株式投資に興味を持ったきっかけ

内田まさみ氏(以下、内田):トークショーの前半は、株式投資の初心者の方にもお楽しみいただける内容に、そして後半は、今後の相場展望や分析手法など、中・上級者の方にもご満足いただける内容で、お送りしていきたいと思います。

では、登壇者のみなさんをご紹介させていただきます。

まずは、元AKB48でタレントの松井咲子さんです。よろしくお願いします。

松井咲子氏(以下、松井):よろしくお願いします。

内田:本当に肌が透けるように白くて。さっき打ち合わせでお会いさせていただいた時に、引き込まれそうな視線で私を見るんですよ。女性の私でもどきどきしちゃいました。よろしくお願いします。

松井:よろしくお願いします。

内田:そして、そのお隣がトレーダーの坂本慎太郎さん、通称Bコミさんでございます。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):坂本です、よろしくお願いします。

内田:よろしくお願いします。「トレードステーション(トレステ)」、もちろん使っていらっしゃるんですよね?

坂本:まあ、みなさんにはぜんぜん劣るんですけれども、一応使っています。

内田:そのお隣が、東野幸利さんです。こんにちは。

東野幸利氏(以下、東野):東野です、よろしくお願いします。

内田:東野さんはテクニカルアナリストとして日々相場を分析されているので、チャート分析はお得意の分野ですよね。

東野:お得意かどうかは、ちょっとわからないですけれども(笑)。

内田:今日は、みなさんにアドバイスなどをいただこうと思います。そのお隣、本郷喜千さんです。よろしくお願いします。

本郷喜千氏(以下、本郷):よろしくお願いします。

内田:本郷さんはシステムトレードに詳しく、マネックス証券のセミナーにも時々ご登壇されていて、私もご一緒させていただくことがあります。先ほど(「トレステ」のオリジナルワークスペースコンテストの表彰式)も、けっこう細かいところまでご評価をいただきました。

本郷:そうですね。「トレードステーション」は、すごくディープなツールなので。もう底なし沼というか、(やろうと思えば)どこまでもいけるツールではありますね。

内田:やっぱり本郷さんも、そう感じるんですね。

本郷:そうですね。

内田:だからこそ、極めていくのって楽しいんですかね?

本郷:そうですね。いろいろ自分でできるというところが、魅力だと思います。

内田:わかりました。それでは、私たちも着席させていただきながら、トークショーを進めていきたいと思います。失礼いたします。

(登壇者着席)

内田:今日はテーマをいくつかいただいています。1つ目のテーマ、「みなさんが株式投資に興味を持ったきっかけ」から、入っていこうかなと思います。

今日のスペシャルゲストの、松井さん。

松井:はい。

内田:「株式投資」と言われると、「ちょっと難しそうだな」とか、思っちゃいますよね。

松井:思います! いまだに思っています。投資もまだぜんぜんやったことがなくて、「初心者」と名乗ってもいいのか、わからないくらいのレベルなんですけれども。

やっぱり将来を考えた時に、いつか家族を持って……さらに夢を持つと、孫とかができた時に、「一緒にお出かけしたい」とか「なにかプレゼントをしたい」と考えた時に、「今のままで大丈夫かな?」という不安があったりとか。

内田:やっぱり若い人たちって、今はすごく将来の不安が強いんでしょう?

松井:そうですね。

内田:松井さんもそう?

松井:はい。やっぱりあります、不安は。

内田:そうなんですね。松井さんの口から「孫」とか聞いちゃうと、ファンの方ががっかりするんじゃないかと思って、私ドキドキしちゃいますけど。

松井:いやいやいや(笑)。

内田:でも、やっぱり(将来のことを)考えるんですかね。

松井:そうですね。将来を考えた時に、お金のこととかを思うと、やっぱり「今からやるべきことがあるんじゃないかな?」と思って、(株式投資に)すごく興味があって。今日はいろいろ、1からというか0から、お勉強したいなと思って。

内田:そうですね。「まず、なにからやったらいいのか?」というところからですね。わからないですもんね。

松井:そうですね。

内田:今日は偉い先生方がたくさんいらっしゃいますからね、教えていただこうと思います。

松井:お願いします。

幼稚園児の頃、新聞の株価欄が気になった

内田:それでは、Bコミさん。なぜ株式投資(に興味を持ったんでしょう)……Bコミさんって、小さい頃から興味があったって聞いてますけど?

坂本:そうなんですよ。僕は(株式投資に興味を持ったのは)幼稚園くらいからなんですよね、実は。公文式をやっていて、字はけっこう……漢字も読めたので、新聞を読んでいたんですね。

内田:え、そんな小さい頃から?

坂本:幼稚園くらいの時に。

内田:『子ども新聞』とかじゃないですよね?

坂本:いや、普通の新聞を読んでいて。それで、株価欄があるじゃないですか? 数字が並んでいる欄があるんですよ。

内田:あります、あります。

坂本:その数字(を見て)、「これはなんだ?」みたいな。親に聞くと、「これは株だよ」と。親が株式投資をしていたわけではないんですけれども。

それで僕は、コツコツと本などを読んで調べていって。ちょうどその頃、ファミコンのゲームが出ていたんですね、株の。それを、小学校3年くらいの時にやったんですけど。

(ゲームを)やっていて、「売買ができる、すごいな」と思って。「『信用取引』というのがあるじゃないか。それを使うと、持っている金の何倍かまで取引ができちゃうぞ」というのを知ったのが、小学校3年生くらいですかね。

松井:すごーい!

内田:松井さん、どう思います、こういう子ども(笑)。

松井:(笑)。すごいことですよね。

内田:すごいって言ってくれていますよ(笑)。ちょっと変わっていません?

松井:とっても変わっていると思います(笑)。

内田:そうですよ。いいんですよ、正直に言っちゃって(笑)。変わった……あんまり可愛らしくない子どもじゃないですか(笑)。

坂本:自分でもそう思います(笑)。

そのあとも、コツコツとやっていたんですけれども、やっぱり成長するにつれて、楽しいことがたくさん出てくるわけじゃないですか。中学と高校の頃は、あんまり(株式投資に)興味はなくて……放課後はバンドをやったりとか。

内田:子どもらしくなりましたね(笑)。

坂本:なりました、なりました。

内田:ちょっとほっとしましたけど。

坂本:大学の途中まで(バンドを)やって、一緒にやっていた人がプロになったりしたんですけど。

大学になってから、バイトを始めて。アルバイトって、時間がもったいなく感じたんですよ。やっぱり、単純労働じゃないですか。

だから、「株式投資をしたいな」と思って。そこで、100万円ちょっとかな? バイトでお金を作って、それから株を始めました。(株式投資)デビューが、20歳になったくらいですかね。

内田:そうなんですね。松井さんは、若くしてアイドルになっちゃったじゃないですか。だから、アルバイトの経験とかはない?

松井:ないんです。高校の時にAKB48に入って、(今日の会場の秋葉原UDXシアターの)向かい側の建物で、歌ったり踊ったりしていたんですけど(笑)。

内田:そうですか、もう聖地ですもんね。

松井:そうなんです。

内田:でも、最初にもらったお給料……ギャラとかがあるじゃないですか。それを「投資に使おう」とか、思わないですよね。

松井:思わないですね。

内田:ちなみに、なにに使いました? 最初のギャラは。

松井:そうですね。「これを買おう!」と思って働いていたわけではなかったので……。

内田:そうか、「アイドルになる」っていうことのほうが、目的だったのかな?

松井:そうですね。「お金!」と思って、働いていなかったので。

内田:そうか、ちょっとBコミさんとは違う人生な感じがします(笑)。

坂本:そうですね、僕が特殊なのかもしれないですね(笑)。

内田:でも、(20歳で投資を始めて)それからずっと、投資一筋?

坂本:そうですね、ずっとプロで投資ばっかりでしたね。

内田:個人投資家になる前にディーラーやファンドマネージャーもされて、本当に視野が広くなりますよね。坂本さんって若そうに見えるじゃないですか。

松井:はい。

内田:若そうに見えて、いろんなことを知っているんですよ。

坂本:若そうじゃなくて、若いんですよ(笑)。

松井・内田:(笑)。

証券会社に入って、相場が好きになった

内田:じゃあ、東野さん。株に興味を持ったとか、携わったきっかけ……お仕事ですか?

東野:そうですね。株式投資(そのものに興味があった)というよりは、私の場合は、入社したのが証券会社でしたので。

どちらかというと株式投資というよりも、相場を好きになっていったという感じですね。

内田:証券会社に入っちゃったら、取引とかってできないですもんね、実際にはね。

東野:そうですね、基本的にはできませんので。当時、私が入社した頃は、バブルの絶頂期の時なんですね。当時はネット証券もなかったし、株取引をするお客様が少なかったんですよ。

内田:寂しい時代でしたよね。

東野:自分の担当するお客様も1、2人しかいなかったので、(そのお客様が)外れちゃうともう(取引が)止まっちゃうんですよね。

当時は取引手数料もけっこう高かったじゃないですか? なので、少しでも損をすると、お客様の動きが止まるんですよね。そうすると、会社から怒られちゃうので、銘柄の勉強をけっこうやりましたね。

内田:そうか。お客様が取引を止めないための勉強を、仕事上しなきゃいけなかった?

東野:そうですね。でも、銘柄や企業の中身を調べるというよりも、どちらかというと、チャートをずっと見続けました。買ってすぐに株価が上がらないと商売にならないので、チャートばっかり勉強していましたね。

内田:けっこう必死で、テクニカルを勉強された感じ?

東野:そうですね。ただ当時は、チャートと言っても5、6人の営業マンに対して端末が1つくらいしかなかったので、回しながら見ていたんですよね。新入社員の僕なんかは、当然タッチもできないくらいの世界だったんですけれども。

やっぱりチャートを見るとなると、当時はチャートブックですよね。

内田:売っていますよね、今でも。

東野:今でも売っています。チャートブックを毎週土曜日に買って、それをずっと、毎週毎週見て。あんまり、(今売っているものと)かたちは変わらないんですけれども。

内田:『週刊ゴールデンチャート 全銘柄週足集』とかも出ていますしね。あまり、変わらないですよね。

東野:それで覚えていったみたいな、そんな感じですかね。

内田:じゃあ、もう日々コツコツ?

東野:そうですね。今のように銘柄コードを叩いて、パソコンにチャートがすぐ出る画面なんて、なかったんですよ。

内田:そうですよね。「トレードステーション」なんて、まさに無料で20年以上前のチャートも見られますし、テクノロジーが集結した感じのものになっていますよね。

東野:本当にそうですね。ただ、大学の時は「証券会社に入りたい」とは思っていなかったんです。もし違う業界に入っていたら、株式投資やテクニカル分析とかは、まったくやっていなかったと思いますね。

内田:なるほど、なるほど。でも、証券会社に入って相場の勉強をしたからこそ、今日松井さんのような美女にも会えて(笑)。

東野:そうですね、よかったです。

内田:役得ということで(笑)。

たくさん持っていた株が「燃えた」

内田:本郷さんは、なぜ投資に携わったんですか?

本郷:始めたきっかけは、2000年頃……当時はサラリーマンで。会社でリストラがあって、周りの人がどんどん辞めていって。

内田:厳しい時代でしたからね。

本郷:そうですね。ネットバブルの後だったので。将来的な不安があって、「どうしよう、どうしよう」としている時に、「サラリーマンとしての収入以外に、なにか収入があったほうがいいんじゃないか?」と、ありきたりなことを思いついて。

サラリーマンなので時間がないから、「副業をやるなら、株か不動産でしょ」と。本屋に行って見ていると、不動産に投資をするには頭金もいるし、お金もないし……ということで、数万円から始められる株式投資をしてみようと、口座を開いて。

(その頃は)2000年過ぎで、マネックス証券さんや松井証券さんなどで、ネット証券が始まって。個人投資家も安い取引手数料で株取引ができるようになったので、そこからやり始めた感じですね。

内田:ずいぶん、環境が変わりましたもんね。

本郷:そうですね、今は当たり前ですけれども、当時はそういうサービスがなかったので。

内田:なるほど。儲かりました?

本郷:その時は、けっこうやられましたね。

株取引を始めて少しした頃、三菱重工の株をたくさん買って、思いっきり張っておいたんですが、当時建造中のクルーズ船ダイヤモンドプリンセス号が、火事で燃えて。

それで、がさーっと三菱重工の株価が下がって、思いっきりやられたのが、懐かしい思い出ですね。「思い出」と言えるようになったくらい傷が癒えてよかったな、と思います。でも、(株式投資は)そういうことの連続だったりしますよね。

内田:株式投資は、そんな感じですね。Bコミさん、そういう失敗したことを覚えておくというのも、次の投資に向かっていく時にすごく必要だったりしますよね。

坂本:そうですね。僕はいつも言っているんですけれども、「株は経験値がある人が勝つゲーム」なんですよ。長くやっている人が、勝つと思うんです。

それは(どういうことかと言うと)、歴史はずっと繰り返すわけですから。(繰り返す間隔が)短かったら、数週間で同じことが起こるし。(繰り返す間隔が長かったら)それが3年に1回や5年に1回、あるわけですから。それを覚えておいて先回りしておけば、それはそれで儲かるわけです。

だから、僕はチャートも大事だと思うんですけれども、行動と結果をいくつか覚えておいて、(自分の経験値として)引き出しの中に入れておいて、使うべきときに使えるかというのが、大事だと思っているんですね。

内田:その経験を積むためには、松井さんみたいに若い頃から少しずつ(株式投資に)興味を持っていくことって、すごく大事なことなんでしょうか?

坂本:だと思います。今、アベノミクスの相場がまだ続いているかどうかっていうのは、わからないんですけれども、ただ、10年に1回や数年に1回のサイクルで、好景気があるわけですよ。

その時は一番お金が増えるわけだから、そこに向けて準備をしておくというのが、とくに若い人にはすごく大事だと思います。

内田:ちなみに松井さんは、AKB48の方々だけじゃなく、いろんなアイドルの友達もいると思うんですけれども、(会話中に)投資の話が出てきたり、興味を持ったりなんて人は、いるんですか?

松井:なかなか、日常会話では出てこないんですけど、やっぱり(友達も)将来のことを考えていて。今は若い方にも、株や投資をされている方が多いというのは、テレビとかでも目にするので。

内田:(例えば)仮想通貨だって、ビットコインとかも出てきましたしね。

松井:なので、(投資に)興味を持っているメンバーや友達は、そこそこ多いと思います。

内田:そうですね。「興味を持つ」というのは(株式投資の)スタートで、大事なところだったりしますよね? Bコミさん。

坂本:そうですね。

内田:松井さんは、ようやく今スタートラインに立ったところです。

成功体験は、「6つの目」で銘柄を探せること

内田:それでは、2つ目のテーマにいきたいと思います。(先ほど)本郷さんから出た、三菱重工の話もありましたけれども。(株式投資の)成功体験・失敗体験を聞いてみようと思うんですね。

まず、Bコミさんから。成功体験や失敗体験で、すごく強いものがあったら教えてください。

坂本:成功体験というか、僕の経験談から持ってきたんですけれども。僕は、「6つの目」と自分で言っています。

ディーラー時代のプロの経験と、ファンドマネージャー時代のプロの経験と、個人投資家の経験。その3つの立場から見た「6つの目で銘柄を探す」というのが、僕の売りなんです。

内田:なんだか、かっこいいことを言いましたね。

坂本:そこを、最短でうまくプロとして経験させてもらえたということが、成功だと思っているんですよ。

というのも、短期売買をやっている人は、普通はなかなか、長期投資メインのファンドマネージャーにはなれないんですよ。

内田:なるほど。

坂本:そこには仕切りがあって、なかなか受からないんですよね。長期的な考え方をする人は、「短期的な(売買をする)人はいらないよ」と。

お互いに、認めていないんですよ。ファンドマネージャーをやっている人がディーラーをやっても儲からなくて、「ほら、ダメだろ」と言うし。

ファンドマネージャーのほうも、「ディーラーなんて短期売買をやっているやつなんか、ダメなんだよ」みたいな、そういう感じになっているから。普通はいけないところを、僕は運よくいけたんですよ。

同じ投資のプロだけど、相反する2つの投資スタンスをそれぞれ見てきて、学んだことを使って売買できるというのは、非常に成功かなと思っています。

逆に、失敗は……それも体験からなんですけれども、「いくらやられました」というのは、いろいろあるんですが、やっぱり投資に力を入れすぎたところかな。

若い時も大学生になってからも、ほとんど投資の勉強しかしませんでした。ディーラーになっても、全部インセンティブ制なんですよ。

内田:「儲かったら、自分もこれだけもらえる」みたいな。

坂本:会社のお金を使って売買して、半分はもらえるんですよ。例えば、1億円(の儲けを)作れば、5,000万円もらえる、みたいな世界だから。(当時は)若いし、お金が欲しいじゃないですか。だから、「その勉強しかしない」みたいな(ことが、失敗体験です)。

内田:松井さん、1億円儲かったら、5,000万円もらえるんですって。夢はあるかもしれないですよね。

松井:そうですよね。

内田:だけど、成功するばかりじゃないですよね。アイドルになろうと思っても、全員の子が成功するわけじゃないのと同じじゃないですか。

坂本:そうなんですよ。

だから、(投資に力を入れすぎると)結局視野が狭くなるのもそうだし、「もう少し英語とかを勉強しておくと、伸び代がもっと別のところにあったかな」とか、思うんですよ。

内田:いろいろと、可能性がね。

坂本:そこが、失敗かなと思います。

内田:でも、ここまできちゃいましたからね。今(表情が)寂しい感じになりましたよ。(投資に力を入れすぎたと言っても)人生を悔やんだ感じでは、ないですよね。

坂本:そこは、成功があっての失敗だから。まだ、やろうと思えばやれますから。

内田:若いですからね(笑)。

坂本:そうですね(笑)。

AKB48のステージ上で、失敗したこと

内田:松井さんにも、舞台上の失敗があったりしたんじゃないかなと思って。それを聞いてみたいのですけど、いいですか?

松井:はい。

内田:アイドル的に、大丈夫?

松井:もう卒業したので(笑)。

内田:本当?(笑)。なにかやらかしたこととか、あります?

松井:やらかした……そうですね。AKB48は、やっぱり人数が多いんですけど。コンサートや劇場公演で、けっこう速く着替えなきゃいけないんですよ。

なので、本当に短い時って、20秒とかで違う衣装に着替えないといけないんですね。

内田:(前の衣装の)下に着ていたりするんじゃなくて?

松井:着ている時もあるんですけど、まるまる着替える場合もあります。

「着替えた!」と思って、そのままステージに立って。「1曲歌い終わった!」と思ったら、チャック全開で……本当に恥ずかしくて。

内田:それって、ファンの子たちにバレたりしました?

松井:今思えば、確かに「ぜんぜん、ファンの方と目が合わないな」と思ったんです、その時。

内田:みんな、「見てはいけないものを見てしまっている……」みたいな感じ?

松井:「いつもより、目線が下だな」くらいに思っていたんですよ。

内田:そっちばっかり、目がいっちゃったんだ。

松井:「えっ?」と思って、ステージ裏に戻ったら、バリバリに開いてて。

内田:そりゃあ、みんな見ますよね。私もたぶん、目がいっちゃうと思う。

松井:失敗でした。サバイバルですね。

内田:人生がサバイバル(笑)。確かに、アイドルもサバイバル、やっぱりね。

松井:そうですね。「丁寧に生きていかないといけないな」というのは、すごく思いました。

内田:ステージに出る前に、もう1回衣装を確認するとかね。その時(のステージ)を、私も見てみたかった。Bコミさんも、そう思うでしょ?

坂本:思いますね、はい。

内田:鼻の下伸びてますよ、今。

坂本:ごめんなさい(笑)。

投資の最初の一歩でやることは?

内田:(笑)。そんな松井さんにも、失敗体験をうかがいましたけど。

今日は松井さんに「投資のプロの先生方に、質問してみたいな」ということを、いくつか考えてきてもらいました。じゃあ松井さん、1つ目いきましょう。

松井:やっぱり、投資を始めるにあたって……みなさんは小さい時からされていたり、お仕事でされていたりして。お話を聞いていると、専門用語とかがバンバン出てきていて。

内田:そんなのばっかりで、難しい?

松井:(笑)。そうなんですけど、「(株式投資を)1から始める人は、どういうところから知識を身につけたらいいのかな?」というのが、すごく気になっていて。例えば「こういうところで情報を得たほうがいいよ」とか、そういうアドバイスというか。

内田:「最初の一歩でやるべきこと」ね。専門用語なしでお願いします。Bコミさんから。

坂本:本とかを読んでも、なかなか頭に入ってこないと思うんですよ。そこで僕は、「まず最初は、とりあえず小さいお金で株式投資をやってみよう」と言いたいです。

やってみることによって、やり方や意味が、ちょっとずつわかってくるはずなんですよ。なので、まずは買ってみる。

「(いきなり)買うと危ないだろ」と言う人もいるんですけど。でも、買うとお金が動くし、毎日株価を見るし、必死で勉強するし。まずはやってみるということが、僕は大事かなと思っていて。

内田:すごく少ない金額でできるものも、今はたくさんありますよね。

坂本:あるんですよ。「少ないから(利益が)しょぼい」ということも、ぜんぜんなくて。(初めの)一歩を踏み出すのは、「まずはやってみる」というのは、たぶん、なんでもそうだと思うんですよね。スポーツも勉強も、たぶん投資もそうだと思います。

内田:確かに、そうですね。(株を)持ってみると、ぜんぜん見方が変わってきます。

内田:Bコミさんが、「6つの目」を持っていると言いましたけど。松井さんも、アイドルの目だったり、きっとこれから幅を広げて、女優さんの目だったり。1人の女の子としての目も、あったりするじゃないですか。そういう目で選んでいく銘柄で、いいわけですよね。

坂本:日常に、自分がよく知っている銘柄を買うというのも、1つですね。「ここだったらよく知っているよね」とか。株っていうのは、業績が将来良くなるのを見据えて買うわけだから、「この商品って売れているよね、もしかして儲かるかもね」とか。そういうのでもいいと、僕は思うんですね。

内田:だから、好きな洋服のメーカーとか、お菓子とか。松井さんが今興味のあるものって、なんですか?

松井:興味のあるもの……そうですね、お買い物とかは好きなので。

内田:洋服とか?

松井:洋服とか、好きですね。あと、意外とおもちゃとかも好きなので。

内田:おもちゃ。ゲームとかじゃなくて?

松井:ゲームも好きですし、おもちゃ屋さんとかに行くと、すごくテンションが上がるので。

内田:こういうところから選んでみるっていうのが、きっといいんでしょうね。

坂本:いいと思います。とくにゲームでは、スマホゲームなどが収益に跳ねてくるので。そのあたりに詳しいというのは、案外、目の付け所としていいかもしれませんね。

内田:松井さんはたぶん、これからも投資の世界で、いろいろな情報を発信されていくんじゃないかなと思います。好きなものとかを発信してくれると、ブームって、そういうところから起きるじゃないですか。

坂本:そうですね。

内田:いろいろ教えてください。

松井:はい。

「好きなスマホアプリ」もきっかけになる

内田:東野さんはどうですか?

東野:私も、だいたい同じ意見を用意していたんですけれども。例えば、スマートフォンで好きなアプリがあれば、「どこ(の企業)が作っているんだ?」とか、そこから入っていってもいいと思うし。

あと、少額でもいいから、やっぱり(実際に株式投資を)やってみるということで。私もさっき(株を)持っていると言いましたけど、株を持っている時と持っていない時の分析のコメントが、自分でも「ちょっと違うかな?」と思うくらい、真剣に見て、探究心を深めています。自分では意識しないようにしているんですけれども、やっぱり出ちゃいますよね。

内田:正直者ですからね、人ってね(笑)。

東野:そうですね(笑)。

内田:「(株を)持っている時にした分析」というのを、わかるようにしておいてくれるといいですね。「これ、マジ分析だ」みたいなのがね(笑)。

東野:一緒ですけどね(笑)。

内田:本郷さんは、どうですか?

本郷:お二方もおっしゃったように、モチベーションというのがすごく大事だと思っていまして。「どうやってモチベーションを作るか?」で、おすすめとしては、投資に成功した人の話を聞くこと。

ネットや本にもいろいろとありますので、「あ、これだけ儲かるんだ」というのを、まずポテンシャルを知っておくことが、興味を持つきっかけです。

興味さえ持てば、あとは自分で(そこに向かって)走ったり、やったりするので、まずは「こんなに学ぶ価値があるんだ」ということを、知ること(が必要)なのでは。なんでもそうですけれども、投資もそうなんじゃないかな、と思っています。

内田:可能性がそこにあって、夢があるんだということは、今日松井さんにも伝わったんじゃないかなと思います。

松井:そうですね。

内田:そこが、1歩目かもしれないですね。

「推し銘柄」の選び方は?

内田:じゃあ、松井さん。2つ目(の質問に)いきましょう。

松井:今は(株式投資の知識を身に付けるためには)こういう選び方をすればいいというのを、教えていただいたんですけれども、「この銘柄にしよう」みたいな……。AKB48は、好きなメンバーのことを「推しメン」と言うんですけど。好きな銘柄、「推し銘柄」みたいな決め方は、どういうところに目をつけたらいいのかなというのを、詳しく教えていただきたいなと思います。

内田:確かにね。だって、銘柄って何千銘柄もありますから。

坂本:3,700銘柄くらいあるんですかね。そこから選ばなければいけないというのは、確かに億劫だし、ハードルが高いなと。

「その(3,700もある)中の会社を、何社知っているんですか?」と言われると、僕は9割くらいイメージがつくんですけど、普通の人は、1割とか2割とかだと思うんですね。

だから、その中から探してくるのって言ったら……これは、冒頭に言ってしまったんですけど。やっぱり最初は身近なところからいけばいいんですけど、そのあとになると、経験がものを言うのかな。その中からアイディアを発見して、アプローチして、「推し銘柄」になる。

あとは、業績かな。僕は業績がすべてだと思っていて、株価も業績で変動するものだと思っています。この業績の変化が近いところにあるのか、遠いところにあるのか。ここを見ながら、短期・中期・中長期を考えて投資をしていくというのが、いいんじゃないかなと思っています。

内田:「業績」って一言で言われても、「売上がいっぱいある」とか「利益がいっぱい出ている」とか、そういうことがポイントになってくると思うんですけど。

坂本:一番いいのは、「売上が伸びていて、利益が上がっている会社」なんですよ。当たり前じゃないかって感じなんですけど(笑)。

ただ、なかなか最近はそういう会社も少なくなっているんですね。

そこの中で探してくるのは、やっぱり最終利益の伸びなんじゃないかなと思います。売上が容易には伸びづらい状況になっているので、最終的には伸びるロジックを探してきて、それを見つける。

「上がりそうな形」のチャートって?

内田:東野さんは、どうですか。推し銘柄の選び方は?

東野:私は、先ほど言いましたように、チャートを見ます。専門家なので。

内田:「これは上がりそう」というチャートって、どういう形なんですか? 私、それを聞きたかったんですよ。そう言えば。

東野:いや、簡単には……(笑)。

内田:簡単には言えない、教えてくれない(笑)。

東野:言えないとか、そういうことではなくて(笑)。どうしてもチャートから入っていくので、マーケットへのアプローチが。(松井氏を見て)「チャート」っていうのは、過去に株価が動いてきた推移をみて、将来を予想するという、分析の表なんですけれども。

松井:はい。

東野:(「チャートの形を見る」とは)銘柄を選ぶよりも、今から上がりやすい銘柄をちょっと選んで、それから業績をもう一度見るという作業を、日々やっているということなんですよね。

内田:わかりやすい形って、教えてくれないんですね。

(会場笑)

東野:なかなか、説明するのは難しくて(笑)。坂本さんもおっしゃったように、3,000銘柄以上あるわけですけれども。

内田:確かに、そこから選ぶとなるとね。

東野:そういったものを見ると、いくつかに分類するわけですよね、(チャートの形の)パターンを。今はいろいろネットで見ることができますけど、それを昔からやっていたわけですよ。

何パターンかに分けて、「このパターンはすぐ上がる」「このパターンはもう少ししてから上がる」「下がるかもしれない」というのを分類してから、「今は、どのマーケットが一番合っているのか?」ということを見る。業績を見て悪かったら、もちろん買わないんですけどね。

内田:「トレードステーション」を使うと、チャートの形というか、数値で表して、(データを)パンと出せるじゃないですか。これはやっぱり、すごいことになってきているんですかね?

東野:なってきていますよね。

内田:(「トレードステーション」を)活用しないと、損しちゃうかもしれない。

東野:そうなんですよ。

内田:いい落とし所になりました。

(会場笑)

銘柄選びは「バチェラー」に似ている?

内田:ありがとうございます(笑)。本郷さんは、どうですか? 推し銘柄の選び方。

本郷:松井さんもご存じだと思うんですけど、一言でいうと、「バチェラー」ですよ。「『バチェラー』になる」ということですよ。

内田:「バチェラー」?

松井:「バチェラー」って、今流行っているんですよね。

本郷:男性1人の「バチェラー」がいて、20人くらいの女性が1人の男性を巡って求婚する、リアリティードラマです。Amazonプライムでやっていて、僕はもう真剣になって観たんですけど(笑)。松井さんが、ラジオ番組で話をされていて。

松井:そうなんですよ。今、そんな話が出ると思っていなくて、びっくりして(笑)。

内田:すごく調べていますね、本郷さん、今日。

本郷:それを、覚えてたんですよ。(推し銘柄の選び方が)どう「バチェラー」かというと、(先ほどお話ししたように)女性は選ぶ側ですと。銘柄でいうと、3,700の中から、自分が気に入ったものを選ぶというプロセスです。そのためには、自分で条件を決めなければいけないんですね。そこがポイントです。

誰かが(条件を)決めるわけではなくて、「自分はこういう業種の会社が好きだ」「配当が高いものが好きだ」とか。あるいは、坂本さんがおっしゃったように「(売上と利益が)伸びている会社が好きだ」とか。そのような条件を決めた上で選ぶことを、スクリーニングと言いますけれども。スクリーンしていけば、3,700人から、たぶん100人くらいに絞れるんですよね。

その後は、東野さんがおっしゃったチャートなどを見て、タイミングを見て、どこで買うかを決めていくので、ずいぶん楽になると思います。

内田:条件を、まずは自分で決めること。(例えば)「株主優待がいいぞ」と思ったら優待から見て、利回りも見て……とか。いろいろできるわけですね。ありがとうございます。

おすすめの投資スタイルは?

内田:じゃあ、3つ目(の質問に)いきましょうか。

松井:はい。株式投資を始めるにあたって、「こういうふうに投資していくのがいいよ」という、投資スタイルはありますか?

内田:(投資家が)100人いたら、100通りありそうな感じですけどね。ちょっと、横道に逸れてもいいですか?

松井さんは毎日、どんな生活のスタイルをしていらっしゃるのかなと(笑)。(会場を見て)やっぱり、そこは聞きたくないですか?

松井:もう「1日お休みです」となると、平気でお昼まで寝ています。

内田:寝るの、好き?

松井:寝るの、好きですね。でも、夜に起きているのが好きなので。深夜ラジオがすごく好きなんです。規則正しくない生活を送っている時が、すごく幸せです。

内田:それで、その美しさを保てるものなんですね。

坂本:本当にすごいですね。

松井:もう、おうちが大好きなので、ずっとおうちにいます。

内田:買い物も好きだけどね。でも、家で過ごす時間も、すごく大事な時間なんですね。

松井:同世代の女性のような華やかな生活を、ぜんぜんしていないので。カーテンを閉め切って、過ごしている感じなので……そんな私にも合う投資スタイルはありますか?

坂本:1日で売買を繰り返す「デイトレーダー」というのが合うと思います。基本的に短い投資は、家にいる時しかできないと思うんですね。仕事をしていると、日中株価の動きを見られないですから。

普通にフルタイムで仕事をしている人は中長期投資、ないし2、3日持ち越すような投資になってしまうんですね。そこは、明確に分けられるんですけど。

そこで注意しなければいけないのは、「株価が激しく動く銘柄は短い期間持つ」「ゆっくり動く銘柄は長い期間持つ」というのを前提として投資するのが、僕は基本だと思っていて。

内田:やっぱり激しく動くと、心臓によくない感じがしますもんね。ハラハラドキドキしちゃいますからね。

坂本:でも(デイトレーダーだと)、すぐに1日で取引が終わってしまうので、リスクも1日分でいいんですよ。だから、ずるずる下がることがなく、その日に終わってしまう。

僕は、それを組み合わせるのが大好きで。「短いもので取引をする」「数日をかけて取引をする」「(ゆっくり動く)長いものもずっと持っている」という3種類で、お金を分けています。

内田:それは、同じ銘柄でやるんですか? それとも、違う銘柄で?

坂本:同じ銘柄でもできるし、違う銘柄でもできる。だから、同じ銘柄でも動かない銘柄でも、急に動き出す日とかがあるんですよ。そういう時に、「短く乗る」というのができるんですけど、これはなかなか難しいので。

おうちにいる時はおうちにいてトレードをやって、しばらく持っていたいなと思う銘柄があったら乗り換えるというのが、基本の選び方ですね。

内田:だから、自分のライフスタイルが、そのまま投資スタイルになるという感じですよね。のんびりな方は、のんびりやったりとか。

坂本:別に、日中に暇があったとしても、長い投資をしてもぜんぜん問題ないと思うので、そこは自分の考え方次第かな?

内田:確かに、これは推し銘柄と思ったらずっと長く持ってもいいし、「ちょっと浮気したいかな」と思ったら、ちょっと短めにしてみるとかね。(松井氏を見て)すみません、ちょっと大人の会話に流れてごめんなさいね(笑)。

自分に合う銘柄・投資スタイルは必ずある

内田:東野さんは、どうですか?

東野:やっぱり長期投資というか、「最低でも1年くらいは持ちたいな」という感覚で臨まれたほうがいいのかなと思いますよね。

9月や3月は決算期末で、配当金が出る銘柄がありますので、そういった楽しみ方もあると思うし。短いと、どうしても目先の動きを見てしまって……坂本さんがおっしゃったように、動きが激しいので。買っても怖いから、すぐに売ってしまう。

でも、売った後に上がってしまうケースがよくあるので、目先の動きよりも長期の動きを重視して……「トレンド」って言うんですけれども。トレンドに乗った投資手法というのは、非常にいいのかなと思いますよね。ちょっと、真面目すぎますけれども(笑)。

(会場笑)

内田:いい答えでございます(笑)。本郷さんは?

本郷:松井さんの生活スタイルを先ほどおうかがいして、やっぱり長期投資は、お二方がおっしゃったものがいいのかなと。あとは、「自動売買」という手法もあるんですけれども、それは難易度が高いと思うので。

やっぱり、長期投資でまず配当を受け取って、それを実感する。感動すると思うんですよ。それをぜひ体験していただきたいです。

内田:好きなものを、長ーく持つと。ちょこっとのお金で、まず(株式投資の世界に)入ってみるといいかもしれません。ちょっと、身近になってきました?

松井:そうですね。銘柄が多いということで、「どうしたらいいんだろう」と、すごく不安もあったんですけど。でも、「だからこそ、自分に合うものがあるんだな」と思うと、すごく安心というか。

内田:よかった。先生方、がんばったかいがありましたね。魅力を感じてくれたようですよ。

坂本:よかったです。

松井:ありがとうございます。

内田:ホッとしました。