてる責任者なんですけれども、一時は、もうだめになっちゃうんじゃないかなと、心配するようなあれだったんですけれども、もう本当に変わりました。

医療関連受託事業:トレーニング成果の事例(業績の改善、処遇の改善)

20ページに、もう1つの例(を挙げています)。これは、以前にも少し出した例なんですけれども、広島支社なんですね。いろんなトレーニングを引き続きやってくれています。そして、支社全体が、大きく変わってまいりました。その中身といいますと、例えば左上の社員意識調査。これ、毎年36~37問の質問を全社員にアンケートでやっているんですけれども。基本的にはこれは、モチベーション調査なんですね。

それが以前は、45支社中42位だったんですね、広島支社。今は1位です。給与は以前に比べて13パーセント上がり、給与が上がるということは、コストが上がるということですね、我々にとっては。しかし、それでも支社利益率が2.7倍になっているという。支社の売上も39パーセント、以前に比べて伸びているというようなことですね。

先ほど前のページにも出しましたが、正のスパイラルというふうに言っております。これはどういうことなのかといいますと、結局、以前からよく聞いている話というのは、例えば50人で仕事をしていたところ、ご存じのように離職率も高いんで、5人辞めて45人になりました。

その45人になったということを、「欠員です」「大変です」「残りの人たちの残業が増えてます」「お客さん、文句言ってます」「欠員じゃないかと言われてます」と。こういうようなかたちで捉えてるというのが、負のスパイラルということです。

そういうケースでは実際に、残業も上がってます。みんなのモチベーションは下がってます。ところが、同じ50人が45人になったというところを、「いや、これは生産性だ」と。人が辞めたり、減ったという理由はいろいろあるかもしれないですけども、それをやっぱり生産性なんだと。

生産性を上げて初めてみんなの給与が上がるんだと、だから給与も上げていこう。そして、生産性が大事なんだという前向きな取り組み姿勢、これが起こっていくと、残っている45人の残業が減るんですね。

モチベーションが上がるんです。お客さんから見ても、良くなったねと言われるわけです。この違い、これを正のスパイラルというふうに言っております。今どんどん、我々ソラストの中では、この正のスパイラルに移行していく部分が増えてきたということでございます。

徹底したIT/デジタル化:初診受付登録システム(医療)

続きまして、生産性とクオリティ、もう一つ重要なのはITということでございますけれども。いくつか、例をお出ししたいと思います。

22ページには、これは医療の例なんですけれども、初診受付登録システムということで、これは沖電気工業さんと一緒に取り組んでいるものなんですけれども。病院に初めて来られる患者さんは、従来紙に名前とか保険証番号とかいろいろ書いてもらって、それを窓口に持ってきてもらって打ち込むわけですよね。

そうじゃなしに、患者さんご自身でやってもらおうというんで、保険証をスキャンしてもらう。あるいは、スキャンできない部分については、ご自身で簡単に大きな字で分かるようにして、打ち込んでもらうと。まあこういう話ですわ。

全然、世の中のあれから言えばプリミティブな話なんですけども、でもこれによって、やはり患者さんの待ち時間とか(が減る)。あるいは、誰かが紙を見ながら打ち込むと、必ずミスが出るんですよね。1回ミスを打ち込んで、ミスが出ると、それがずーっと後々まで、保険の請求までミスで行っちゃうわけです。

そういうことが、我々がこれを使ってやったテストで、そういうミスもなくなったというようなことで、これはいけると。患者さんの待ち時間も下がったということで、今年度・来年度にかけて、大きく横展開していこうと考えております。

これは、非常に簡単なシステムなんですけども、病院さんは、こういうものを持ち込んで自分とこの医事システムに連携されるのを嫌がるわけですよね。(その状況でも)なんでやってくれるかというと、我々が中で一緒に仕事をしているからなんですよね。

やはり、我々がこれを使ってその中で一緒に仕事をしているわけなので、「それだったら」ということで、やっていただけるということです。これは私の私見ですけれども、どっかコンピューター会社さんがこんなのを持って「便利ですよ」と言っても、おそらく病院さんは受け付けてくれないと思います。

徹底したIT/デジタル化:デイサービス用介護記録システム(介護)

2つ目の23ページですけれども、こちらは、介護のデイサービスの方で、これ以前にもちょこっと出したかもしれないんですけども、私どもの株主にもなっていただいている、インフォコムさんが開発してくれたものです。介護のフォーマットについては、書き写さないといけない。データの中身はまったく一緒なんですけども、フォーマットが違うということなんですね。

それを、このシステムでデータさえ入っていればパパパパっと別のフォーマットに作り替えてくれるということなので、ここに書いてますように転記とか記録とか、転記作業が120時間から40時間に下がったということで、これはすでに、全事業所に導入済みということでございまして。これも、大したシステムではないんですけれども、こういうものの積み重ねが大事だと思っています。

徹底したIT/デジタル化:次世代採用管理システム、AIテキストマイニング

次の24ページは、今度は採用と離職に関するものです。左側に書いていますのは、次世代採用管理システムということで。採用のプロセスというのは、けっこう煩雑なプロセス……応募者さん、応募してくれる人たちの登録から、ちょっとした試験をして、それで採用をするかしないかのディシジョンを云々ということで、そういうことを管理するシステムということと、もう一つは、適性診断。

要するに、来た人に一定の試験をちょっと受けてもらって、それを(判断の)ベースにした時に、この人が本当に医療事務に向いているのかどうか、ソラストの仕事に向いているのかどうかの判断なんですね。今まではもう、面接者が自分で地域地域でやっていたわけですけども、その判断のシステムを入れました。

面接している時、その試験結果でパッとデータ上に、この人が、ここにも書いてますけども。上手く合わずに、早期離職する可能性が80.3パーセントありますよと、例では示しているんですけども、そういったかたちで出てくるんですね。

採用の判断の支援システムということです。これの良いところは、データをどんどんどんどん積み重ねることで、より精緻化出来るということなんですよ。採用したけど、結果どうだったかということを、このデータベースの中にどんどん取り込んでいくことで、より精緻な判断ができるようになっていくということなんですね。採用に関しては、こういったデータの活用に関しては、過去できてませんでした。これをできるようにしたという点で意味があると。

そして、右側はAIテキストマイニングということで、NHKでも取り上げられたと思うのですが。データマイニングということで、新しく入ってくれた人に何回も面談します。

面談して、「私はこういうことで困ってます」ということを、自由記入欄に書いてもらうんですよ。そのテキストを、AIと呼んでいるこのコンピューターにかけることで、そのテキストの中身を見て、この人が退職するリスクを判断してくれるというものなんですよ。

これも、データが溜まるにしたがって、より適切な判断ができるようになるという利点があります。実際、今のところ本当に役に立ってるのかを、検証したんですね。そうすると、このシステムが「この100人はリスクがあります」と言ってはじき出したその100人の中で、50人には「危ないからすぐ面接しろ」と言って追加の面接をしたんですよ。そして、残りの50人には、何もしなかったんですね。

そして、その後3ヶ月の様子を見てみると、「危ない」とAIが指摘してきっちり面接をしてフォローしたケースの方が、離職率が半分になりました。それは、統計的にも有意差があるということが出ましたので、役に立つかなということで、今はどんどん活用を進めているわけです。

2019年3月期 業績予想

さて、次のセクションとして、今年度2019年度3月期の業績予想についてお話をさせていただきます。26ページの右側でございます。

まず、売上高の予想が836億3,000万円。前期比として12.5パーセントの伸び率。営業利益で47億4,300万円、13.2パーセントの伸び率。経常利益で12.5パーセントの伸び率。当期純利益で8.2パーセントの伸び率。こういった予想を出させていただいております。

業績増減要因:売上高 予想

次のページにその中身、増減の要因の予想をつけております。見ていただいてわかりますように、売上で一番大きく伸び率という点で、あるいは増額という意味で一番大きく貢献するのは介護で、70億円を越えるものを予想しております。そして、介護の売上成長率が38パーセントということですね。これは昨年度買収した案件のここからの売上ということで、英語で言うとすでにin the poketというもので、確実にあがっていくというものでございます。

医療も3.7パーセントの増収ですけれど、これもまずまずかなと思っております。ただ、やはり会社全体として売上成長を牽引するのは、介護だということでございます。まだ小さいですが、その右側の保育も、実は認証から認可に変えることで拡張もしてますので、きっちりと昨年度の投資は回収できると考えております。

介護事業:投資⇒利益成長の好循環の確立

それで、次の28ページに、ちょっとややこしいチャートをつけております。どういうことかと言いますと、昨年度元々の予測で16億円……一番左が前々年度(2017年3月期)の介護の売上で、(真ん中の)昨年度(2018年3月期)の介護の売上予想は158億円に出しておりました。その伸びの要因の1つとして、昨年度に行ったM&Aからの売上。これを、16億円というふうにしておりました。

結果どうだったのかと言いますと、それを28億円上回る結果を出すことができました。それは、先ほどから申し上げているように、それなりに大きなM&Aができたということでございます。

さて、今年度(2019年3月期)なのですが。実は、今年度の介護の売上予想を257億円と出しておりまして。昨年度からの成長の一番大きな部分というのが、昨年度の買収案件からあがってくる、57億円ということでございますけれども、実は今年度のこれからやるM&Aからあがってくる売上増というのは、10億円だけ見込んでおります。

当然の話として、「たった10億円なのですか?」と言われかねないと思っております。昨年度もそうであったように、当然我々の中では、それ以上のものを目指しているということでございます。「どれぐらい、その上をいくんですか?」というようなご質問もあろうかと思いますけれども、それはなんとも言いがたい……M&Aという非常に相手さんのある事柄ですしね。ただ我々としては、昨年もそうであったように、今年度も当然上を目指していきたいという考えでございます。

業績増減要因:営業利益 予想

一方、次のページの営業利益の予想でございますけれども、全体として5億5,400万円の増益というのを目指しております。

その中身として医療から3億9,800万円、約4億円。これは、成長率で7.1パーセント。ただ、介護で7億8,600万円という(ことで)医療を大きく上回る増益額を予想しております。介護自体の営業利益の成長率としては、85パーセント。実は、介護が営業利益の成長額で医療を上回るのは初めてです。そういう意味で、介護で行っている投資がリターンとして返ってきはじめるということで、我々としては非常に重要な年になると考えているわけです。

一番右のところで、(その他・)全社費用で6億9,200万円というけっこうな金額を増分であげているのですけれど。これは、積極的なIT投資や採用をやっていきたいと、両方とも投資ですので、しっかりやっていきたいと考えております。

医療関連受託事業:生産性⇒投資⇒利益成長の好循環の確立

そこについて申し上げておきたいのが、30ページです。先ほどと同じように(お示ししています)。これは医療なのですけれども、医療の前々年度(2017年3月期)の営業利益が49億5,000万円、昨年度(2018年3月期)が56億円でした。どういうふうにそういう数字になったかと言いますと、やはり生産性の改善ということで、大きく結果を出しました。そこでの結果は、人材投資・処遇改善ですね。それから、IT投資に回してきたと。その結果として、56億円という昨年度の営業利益があがりました。

今年度(2019年3月期)に関しましても、我々は昨年度以上の生産性改善、これを実現したいと考えています。そして、そこであがったものを昨年度以上に積極的に人材投資・処遇改善、あるいはIT、そのあたりに回していきたい。そういうプラスマイナスをした結果として、医療の営業利益が60億円というかたちになっているわけです。

介護が今、昨年度から大きく貢献してくれていますので、医療も今後の利益成長のために、しっかりと投資していきたいと考えている次第でございます。

EBITDAの推移

次の、31ページに(記載していますが)M&Aが増えてくるとどうしても、あるいは買収先のアセットの減価償却というものが増えてまいります。したがいまして、キャッシュベースのデータをここに載せております。

見ていただきましたらわかりますように、右側の売上高EBITDAマージンというのは、過去の(2017年3月期の)6.5パーセントから昨年度(2018年3月期は)7パーセント、そして今年度(2019年3月期の)予想は7.6パーセントと、着実に増えておりまして、我々のキャッシュをジェネレートする力はしっかりとあがってきているのかなと、そういうふうに考えている次第です。

株主還元・資本政策

続きまして、32ページに株主還元・資本政策がございますけれども。従来同様、配当性向は50パーセントを目安にしていきたい。今までのところ、おかげさまで確実に利益の方が成長してきましたので、毎年増配をさせていただいております。

ROEは、20パーセント超を維持していきたい。ただし、株主のみなさま方にとりましても、ソラストの(長期的な)企業価値の最大化、これが一番重要だと考えております。大型M&A、あるいは他の長期的な企業価値をさらにあげていくような機会がありましたら、配当性向を含めた資本政策は、積極的に柔軟に見直していきたいと考えている次第です。

1株当たりの配当額は、48円を予定しております。ちなみに、昨年度の配当額というのもまだ予定段階ですけれども、年額45円を予定しております。

ちょっと時間を取ったかもしれないのですけれども、私の説明は以上とさせていただきます。どうも、ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:EBITDA倍率について

質問者1:大和証券のコジマでございます。お世話になっております。ご丁寧なご解説ありがとうございました。中計等も絡むんですけれど、まず介護事業の買収する際のEBITDA倍率は、今トレンドとして、どうなっているのか。また、今後1,500億円まで売上を増やしていくんですが、その際の投資額というのは、どのぐらい見ておけば良いのかという点です。これが、まず1点目でございます。

2点目なんですが、医療事務の分野と介護の部分で分けた場合の、ベースとなる労務単価というのは、今後どれぐらいのペースで上昇していくのかを、教えていただけたらと思います。以上、2点お願いします。

石川:はい、ありがとうございます。そうしましたら、一番最初の今の買収のEBITDA倍率を、藤河さんからよろしくお願いします。

藤河芳一氏(以下、藤河):はい。ご質問ありがとうございます。お答えからさせていただきます。EBITDA倍率は、基本的に8を切るかたちで必ず買収というところで精査をしております。実績は、8を切っております。この数字は具体的には申し上げられませんけども、8を大体基準にしていますというところでございます。

石川:次のご質問として、1,500億円という売上を掲げて目指しているわけですけれども、買収金額でしたっけね? それはどのあたりかってことなんですけども。

藤河:はい。続きまして……ちょっと座らせていただいて。相手先さんがありますので、必ずデッドでやるかどうかっていうのは、これは基本的にはまだ考えられない内容でございます。相手さん次第ではございますが、我々としては上場を機にエクイティを使いながら、いろんな買収のスキームを考えながら、要は着実に1,500億円をとっていきたいなと思っています。

ただ、セールスマルチプルで言いますと1,500億円の会社ですので、当然1,500億円のなんらかの、いわゆる投資の費用というのは考えなきゃいけないと思っていますが。それはもう、エクイティなのかデッドなのかというのは状況によって変わると思っております。具体的には、計画的にいくらの設備投資、M&A資金ということで計上しているわけではございません。

石川:あと、2つ目の医療・介護それぞれで、労務単価の上がり具合についてのお話がございましたけども。我々は、労務単価自体は開示してないと思うんですけれども、世の中で「賃金を3パーセント上げなさい」とか、いろいろあると思います。

一方で、我々は処遇改善ということで取り組んでおりますので。プラス、介護は介護報酬改定の点数の中で、処遇というところでも一部点数がついたりもしてます。

そういう事柄を、トータルで見ていくということになると思いますけれども。具体的な金額とかパーセンテージはあれですけれども、我々は、そのあたりに目線をおきながら、なんとか生産性というところを見ながら、できる限りの処遇改善をやっていきたいということでございます。少なくとも、今の時点では世の中で言われているアップ率を上回るかたちできておりますし、そういうことをベースにした税制のメリットも、いただいているということでございます。

質問者1:ありがとうございます。

質疑応答:施設の賃料の水準は?

質問者2:ご説明ありがとうございました。私、新宿で不動産業をやっています、マリオンのフカサワと言います。1点ご質問ございまして、施設は大半が賃貸借だと思われるんですが、中には更新の時期を迎えている施設もあると思うんですが、現状賃料の水準というのは? 一般的にどうなんでしょうか。

石川:それは介護ということですよね? 

質問者2:介護ですね。

石川:藤河さんいいですか? 

藤河:座ったまま失礼いたします。具体的な金額は申し上げられませんが、介護という性質上、非常にベストロケーションではありません。いわゆる駅からちょっと離れても問題ないという意味では、地価の路線価から比べると非常に安価で賃貸をさせていただいております。

契約年数も非常にロングタームで契約をしておりますので、今後の地価の上昇における業績のインパクトというのは、さほど心配するような額にはならないと思っています。一部、自社物件も買収した会社さんの中には、アセットとして持っております。以上でございます。

質疑応答:デジタル化の今後は?

質問者3:ご説明ありがとうございました。SMBC日興証券のハラダでございますが、お世話になります。2点お願いいたします。1点目ですけれども、今日の解説が非常にわかりやすくて離職率の低下などが、非常によくわかりました。

一方で、資料の中にありましたが、介護事業のPMIの変化ということで、入居率が上がりましたとか、こういったところはまた別に、M&Aされた後に、御社の施設への魅力度が高まったということだと思いますので。この応募者数とか入居率が上がってきたというところが、具体的にどういったアクションを取られた結果、こういうことにつながったと考えていらっしゃるか。こういうところの変化について、教えていただきたというのが1点目です。

2点目は、ITのデジタル化のところの具体的な実績の改善効果をご説明いただいたのですが、ここから先、今年〜来年にかけて、さらなる進化としてどういったところに手を付けていらっしゃるか、あるいは手を付けていかれると考えていらっしゃるかというところについて。次の計画について、お話をいただければと思います。以上2点です。

石川:そうしましたら、最初の介護のベストケアとケアリンクの例を、藤河さんのほうから。

藤河:ご質問ありがとうございます。座ったままで失礼いたします。基本的にはブランド力が上がったという効果ではございません。なぜならば、そのままブランドを継続しておりますので。主に成果が出た内容が、いわゆるソラストの一番の強みの経営で、ヒト・モノ・カネの、いわゆるプロセスの可視化というものがあります。

この可視化をデータに基づいたかたちでより一番効果的な施策というのが、どういうかたちで効果が出るのかというのが、我々がそれなりに蓄積したデータがございますので。それをもとに経営のいわゆる直接指導、あるいは直接我々が参画をしてオペレーションをやらせていただくことで、当然と言えば当然ですが、数字が上がっていくというのが、今の状況でございます。まずは見える化というところが、買収されたグループ会社さんではなかなかされていないというのが、今の現状でございます。

結論から言いますと、経営力というのが、一番の大きな効果だと思っております。以上でございます。

石川:あと採用の件に関しましては、私の話の中で、採用のプロセスの改善とかを申し上げましたけれども。やはりここ数年、我々は非常に採用プロセスの改善・採用力の向上ということで取り組んでまいりましたので、それをそのまま使ってもらうようにするというようなことも効果が出てきているということですし。逆に、買収された側からも期待されているところだと思いますね。

2つ目のご質問で、ITに関してさらにどんなものをやろうとしているのかというご質問でございますけれども。これは藤河さん、介護の。

藤河:介護事業のほうのITといいますと、今計画していますのが施設系ですね。今の訪問系、それからデイサービス系というのは、ほぼほぼIT化が終了しました。今1つ遅れているところが施設系、いわゆるグループホーム、有料老人ホーム、ここについてのIT化というのが、すべて業務系で終わると完了します。そのあとは顧客系ですね。顧客に対するサービスについてのIT系というのが、今進めている最中でございます。

玉井真澄氏(以下、玉井):現在初診受付のシステムが稼働を始めましたので、次期としまして、再診受付の保険証確認のシステムを開発の俎上に載せております。

石川:あと、これは多くの方々が興味を持っておられるかと思うんですけど、やはり診療所とか困っておられるんですよね、開業医さん。あのあたりはやはり診療報酬請求のソリューションしかないと思ってますので、そのあたりはああいう患者データとか保険データの通信でどうこうってことに対するお役所の考え方とか、業界のみなさまの考え方がいろいろありますけれども。そういったところも、我々の目線の中には入っているということですね。