連結業績

三宅香氏:2017年度決算の概況について、ご報告をさせていただきます。

初めに、営業収益でございますが、8兆3,900億円となり、8期連続の最高収益を更新をいたしております。営業利益は2,102億円、経常利益は2,137億円となり、いずれも前期より約14パーセントほどの増益となり、過去最高益を更新いたしております。親会社株主に帰属する当期純利益は245億円となり、期初計画を95億円上回る結果となっております。

セグメント別業績①

これをセグメント別に見ますと、GMS事業の前期差が118億円と最も大きく、全体の収益改善に貢献をしております。また、国際事業が黒字化したことにより、全セグメントにおいて黒字化を果たすことができております。

ドラッグ・ファーマシー事業、総合金融事業、ディベロッパー事業は、グループの中核事業として引き続き堅調に成長をしております。ドラッグ・ファーマシー事業は、調剤併設店舗や24時間店舗の拡大、店舗活性化などの施策が奏功し、売上・粗利益率ともに改善し、増益となっております。

総合金融事業は、国内におけるカードショッピング・キャッシング取扱高が、引き続き順調に推移しております。これは、グループ内の小売店舗増に伴う新規カード会員の増加と、既存カード会員さまにおいても、イオンの店舗で日々のお買い物にご利用いただくことで、お客さまのメインカードとなり、グループ外でのご利用機会の増加にもつながるという循環が継続しております。総合金融事業の海外におきましても、会員の増加による取扱高の伸長とコストコントロールが、業績に寄与しております。

ディベロッパー事業も、イオンモールの海外がとくに大きく損益改善し、増益となっております。

SM事業につきましては、第3四半期までは苦戦をしておりましたが、生鮮食品を中心とした売上の回復と、粗利益率の取り組みと経費コントロールにより、第4四半期には32億円の増益となっております。ダイエーに関しましては、非食品へのテナント導入やEDLPの推進による販売促進費の削減などに取り組み、通期で18億円の損益改善となっております。

サービス・専門店事業では、前年大ヒット映画の反動減があったシネマ事業や、ジーフットなどの物販事業が厳しかったものの、店舗活性化やYouTubeでのプロモーション活動が奏功したイオンファンタジーが、好調な業績となっております。

セグメント別業績②

結果として、グループの利益の柱として継続成長をしております総合金融、ドラッグ・ファーマシー、ディベロッパー、この3つのグループの中核事業に加えまして、今期はGMS事業、そして国際事業が増益に転換をすることで、グループ全体を底上げするかたちとなっております。

SM事業は減益となりましたが、第4四半期の増益でその幅を最小限に抑えることができ、2018年度につなげるかたちとなりました。サービス・専門店事業につきましては、赤字企業・不振企業の重点管理を徹底し、引き続き改善につなげてまいります。

国際事業

次に、増益転換をしたGMSと国際に関して、少しご説明をさせていただきたいと思います。

まず、国際ですが、アセアン・中国ともに増益となっております。

アセアンにおきましては、マレーシアの2社が、現地のお客さまのニーズに対応した価格や商品展開の見直し・既存店活性化の推進などにより、増益となっております。ベトナムでも、生鮮食品の販売強化などにより増益を果たしております。

中国におきましては、不振店舗の閉鎖・旗艦店舗の大型活性化を推進した青島が黒字化するなど、総じて既存店の売上が伸長し、損益改善につながっております。

香港に関しましても、2016年度にイオンスタイル化をした旗艦店舗2店舗がちょうど1年を回り、引き続き客数昨対は110パーセント強を記録しており、確実に活性化の手応えを感じている結果となっております。

GMS事業

次に、GMS事業でございます。GMS事業の前期差の、118億円の内訳になります。

イオンリテールが34億円。それから、ダイエーから移管したGMS店舗の増益分が42億円。イオンバイクやイオンベーカリーといったGMS事業内の専門事業も、粗利率の改善・コスト削減などに取り組むことによって、42億円の改善となっております。

GMS事業:イオンリテール①

そのイオンリテールの、34億円分の増益の内訳となります。昨年来よりも、引き続き販管費の削減を続けておりまして、2017年度も11億円、ここ(2017年度)で増益を果たしておりますが、それに加えまして、営業総利益の増額分が22億円という内訳になっております。

GMS事業:イオンリテール②

イオンリテールに関しましては、これは期中でも何度か進捗をお見せしている表でございますが、2016年度下期より、継続的に1点単価の引き下げを行い、1人当たり買上点数の増加につながる施策を打ってまいりました。

その結果、この買上点数の増加に伴って、既存店売上高を第4四半期には100パーセントにまで回復させることができております。これはもちろん、1点単価の引き下げだけではなく、この2年間を通して積極的に進めてまいりました、売り場改革を目的とした組織改編、そして現場力の強化などの成果でもあると考えております。

トップバリュ①

そしてもう1つ、イオンリテールの業績回復に貢献しているのが、トップバリュの売上の回復であります。こちらは、トップバリュの商品開発の考え方・戦略を表した図です。トップバリュに関しましては、2015年度より抜本的に見直しを行い、改革をしてまいりました。

この第1象限に関しましては、世の中に常に顕在化されたニーズ、そしてすでに存在する商品がある象限でございますが、ここに関しましては、NB(ナショナルブランド)商品と戦う商品領域になります。この象限における戦いに必要な要素の1つが、価格となります。

しかし、価格だけが要素ではございません。トップバリュは、2015年に改革を着手することを発表いたしております。そして、2015年の後半から実質2年半をかけ、この第1象限内の約7割に相当するアイテムをリニューアルしてまいりました。

商品そのものの規格が、お客さまのニーズに合っているのか。味は本当に、お客さまに認めていただけるレベルなのか。そして、パッケージのデザインはどうなのか。一つひとつ、時間をかけてリニューアルをしてまいりました。そして、その上での値下げを行ったということです。

トップバリュ②

その結果が、こちらになります。トップバリュ売上高の前年比を、月次推移で表しております。先ほど申し上げましたとおり、これ(資料の3月〜12月)は2017年ですけれども、2016年の下期の後半に一度行っております。実質、そこから4回程度にまとめて値下げを行ってくることと、先ほどの改革の結果によって、最終的に現在は昨対の110パーセントほどの伸びとなっております。

トップバリュ③

そしてもう1つ、トップバリュとして力を入れてきたのが、この第2・3・4の象限に入る商品の開発です。イオンだからできる、トップバリュだからこそ提案できる新しい価値の創出を、ずっと力を入れて推進してまいりました。

トップバリュ④

その結果が、こちらになります。この第2・3・4の象限(図の濃い緑色の部分)の商品は、2015年度には、全体の占める割合が約10パーセント弱であったものが、2年から3年間の間に約30パーセント弱まで伸ばすことができております。

トップバリュ⑤

この中で、現時点で最も大きなカテゴリが、「ヘルス&ウェルネス」の分野の商品となっております。このようなシリーズが含まれております。

まだ、第1象限の大きさから見ると小さくはありますが、着実にアイテム数および販売店舗網を拡大することができております。とくに、例えば「グリーンアイ オーガニック」のシリーズに関しましては、昨年は昨対128パーセントの伸びとなっておりますし、「フリーフロム」、それから「やさしごはんシリーズ」といったものも、着実に売上を拡大させることができております。

トップバリュ⑥

これらの取り組みの結果、トップバリュの売上は、2014年度以来3期振りに、前年を上回る実績となっております。イオンだから、トップバリュだからこそできる価格と価値を提供し続けることで、2019年度には1兆2,000億円の売上を目標に取り組んでおります。

以上が、2017年度の業績に関する説明でございます。

連結業績予想

次に、2018年度の業績予想についてご説明いたします。

営業収益は8兆7,000億円、営業利益・経常利益ともに2,400億円、親会社株主に帰属する当期純利益は350億円を計画しております。

先に発表させていただきましたとおり、2018年度から2020年度に向けて、イオンリテールの食品部門の地域分社化や、非食品部門の事業会社化、ディスカウント事業の確立など、大きな構造改革を掲げ、実現に向けて動き出しております。

これらの取り組みの推進による、各セグメントに与える影響額の見極めが非常に難しいため、セグメント別の利益計画については、公表を差し控えさせていただきたいと思います。事業ごとに成長のステージは異なりますが、それぞれの事業において、さらなる収益性改善に向けて取り組んでまいりたいと思います。

投資計画

投資計画につきましては、昨年(2017年)12月に発表しました中期経営方針に基づき、eコマース、IT・物流などのインフラ投資の構成比を高めてまいります。年間投資額は5,070億円を計画しており、計画の精度を高めることで店舗関連投資を圧縮し、インフラ投資に振り向けます。また、地域別におきましては、海外投資に傾斜配分する計画となっております。

米国ベンチャー企業(BOXED)への出資

なお、お手もとに別紙のリリースをお配りしているとおり、インフラ投資の(デジタル)シフトの一環として、この度、米国のベンチャー企業であるBoxed社へ出資を決定いたしました。

Boxed社は2013年に設立されたスタートアップ企業で、高度に自動化された物流システムや、AIを活用したアルゴリズムによる高い顧客提案力を有しております。Boxed社が保有する物流やデータプラットフォームのノウハウを活用することで、お客さま満足の向上に努めてまいりたいと思います。

細部につきましては、今後詰めてまいりますが、Boxed社の概要や取り組み・メリットにつきましては、お配りしておりますリリースに記載されておりますので、ご確認いただければ幸いでございます。

配当予想

最後に、配当計画についてご説明いたします。2017年度利益計画の達成および2018年度の増益計画をふまえ、配当につきましても年間4円の増配計画とさせていただくことで、株主のみなさまのご期待に応えていきたいと考えております。

本日の説明は以上となっております。計画達成に向けて、グループ一丸となって取り組んでまいりますので、引き続きご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。