HORIBAグループの新しい経営体制がスタート

堀場厚氏:みなさま、こんにちは。今回HORIBAグループのCEOとなりました堀場でございます。

新経営体制に移行した理由ですが、一昨年(2016年)の12月に私足首を骨折しまして、2ヶ月ほど病院に入院しておりました。

ただ(私が)入院してるときに、株価が過去最高になりました。かつ、2017年度はおかげさまで、過去最高の売上ならびに利益となりました。

入院していたときに、株価も上がる、成績も上がるということで、逆に言うと、私が今まで25年間、社長をしてまいりましたが、やはり船の舳先にだけいると、全体が見にくいのです。あるいは、ヨットで言いますと、後ろに「スキッパー」と言う操舵室があるのですが、そこにいるほうが全体像が見える(ということです)。

ならびに一人ひとりの役員を含めたメンバーの動きがはっきり、あるいは自立をしていくということを認識いたしまして、これはやはり新しい体制に切り替わるときだと(判断しました)。

25年間社長をしておりまして、初年度(売上高が)350億円であったものが現在は1,950万円程度ということで、売上も5.5倍。時価(総額)も540億円から今日も3,000億円を超えておりますけれども、時価総額も5.5倍となったということも含めまして、今期の増益で、6期連続で増益になる可能性も多いということもあり、いろんなことを含めまして、今回新しい体制に移行させていただきました。

とくに私どもは、今現在27ヶ国に47社のグループ会社を持っております。従業員も7,000名になりまして、そのうち60パーセントが海外の人たちということで、グループ全体を見ていく。すなわち堀場製作所とグループ全体を見るということが、非常に難しくなってきたということも最終的な理由でございます。

新経営体制への移行

そのような面で、私がグループCEO、そして齊藤壽一がグループCOOとして、実質的なグループ全体の戦略を実施する。そして足立正之が堀場製作所(の代表取締役社長に)。

とくに最近では、技術が目まぐるしく回っていく。私自体は、技術のいわゆる潮の目が変わってきたと、非常に短期間で新しい技術をどんどん取り入れて対応していかなければいけない(と考えています)。

これに対して、堀場製作所は自動車半導体を含めたアプリケーションに非常に強く展開をして、ここまで来たのですが、もう一度、基本的な技術を見直して、そこにきちんとした人材を当てていく。

これをグローバルレベルで見ていかなければならないわけですが、そのような面で、とくに、堀場製作所のリーダーシップが非常に重要になるということで、足立に堀場製作所に専念させることに決めました。

それから一方、今申しました、自動車産業の動き。これはみなさんもご存知のように、テスラをはじめとした新しい動き、その中に入っている技術そのものも、非常に新しい技術、あるいはさまざまなな技術を融合していく対応(が必要)ということで、私どもの単なる自動車の排気ガスに関連した分野だけではなく、2年前に買収したマイラ社を中心とした自動運転。

それからバッテリーのマネージメント、あるいはプラグインハイブリッドを含めた電動化に対して、私どもの試験機あるいは分析計を含めたトータルの対応を、グローバルに行っていくということで、長野をチーフオフィサー、専任として任命いたしました。

新しい動きに対して迅速に対応していくということが、我々のこの新体制ということで、(2018年)1月からスタートいたしました。

いずれにしても、私どもとしては、計測分析分野でグローバルNo.1になるという夢を、常に掲げながら対応したいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

足立正之氏:みなさま、こんにちは。この度、堀場製作所の代表取締役社長を拝命いたしました足立でございます。この激動の環境の中で、重大な責任を仰せつかったということで、本当に身の引き締まる思いでございます。

これまで、堀場会長が進めてこられた、この成長の勢いをしっかり引き継ぐべく、私は全力を尽くして取り組んでいきたいと思っています。

言うまでもなく、弊社を取り巻く環境は、凄まじい勢いで激変しているという状況ですけれども、我々はこの変化を、さらなる成長の機会と捉えてます。柔軟に(変化に)対応することによって、堀場グループの持てる可能性を適応できると思っています。

先ほど、会長からありましたように、例えば、自動車の電動化を取り上げてみても、ガス分析計から始まった(自動車関連)ビジネスですが、メカトロニクス、そしてマイラ社の買収によって、車両全体のエンジニアリングへと展開してきました。

例えば、電気を見てみますと、我々の科学セグメントで行っていますバッテリーの中の電極、あるいは電解質の計測、その生産に対するサポート。

そして、環境プロセスセグメントで言いますと、電気自動車には不可欠な発電。それを取り巻くガス計測、水の計測制御ということで、非常に多くの技術のソリューションを持っております。

そのような意味で言いますと、燃焼、発電、蓄電、それからモビリティということで、エネルギーのフローの形態が、これから変わっていくことに対しまして、やはり我々は、総合的にソリューションを提供できる、おそらく世界で唯一の企業体ではないかと思っています。独創的な価値が提供できると考えています。

また、ライフサイエンス、あるいはヘルスケアで言いますと、もちろん血球計測装置あるいは生化学という検体計算技術というのはもちろんのことなんですけども、今となってはタンパク質、あるいは細胞、そして高分子医薬品、これらの計測のご要望は非常に広まってきております。

そして、言うまでもないのですが、第4次産業革命、ベースとなります半導体、デバイスですけれども、これに対する製造装置の流体制御装置。

みなさんもご存知だと思いますけども、その生産まわりの需要は増えております。一方では、次世代の半導体デバイスを作るためのナノアナリシス、あるいは表面粒子など、いろいろなソリューションを持っております。

このようなた新しい変化に対しまして、これをビジネスにしていくために、やはり一番重要なものは人材であり、企業文化であると思っています。

我々の「おもしろおかしく」という企業文化をもって、「ホリバリアン」全員が我々の新しい、自由なチャレンジ精神、ベンチャースピリットを増強していきたいと思います。

また、資産効率ということで、おそらく投資家のみなさまは気にされていると思いますが、独自の指標を持つことにより、最近行っております工場の拡充、生産力の強化、あるいは買収に対するリターンをしっかり実現していきたいと思います。

私自身は、技術屋ですので、先ほどもありましたように、技術をしっかりと大切にして、しっかりとこだわっていきたいと思います。お客さま、あるいは市場との直接的な関係をしっかり維持しながら、経営判断をしていきたいと思います。

重大な使命を拝命いたしますので、みなさまからのご指導、ご鞭撻をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

2017年の振り返り

齊藤壽一氏:副会長の齊藤でございます。今回も私から決算説明を行わせていただきます。

まず、昨年1年間(2017年)を振り返りまして、そのうえでの業績の説明をさせていただきたいと思います。

グローバルな政治面では、昨年も今までにない大きな動きがあった年でした。そして、産業界におきましては、半導体業界が年間を通して非常に活況でありました。

そして、その半導体の発展に伴うコンピューティングパワーが、ご存知のようにIoT、AIあるいは自動運転などの技術の発展を加速させ、さまざまな分野で技術の潮目というものが来たという痛感をさせられました。

自動車産業では、各自動車メーカーが自動運動あるいは電動化に向けて大規模な投資計画を打ち出しています。

一方、欧州では電気化が発表されていますけれども、排ガス規制そのものも、より厳しくなりまして、昨年は新しい排ガス規制が導入されました。

それが、日本やアジアにおいても、今後導入計画がされていまして、依然として、エンジン、内燃機関が主役で、その需要は今後も増大するという動きになっています。

堀場製作所におきましても、中長期経営計画であります「MLMAP2020」の達成に向け、昨年も継続的な投資を行なってきました。

海外ではさらに、新しい拠点やセンターを開設するとともに、(2017年)12月には九州阿蘇工場の拡張工事が完了するなど、供給体制の強化に努めました。

株価は堅調に推移しまして、今日(2018年2月14日)も上がっていますが、2017年の11月9日には上場来高値を更新しまして、時価総額も初めて3,300億円を突破しました。これもみなさまのおかげということで、この場をお借りして、お礼を申し上げたいと思います。

2017年12月期 決算概要

さて、昨年の2017年12月期の決算です。

売上高、営業利益、当期純利益ともに過去最高を記録いたしました。その原動力となったのは、自動車と半導体セグメントで、売上、営業利益とも、前年同期比で増収増益を達成しました。

バランスシートでは、主に設備投資により総資産が262億円増加いたしました。また、欧米に金融子会社を設立しまして、その効果が出まして、借入金は46億円減少いたしました。

キャッシュ・フローにおきましては、2017年も積極的に投資を続けましたが、半導体の増益などで営業のキャッシュ・フローが282億円増加したこともあり、フリー・キャッシュ・フローは151億円のプラスとなりました。

2017年12月期 通期連結実績

そして2017年の実績です。

(2017年)12月19日に公表した予想よりも業績が上振れしまして、売上から当期純利益、すべての項目において、過去最高を収めることができました。次からのスライドでセグメント別にわけて、業績を説明させていただきます。

2017年12月期 通期連結実績(セグメント別)

見ていただくとわかるように、半導体セグメントは前年度を大きく上回るボリュームで(売上高、営業利益ともに)過去最高を更新しました。

それに加えまして、先ほども言いましたけれども、自動車セグメントが、世界的な規制の強化の動きを受けまして、自動車の排ガス測定装置(の販売)がたいへん好調です。また、エンジンや駆動系のテストに使用される試験機器を提供しているMCTビジネスも、顧客の投資が戻りまして、前年比で大幅な増収増益となりました。

唯一、医用セグメントのみが減収減益となっておりますが、南米での血液検査装置の販売が低調に推移したこと、また、新製品をを投入したのですが、それに伴う開発費や販売促進費用等がかさんことも原因になっております。

2018年市場環境の想定

そして、今年度、2018年12月期の業績予想です。

まず、予想の前に、前提となる市場環境を、我々がどう見ているかについて、説明させていただきます。

自動車に関しましては、排ガスの規制はどんどん強化されていきますし、それに加えまして、電動化、あるいは自動車のスマート化、自動運転技術の加速など、自動車産業はたいへん大きな投資を続けるだろうという期待をもっております。

環境事業に関しましては、原油価格の上昇により、石油産業の投資が回復していくだろうと考えております。また、中国をはじめとした(地域の)環境規制の強化に伴う需要増加も期待しております。

医用に関しましても、新興国での需要が今後も伸びるだろうと期待しています。

半導体に関しましては、現在の受注状況から見まして、年の後半に関しましては少し不透明感はあるものの、今年も需要はたいへん強い年だと感じています。

科学事業に関しましては、これも同様に半導体市場が、我々の分光器の需要を押し上げておりまして、この需要が今年も堅調に推移すると期待しております。

2018年想定為替レート

2018年の為替の想定ですが、足下の為替動向を鑑みまして、1ドル110円、1ユーロ130円という想定をしております。

2018年12月期 通期業績予想

以上の前提と各セグメントのビジネス状況を踏まえ、2018年の通期予想は、さらに過去最高を更新するということで、売上が2,000億円台に乗り、2,100億円。営業利益290億円、経常利益284億円、当期純利益190億円と設定いたしました。

この結果、一株利益は450円、ROEの予想が12.1パーセントとなり、それぞれ昨年に比べ、64円、0.6パーセントの上昇ということになります。

2018年12月期 通期業績予想(セグメント別)

セグメント別の売上と営業利益予想です。

2018年も自動車と半導体セグメントにおきまして、引き続き、増収増益を見込んでおり、ともに過去最高を記録する見通しです。

この後のセグメント別の詳細資料にて説明いたしますが、半導体産業につきましては、みなさんご存じのように、半導体メーカーの設備投資が非常に堅調に推移しています。

自動車におきまして、我々が2015年に買収いたしましたイギリスのホリバマイラ社、こちらの受注が非常に好調で、損益にはまだ結びついていませんが、受注が堅調に推移していることも考慮しております。

その他の環境・医用・科学につきましても、増収増益を予定しております。

自動車 2017年実績/2018年予想

それではセグメント別に詳細を説明していきます。

まずは、自動車セグメントです。

何度も申し上げますが、昨年(2017年)の世界的な(排ガス)規制強化の動きを受けまして、排ガス測定装置システムの販売が増加したこと、自動車メーカーがいろいろな投資を行ったことにより、課題でありましたMCT(自動車計測機器)ビジネスが盛り返し、黒字化したということで、増収増益となりました。

今年におきましても、排ガス測定装置の需要が堅調に推移する予定です。その中でも、中国・インドが2020年に向けて非常に厳しい排ガス規制を導入する予定になっていますので、この地域での需要の増加が非常に高まっているという状況です。

MCTビジネスに関しましては、(現在の)受注状況から、今年(の業績)は少し横ばいになると思っておりますが、来年(2019年)以降投資が活発化するということを考えておりまして、今年は確実に受注を積み上げる年になると思います。

ホリバマイラ社のECT(自動車開発全般に関するエンジニアリング・試験)ビジネスは、今までの投資効果が実を結びまして、さらに今年は需要を拡大していくと見込んでおります。

自動車 次世代排ガス規制の状況・電動化への対応

排ガス規制の状況および電動化への対応について、説明させていただきます。

世界統一の排ガス試験法であります、WLTP規制。これは昨年(2017年)の9月にEUで本格導入がスタートしました。日本には今年の10月から導入される予定でございます。

そして、実際に実路で走行をしている状態での、排ガス規制を行うRDE規制は、こちらも昨年の9月にヨーロッパで導入が始まりました。現在のところ日本では2022年に開始される予定ですが、この規制も世界中で導入が予定されています。

インド・中国でも2020年には、ヨーロッパの「EURO 6」規制に相当する新規制の導入が予定されており、排ガス規制装置ビジネスは今後とも数年、非常に堅調な需要が続いていくと見込まれています。

電動化への対応としまして、我々は2つのアプローチで取り組んでおります。1つはモーターや、駆動系など、いろいろな単体のシステム。あるいは、それを積んだ実車の評価に対応できる柔軟なシステムを提供するという我々の今までのパターン。やはり、これが今後も加速していくと考えております。

電気自動車やハイブリッド車など、電動化の開発が加速するなか、こういうもの(システム)の納入実績を増やしていきたいと思っております。

もう1つが、電動化への対応ということで、非常に重要なものが電池に対するビジネスです。昨年、我々はホリバマイラ社のあるイギリスに、電池のプログラムを行う設備への投資をいたしました。電池のパッケージ、あるいはセルの充電や放電、劣化状態を管理するシステム、開発試験設備です。

また、科学セグメントがもっている製品も応用して、リチウムイオン電池、その次の全個体電池などの分析評価を行う分野にも参入していきます。

自動車(産業)というのは非常に範囲が広がっておりまして、我々もセグメントの枠を越えた技術リソースの相互利用によりまして、さらなるビジネス拡大に取り組んでいきたいと思います。

自動車 自動運転技術開発への貢献

堀場製作所と自動運転というのは、なかなか結びつかないと思うのですが、ホリバマイラ社におきましては、かねてよりイギリス政府と非常に強い関係をもち、イギリスの自動運転プロジェクトである「The UK Autodrive project」に参画しております。

昨年(2017年)の11月に、ホリバマイラ社の設備を使いまして、各社の自動運転車の実証試験が始まりました。政府からは新しい案件の受注もしております。今後はコネクテッドカーなどへの通信機能機能をはじめとした、多目的試験設備の建設を計画しております。

一方で、さらなるビジネスの拡大に向けた取り組みも行っております。昨年の11月、東京にある駐日英国大使館におきまして、英国大使主催で、ホリバマイラ社がもつ技術を日本の自動車産業、自動車関連メーカーに対して、(大使館と)共同でPRするイベントを開催していただきました。

駐日英国大使館から多大なご支援をいただくとともに、大使ご自身をはじめとした政府の要人にも多数ご参加いただき、我々の技術を売り込みをさせていただきました。

また、今月(2018年2月)に入りまして、ご存じのように、イギリスのメイ首相が中国を訪問されましたが、そのとき、中国には4社の自動車メーカー、自動車関連企業が招かれました。その1つとしてホリバマイラ社も含まれました。(ホリバマイラの)CEOでありますジョージ・ギレスピーがメイ首相に同行し、中国の自動車産業に我々の技術を売り込んだということです。

我々は日本企業ですけれども、イギリス政府からもイギリスの自動車産業の代表として非常に高い期待を込めていただいております。今後もこのようなイギリス政府との強固な関係を活かしながら、ホリバマイラ社の技術をグローバルに展開していきたいと思います。

環境 2017年実績/2018年予想

次は環境セグメントです。

主力の煙道排ガス分析装置は、国内のリプレース需要や中国におけるVOC規制を背景に、販売は堅調に推移しました。

ただ一方で、北米のヒューストン地区におけるプロセス計測設備ビジネスは、やはり石油産業の投資減少により、(2017年は)販売が落ち込んだという年でした。

今年2018年に関しましては、引き続き、煙道排ガス分析装置の確実な販売に取り組むとともに、プロセス計測ビジネスの回復。新興国を中心として、現在ボリュームが拡大しています水質計測装置ビジネスの販売増に取り組み、増収増益を見込んでいます。

環境 新興国市場のビジネス拡大

現在、環境セグメントでは新興国のビジネスの拡大に取り組んでおります。

ガス計測の分野におきましては、アジアで拡大するゴミ焼却場、あるいは製造工場から排出されるガスを計測する装置を投入いたしました。ランニングコストやメンテナンスコストを大きく減らして、現地の需要にマッチした、この製品の拡販を目指しております。

また、インド、中国を中心に、現地でのエンジニアリング力の強化に取り組んでいます。排ガス規制は、国によって違います。煙道排ガス分析装置の、現地でのカスタマイズに取り組み、現地部品の調達比率の向上にも取り組んでおります。

また、水質計測においては、現地規制に対応したビジネス活動に取り組んでいます。これは、韓国・インドなど、現地に入り込んで迅速な規制対応を果たした結果、大幅な販売増を実現することができました。

今後もグローバルな規模で環境ビジネスの拡大に取り組んでいきたいと思っております。

医用 2017年実績/2018年予想

次に医用セグメントです。

昨年は血液検査装置そのものの販売は、南米を中心に少し低迷したのですが、新製品を投入することができました。ただ、これに絡む開発費用や販売促進費用の増加を原因として、減収減益という結果になりました。

搬送システムを備えた中大型装置は、イギリス・フランス・ブラジル、世界各地のお客さまに、すでに据え付けが始まっておりまして、2018年以降、出荷の増加を期待しております。

今年は、さらにこの新製品の拡販を進め、結果として(売上高は)増収となる見込みですが、やはり、まだ新製品拡販に対する投資モードが抜けきれないということで、営業利益の増益幅は少額となる見込みでございます。

医用 ビジネス拡大に向けた取り組み

(医用セグメントにおける)2017年の下期のトピックスを2つ申し上げます。

まず1つは、非常に大きなニュースですけれども、2017年の10月、ドイツのシーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス社(シーメンス社)との業務提携、パートナー提携を締結いたしました。フランスで開発しました中型の新製品の性能が認められまして、この契約にいたりました。

シーメンス社は、メディカル業界で、グローバルなネットワークと幅広い製品群を持っております。こちらと連携していくことで、堀場製作所の医用事業のさらなる拡大を目指したいと思います。

2つ目は、国内でのニュースです。日本の堀場製作所が持っているCRPの測定技術とフランスのホリバABX社が持っている血球計数装置。この技術を融合した「Yumizen H630CRP」というものを開発しまして、販売を開始しました。

同時に、電子カルテに対応したソフトウェア「GATE LINK」とも提携しまして、開業医、あるいは中小病院向けのビジネスを強化していきます。

(スライド)下の図のマーケットマップにありますように、中小病院や開業医マーケット向けの血球計測分野に強みを持つ堀場製作所が他社と連携したり、あるいはグローバルのリソースを使い、ビジネスの拡大を目指しています。

半導体 2017年実績/2018年予想

次に半導体セグメントです。

こちらは言うまでもなく、2017年も引き続き、過去最高を更新しました。2017年は、533億円の売上、営業利益は156億円という数字を出すことができました。

このスライドの右側にありますように、現在半導体市場はたいへんな活況状態にあります。その中で、需要が高まって、堀場製作所の優位性を示しているものが、右下に書いてあります差圧式のマスフローコントローラーです。

我々の従来の主力(製品)であった、サーマル式のマスフローコントローラーに比べまして、非常に精度が高く、安定した流量制御を実現しています。

2018年におきましては、少なくとも前半は非常に高い需要水準が続くと考えております。後ほど述べますけれども、阿蘇工場の拡張も済みまして、安定稼働を今後実現して、需要を取り組んでいきたいと思います。

半導体 安定供給体制の確立と販売・サービス能力の強化

阿蘇工場の拡張工事が無事、昨年(2017年)12月に完了しました。延床面積は、従来の約1.5倍となりました。もちろん工事の完了前から生産設備は、前倒しにどんどん入れておりまして、キャパシティを引き上げています。生産効率を高めることで、阿蘇工場の生産能力を2倍まで引き上げる計画でおります。

また、供給体制の増強に加えまして、顧客に近いところで、販売サービスのネットワーク構築を行っております。

昨年は韓国の堀場エステック・コリア社におきまして、新しい建屋に移り、クリーンルーム、セミナールームを建設いたしました。

また、ホリバ・台湾社におきましても、新しい社屋を開設いたしまして、ここもクリーンルームを増強(しました)。

中国におきましては、いろいろな都市で半導体産業が立ち上がる中、昨年は武漢、南京に新しいオフィスを開設しました。

顧客に密着したサービスを展開しまして、顧客からの要求をいち早く製品開発や生産にフィードバックし、アプリケーション開発・生産を強化していきたいと思っております。

科学 2017年実績/2018年予想

最後に、科学セグメントです。

2017年は弊社の主力商品であります、ラマン分光分析装置が中国では好調だったのですが、それ以外(の地域)では低調に終わってしまいました。新製品投入のための開発費用がかさむなど、たいへん厳しい年になりました。

しかしながら、科学セグメントで持っているグレーティング(回折格子)を含む分光器が半導体の装置に使われており、これはご多聞に洩れず非常に好調でして、こちらが底支えをしてくれたということです。

今年におきましても、半導体市場が引き続き、好調であるというベースで、分光器の販売が堅調に推移すると見込んでおります。また、大学研究機関向けの販売も回復しておりまして、増収増益を見込んでいます。

科学 新市場向け新製品と成長市場での取り組み

(スライドの)左側に写真が出ていますけれども、これが「DUETTA」という新製品でです。

これはバイオ・ライフサイエンス向けの蛍光吸光分光装置で、抗体治療医薬の開発などに使用されます。この製品は我々が2014年にカナダで買収いたしましたPhoton Technology International社の技術と、アメリカのホリバ・ジョバンイボンが持っている蛍光分光の技術を融合して誕生した製品です。

また(スライド)右側には、ラマン分光分析装置に関するニューストピックスを上げています。

1つ目は、好調である中国での取り組みです。中国におきましては、アカデミアの研究予算が拡大しまして、弊社のラマンビジネスはたいへん好調な状況です。

昨年(2017年)の夏には、シルクロードである敦煌市で技術シンポジウムを開催しました。3日間に渡るラマンのイベントには、中国全土からラマンの研究開発者80名に参加していただきました。

また、その下に挙げておりますが、東レリサーチセンターさまが、我々のAFMラマンという新しい計測方法を使って、いろいろな測定手法を開発されました。

これは従来のラマン顕微鏡にAFM(原子間力顕微鏡)という技術を融合して、ナノレベルまでの分析を可能にしました。パワー半導体の構造解析など、今後有効な使い方が出てくると期待されています。

このように技術の宝庫である科学セグメントは、最先端の技術を取り入れ、市場に展開していきたいと思います。

株主還元政策

続いて株主還元です。

株主還元についての基本的な考え方のは、ご存知のように配当金と自社株買いを合わせて、連結純利益の30パーセントを目処に実施していく方針を取っております。

今年(2017年)の配当の予想は、前回発表から21円上方修正し、1株当たり116円の配当を実施します。こちらは、もちろん過去最高の配当金額になります。

2018年におきましても、通期の配当予想を1株当たり120円ということで、中間配当予想は1株当たり50円に設定いたしました。こちらも過去最高の配当金額で、7年連続で過去最高を更新する予想となっています。