ハリケーンの影響をはねのけ好調堅持

北畠一明氏:北畠でございます。それでは、2018年3月期第3四半期の決算概要について、説明します。

まず、今期の決算のポイントですけれども、ハリケーンの影響をはねのけ、好調さキープした点です。懸念していたハリケーンの影響につきましては、現地での必死の回復努力、それから、グローバルレベルでの在庫マネジメントとセールスコーディネーション等によりまして、そのインパクトを最⼩限に抑えることができました。詳細は、後ほど詳しく説明いたします。

売上高ですけれども、⼼臓⾎管カンパニーがグローバルに牽引し、17パーセント伸長の4,370億円となりました。営業利益につきましては、引き続き、3カンパニーともに2桁伸⻑で、724億円を計上しています。

純利益につきましては、事業の好調に加え、⽶国税制改⾰による⼀過性のメリットが140億円ほどあったことから、前年⽐ほぼ倍増の635億円となっています。なお、⽶国税制改⾰の影響につきましては、次のスライドでご説明します。

⽶国税制改⾰の影響

⽶国の税制改⾰につきましては、法⼈税減税、メディカルデバイスタックス、の2点についてご説明します。

法人税減税ですけれども、法⼈税率は従来の35パーセントから21パーセントに引き下げられました。その⼀過性の影響としては、繰延税⾦資産・負債の再評価に伴い、約140億円の法⼈税の減少が発⽣しています。

ただ、これはキャッシュフローには影響はなく、バランスシート上の付け替えです。また、一過性ではなく、オンゴーイングのベースでは、税率の低下による毎年の税負担額の減少があります。これにつきましては現状で、年間で約20億円程度と見ています。

メディカルデバイスタックスにつきましては、2016年・2017年と凍結されていたものが、今年に入って復活するかどうかということで、いろいろと紆余曲折がありましたけれども、最終的にはもう2年間、今年(2018年)と2019年についての凍結が決まりました。従いまして、この点については影響はございません。

ちなみに、もし凍結が解除されていれば、年間20億円から30億円ぐらいのマイナスという影響がありました。

営業利益増減分析

では次に、営業利益のウォーターフォールのご説明をします。

営業利益増の一番の要因は、引き続き、売上増による粗利益の増加です。第3四半期につきましても、売上が好調であったことから、粗利益が⼤きく伸びています。

それ以外の項目につきましては、とくにこの第3四半期については、経費の項目、販売投資の増加、それから研究開発費増加、これらが、これまでの第1四半期・第2四半期に⽐べて大きく伸びてきています。これは、前からご説明申し上げていますように、この項目につきましては、第1四半期・第2四半期では、計画への出方が弱かったのですが、第3四半期になって、ようやく強い数字が出てきています。この傾向は第4四半期も続くと見ています。

さらに、この第3四半期の一番の特徴は、為替の影響です。これについては、次のスライドで説明いたします。

営業利益増減分析における為替の影響

上期累計の為替の影響は6億円ということで、ほとんど影響はなかったわけですけれども、第3四半期までの累計で、この数字が50億円となっています。これにつきましては、フローベース・ストックベースの両方に影響が出ています。

まず、フローベースでいきますと、(スライドの)上の3つのドット。「円安・ユーロ⾼の影響」、これは第1四半期・第2四半期にもありましたけれども、とくに第3四半期にさらに拡大しています。それから、第3四半期に新興国通貨、とくに人民元やバーツ、それから中南米の通貨に対して、円が強含んだということで、この「円安・新興国通貨高」の影響も出てきています。

また、3番目。これは少し特殊な要因なんですけれども、プエルトリコの⽣産停⽌ということで、この期間だけドル費⽤が減少しています。ドルについては私どもは、通常はニュートラルなのですが、この期間についてはドル費用が減少した結果として、⼀時的に円安ドル⾼が収益に対してプラスに効いてくる状況が起きました。従って、フローベースでこの3つの影響がございます。

また、ストックベースでは、この期間について言いますと、為替レートがほとんど変わらなかったということで、棚卸資産未実現利益が、これまではマイナスに効いていたものが縮小しています。為替の影響として、以上の要因で、第3四半期までの累計で50億円という数字が出ています。

地域別売上⾼

次に、地域別の売上⾼ですけれども、これは従来のパターンと変わりません。

⽇本につきましては、上期の(前年同期比プラス)1パーセントから第3四半期累計で(前年同期比プラス)2パーセントということで、徐々に日本での売上の伸びが上がってきています。これは、第3四半期だけを見ますと、約5パーセントの伸長となっています。

海外につきましては、引き続き、いずれの地域も20パーセントを超える伸⻑を示しています。

カンパニー別売上⾼

次はカンパニー別の売上⾼です。

ここも傾向的には変わっていませんが、ホスピタルが上期までは(前年同期比)マイナス1パーセントでしたが、第3四半期累計ではプラスの1パーセントと、プラスに変わっています。それ以外の⼼臓⾎管、血液システムはいずれも2桁の伸⻑ということで、これは変わっていません。

⼼臓⾎管: ⼤幅な増収増益を継続

次に、カンパニー別のご説明をいたします。

今回は、心臓血管の売上高を、4つの事業について、それぞれの前年からの売上増をお示ししました。ご覧いただいてわかるとおり、TIS、ニューロだけでなくCV、⾎管、いずれの事業も前年⽐で⼤幅なプラスとなっています。

ただ、このプラスにつきまして、TIS、ニューロの2つの事業は、これまでも前年同期比で大きく伸びていますし、今後も大きく伸びていくと期待しています。一方、CV、それから血管という外科系の2部門ですけれども、CVについては昨年コンセント・ディクリーが明けて、今年から⼈⼯⼼肺装置の出荷が始まったということで、今年は大きく伸びていますけれども、これは今年限りのポイントでして、来年以降はそれがベースになります。

また、⾎管事業につきましても、買収したボルトンメディカル社の売上の影響が今期はフルに効いてきていますので、大きく伸びていますが、これも来年度以降については、そこがベースになるということで、このような大きな伸びは期待していないということです。

従って、心臓血管につきまして、今期は4事業とも大きく伸びていますが、来年以降については、TIS、ニューロが引き続き、伸びていくパターンになると考えています。収益的には、ハリケーンの影響が軽微であったことから、引き続き、⾼い収益率を維持しています。

ホスピタル: 売上がプラス伸⻑へ

次に、ホスピタルです。ホスピタルにつきましては、今年1年間を通じては(売上高は)プラスということで計画していまして、数字につきましても、最初はマイナスからスタートしましたが、第3四半期累計でプラスに転じて、プラスの1パーセントとなっています。

収益につきましても、着実にコストダウンが功を奏して、⾼いレベルを維持しています。ただ1つ、収益につきましては、海外における低収益事業の縮小ということで、過去数年にわたって収益改善の努力を続けてまいりましたが、この点については、ほぼ⼀巡したかなと考えています。

従って、今期については、海外のホスピタル事業におきましても、マイナスと言うよりは、今度はアライアンス事業が効いてくるということで、プラスに転じるものと考えています。

⾎液システム: 収益性の改善基調続く

次は、⾎液システムです。⾎液システムについては引き続き、売上の伸び、それから収益性の改善基調が続いています。売上については前年同期⽐11パーセントのプラスです。

ただし、この売上の中で、アフェレシス治療のところに書いてあります、後継装置への切り替え特需。これは、アフェレシス治療に使われる「COBE®︎ Spectra」という機械があったのですが、これはもうクローズしまして、新しく「Spectra Optia®︎」に切り替えます。

これについては、来年度(2018年度)に(切り替えを)行う予定でしたが、それを今年度でクローズするということでしたので、その分の需要が、今年度の売上として10億円立ちました。ということで、本来、来年度にあたるものが(今年度の)売上の1つのプラス要因になっています。

収益性については、引き続き、このアフェレシス治療など、収益の高いものが伸びている関係で、収益性の改善が進んできています。

主なトピックス①

では次に、主なトピックス①です。ここは、これまで同様のトピックスということで、全社的にはCSR活動、それから名古屋・⼤阪での株主説明会を行ったことを示しています。

また、事業の面では、⽇本初のパッチ式インスリンポンプの承認を取得しました。また、テルモ⼭⼝の新棟建設が始まっています。

主なトピックス② ⽌⾎デバイス「Angio-Seal」再出荷

次に、主なトピックス②として、⽌⾎デバイスの再出荷の点について詳しく説明します。

ご存知のとおり、この「Angio-Seal」につきましては、ハリケーンが襲った直前、昨年(2017年)の9⽉20⽇に⽣産をストップいたしました。

それ以降、ハリケーンのダメージが続くということで、なかなか⽣産を再開できなかったのですが、(2017年)10月の中旬から⾃家発電を使っての段階的な⽣産を再開いたしました。

その後、11⽉中旬にはほぼフル⽣産活動に⼊り、ここにも書いてありますとおり、12⽉下旬には地域の送電も安定してきたということで、⾃家発電からパブリックユーティリティに切り換えて、通常の⽣産活動に戻っています。

また、(2018年)1⽉の初めには、在庫積み上げ後、顧客への出荷を再開いたしました。ということで、現在の生産につきましては、フルな⽣産活動を行っていまして、操業も順調に推移しています。

なお、このインパクトですけれども、当初は「1.5ヶ月ぐらいの在庫があります」ということで、みなさんにはご説明していたかと思いますが、これはもちろん全体では確かにその数字ですけれども、状況は地域によってかなり違っています。

もう少し詳しくご説明しますと、日本および欧州はなんとか在庫でマネージをして、また、1月から出荷が始まりましたので、ほとんどインパクトがない、またはインパクトが非常に限定的な状況でマネージができています。

米国は⼀番⼤きなマーケットでございまして、ここについてはさすがに12⽉にはバックオーダーが⽣じましたけれども、1⽉の再出荷で、このバックオーダーはすでに解消している状況です。

ということで、売上につきましては、10月は通常の売上だったのですが、11⽉・12⽉のグローバルの売上は、トータルでは従来の半分ぐらいに減少しました。

1⽉に再出荷を開始しまして、1月については、売上はバックオーダーの分も含めて、かなり⼤きく伸びています。ただ、2⽉・3月でこれがどう推移していくのか、これはまだ予断を許さないということで、これは見守っていきたいと考えています。

17年度パイプライン製品のローンチ状況

次のページのパイプラインについては、割愛させていただきます。

業績予想の修正

最後のページ、業績予想の修正です。

業績予想につきましては、今般修正のリリースを出しまして、売上⾼については130億円増、営業利益については100億円増、経常利益も同じく100億円増。純利益につきましては、⽶国税制改⾰の分も含めて230億円増と、業績予想の上方修正を行っています。

この中で、営業利益について、もう少しご説明いたします。営業利益につきましては、上期が終わった段階で約90億円、(従来予想に対して)上振れていました。

従って、上期の決算発表をしたときも、みなさんから「業績予想の修正をしないのか」とご質問をいただきましたけれども、そのときの状況といたしましては、まず、そもそも計画自体、上期と下期を比べますと、下期の予想営業利益が(上期予想額より)40億円多い計画でした。(下期はもともと)より強い計画であったということです。

それから、上期に90億円上振れした中で、1つの要因として、経費の出遅れがありました。これが、第3四半期以降は出てくると予想していましたが、どの程度出てくるのかは、その段階ではまだ読みづらい状況でした。それから、当然ながらプエルトリコの状況がまったく読めないという状況でしたので、上期の決算発表時点では業績予想は据え置きました。

ただし、みなさんに(上期の決算説明で)ご説明したのは、「いくらプエルトリコの影響が悪かったとしても、当初お出ししている(予想営業利益)820億円はなんとか行くでしょう」と、「90億円上振れの貯金がありますので、この分の数字については、まず下振れることはないだろう」と申し上げておりました。

実際、現在のところですけれども、先ほどの営業利益のウォーターフォールのところでも申し上げましたように、やはり経費は予想したとおり、強く出てきています。経費は強く出てきていますが、売上は引き続き好調、かつ、プエルトリコの影響も今のところそれほど⼤きくないことから、上期の(上振れ分)90億円にさらに10億円を積み上げて、合計100億円の積み上げ。すなわち、営業利益につきましては、820億円の当初予想から920億円に上⽅修正をしています。

以上で、説明を終わります。