ガイガーカウンターの仕組み

マイケル・アランダ氏: 今日は1日ゲームをやり込むことにしました。RPG『Fallout 4』の放射線であふれる荒廃した場所を探索していると、スピーカーからキーキーという耳障りな音が聞こえます。

ゲーマーではなくてもそれが何の音かはわかるはずです。ガイガーカウンターが放射線を検出したのです。ですが実際には、はぐれた電子がその音を発しています。

ガイガーカウンターは1908年にハンス・ガイガーが発明し、彼に師事していたヴァルター・ミュラーが20年後に完成させました。そのため放射線を検出する内部は、ガイガー・ミュラー管(GM管)と呼ばれています。

管は金属でできているため伝導性がありますが、ネオンのように通常は非伝導性の不活性ガスに封入されています。内部には金属の棒が差し込まれ、エネルギーを貯められるようになっています。管と棒の間に不活性ガスあるため、ふだんはそれぞれが安定していて電気を通すことはありません。そこに放射線がやってきます。

基本的に放射線は、宇宙空間を飛来し続けたあと、物質を透過するほどのエネルギーを持っています。ガイガーカウンターはとくに電離放射線、つまり原子から電子を引きはがして陽イオンにするだけのエネルギーを持つ放射線を計測します。

電離放射線はDNAを傷つけるだけのエネルギーがあるため、生物にとっては危険であり、だからこそなんとかして検出しようとしてきたのです。放射性元素は崩壊する際に、電離放射線を素粒子のかたちで放出します。ガイガーカウンターを使えば、これが検出できるのです。

電離放射線がGM管を通過すると、内部のガスに含まれている電子と衝突します。衝突して動けるようになった電子は、中心部のプラスに電化された金属棒に引きつけられます。このようにして他の原子の電子にもぶつかっていく現象はタウンセンド放電と呼ばれています。

こうした原子が電離していく一連の現象によって、管と金属棒との間に一時的な電位差がつくられ、瞬間的に電流が流れます。管がスピーカーに接続されていれば、この電流がスピーカーを断続的に動かすことになり、結果としてあのキーキーとした特徴的なノイズが生み出されるのです。

電子が中心部に向かうのに対して、ガス内部の陽イオンは反対方向に向かいます。陽イオンが管の外側にぶつかると、金属中の電子と結合して元の検出できる状態に戻ります。

こうした音はスピーカーに流れている電流の流れを阻害した時にも流れます。例えばゲームの最中に椅子でオーディオケーブルを踏みつけた場合などです。幸いなことにその程度で断線してしまうことはありません。

ガイガーカウンターは管や封入されているガスによって電離放射線への感度はわずかに変わります。ですがガイガーカウンターは低レベル放射線の検知にしか向いていません。

管がリセットされてもう一度検知できるようになるまでは放射線を検知できないため、高レベル放射線であっても低く見積もってしまうのです。

つまり言うまでもないことですが、ガイガーカウンターが鳴っているのを聞いたらすぐにその場を離れましょう。ましてミュータントハウンドの肉やrad値を下げるアイテム(注:『Fallout 4』で放射能汚染を軽減するアイテム)を持っていないならそうしたほうがいいでしょうね。