仕事を覚えられない人への接し方

小谷俊介氏(以下、小谷):ありがとうございます。次はなかなか長文で、ちょっと要約していくと。「職場で一緒に働いている20代前半の人がいます。ちょっとテンパリすぎています。」

菅原道仁氏(以下、菅原):なるほど、なるほど。いらっしゃいますよね。

小谷:「なかなか同じことを教えても覚えてくれないので、メモを取ったらいいんじゃない、というふうに伝えると、メモを取るんですけども、次に同じことをしても忘れてしまいます。」

菅原:いる、いる。います、います。

小松田久美氏(以下、小松田):うっかりさん。

小谷:「覚えてもらうにはどうしたらいいでしょう。」

菅原:そうですね。荒治療かもしれないですけど。僕は思うには、これ難しいんですけど。

小谷:絶対いますもんね。

菅原:大前提は、「人は変わらない」ということなんですね(笑)。

(会場笑)

菅原:やはり自分で気づかせないと。必要だから人間って変わるわけです。先ほどのダイエットの話もそうですけど、コレステロールが高いのも自分で気づいて、自分で「変わる」って思わないといけないわけです。医者がいっくら言ったって変わらない。

だけど、この人がこういうことを繰り返すのは、たぶん間違った成功体験がある方だと思います。例えばどういうことかというと、僕もそうだったんですけども、夏休みの宿題があるじゃないですか。早くやる人もいるし、ぎりぎりでやる人もいる。僕はずっとぎりぎりで出す。後半でやる人だったんですけど、間に合っちゃうんです。

小松田:はい。なんとかなっちゃう。

小谷:気合いで。

菅原:そう。なんとかなっちゃったんです。だから「それでいいや」っていうのが、誰でも続くわけです。間違った成功体験ですよね。

小松田:頭のいい方で、いっぱい、いらっしゃると思います。

「アメとムチ」ではなく「アメと無視」

菅原:なので、それで落第をするとか、「本気でまずい」ということがあったら、絶対翌年から変わるはずです。

小谷:ああ。

小松田:ああ。

菅原:その方が職場で変わらないのは、会社自体はうまくまわってしまっているからなんです。だけど、そうとも言っていられないので。意外といい方法は、心理学者の植木理恵さんの著作にあるんですが、「アメとムチ」じゃなくて「アメと無視」することなんです。

本当にわかる心理学

小松田:無視!

小谷:「アメと無視」(笑)。ほお。

菅原:どういうことかというと、「よくできたね」と言うことと「叱る」ことよりも、「よくできたね」はいいんだけども、できなかったら無視する。

小谷:無視。

小松田:失敗してもほっとく。

菅原:はい。例えば、われわれ男性が家族のところに帰る時に飲み過ぎて帰ってしまったら、小言を言われるわけです。

小松田:はい。

菅原:「なんで遅いの、あなた飲み過ぎじゃないの」って言われるじゃないですか。

小谷:めちゃめちゃ言われます。

菅原:それは、われわれ男性はすぐに忘れてしまうことが多い。

小松田:そうなんですか!

菅原:言われたら、「ごめんな」ってその時は思うわけです。だけど一番恐いのは何かというと、無視されることなんです。何にも言われないことなの。

小松田:今、すごく頷いていらっしゃる。

小谷:ああ! そういうことか。

菅原:うん。何にも言われないとなんか怒ってんじゃないかって思うので、次から気をつけよう、と思うわけです。

小谷:ああ。

小松田:いいことを聞きました。

ストレスが溜まると行動を変えなくなる

菅原:はい。これはネズミの実験で(事例が)あるんです。ただのT字路と、電極があるT字路(の両方)にエサが置いてあるわけです。(ネズミに道を覚えさせて)エサのある方向に行かせたい時には、電極とエサ(ムチとアメを与える)よりも、エサしか置いていない方が、早く(正解の道に)たどり着くことができるのです。

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