原書を使って英語を学ぶために

西澤ロイ氏(以下、ロイ):(英語の)原書を読むとなると、ちょっと難しいイメージというか、ハードル高く感じてしまう人もいるんじゃないかなと思うんですけども、そういう方はどういうふうに本を選んだらいいと思いますか?

団長:読みたいけど、ちょっとハードル高く感じてしまう人ですか?

ロイ:はい。

団長:それだったら、最初は薄い本から、絵本とかで読んだらいいんじゃないですかね。絵のサポートがあるとだいぶ違うと思うので。あと好きな絵本があったら、1番そこにハマりやすいとは思うので、日本語で翻訳版の絵本を読んでて、なおかつ原書の絵本とか読んだら入りやすいですね。

ロイ:確かに。

団長:そういうのはあるんじゃないですかね。僕も絵本が好きでやっぱり沢山読みますよ。外国の絵本。

ロイ:なるほど。この表現を読んでて「あっ、この表現いいな」とか、「使えるな」とか思って、そうしたらその後はどうするんですか?

団長:そういうのはパクって、ちゃんとノートにメモをしてますね。

ロイ:じゃあ、そういうノートがおありなんですか?

団長:前はけっこうしっかり作って、旅行用のノートを作ってましたよ。小さい手帳みたいなのをね。

ロイ:ほう。

団長:最近はGoogleのクラウドとかにネタを上げておいて、何かあった時はすぐに見られるようにしてます。

ロイ:なるほど、なるほど。それでそれをストックして次の段階というか。

本を読んだら海外で実践!

団長:次の段階は、読んで身につけたものをどうしても活かしたいと思うタイプなので、外国に行って、アメリカなりイギリスなり、あとはヨーロッパ諸国に行って、それを試す。実践。

ロイ:実践。

団長:そう。「この表現を使えるタイミングを待つぞ」というのもあるし、あとは、とりあえず何らかの形で身につけたものだから、それをそのまま寝かしておくと忘れてしまいますから、やっぱり使うことによって脳が活性化するのもあるし、記憶の定着と、あとは口の動きとがすべて連動してくるというか。だから僕はできるだけ実践の回数を増やしたいなとはいつも思ってるんですよね。

ロイ:やっぱり、それで本当に通じるとうれしいですよね。

団長:いやあ、通じたらうれしいですね。通じなかった時の恥ずかしさもなかなかいいものですよ(笑)。

上村:それはそれでいい思いでになりそうな。

団長:なりますね(笑)。

上村:むしろ、ネタになっていいみたいなこう。

団長:なりますね。すごくなります。

ロイ:何か言ってみたら、実は死語だったり、男性なのに女性言葉使ってたりとかないですか?

団長:ああ、そういうのはありましたね。最初の頃とか逆にそういうのをネタにしちゃうというか。ワザと古い言葉を使って「お前それ古いんじゃないか?」みたいなね。

ロイ:ああ、なるほど、なるほど。「ありがとう」じゃなくて「かたじけない」と言ってみるみたいな(笑)。

団長:ああ、そうそう。そういうのは、けっこうイギリスだとウケてくれるというか。古いネタとかそういうのはありましたね。アメリカとかだと、どうなのかわからないけど。イギリスの皮肉的なユーモアのセンスみたいなものは、いるうちにだんだんとわかってきたので、たぶん、こういうの言ったらウケるなというのは読めてきて、それからは意図的にそういう古い本を読んで。

イギリスの小説を読んで「これ使えるな」と思ったら、ちょっとパクっておいて、それを使うようにしてましたね。そうするとけっこうウケるという。

通じなくて落ち込む人への処方箋

ロイ:そこで上手く通じなくて凹んでしまう人とか、けっこういるような気もするんですよね。もちろん、団長さんみたいに、いきなり海外とか行ければいいですけど、まずはカフェとか行ったり、英会話体験をしたりで使ってみて、「あっ、通じなかった」とかって思う方にアドバイスとか、どんなふうに考えたらいいですかね?

団長:通じないということに対する心の壁というのかな。通じなかったからといって、別にその人自身がダメって言われたわけでもないし、バカなわけでもないし、そういうわけでもないので。だから、言ってその反応がすべて自分のプラスになると思えばいいんじゃないですかね? 通じなかったら、だいたいへこたれてしまって、その後、声が小さくなったり、モゴモゴしたりして、どんどん通じなくなるじゃないですか。

ロイ:はい。

団長:そうすると、ただただ凹んでいく、心が折れるみたいになってしまうので。それは僕も経験がありますけど、それよりは、それで通じなかったら、なんで通じなかったのか後で考えてもいいし。それを次に活かしていったり、ネタにしたり「いやあ、これをこんなふうに言ったつもりだったけど」ってよくあるじゃないですか。オレンジジュースを頼んだつもりが、なぜかコーラが出てきたとか(笑)。

ロイ:ああ、はい(笑)。

団長:そういうオマヌケなことがあったら、それで笑い話になるからいいじゃないですか。

ロイ:実際に失敗体験とかありますか?

団長:ああ、その手ですか? ありますね(笑)。木曜日のチケットを頼もうと思ったら、土曜日のチケットがきたことが1回ありましたよ(笑)。

ロイ:ああ、なるほど、なるほど。

団長:はい。

ロイ:Thursdayのはずが、Saturdayに聞こえちゃったとか。

団長:そうそう。それは逆に土曜日のほうがよかったかもなんて思ってね。

上村:前向き(笑)。

ロイ:それは飛行機のチケットですか? 

団長:いやいや。

ロイ:何のチケットですか?

団長:飛行機のチケットだったらヤバイですよ。それはロンドンに行った時にミュージカルのチケットをとろうと思っていった時に、最初ですね。

ロイ:はい。

団長:だから、その時は「えっ、そんなに発音悪いのか?」と思ってショック受けましたけど。結局、相当悪かったみたいです。

ロイ:でも、thの発音は日本語にはないですからね。

団長:はい。自分ではちゃんとしているつもりだったんだけど。その後、僕はロンドンで英語の先生のところにホームステイして、しこたま直されました。もう、しゃべること、しゃべること全部被されるので。

(一同笑)

団長:あとは、アメリカ英語のアクセントは絶対に認めないので「The American.」って言われて、全部アウトでね。

ロイ:本当に厳しいですね。

団長:はい。あれも、なかなか心が折れそうになる体験だったけど、でも、本当にすごく役に立つ体験だったから良かったです。だから、いいじゃないですか。失敗したって別に。そんなに気にしないで、後で笑いにして。いっぱいありますよ。

ロイ:団長さんはそういうネタをいっぱい仕入れていらっしゃると。

団長:そうですね。

嫌な記憶は薄れにくい

団長:だから「本を読んで身につけたものをどうするんですか?」って言われるんですけど、それを調整するのが僕にとっての海外かな。ドイツに行った時に「持ち帰り」という表現があって、お持ち帰りするかとか、そこで食べるかとかあるじゃないですか。それを、ただ単に小説を読んでいる段階と、やっぱり言ってみたら、けっこう違うんですよ。

音がね。そうすると最初は通じないんですよ。思いっきりカタカナっぽい感じになってしまって、「Zum mitnehmen」(ツム ミットネーメン)って言うんですけど、そういうふうに言えないので、ツーミットネーメンみたいに言ったとしましょう。仮に。

ロイ:はい。

団長:そうすると「はあ?」みたいな感じで、「だから、ツーミットネーメンだ」みたいに繰り返していくと「ああー、「Zum mitnehmen」(ツム ミットネーメン)ね」って向こうの人が言って、「ああ、そういうのか」って思いますね。それで、それを覚えたら、次からはもうしくじらないです。格好悪くて恥ずかしいじゃないですか。

その記憶ってやっぱり薄れないんですよ。その時にどういう人がそのレジにいたかとか、完璧に覚えてますからね。何を買ったかまで覚えているから、そういう記憶ってすごくいいのかなと思いますよ。

ロイ:そこで通じたから良かったんですよね。例えば「マクドナルド」とか「はあ?」とか言われて、結局通じずに終わるとか。そういう体験をしている人もけっこう多いかもしれないですね。

団長:ああ、いますよね。きっと。

上村:向こうが察してくれなかったというか届かなかったというか。

ロイ:その壁がちょっと厚すぎてみたいな(笑)。

団長:だから、やっぱりそういうのがあったとしても、通じなかったらしょうがないなと思って、笑っておけばいいんじゃないですか。

ロイ:確かに。