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日本の中小企業の働き方は発展途上国に近い? 長時間労働で成り立つ産業構造からの脱却

日本の中小企業の働き方は発展途上国に近い? 長時間労働で成り立つ産業構造からの脱却

田村憲久政務調査会長代理と政務調査副会長が、「働き方改革」について解説します。実現すれば、戦後の労働基準法制定以来、70年ぶりの大改革となる法案。世界情勢や日本社会自体が大きく変わっている中で、今なお働き方が終身雇用の時代と変わらないことに問題があると語ります。

シリーズ
【Cafesta特番】ゼロから知りたい「働き方改革」~ 働く人の視点に立った平成の大改革~ 解説:田村憲久 政務調査会長代理
2018年3月12日のログ
スピーカー
政務調査副会長 ネットメディア局筆頭次長 木原誠二 氏
政務調査会長代理 元厚生労働大臣 田村憲久 氏
参照動画
【Cafesta特番】ゼロから知りたい「働き方改革」~ 働く人の視点に立った平成の大改革~ 解説:田村憲久 政務調査会長代理

昇進できないのに無限定で働かされる日本

田村憲久氏(以下、田村) それ(日本のコンビニは世界一効率のいい運営の仕方をしている)にも関わらず、生産性が低いのは、24時間やってて、客来ない時に開けてるんですから、そりゃ労働生産性が下がりますし。 やるんならば、タクシーのように深夜料金を付ければ、まだいいですけれども、それもないですから。だから、そういう生産性の低いのはあるんですが、ホワイトカラーも生産性がすごく低いんです。 なんでかな、と考えると、やっぱり、日本の場合は、さっき言った無限定な働き方、新卒一括採用して、それで残業やらせ放題、そういうと怒られちゃうかもしれませんが、それから、転勤も転属も、会社の命令を受けなきゃいけない。これって、ヨーロッパでこの働き方をしているのは、一部のエリートなんですよ。 木原誠二氏(以下、木原) なるほど。 田村 1割弱ぐらいですからね。大学もだいたい、こういう大学って決まっていて、彼らは無限定。ただし、その代わり、給料は他のものと比べると高いし、さらに経営者になっていく。経営者サイドに立っていくような方々が多いんです。ところが日本は、昔、大卒はあまりいませんでしたから、同じようなことを一括採用でやった。経済もどんどん大きくなっているから、みんな部長や取締役になれたんです。 木原 全員がね。 田村 全員が。仮に本社でなれなくても、子会社の取締役になれた。そういう国だったんですよね。だから、そういう無限定で、エリートのような形でよかったんです。ところが、成熟してくると、今は課長にもなれない。だけど、働き方は無限定、長時間労働やらせすぎ。 これはやっぱりおかしいんじゃないですか、もうちょっと、企業の方も考えていただかなければいけない。そういう時期に来ているのかもわかりません。ですから、これから新卒一括採用というものも、見直していかなければならないのかもわかりませんし、こういう総合職という、無限定な働き方というものも、変えていかなければいけないのかもしれません。 木原 総合職という言葉は、世界にはないですからね。 田村 ないでしょ。 木原 英語で総合職という言葉はないですから、日本特有の言葉ですよね。

働き方改革は少子化対策にもつながる

田村 だからね、ちょっとやっぱり労働者に無理をさせてきたのかもわからない。その歪みが少子化にいっているのかもわかりませんし、いろんな意味で生産性が低くなっている。だって、どれだけでも働かせられるんならば、いろんな無駄な仕事も残っちゃうわけなんで。だから、今回の長時間労働を是正をすると、特にホワイトカラーは、いらない仕事はどんどん会社が減らしていく、いらない会議はしなくなる。会議が多くて長い国は日本ぐらい。 木原 我々、自民党も会議多いですけどね。 田村 いや、こりゃちょっと違うんですけどね(笑)。ですけど、そういう意味では、そういうものも変えていって、効率的に働くことによって、家に早く帰ってもらって、家族団欒。 休みの日はみんなで遊びに行って、みたいなところで消費なんかも盛り上げていく。それによってもう1人、子どもをつくろうか、育てようかっていう話になったら、少子化も対応できる。こういうことがあるんだと思いますね。 木原 なるほど。今、田村さんがお話しいただいたのは、今回、この改革をやるひとつの背景ですね。少子化、そして労働力人口が減っている、生産年齢人口も減っている、こういったことへの1つの対応だということで。 田村 まあ、もう1つね。ちょっと誤解されちゃうと困るんですが、厳しいことを申し上げると、今回の長時間労働。小規模事業主だとか、中小零細ですとか、こういうところは、厳しいというようなお話あります。 もちろん、法律ができても、すぐにそれで取り締まっていく、ということではないですから、ちゃんと、どうやれば生産性が上がるのか、長時間労働を直していけるかっていう、アドバイスができる窓口を作って、そういうところから、いろんな助言をしていって。これ、労働基準監督署じゃありませんから。あれは取締ると……。あ、知ってます?労働基準監督署って、警察ですからね。 木原 うん、そうですね。

日本の中小企業の働き方は発展途上国に近い?

田村 厚生労働省に司法警察員がいるんですけれども、警察官みたいな、2つ(の職種が)あるんです。1つはこの労働基準監督官、もう1つは麻薬取締官なんですよ。2職種とも手錠を持っている人たちなので、この人たちがあまりに、ばばっと入っていくと、やっぱり、ちょっとぎょぎょっとなっちゃうんですよね。 木原 これ、逮捕権限もあるということですよね。 田村 もちろんあります。まあ、もちろん、そういうところもアドバイスしますが、そういうところじゃない。社会保険労務士のみなさんでありますとか、商工会や商工会議所、窓口でいろいろアドバイスできる指導員の方々に、そういうようなものをしっかりと提案をしていただいて、こうやってやっていただければ。まあ、いろいろあるんです。変形労働制を使えば大丈夫ですよとかね。 木原 なるほど、いろんな手法がね。 田村 手法があるんです。それによって、80時間超えちゃったらダメなの?っていう。実は残業時間は2か月から6か月の平均、これで80時間を超えちゃダメですし。 木原 今回の新しい提案ですね。 田村 そうです。ひと月、単月で100時間越えちゃダメだっていうふうにしているんですが、どうしても越えちゃうときがあるとすれば、それは今言った、変形労働制みたいないろんな手法を使えば、「違法じゃありませんよ」とアドバイスできますので。 そういうことをやっていただいて、中小零細、小規模事業主の方々も、将来的には、これをちゃんと守れるような形にしていっていただく。というのは、結局どれだけ働いても、なんとか成り立っている産業というのは、これはどちらかというと、発展途上の国々の働き方なんですね。 そこの国と日本は争ってても、先はないんですよ。だって、そこのほうが賃金安いんですから。だから、そこと戦うんじゃなくて、そうじゃない国々と戦う。それが実は、産業構造の転換なんです。そこで強い中小零細になっていただくっていうのも、今回を機にうまくまわっていけばいいなっていう期待感もあって。そういう意味では全体でいうと、社会構造が変わるような話なんだろうなと思います。

急増している外国人労働者

木原 あのね、田村さん、僕も地元に帰ります。地元に帰ると、「働き方改革」がわかったような……。今日もみなさん、これでわかってもらえればいいと思うけど、わかったような、わかってないようだなという意見がある中で、特に中小企業のみなさんは「人手も人もいねえしよ」と。「仕事も増えてるけど、人もいねえんだけど、こんな時に働き方改革やられたら、もう大変だよ」って声がありますけど。そういうのは、どういうふうに? 田村 例えば、長時間労働をずっと、このまま温存すると、人が足りませんか? いい条件のところにみんな、人、移っちゃうんですよね。 木原 要するに、長時間労働をやめて、働きやすくて給料がいい職場へどんどん行っちゃうと。 田村 そうそう、だから、こういう時は労働条件を良くしないといけない。今までブラックといわれていたような企業が、正規社員なんかにしてるでしょ。名前は言いませんけどね。だから、そういうところも変わっていかないと、企業が生き残れないということになってきます。 木原 人が足りないっていうことだ。 田村 ただし、一方でいません、確かに。驚くべきことに、昨年は、外国人労働者が20万人増えました。私が大臣の時、67~68万人だったんだすよ。この5年で、120万人超えました。それはどういうことかというと、今、放っておいても増えているんですよ。足らないですから。 だから、外国人というものをどう考えるのかということも、我々は真剣に向き合っていかなければならない。今は技能実習として「実習ですよ」といって日本に来て、雇用を3年、5年に延ばしましたが、5年経ったら、自国に戻ってその学んだ能力を活かしてやっていただく、というようなやり方と、それ以上に伸びているのは留学生なんです。留学生は今、週28時間はアルバイトができるんですけれども。たぶん、実態は……。 木原 超えていると。 田村 ええ。Wワーク、トリプルワーク越えちゃって、ぎりぎり学校を辞めないでいい時間だけ学校に行って、あとは働いている。もしかしたら、雇用を目的に来られている方もおられるかもわからない。そっちの方が多いっていう人もいるんですけれども。ちょっといびつですよね。私はラーメンが好きなので、住んでいるところの近くのラーメン屋にいくつか行くんですが、ほぼ、もう全部外国人。 木原 そうですよね、外国の方ですよね。

外国人労働者のキャリアパス

田村 だから、もうそういう状況で、東京は外国の方々がいないと、特にバックヤードは回らなくなってますから。東京の消費を支えているのは、外国人の方々なんですよね。つまり、日本人の就いているところに外国人が来ちゃうと、日本人の給料が下がっちゃう。これはダメなんですよ。 日本人が働いていない、つまり、日本人はそこでは働かないという職種に外国人を入れていくというのを、真剣に、安倍総理もなんかそういうことを、今度おっしゃられだしました。我々はもっと前から提案していたんです。ただし、移民じゃないですよ。何年か経ったらお帰りいただくという前提で。 結婚してお子さんが産まれると、それがダメというよりは、それを受け入れる社会環境は日本はまだできていません。それを作ってからじゃないと、軋轢が生まれちゃったら国としてお互いに不幸ですから、帰っていただくという前提で考えているんですね。 今度は特に介護は、養成学校に入って2年学ぶと、介護福祉士の資格が自動的にもらえます。この方々は、そのまま日本に在留資格を与えて、日本の介護の現場で働いてもらう。何年か経って自国に戻った時に、もう自国も高齢化が始まりますから、日本から介護産業や事業者が行って、そこで彼女、彼らを使って介護をする。その時に彼ら、彼女らは介護エリートですから。 木原 向こうに帰れば。 田村 そうなんです。そういうキャリアパスをうまく回してやらないと、賃金の格差もだんだんなくなってきてますから、日本に来てもらえない時代が来ますので。そういう日本に来るインセンティブを作りながらみたいなことも、実は今考えているんです。 木原 なるほど、なるほど。外国人労働者の活用は良いことだと思いますし、やらなくちゃいけないことだけど、すぐに中小の現場でそれが活用できるわけではないでしょうから。生産性を上げていくことも大切なんだと思いますが、そんなことも今回の予算で入っていると。 田村 それは、いろんな生産性を上げたりだとか、働く方々の研修ですね。こういうものに対しての補助も手厚くして、すぐにそれが本当に効くかどうかは別として、いろんな努力をする企業のみなさんが、しっかり成果を出していただけるようなメニューは、用意をさせていただいて、全面的に中小零細企業を支援をしていこうという体制は組んでます。

中小企業の働き方が変わらなければ日本は競争力を失う

木原 なぜこれをお話しするかというと、やっぱり日本の企業の99.何パーセントが中小企業で、働いている方の7割も中小企業。 中小企業のみなさんが、この働き方改革、特に長時間労働の是正に対応できなければ、日本全体が沈没していくというか、競争力を失うということだと思いますが、今おっしゃっていただいたように、生産性を高める一方で、予算とか、いろんな手当もしています。人が足らなくなるところは、外国人の方も含めて、手当てをしています。心配ないということでしょうか。 田村 いや、心配はあるんですよ。もちろん、そんな簡単じゃなくて、要するに15歳から64歳までの生産年齢の人口が急激に減っていきますから。もちろん高齢者も元気ですから、75歳くらいまで働ける方、働きたい方は働ける社会になってくるでしょうし、女性の方々も今のようにパートで働いている方々が、「いや、私もっと力を発揮したいの」という方は、正規社員となって頑張ってもらう。 なんか、統計を見てますと、ずーっと大学卒業して定年まで、普通に働いていた女性の生涯年収って、2億7,000万円なんですって。一方で、20代で結婚して。 木原 同じ職場に入ったけれども。 田村 入ったけれども、結婚して、出産して、子どもを産むために辞めて、一定程度は子育てをやって、その後パートとして復帰したという方々の生涯所得は5,000万。 木原 そんなに差があるんだ。 田村 そうなんですって。だから、どこも女性も働きたければ、ずっと一時は育児休業を取ったとしても、キャリア形成が途切れることなしに、男性と同じようにキャリアアップしていくと言いますか、出世できるというような。 そういう社会にしていけば、当然、女性に力を発揮していただく場が増えますよね。だって、女性も男性も変わらないぐらい大学とか出てるわけですし、場合によっては女性の方が優秀な人いっぱいいますから、そういう意味からすると、やっぱり女性の力を貸していただくのも重要。でも、それでも足りませんからね。だから、早急にやらなきゃいけないのは、早く出生率を最低2.0まで戻すこと。

社会構造の改革が必要

木原 今、1.44くらい。 田村 1.44くらいですね。今度、教育改革やなんだかんだで、また消費税の使い方を変えて支援をしようと。総理は幼児教育の無償化っておっしゃっておられますけれども、とにかく全面的に子どもを育てやすい環境にして、出生率を上げていく。 でも、仮に10年後、15年後、(出生率が)2.0まで戻っても、その子どもたちが働くまでは、まだ20年ですから、30年とか35年。でも、その子どもたちが社会で一般で多数を占めるという話になると、50年仕事なんですよ。だからこれから50年仕事で、その間の労働力をどうするんだと。 木原 どう確保するのかと。 田村 たぶん、無人コンビニなんていわれてますが、そういうふうに極力人を減らして、今、AIやロボットや、いろんなもので人を代替できるっていう話がありますから、そういうものを徹底的に使って、急激に減る労働者の方々をなんとか満たしていくようなことをしないと、これから日本は乗り越えられない。 木原 そうすると、少子化の問題を出していただいて、出生率が、これから2.0に戻すのも時間がかかるだろうと。そうすると1つは、長時間労働是正はその少子化問題対策としては重要ですよね。 田村 重要ですね。 木原 まず、1つ大切。それから、この非正規雇用者がきちんとした給料をいただけるようにすると。それもこの少子化対策としても重要。 田村 重要です。 木原 そういう意味で同一労働、同一賃金というのは、格差をなくして、いろんな働き方で、女性のみなさんが、正規にはならないけれども、非正規でもちゃんとお給料をもらえると。こういう理解でいいですか。 田村 そうですね。やっぱり社会構造の改革なんでしょうね。だから、今まで日本が普通にやってきた常識が、もう変わらないと、たぶん世界と共に日本が輝き続けられない。というようなところに来てるんじゃないのかな、というふうに思います。

  
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