ハッシュタグの3つの分類

天野彬氏(以下、天野):そんなタグる……ハッシュタグの話で、(スライドを指して)これは細かいので今日はあんまりあれですけれども。

中村朝紗子氏(以下、中村):すごくおもしろかったです。

天野:本の中ではなるべくワクワク説明しているんですが、Instagramの中でどんなハッシュタグがあるんだみたいなのを僕なりに分類したものです。3つ覚えていただくといいかなと思うのは、「オブジェクトレベル」「メタレベル」「クリシェ」というものがありますと。

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「オブジェクトレベル」というのは、オブジェクト、対象で、例えばパンケーキが写っている写真にパンケーキに関するハッシュタグをつけることです。写ってるものの説明。

中村:そのもの。

天野:そうですね。例えば景色だったら、なにが写っているものなのかとか。

それに対して「メタレベル」というのは、写っているものとは関係ない自分自身の感情みたいなものです。思いとか。渡辺直美さんなんかはこのメタレベルのハッシュタグが非常にうまい。写真に対してのつっこみなんですよね。

中村:ああ、小藪(一豊)さんとかもそうですよね。そこで会話してますよね。1人でね。

天野:まさにおっしゃるとおりで、それがうまいし、ビジュアルを使ってコミュニケーションしてるということの表れでもあると思うんです。

中村:じゃあオブジェクトレベルが単語であるのに対して、ちょっと文章っぽいという感じで合ってますか。

天野:そうです。そうなりますね。そういう形式が、僕は日本のInstagramの使い方の特性の1つだと思っています。

中村:海外では……?

天野:海外のハッシュタグの分類みたいなリサーチを見ると、メタフレーズみたいな言い方でそういうのをしてるところもあるにはあるんですけど、実例見るとあんまりおもしろくないというか。日本のつっこみ文化みたいな、自分の写真につっこむことで1個の作品として完成するみたいなのはあんまりなくて。そこはすごいおもしろいです。

中村:へえ、おもしろいですね。

天野:最後「クリシェ」は常套句という意味で、写っているものに関係なく、Instagram上でよく使われるハッシュタグ、例えば「#写真好きな人とつながりたい」みたいな。

中村:つながりたい系の。

天野:的なものとか。

中村:「#フォロー」「#相互フォロー」とか。

天野:そうですね。「#follow2follow」みたいなものとか、写ってる内容とも自分の思いとも関係なく、それをつけることによって流入されたり、同じハッシュを持ってる人とつながるための一種のサインですよね。そういうものがある。

Instagramをうまく使っている人はこれをいいバランスで使っているというか、それがすごいあるなという気がしています。

レベルとバランスのタグ付け

中村:でもこれってさっきのタグるみたいな話に落とし込むと、メタレベルでタグるってことはあんまりないじゃないですか。「#悲しい」というハッシュタグで検索して悲しい人のところを見ようとかってあんまりないですよね。

天野:けっこうレアですね。

中村:レアですよね。やっぱり検索窓という意味でのオブジェクトレベルが多いんですか?

天野:うん、まぁ。

中村:それはやっぱり流入を増やすためのタグづけってけっこう悩みとしてある。

天野:という意味ではオブジェクトとか、あとはクリシェみたいなものとか、そのあたりですかね。

中村:でも、ファンになっていくという意味では、メタレベルみたいな個人的な性格とかその人らしさが出たところで愛着が湧きますよね。

天野:まさにそうですね。渡辺直美さんの支持はやっぱりそういう強さが関係していると思います。

中村:アカウントによっても違うと思うんですけど、どれくらいのレベルがいいとされているんですか?

天野:レベルですか?

中村:あ、レベルじゃないな。バランスですね。

天野:そうですね、目的にもよるんですけど、Instagramを友達とのコミュニケーションを中心に使っている人はこのへんがこっち寄りで、とくにこのへんが強く、メタに寄ったりとかもするし。

中村:メタレベル寄り。

天野:より拡散させたいとかプロモーションに使いたいとなってくると、このへんとかこのへんが増えてくるかなとかありますかね。

中村:私も、今デパートのInstagramアカウントを運用する中で、このオブジェクトレベルでのハッシュタグの付け方すごいいろいろ検証してるんですけど。

広いものだと流入が多そうだからって「#コーデ」とかってやっちゃうと、最初はバーンって伸びるんですけど流れるスピードも早いのですごい止まりがち。本当によっぽど個性的な投稿じゃないと伸びなくて。「#ニットワンピ」とか、ある程度限定したフレーズにしてあげないと伸びないなと。

検索する側の気持ちとしても「#コーデ」というザクッとしたのってたぶん見なくて、なにか悩んでたり知りたいと思ったときに検索をするので。「#リップ」だけじゃやっぱり反応がなくて、「#モテリップで〇〇」とか「#赤リップ」とか。そのへんの検証がすごいやってて楽しいんですよね。

天野:そういう、広く一般的なものとより具体的なものを。

中村:掛け合わせて。

天野:バランスを検証しながらやられるってことですよね。

「タグる」文化はユーザー発生的

中村:あと「#女子力向上委員会」とか「#きょコ」というハッシュタグが出てきてて。

天野:きょこ? きょこですか?

中村:今日のコーデ、きょコ。「#きのコ」とかも出てきてて。昨日のコーデ。「なんじゃそりゃ?」みたいな感じですけど(笑)。

天野:略す文化ありますよね。

中村:そうなんですよね。独自に出てくるのはどっちかというとその私的言い回しみたいなところとかですか?

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