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秋田県のド田舎でリペアビジネス kintoneを使った廣瀬産業の挑戦

秋田県のド田舎でリペアビジネス kintoneを使った廣瀬産業の挑戦

業務の中でkintoneを活用しているユーザーが一堂に会し、kintone活用のコツをそれぞれの視点で解説するイベント「kintone hive」。2018年3月15日、宮城県仙台市で初の開催となった「kintone hive sendai vol.1」では、日ごろの業務でkintoneを活用しているユーザーが集い、さまざまな事例を紹介しました。本パートでは、廣瀬産業株式会社の廣瀬徹氏が登壇。現場でkintoneをどのように活用しているか、具体的な実例を語ります。

(提供:サイボウズ株式会社)

シリーズ
kintone hive > kintone hive sendai vol.1
2018年3月11日のログ
スピーカー
廣瀬産業株式会社 代表取締役社長 廣瀬徹 氏
サイボウズ株式会社 kintone プロダクトマネージャー 伊佐政隆 氏

有名アウトドアメーカーのリペアを手がける

廣瀬徹氏(以下、廣瀬) みなさん、こんにちは。廣瀬産業の廣瀬と申します。よろしくお願いいたします。今日は「他社との連携を弊社はこうやっているよ」というところをご紹介させていただきたいなと思います。 そもそも、なぜ他社との連携をすることに、kintoneを使わせていただいたか。先ほど(のセッションで)蜂谷(悠介)さんが、「何のために仕事をするの?」ということを考え抜いて、みんなで始めたということですが、現実、私は社員とそんなに話さなかったです。 ただ、今日ちょうど着ているこの服はアウトドアウェアで、某有名アウトドアメーカーの服です。弊社は秋田県の由利本荘市という大変ド田舎にありまして、某有名アウトドアメーカー(P社)のアウトドアウェアのリペアやメンテナンス事業などをやっています。 何のためにやっているか。うちの縫製工場の中でラインがたくさんあるんですけども、ラインのスピードについてけないけど、仕事はとても丁寧な人がたくさんいるんですね。 「その人たちを何か活かす手はないか?」「ある意味ダイバーシティとして、なにかやる手はないんだろうか?」と必死に考えた結果、このP社のリペアという事業を始めました。リペアの事業を始めた中で、少しつまずきかけたんですね。その話を今日させていただこうと思っています。秋田県の由利本荘市をご存知の方いらっしゃいますか? (会場挙手) たくさん……でもないですね(笑)。秋田県自体、あまり有名ではないと思いますが、私、実は6年前に由利本荘市に初めて来ました。その時、工場の裁断のおじちゃんが言いました。「よく来た、廣瀬くん。ここは日本のチベットだよ」なんて言われて、「本当にチベットだな」と今思っています(笑)。 住んでみると海も山も川も、海水浴場やヨットハーバーもあるし、市民レガッタ大会もある。キャンプ場もある。大変すばらしい場所だと思っておりますが、ただやはり秋田ですので、冬はなにもできません。

秋田県由利本荘市という土地

hiro (5) その中で縫製工場として、今、工場を秋田に移してから約50年です。廣瀬産業は、今159名。売上20億円です。由利本荘市はあんまり世の中でいいニュースには出ません。例えばこの間は、北朝鮮の工作船が来たことで有名になりました。 乃木坂46の生駒(里奈)さんが実は由利本荘市出身ですね。ただ、もう卒業してしまうと他に有名な人はいなくなってしまう心配もしています。 縫製工場としては大変いい環境になっています。縫製工場は女性が約8割。ジブリのアニメを観ていると、おばあちゃんがこうやっている写真は、そのとおりだと思うんですけれども、弊社も昔はそうでしたが、現状では違います。 hiro (6) (年齢は)上から70代。73歳のおばあちゃんも、今、毎日一生懸命縫ってくれていますけども、10~60代含めて、非常に人数の均整が取れています。工場に来た方は、たいてい「若い方が多いですね」「なんで縫製工場なのに、こんなに若い人が多いんでしょう?」と言います。なぜでしょうね? 私もまだわかりませんが、ひょっとしたら楽しいからなのかなと思います。 こんなかたちで、弊社で作っているものは、麻袋から始まりました。命に関わるユニフォームや、アウトドアに関するものをたくさん作っています。バレエのドレスやテントも作っています。 その中でリペアビジネスを始めました。どうしてもラインのスピードについていけない人たちに、なにか仕事を与えたいので、必死に考えました。ある意味、たまたまP社は、日本国内にリペアセンターを持っていますが、「そこのお仕事をやってみませんか?」というお話がうまくつながりました。 hiro (10) 白い糸でチクチクと縫っていきます。これを1周するのに、1時間半ぐらいかかっています。なぜ手で縫うのか。ダウンコートは、ミシンで縫ってしまうと、ダウンが横に移動せず、これは良くないので、P社のダウンを縫う時は一番表面の生地をつまんで、半返し縫いという手縫いの方法で1cmに9〜10針のピッチで縫う。 人がやる作業で、そんな細かいことを要求しています。大変細かいですが、これに向いている人だったら、逆にこれが楽しいと思ってやってくれています。

リペアビジネスのスキーム

hiro (11) このリペアビジネスのスキームですけれども、みなさまが普段着てらっしゃるP社に直接送ってもいいですし、販売店さんから送ると、リペアセンターに集まります。リペアセンターから、あるものは廣瀬に回ってきて、それを直して、またお客さまに回すという、今はこういうスキームになっています。 もともと、なぜこんなことを始めたか。P社は、リペアの需要が大変多くてやりきれない。ワールドワイドで「決められた日数で返す」という決まりがあるんですけども、私どもが手伝わせていただいたのが2年前ですが、その時にはなんと5ヶ月間も待たされて、それでも返せない状況でした。リペアが切羽詰まっていました。 hiro (12) こういうようなことをしています。裾の擦り切れをパッチみたいなかたちであてる。上の画面だと、3時間ぐらいはかかる、大変な仕事をしています。 ただ、このリペアの仕事なんですが、とあるキャンペーンを、P社がワールドワイドで打っています。リペア需要は数少ない成長産業だったりもします。こういうお仕事に携らせていただいています。 P社(のニーズ)は、ダウンのほつれを1cmに9〜10針のピッチの手縫いで、究極のリペア法をしましょう。対応数をどんどん増やしたい。 廣瀬は秋田にあります。専任を置いて、テレワーク業務にチャレンジをしてみたかったので、お客様よりは、ある意味、自分たちの願いである「何のために仕事をするのか?」。ここが合ったからなんですね。 kintone導入前、最初はExcelで当然のように集計をしておりました。価格は手計算で「時間かかったから、この時間だよね」と。物の発送は2週間おきですから、2週間より早くは回らなかった。

危機を迎え、出会ったkintone

起きたことは何か? 商品はしっかりと先に到着しているんですが、計算が間に合わない。社長の承認を得るのに、また時間がかかり、(価格が)間違っていることもありました(笑)。「なんとかしてください」「ひょっとしたら、もうこのビジネスやめますよ」というところまでいったところで、kintoneに出会いました。 その時はkintoneを知ってました。私は富士ゼロックスという会社で、基幹システムと部門システム、部門サーバーの管理者もしていた時期が15年ほどありました。 kintoneに触れた瞬間に、「これだ!」「こんな夢のようなものがあったか」と、担当者の業務に最適なものが一瞬でできてしまう。「こんなすばらしいものがあったのに、なんで入れなかったんだろう?」と思いました。 では、いざ自分がやろうと思って、先ほどのExcelシートを持って打ち込み始めたんですけど、「どうもできないな」。そう思った時に、今日、会場に来ているサイボウズで営業をされておられる高橋さんが、なぜかメールをくれたんですね。「なかなか契約して、導入して、うまく広められないお客さまに、相談に乗りますよ」というお話をいただいて「ありがとうございます!」とすぐ行きました。 「こんなことで困っているんですよ」「なんとかこれ、できませんかね?」と言ったら、なんと高橋さんは「わかりましたよ」。なんと30分で作っていただいた。「作った」と言ったら失礼ですね。「基本の部分はこんな感じで作りますよ」と教えていただきました。 それをベースにして、私が多少改変したものを今でも使っています。こういうものでも、本当に簡単なところからでも仕事として使えるツールになる。これは本当、kintoneのすばらしさだなと感じています。

kintoneで効率化を推進

hiro (16) 実際の画面です。Excelでインポートしていますが、青いところがP社がインプットするところ。それからオレンジのところが、廣瀬でインプットしているところ。実際には日付と時間、担当者が誰か、これだけです。 時間を入れれば、基本自動で計算して、「これはいくらですよ」というところまでいっています。私自身、社長承認をまったくしておりません。オペレーションはこのまま流れて、登録したらそのままP社に情報が流れて、それをP社はお客さまに伝えているかたちで今利用しています。 kintone導入後は、kintoneアプリでかかった時間をインプットし、自動計算、毎日更新する。P社に商品が到着する前に、お客さまに「P社がいくらになりましたよ」とお伝えするので、数月かかっていたものは、今はなんとか最短2週間ぐらいで返せるようなところまでいきました。 パーミッション設定が必要なところがありまして、弊社もP社に知られてはいけないところがあります。何か? 「1時間いくら稼いでるの?」というところ、これは隠さないといけないというところです。それを隠してパーミッションを切っています。

秋田県のテレワーク試行実験

ここまでが、P社との業務についてのお話です。もう1つ、最近のkintone活用例と今後の課題について、お話させていただきます。 hiro (20) 平成29年度秋田県のテレワーク試行実験に、廣瀬産業が参加させていただきました。「子育てしながら新しい働き方」ということで講演している姿がありますけれども、弊社の中の業務、CAD業務と生産計画業務、このリペアの業務。ここを「テレワークというかたちで、在宅でやれないか?」という試行実験に参加した時のものです。 なぜ試行実験に参加したのか? 先ほど人口減少のお話も、蜂谷さんがされましたけれども、秋田県は人口減少の最先端で変わりません。その中で、やはり人の手を動かさないとできないのが、この縫製というお仕事ですね。しかも、女性が8割の工場。 ここで、大人がイキイキと働いて、子どもに夢を与えられる未来、そんな工場の姿を実現するとしたら、今までの工場とはぜんぜん違うものを描いていくしかない。 どういうことか? 家で仕事ができる。家を工場として働く。それを集めて、それがもう物になる。そうすれば究極の、在宅であり、テレワークであり、工場としてもすばらしいものになるだろう、と考えています。 その試行実験の時には、2つ、リモートワーカー機能として、タイムカードと日報のアプリは、ほぼ標準に近いんですが、これをカスタマイズするかたちで使わせていただきました。 それからもう1つ、モニタリング機能。これは、実はkintoneではできなかったんです。なぜできなかったかは、中身をご紹介してから話します。 たぶんこれは、今日ここにいらっしゃる方だったら、「なんだ、簡単なことだよ、廣瀬くん」「後で僕のところに来たまえ」という方がきっといらっしゃると思うので、ぜひ声かけお願いします。 どういうことか。ミシンの稼動計を作りました。ミシンが実際に動いている状況を、無線LANのかたちで、「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」という小さなコンピュータを使って集計するシステムを使って、リアルタイムに今ミシンが動いているところを集計して、「(ミシンが)やっているのね」というところを管理するという仕組みの試行実験を今しています。 ところが、このシステム、古い仕組みでPHPなどで作っているんですね。まだまだ秋田県ではkintoneが10社ぐらいしか導入しているところがありませんが。 私自身が作れればよかったんですが、「これをkintoneにしたいな」と言ったところ、今回の試行実験ではまだできておりませんが、平成30年度も試行実験がさらに本格導入というかたちで、テレワークを行わせていただくことが決まっています。 その折には、これをkintone上でグラフ化して、常にいろいろなかたちでデータ共有をしていきたい考えています。ご清聴ありがとうございました。 (会場拍手)

工場の働き方改革を

伊佐政隆氏(以下、伊佐) ありがとうございました。 img-223 廣瀬 ありがとうございました。 伊佐 本当にいいアイデアが出たなと思ったのが、他社との連携、テレワーク、未来の工場。僕は3つがすごい気になったと思いました。 廣瀬 ありがとうございます。 伊佐 他社との連携、テレワーク。この2つは意外と似ていますね。 廣瀬 そうですね。かなり似ていると思います。 伊佐 似ていると思いました。外の方と一緒に使うことと、社内にはいないんだけど、仕事をしている仲間と一緒に使う仕組みを作ることは、システム屋さんからすると同じですよね。 廣瀬 そうですね。 伊佐 外のネットワークの人と安全に使うことなので、これは似た使い方で、発展がありそうですね。 廣瀬 はい、ありがとうございます。ぜひやりたいなと思っています。 伊佐 僕ら、未来の工場のところで少しピンと来ました。ミシンだけに限らないですけどリペアとかは手縫いですから、ミシンを使って家を工場にしてしまえばいいんじゃないか。すごくいい話だなと思いました。 私たちもサポートセンターをお使いいただいたことがあるかもしれません。電話やメールをいただくサポートセンターがありまして、今は愛媛県の松山市がメインです。(今は)札幌や沖縄など、多拠点化しています。将来的には家でもできる仕事になりそうだと、今考えています。 電話を受ける・メールをするのは、仕組み上は実は今どこでもできるんですよ。同じ番号を会社じゃなきゃ受けられない時代では今ない。その番号を携帯電話に転送して取ることもできるじゃないですか。kintone上で顧客管理をして、どこでも仕事ができる、みたいな話です。 廣瀬 本当ですよね。 伊佐 今後の働き方は、どんどんそういうかたちになっていく。今だと、時間と場所にとらわれて、「縫物だったら工場に来てくれないと」と思いますけど、ぜひその常識を壊して、チャレンジしていただきたいなと思います。 廣瀬 ぜひ一緒にやらせてください。 伊佐 僕もP社すごく大好きなんですけど。 廣瀬 ありがとうございます。 伊佐 いいものを長く使って、素材を無駄にしないというか、労働力を無駄にしないという、この考え方いいですよね。 廣瀬 はい。 伊佐 はい。ぜひ引き続きよろしくお願いいたします。 廣瀬 よろしくお願いします。 伊佐 今日はありがとうございました。 廣瀬 ありがとうございました。 (会場拍手)

  
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