仮想通貨は大丈夫なのか

司会者:仮想通貨のメディアを代表して伊藤さんに、そして、事業者を代表して酒井さんに、「結局、仮想通貨って大丈夫なの?」という質問をぶつけられればと思います。では、まずはメディアを代表して、伊藤さんお願いいたします。

伊藤:はい。もう本当にたくさんの読者の方から、(ご質問を)いただきます。「この銘柄は大丈夫ですか?」とか。「仮想通貨は大丈夫?」というのは、結局、投資先としての話なんですね。ビジネスで見てるユーザーさんはあんまりいなくて、自分がお金を出して買うものに対して、「本当にこれは価値があるものなのか?」という安心感のために聞かれることが多いんですけども。

これは投資という考え方で言ってしまえば、株式とあんまり変わらなくて。やっぱりしっかりとプロジェクトが存在して、それに非常に価値があれば、ビジネスや、どういったものを生み出すものなのかというところまであれば、決して悪いものではないかなと思います。

こういう「仮想通貨って危ないんじゃないの?」というきっかけになったのは、実体がないものが横行していたのが一番の原因です。この質問に対する答えになれば、やっぱり、しっかりと調べて情報を取ったうえで、自分のお金を入れるなり、なにかしらでビジネスで携わるなりしていただく必要があるかなと。

なので、「業界が盛り上がっているから、仮想通貨は全部儲かるんだ」という目線は、やっぱりよくないかなと思います。

司会者:酒井さんは事業として仮想通貨を扱われていると思いますが、いかがでしょうか?

酒井:はい。仮想通貨自体が大丈夫なのかというところなんですけれども、見る視点からでちょっと変わってくるなと考えてまして。

例えば、投資や投機の対象というところになると、やっぱりボラティリティが激しいというか、Bitcoinの価格の変動が非常に激しいものがあるので、投資の対象としてはなかなかリスキーというか、リスクが高いものでもあったり。

また、各国の規制ですね。日本も規制をしたり、中国なんかは非常に激しく規制をかけているので、それによって、Bitcoinやいろんな通貨の価格の下落で、資産を大きく減らしている方々がとても多いと思うんですね。

なので、そういう意味合いでいうと、現状の仮想通貨はまだまだ初期段階でもあるので、非常にリスクが高いものとして認識をしていただいて、投資していくべきなのかなと考えています。

ビジネス上の観点から言うと、「大丈夫なのか?」「大丈夫です」と思っています(笑)。なんでかというと、ブロックチェーンを使った技術は、これからどんどん増えていくとも思いますし、仮想通貨自体も実用化されないものはどんどん淘汰されていくとは思うんですけど。

私が考えてるのは、仮想通貨の銘柄もこれからどんどん増えていって、企業体や有名な方が個人で発行したりするような通貨もどんどん増える。それが個人や企業の価値として、証券に取って代わる。もしくは、証券と仮想通貨のハイブリッドで価値が見出される。近い将来、そんなかたちになっていくんじゃないかなと考えています。

実用性があるかどうかの見極めが重要

司会者:ありがとうございます。ちょっと私は初心者なので、やはり知らないと「大丈夫かな?」という不安があるというのが正直なところなんですけれども。今、お二方のお話を聞いて、それだけでも、なんかちょっと、「大丈夫かな。やってみようかな」という感覚にはちょっとなってくるんですけれども(笑)。

(会場笑)

伊藤:ネットの情報とか、こうやって1人の人から聞いた情報だけで投資するのが、危ないんです(笑)。

司会者:そうですよね(笑)。

(会場笑)

伊藤:ぜひしっかりといろいろ調べていただいて。

司会者:そう、勉強してというのが大事だと思うんですけれども。逆に、今お二方のお話を聞きまして、実際に投資をしている投資家の方々はどういうふうに思うのかなと思うんですが、Yumaさんはいかがでしょうか?

Yuma:まず、仮想通貨の90パーセント以上は将来的に消える、と思ってて。というのも、今はもう全部、ほぼほぼ投機段階なんですよ。実際に使われていないので、本当に将来的に実用性のあるものでポートフォリオを組んで、あとは放置でいいんじゃないですかね。

司会者:どうですか?(笑)。

酒井:現状の仮想通貨が投機段階というのは、完全にアグリーですね。それを投機対象として見た時に、いわゆるガチホと言われている、張った銘柄をずっと保有するかたちでやっていけば、私も問題はないんじゃないかなとは思っています。

なんでかというと、今、CoincheckさんやbitFlyerさんが、テレビCMやWeb広告をガンガンかけています。それで世の中の人たちがBitcoinを知って、CoincheckやbitFlyerなどの取引所のアカウントを作成して、お金をどんどんつぎ込んでいる状況があったりするので、まあ市場自体はふくらんでいく。

市場がふくらんでいくと、証券のように需要が大きくなれば大きくなるほど、Bitcoin価格であったり他の通貨の価格が上がっていくかたちになるので、必然的にガチホしているだけで、通貨の価格が上がるというのはあるんじゃないかなと思っています。

司会者:ありがとうございます。片桐さんはなにかありますでしょうか?

片桐:そうですね。私は完全に普通の一投資家なので、大丈夫かどうかみたいなところは、むしろなんとも言えない側の立場なんですけど。自分は、今ちょっと何回か出てきたガチホみたいなスタイルなので、今のところはなんか大丈夫ですという、個人の感想です(笑)。

(会場笑)

日本人は円を信じすぎている?

司会者:座席のほうのお二方、いかがでしょうか?

投資家1:そうですね。大丈夫であってほしいというのが正直なところですね。でも、世界的に見ると仮想通貨ってやっぱり使われてて、どんどん広がってるものなのかなって感じられるので、日本は不安がってるだけなのかなという気持ちが、自分の中ではちょっと大きいですね。

投資家2:「仮想通貨は大丈夫?」、うーん……。まあ、正直、未来の話なんでなんとも言えないんですけど、一個人の意見としては、「じゃあ、日本の円、いつまでも大丈夫なのか?」という話にもなってきちゃうんで。もちろんGDPを見ても世界でもベスト5に入ってるんで大丈夫だと思うんですけど。

要は日本はやっぱり、「日本人というものに価値があって、円というものに価値があり続ける」と信じてる方がいるんで、やっぱり「仮想通貨って信じられない」って思ってる方多いと思うんですけども。

逆に自国の法定通貨に価値がないとか、自国の法定通貨が崩壊してしまった国からすると、仮想通貨という仕組みとモノ自体はものすごい価値のあるもので、やっぱり手放せないものになってくるんで。そういったものを考えると、世界中で見ても、やっぱり仮想通貨はなかなかなくなりづらい、破綻しづらいものなのかな、というイメージはあります。

司会者:ありがとうございます。その他は、みなさま、よろしいでしょうか?

(会場挙手なし)

司会者:はい。では、最後の議題になります。これからBCSが仮想通貨の技術を使った資金調達であるICOを実現していくうえで、ICOのメリット、そしてデメリットを率直におうかがいしたいと思います。ではYumaさん、ICOに支援などされていますでしょうか?

Yuma:はい。夏頃メジャーになったCOMSA(コムサ)とか。あとは、メリットとデメリットについて?

司会者:はい、お願いします。

Yuma:ICOと言っても普通に投資なんで、メリットはあれですよね。大量に買いたい時に、同じ価格で買えるんですよ。もし上場とかしてしまうと、もう板が形成されて、同じ価格で大量に買えない。だから、例えば何千万、何億って投資すると、自分が投資した影響で急にパンクしちゃうんで。

本当に有効なICOであれば、例えばBCSだったら、いいものと感じたのであれば、今投資したほうがいいのかなと思います。

伊藤:Yumaさんの意見聞いてて、ちょっとわかる人はニヤニヤしちゃったんですけど、完全に大口投資家の意見です(笑)。

(会場笑)

伊藤:1億規模投資する人は、そういう思考になるって感じですね。

司会者:じゃあ、ちょっと普通ではありえない(笑)。ちょっと考えられないようなことはあるのかもしれないですけれども、片桐さん、いかがですか?

片桐:そうですね。逆に、すごい普通の感じの意見になるかなと思うんですけど。これ、言っていいですかね。例えば、シンプルに言うと、ハイリスクハイリターンとかの部類に普通に入ると思うんです。

なので、どちらかというと私の場合は、こういうところに大きくつぎ込むよりは、少しずつちょっとやっておいて。なくなってもいいぐらいじゃないですけど、それぐらいの気持ちでやるのは、ぜんぜんいいのかなと思ってます。

ICOのメリットはごく短期間で資金調達ができること

司会者:ありがとうございます。客席のお二人も、おうかがいしてもよろしいでしょうか?

投資家1:そうですね。私はけっこう面倒くさがりなところもあるので、やっぱりいいものを見つけて置いとけば、上場した時点でけっこう利益が出てくるものもあるので。有効なものというのには、置いてそのまま、上場するまで必然的にガチホするのがいいのかな。

ただ、何がいいのか悪いのかの見極めを誤ってしまうと、もう全部ただの捨て金になってしまうので、そこがちょっと怖いかなというのは、自分で思っています。

投資家2:お話聞かせてもらった時、やっぱりICOって資金調達して爆上げして、その後、売りが出て価格が下がるというのが、けっこうデメリットに入ると思うんです。

おもしろいなと思ったのは、メリットでもありますが、要はインターネットの市場としてやろうとしていることは、Block Chain Storeとしてちゃんと価値を保とうとしていること。

楽天に勝とうとか、Amazonに勝とうということを担保に、自分たちが独自に発行した通貨をしっかり価格を下げないで保っていけるんじゃないかなという、そういう仕組みはすごくメリットと感じました。

やっぱりICOして、価値が上がって、売りが入って、モノの価値が下がったら、それこそ草コインがどんどん増えてしまうので。そう考えると、この仕組み自体がすごくおもしろいものなんだな、というのは感じました。

司会者:ありがとうございます。では、酒井さんにお聞きしたいんですけれども、いかがでしょうか?

酒井:はい。ICOのメリットを事業家目線でお話させていただくと、これまであったベンチャーキャピタルやIPOは、非常に時間がかかったり、投資家を説得するための材料であったり、ミートアップであったり、座談会であったり、いろいろなかたちで接触をして、非常に長い時間をかけて、実績も出してから、資金調達というのが可能になっていたと思うんですけど。

ICOで資金調達をするのは、その時間を何倍にも縮めて資金調達ができるというのが、非常に大きなメリットかなと考えています。

先月ぐらいに、ベンチャーキャピタルのミーティングがありまして、そこで投資をするかしないかみたいな話があったんですけど。そこで非常に大きな会社の一部の事業に、ドローンやEVの事業があって、海外では非常に成功している会社があったんですけど、3億円を調達するのに非常に困っているという話があって。

ICOをするメリットは、その実績がなくても、3億円以上の、まあ10億円、100億円とかという規模のお金が、本当に瞬時に、1~2日で集まってしまう。それは、事業化としては非常にメリットが大きいと思っています。

デメリットはやっぱり、先ほどのIPOやベンチャーキャピタルじゃないんですけど、実績が出ていない企業に投資をして、その事業がつぶれてしまって、結局、結果的に詐欺になってしまったり、その暗号通貨の価格が下落してしまったり。それは現状ではまだまだ規制も少ないので、投資家に対してのデメリットは大きいのかなと感じています。

メディアとして正しいICOの情報を伝えていきたい

司会者:ありがとうございます。では最後に伊藤さん、メディアとして、今みなさまのお話をうかがったうえでの考えをお聞きできればと思います。

伊藤:ICOは、投資家の方も資金調達をする企業側も、十分メリットがあるものです。過去のICOは、やっぱり大半が損をする人がいなかったというのがあります。富を集めて再分配できたいい仕組みだったなと。これがきっかけで仮想通貨に入った人もすごく多かったので、市場を広げるきっかけにもなった1つのスキームかなと思っています。

じゃあ、なぜ今悪い部分が取り沙汰されてるかというと、やっぱりそうやって富が集まるところに悪用する人が参加をしてきています。その悪用する人を取り締まるルールがないので、自分で自分の身は守らないといけない、というかたちになってきていると。

あんまりこの言葉は使いたくないんですけど、今のICOは非常にバブル感がありまして、ちょっと参加を手放しで勧めるというのは、もうメディア上はできないですし、そもそもいい悪い問わず、メディアでICO自体を取り上げることがけっこう難しい環境になっている。

僕が自分で運営しているコインオタクとしては、そういった「危ないから手を出すのやめよう」というものではなくて。正しくやろうとしている企業のICOやICOの実態をどんどん情報提供していって、今までのうまくいっていたICOのスキームをもう一度、2018年も実現したいなと思っております。

酒井:私は(ICOの)プロジェクトをやってまして、コインオタクさんにもいち早くBlock Chain Storeを記事にしていただいて、ありがとうございました。そんな中で、「ICOのプロジェクトが本当にいいものだよ」って世の中の人に伝える方法は、どんなものがあるのかをちょっとお聞きしたいです。

伊藤:僕がやってるのはWebメディアなので、ネット上の配信になるんですけども、今回のようにやっぱりオフラインで会っていただく、実際に対面して話を聞いてもらうことが、今は本当に1番大事かなと思っています。

やっぱりプロジェクトの応援をするというかたちにはなるんですけども、ひいては、それに関わってる人を応援するかたちになりますので、まず誰がやっているのか、直接プロジェクトの中の人がどんな人かというのは、ぜひ話してみていただいて、1つの判断をしていただきたいなと思っております。

司会者:はい。では、みなさま、よろしいでしょうか?

(会場挙手なし)