コンテンツ・サービス改善のヒント

カン・デヒョン氏:我々にとってなじみのある例をいくつか挙げさせていただきます。

私の考えでもあるのですけれども、重要なヒントというものは、他人が見過ごしてしまう、なんでもないような話の中にポイントがあると思うわけです。そこからヒントを引き出して、そこに大きな意味合いがあるということが、大変重要だと思っています。

最近トレンドとなっているようなビッグウェーブも、過去の本当に小さなヒントから発見されたものだと思います。なので人間は、そのような小さなヒントから大きな意味を発見しようと努力していますので、我々もそのような観点で考えてみるべきだと思います。

サーバー選択の問題は、本当に小さな問題ですけれども、ゲーム内には物理的にさまざまなサーバーがあります。1つのサーバーにすべてのユーザーを引き込むことができないので、最近はサーバーをいくつか分離してやっています。

他に技術的な解決策もあるにはあるのですが、ほとんどのゲームは物理的な問題を挙げて、サーバーをいくつか分離して運営しています。我々はこれをチャンネルとも呼んでいますが、そのようにつくられた数十、数百のチャンネルのうち、(ユーザーは)どこに入るのか、何が正しいのかという話です。

ユーザー離脱の真の要因を見極める

我々が実際に経験したことですが、あるFPS(First Person Shooting、一人称視点のシューティング)ジャンルのゲームに入った新規ユーザーが、このゲームに慣れずに出ていったという事例を発見しました。他のゲームにおける新規ユーザーの離脱率と比べても、離脱率が大変高いということでした。

これを従来のオーソドックスな方式で解決しようとしたら、このようなステップになると思います。

(まずは)仮説をいくつか立てます。

操作方法がわからないから、インターフェースが複雑だから、ゲームが難しいから、参入障壁が高いからなど、いろいろな仮説が立てられます。みなさん、そこに〇×をつけて仮説を検証されていたと思います。

ですがほとんどの場合、このような仮説の定義自体が明確でないので、〇×で答えを出すということはありません。

このようなやり方にすると、「操作方法を知っていても、インターフェースが若干複雑だということで、若干ゲームが難しく感じて、参入障壁も高く感じられる」という、大変曖昧な結果にいたるわけです。

(仮説検証は)〇×で結果が出せるということではなく、常に△の結論が出ます。

この仮説はいくつかありますが、一番重要なのは、実はこの仮説の中に含まれていない要素があるということです。発見すらできないという要素があるということで、仮説自体を立てずに、マシンラーニングで分析をしてみました。

分析をしてみたら、新規ユーザーにとっての一番の“負の経験”は、サーバー間の頻繁な移動でした。この分析は本当に有用だと思いました。直感的には本当に理解しがたいデータでした。

このFPSゲームのサービスは、(リリースから)けっこう時間の経ったものでしたので、従来のユーザーの中でルールのようなものがあり、「このようなやり方にしましょう」と決めてプレイをしていました。

実際の例ではありませんが、例えば、1番サーバーでは「会話だけやりましょう」、2番サーバーでは「特定のマップだけやりましょう」、3番サーバーでは「特定の武器だけで戦いましょう」、と先に決めてプレイをします。

しかしながら、新規ユーザーはそのようなことがまったくわからない中で、サーバーにランダムに配置されます。新規ユーザーが会話(専用の)サーバーに入ると、他のユーザーは戦闘せずに会話だけしています。「あなたたちは、なぜ銃を撃たずに会話ばかりしているのか?」ということで、銃を1発撃つと、「おまえはおかしいやつだ」ということで、強制的に脱退させられます。

本人はなぜ脱退させられたのかわからずに他のところに入ると、他のユーザーはある特定の武器だけで戦っているわけです。それで「おまえの銃おかしい」ということでまた追い出されて、他のサーバーに入ってまた“負の経験”をするといった、繰り返しになるわけです。

なので、新規ユーザーはゲームプレイを楽しむこともできずに、「変なゲームだ」と定義してしまい、そのまま出ていくという負のスパイラルを生み出します。

我々は、このような問題をマシンラーニングで発見しました。ある社員が仮説を持ってこの問題を発見できたとすれば、私はその社員を「クリエイティブな人材だ」と評価したと思います。一方で「我々がこのような仮説を出せたのか?」と考えると、私は「出せていない」と思います。

マシンラーニングによる分析と施策の効果

このような問題は、「本当に些細な問題だ」と言い切ってしまえばそうなのですが、少し考え方を広めると、MMO(Massively Multiplayer Online、大人数同時接続型)RPGで適当な人口密度をつくることにも役立つと思います。

当社の代表的ゲームタイトルである『メイプルストーリー』を例にすると、ゲーム内の「ヘネシス」という街でログアウトすると、(再度)ログインするときには、「ヘネシス」にログインすると思います。当時のレベル、職業等々のさまざまな分析をちゃんとしていれば、ソロプレイが好きなのか、パーティープレイが好きなのか、という解釈をすることができると思います。

そのような解釈ができたときに、どのようなチャンネルに新たにログインしたほうが、周りの人たちと前向きな経験をすることができるのか、私のようにパーティープレイが好きな性格なら、周りにパーティープレイが好きな人がたくさんいたほうが、より肯定的な経験につながるわけです。

もしくは(プレイヤーの)レベルを見たときに、「ヘネシス」の周辺で戦闘をしたら死ぬ確率が高いと考えてみましょう。そうだとしたら、その周辺に、私が死んだときに復活させてくれるようなユーザーをより多く配置したほうが、より肯定的な経験をすることができるわけです。

なので、無作為に起きるようなインタラクションを肯定的に行えるAIを開発したほうが、これらの(ユーザー離脱の)問題を高度化して考えることができるわけです。

この例は、当社の新作オープンワールド型MMOモバイルゲームである『野生の地:Durang』(参考リンク)の開発ディレクターが、過去にお話した例と重なる部分だと思うのですけれども、武器に当たって倒れたときに、周辺で助けてくれるような確率を上げるようなチャンネル配置(が効果的である)、という話につながると思います。なので、拡張したシステムを開発しています。

離脱する新規ユーザーの“声なき声”を拾えるか

もう1つの問題は、例として挙げることが適切かどうか悩みました。非常に些細な問題かもしれませんが、あるRPGであった出来事です。

RPGには、いろいろな職業があります。戦士も、魔法使いも、弓使いもいます。例えば、(あるゲームにおいて)いろいろな職業のうち、特定のクエストにおいて、他の職業に比べて戦士だけが明らかに離脱率が高いということを発見しました。

なぜそのようなことが起きたのか確認したところ、ある地域で誰でもプレイできる一般クエストを配置していました。例えば、「ヘネシス」でレベル10になれば誰でも行えるクエストを配置したわけです。私たちは、「これは簡単なクエストだし、誰でもできるからおもしろいのではないか」と思ったわけです。

ですが、より詳しく調べると、各職業がゲームをスタートする位置が違いました。例えば、戦士は、黄色いところからスタートします。他の職業は、グリーンのところからスタートします。(フィールドの)中央を街だとすると、地理的な問題で、戦士だけがより早い段階でそのクエストに出くわします。

他の職業はレベル10を超えて、レベル15とか20になってからこのクエストに遭いますけれども、我々も意図したわけではありませんが、特定の職業だけが偶然、より早い段階でこのクエストに遭うかたちになっていたわけです。

これにより、特定の職業(戦士)のユーザーだけが非常に難易度が高く感じる。なので、「このゲームは難しい」と感じて離脱する傾向がありました。

これらは非常に些細な問題であったにもかかわらず、離脱率に大きく影響を及ぼした出来事で、クエストを設定後、かなり長い間発見されていませんでした。

ほとんどのケースの場合、ユーザーが話をしてくれることで解決することはたくさんあります。掲示板に書き込みをしたり、CS(カスタマーサポート)で教えてくれることで解決することは多いのですけれども、新規ユーザーはなかなか言い出せません。

新規ユーザーはまだゲームに愛着が生じる前なので、苦情を言うよりかは「もうこのゲームをやめよう」となるわけです。なので、このゲームの中で生じる些細な問題を素早く発見する汎用的なシステムを開発して、すべてのゲームに適用させようとしています。

このようなエラーによって、ゲームそのものをおもしろくつくったにもかかわらず、ユーザーがそのおもしろさを充分に感じられず、「おもしろくないゲームだ」と評価してしまうのは非常に悔しいことです。

なので、我々がつくろうとするゲームのおもしろさを、丸ごと感じられるようなシステムにしていきたいと思うわけです。

上達しきったユーザーの“飽き”は防げるか

(スライドを見て)「開発者も知らない問題」と書きましたが、開発者も知らない問題というよりかは、開発者が関心を持ちそうだと思って、このようなテーマをつけました。

(それは)ユーザーの実力は常に向上するのか、あるいは生まれ持ったものなのかということです。

一時的にデータの解釈をしたところ、「ユーザーの実力は生まれながらのものだ」という解釈がありました。実力の高いユーザーは、ものすごく早い時期でピークに達すると。

どのくらい早くリミットに達するかというと、ゲームの複雑度によって変わりますが、ほとんどの単純なゲームでは、2、3時間内に実力のリミットに達し、その後はゆっくり上がるペースの成長を見せました。

これはある意味では、非常に残念なデータでもあります。「ゲームの実力は生まれながらのものだ」という、少し残念な結果がデータとして確認ができたと言えるかもしれません。

ユーザーがおもしろさを感じる重要なポイントの1つは、自分の実力の向上ですが、実力がスピーディーに停滞していくので、そのときから「おもしろくない」と感じて、実力が停滞する区間と離脱する区間が一致しました。なので、商業的な観点からもあまり良くないデータ結果を得たわけです。

この問題を「単なる生まれ持った実力の問題だ」と解釈してしまうと、我々にできることはほとんどありませんが、その中でも、実力が地道に向上しているユーザーがいました。

このようなユーザーと実力がスピーディーに停滞していくユーザーの決定的な違いをより詳細に見てみると、その違いは、「ユーザーにフィードバックがあったかどうか」でした。

ここで言う「フィードバック」とは、周りのヘルプです。友達が一緒について、いろいろとアドバイスしてくれたり、攻略集やゲーム映像を見て、自ら攻略してみるようなセルフフィードバックなどが存在するかどうかによって、実力が上がるか停滞するかということに、決定的な影響を及ぼしたということです。

私が言いたいのは、適切なフィードバックシステムがあれば、ほとんどのユーザーは実力が地道に向上するということです。この問題を単に「うまい人は生まれ持ってうまい」と解釈してしまうのは、よくないことだと思います。

フィードバックシステムがうまく備えられていれば、その問題は解決できると見るのが妥当です。この問題を単にユーザーの自主性に任せてしまうのは、正しくないと考えました。

(これは)ビジネスの観点からも非常に重要ですし、このようなフィードバックを与えて実力が地道に向上すれば、やはり再訪問率も高くなります。

なので今、この問題を解決するために、あるシステムをつくっているわけですけれども、(すべてのゲームに)このようなAI基盤のフィードバックシステムがしっかりと構築されているわけではありません。他の会社も同じような状況だと思いますが、今、私どもも一所懸命開発している段階です。

データを通じたフィードバックをシミュレーションした結果、フィードバックを適切に与えれば、ほとんどのユーザーが今よりは明らかに実力が上がり、それはビジネス面での成果にもつながるということがわかりました。

私が言おうとしているのは、このような要因によって発生する満足度の騰落が、我々が考えている以上に大きな割合を占めているかもしれないということです。このような問題を解決するために、今、ダイナミック・フィードバックシステムをつくっています。

ユーザーの適切なエンゲージメントは定義できるのか

もう1つのテーマは、「適切なエンゲージメントはどれくらいなのか」ということです。ここで言うエンゲージメントとは、どれくらいゲームにどっぷりハマってプレイするのか、どれくらい緊張感を持ってゲームをプレイするのかということです。

たくさんのゲーム開発者は「非常に緊迫して、緊張感のあるゲームがおもしろいだろう」ということを前提にして、ゲームを開発します。私もそう考えていました。

実際に検証しなければいけないのは、「緊迫感のあるプレイが(ユーザーにとって)いいプレイなのか」ということです。なので前提として、勝率50パーセントのゲームを緊迫感のあるプレイだと考えました。

これでユーザーが喜ぶのかどうか、いろいろな事例を通じて確認したところ、たくさんのユーザーは、我々の仮説と比較したときに、ある程度ルーズなゲームに対する満足度が高かったんです。

例えば、30回プレイをしたときに、勝率50パーセントを記録したユーザーがいました。そのユーザーにアンケート調査をして「最近30回プレイしましたけど、おもしろかったですか?」と聞いたら、勝率50パーセントを記録したユーザーは「あまりおもしろくなかった」と評価します。そして「今回の30回のプレイ(の難易度)はフェアだったのか?」と聞くと、「アンフェアだった」と回答します。

勝率75パーセントを記録したユーザーに同じ質問をすると、「今回のゲームは本当におもしろくプレイができた」と評価します。そして「非常にフェアでした、公正でした」と評価をしました。

そこで、我々第三者の立場から見たフェア・アンフェアと、本人が評価するフェア・アンフェアは違うものだということが確認できました。

「統計的に勝率50パーセントを記録したので、あなたは『アンフェアである』と考えていますが、非常に緊迫感のあるプレイだったので満足すべきだ」と言うのがベストなのでしょうか? もっと考えてみるべき必要があると思います。

この問題を一般化してみると、一般的に高いエンゲージメントを記録したユーザーは離脱率が低かったし、熱心にゲームプレイをすると思われたのですが、実際はそうではありませんでした。エンゲージメントの高低、離脱率の相関関係が明確には表れなかったということです。

まだ研究中のテーマなので、断定して申し上げることはできませんが、一般的な我々の常識では、非常に緊迫感に満ちた、手に汗握るようなプレイよりは、ややルーズなゲームのほうが平均的にユーザーの満足度が高く出る可能性があるということがわかりました。

私はルーズなプレイが正しい、緊迫したプレイが正しいというような定義をしたいわけではありません。あるユーザーはもっと緊迫感に満ちたプレイが好きで、あるユーザーはもっと簡単なプレイが好きかもしれません。それはユーザーごとに差があると思います。

やはり緊迫感のあるプレイが好きなユーザーでも、ずっと緊迫感のあるプレイばかりやっていると疲れます。なので、緊迫感のあるタイム、あとは少しルーズなタイムという流れも必要だと思います。それがまた、ユーザーのエンゲージメントにも影響すると思います。

ゲーム業界の否定的な意見を疑おう

ここで話したいのは、ルーズなプレイについて否定的に見るよりかは、この問題についてもっと前向きに考えて、一緒に悩んでみる必要があるということです。

ルーズなプレイというと、我々は反射的にオート戦闘を思い出します。これもけっこう難しい話です。オート戦闘は一時すごく論争になりましたが、オート戦闘についてもう一度考えるきっかけになりました。

私はオート戦闘に非常に抵抗感がありました。「これもゲームなのか?」と考えたときもありました。でも振り返ってみると、その考え自体が非常に枠にとらわれた考えだと気づきました。

データ基盤で見ると、オート戦闘はエンゲージメントの低いプレイだと解釈できますが、そんなに否定的に見てもいいものなのか、本当にユーザーが望むのは何なのか、もっとオープンな気持ちを持って見なければいけないのではないかと考えました。

「オート戦闘はゲームなの?」とおっしゃる方も、「こんなゲームはゲームじゃない」と言っていた開発者も、実際にYouTubeで他の人のプレイ動画を見たり、ドネーション(寄付)をしています。

インフルエンサーが1パーセントだとしたときに、チャットをしてドネーションをするような積極的な参加者が5パーセント、単なる視聴者が95パーセントだと言われています。

これをゲームに置き換えて考えると、我々はもっとたくさんのユーザーにゲームをしてもらえるために、ゲームを好きになってもらえる余地は十分残っているのではないかと思います。エンゲージメントの低いゲームについては、まだまだ大きな発展可能性があるというデータが多々出ています。

そのようなエンゲージメントの低いゲームの代表格として、オート戦闘があるのですけれども、これは本当に小さい範囲の定義で、それを逆手に取れば、これからもっとたくさんの機会が存在するのではないかと思います。

SNSやYouTube、Twitchなどが急速に発展している中で、そのような急速な発展の流れに我々はうまく乗っているのか、むしろリードしているのかということを、自らに問いかける必要があるのではないでしょうか。とくにエンゲージメントの低いプレイには、AIができる役割がたくさんあると思います。

つまり、何事も正しい方法はなくて、「ゲームはこうあるべきだ」という概念を全部壊して、もう少し開かれた気持ちで考えましょうということです。

ゲームの中には、未だ放置されている領域がたくさん残っていると思います。

今まで申し上げた部分は、ある意味では些細な話かもしれませんが、それを単に見過ごすだけではなくて、少し関心を持って見つめれば、たくさんの“ブラインドスポット”が発見されて、最終的にゲームのおもしろさがもっと拡大するのではないかと思います。

ゲームを一所懸命つくったのに、このような(見過ごされた)領域のためにゲームが低い評価を受けてしまうのは悔しいものです。

ネクソンはAIのトレンドのみに追従しない

もっと詳しい話をしたいのですが、時間的な制約もありますので、まとめに入りたいと思います。

「ゲームはどのようなものなのか?」「ゲームのコアは何なのか?」「ゲームのおもしろさを発生させるポイントにはどんなものがあるのか?」ということを再定義する必要があると思います。ゲームの本質を徹底的に理解するために、努力をしていくしかないと思います。

急激な時代の変化にゲーム業界が取り残されないように、この問題について悩んでいく必要があるでしょう。未来のゲームと現在の我々のロマンが一致してるかどうか、いま一度原点に立ち返って考える必要があると思います。

その答えは何か? それは当然私も知りません。ですが少なくとも、今までのフレームの中でこの問題を解決しようとすれば、答えを得ることはできないと思います。答えを得るスピードも非常に落ちてくるでしょう。

なので、ゲームのおもしろさを発生させる相対的な塊を、より大きな観点で見つめ、発見していくことが重要だと思います。知らないままで見過ごすのではなく、一歩ずつ前に進んでいくことが重要だと思います。

我々はこのような問題を探求するために、AIなどのさまざまなツールを活用してみたいと思っています。データとAIは我々の視野を広める点において、偏見がないというところが重要です。

なぜ“ブラインドスポット”が発生するのかいうと、やはり人が偏見を持っているからです。私が書いた文章の誤字を、自ら発見するのは難しいんです。なので、我々が無意識のうちに持っている偏見が“ブラインドスポット”を発生させます。

なので、そのような偏見のない情報を得るためには、データとAIが大いに役立つと思います。そうすると、我々の思考がもっと自由になり、柔軟な考えをするようになると思います。小さいものからもデータでヒントを得て、それをAIで乗り越えられるようなソリューションをつくっていきたいと思います。

先ほどお話ししたように、ユーザー同士が経験するインタラクションを最適なものに維持するために、どのようなバランスをつくるか、ダイナミック・システムをつくるかということを通じて解決しようとしているわけです。

このようなAI基盤システムを、現在存在するNEXONのゲームすべてが享受できるような環境をつくっていくことが、我々の1つの大きな方向性で、非常に重要な部分です。

AIは大きなトレンドです。これが我々に良いものか悪いものか考えてみました。個人的な意見ですが、AIがここまで流行っていることは、そんなに喜ばれるようなことではないと思います。あまりにも有名になってしまって、(そのトレンドに)無理矢理追従していくような傾向もできるわけです。

なので、トレンドに単に追従したり、技術を誇示するためにするよりは、本当に実用的で、ゲームに決定的な影響を与える、効果的な成果物をつくることに集中したいと思います。流行がどうであれ、私は私の行くべき道を進みたいと思います。

NEXONには、このような本質主義の文化があると思います。カッコいいものに集中するより、本質的なものを優遇する文化があると思いますので、トレンドに追い回されて技術に埋もれるよりも、もっと実用的な結果をバランスの取れた観点から見出していきたいと思います。おもしろさに影響を与えることに集中した、AIの成果物を出したいと思います。

我々はゲームの領域を制限せず、さまざまなかたちで探求してみたいと思います。その成果をNEXON内のすべてのゲームが得られるようにしたいと思います。以上です。最後までご清聴いただきありがとうございます。

(会場拍手)