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日本の企業は「勘と経験の比率が高すぎる」 この国の働き方改革を変えるHRテクノロジーの存在

日本の企業は「勘と経験の比率が高すぎる」 この国の働き方改革を変えるHRテクノロジーの存在

働き方改革をリードする株式会社カオナビが、2018年2月13日に経営者や人事責任者を対象とした「次世代人材マネジメントフォーラム」を開催しました。基調講演ではHRテクノロジー研究の第一人者である慶應義塾大学大学院の岩本隆特任教授が登壇。働き方改革や人材マネジメントにテクノロジーがどう貢献するかを語りました。

(提供:株式会社カオナビ)

シリーズ
次世代人材マネジメントフォーラム > 基調講演
2018年2月13日のログ
スピーカー
慶應義塾大学大学院 特任教授 岩本隆 氏

テクノロジーで中長期の生産性を導く有用性

岩本隆氏 さらに重要なのは、生産性というと、よく「なんでもかんでも数値で表すのはよくない。そういうことをするからイノベーションが生まれないんだ」のような議論もたまにされることがあります。 テクノロジーを使うと、実は短期の生産性はわかりやすいんですけれども、中長期の生産性も実はうまくテクノロジーを活用すると導いていけるので、イノベーションを生み出すためのテクノロジー活用をするツールも、これからたくさん出てくるんじゃないかなと考えております。 マーケットの全体像です。企業の人事を含めてユーザーさんがいます。その間に、今日登壇されるPwCさんのようなコンサルティングファームが入って、ツールを提供する会社があります。今、世界的に見ると「HCM(クラウド)アプリケーションベンダー」って言っていまして、だいたい今はクラウドでアプリケーションを提供しています。 HCMは「Human Capital Management」の略です。capitalといいますと会計用語で、バランスシートなどをみなさん見られている方はよくわかると思いますけど、バランスシートの「資本の部」がcapitalになります。

有形化できる「Human Capital」

人材は、今まで数値化がなかなかできていないため、無形資産、無形のcapitalだと言われていました。今はさきほど申し上げたようなデータでいろいろな人材を表していけるとなりますと、有形化できるのもありまして、今は「Human Capital」と言っています。 市場規模はグローバルでいうと1兆8,000億円ぐらいあります。ソフトウェアで1兆8,000億円というと、かなり大きなマーケットになると思います。ビジネス向けのツールの中では4、5番目ぐらいにマーケットが大きいと言われています。 かつ、実は成長率で見るとこの領域が一番成長率が高いため、今、テクノロジーのICTのベンダーはこの領域にM&Aをしながら参入してきています。マーケットのトップ4、5社は、IBMやOracle、SAPなどになってきます。MicrosoftがLinkedInを3兆円弱で買収して参入してきました。 統合的にマネジメントをしている会社は、いろいろな採用や育成、給与システムなど、さまざな人事のデータを統合的にマネージをしています。また、いろいろな領域で、例えば採用領域や育成や給与システムなどに特化した企業もあります。 人事といいますと、実はこう見ると領域がものすごく広くて、さまざまなプレイヤーが今参入してきていまして、かなり活況を呈しているところですね。そんな領域の広いマーケットになるかなと思います。

「パフォーマンスマネジメント」が有効

IMG_2754 (1) これを私なりに整理したのがこのスライドです。HRテクノロジーのさきほどのツール、いろいろなものが出てきているんですけれども、基本的にはこういったことかなと思っています。 どういうことかというと、ピラミッドの1番上は個々の人材ですね。個々の人材のことを今は「タレント」と海外では言われることが多くて。要は芸能人とかプロスポーツ選手みたいなものですね。人材が、サラリーマンがタレント化していっているんですけれども、この個々の人材をマネージするのをタレントマネジメントと言います。 真ん中は、さきほどエンゲージメントという話しましたけれども、真ん中のほうも今グローバルに盛り上がり始めていまして、組織とかチームをマネジメントするツールですね。これは「パフォーマンスマネジメント」と言っていまして、組織のリーダーが社員の個々のパフォーマンスをいかに最大化して、チームとしてパフォーマンスを最大化するかを、タブレットやデータを使ってマネジメントします。 スポーツでよく監督がタブレットを持って指揮していますけれども、あれに少し近い感じです。チームメンバーのデータがその都度揃っていて、最近だと動的なデータを取るようになってきています。そのため、その都度の行動を見てラインのマネージャーがアドバイスをすることもテクノロジーでできるようになってきました。 今まで、テクノロジーがないと、アポを取ってface to faceで会って、話を1時間聞いてその話の中から判断してアドバイスをしていたわけなんですが、そういう時間が短縮できる、頻度を高められるます。 一番下はさきほどのエンゲージメントですね。エンゲージメントは企業文化と表裏一体だと言われていまして、社員がいきいきと働くための企業文化をどうやって作っていくのかを改善するためのツールがいっぱい出てきています。

「パルスサーベイ」というプラットフォーム

「パルスサーベイ」という言葉をお聞きになったことがあるかどうかわからないんですが、パルスというのは心臓の鼓動の意味ですね。心臓の鼓動と同じような頻度でサーベイができるのが、今、クラウドを使ってタブレットかスマホを使うとできるようになってきているので、そういったパルスサーベイをやる会社が今増えてきています。 要は、今まで従業員満足度調査などは年に1回くらいしかやっていなかったのが、月に1回、場合によって週に1回できてしまいます。最近はAIなどのテクノロジーが進化しているので、全従業員がアンケートに答えると、その場で分析結果が出てきます。 そういったテクノロジーの進化の背景もあって、パルスサーベイが今すごく出てきます。その人材や組織を支えるためのプラットフォームとして、健康経営のような考え方ですね。 「Robotic Process Automation(RPA)」はソフトウェアのロボットです。先ほどお示しした低付加価値の作業は今RPAにどんどん置き換わっていっています。Excelのマクロみたいなものなんですけれども、そういったホワイトカラーの事務作業もRPAに変わってきています。 私どもに来る相談としては、最近はいろいろな部品や家の設計などでも実はRPAは使われてきています。単純作業ではあるんですけれども、もう少しレベルの高い単純作業まで今はできるようになってきました。

人事データを分析をして経営に活かす

もう1つはピープル・アナリティクス。これは、あとで申し上げますけれども、人事データを分析する組織を立ち上げて、常にいろいろな上がってくる人事データを分析をして経営に活かしていくことをプラットフォームとして持って、人材マネジメントをします。 欧米の企業はこういったことを一気にやる企業さんが多いです。「transformation」と言いまして、「変革」というような言葉ですね。transformationということで、一気にテクノロジーを活用して会社を変革することもされています。 日本国内のマーケットですけれども、どのようになっているかということです。2017年前半に、産業政策としてHRテクノロジーを取り上げていただいたこともありまして、働き方改革第2章のところでHRテクノロジーの重要性が高まっていますということです。 それもあって今HRテクノロジーの市場がものすごい伸びています。サービス提供企業は、1年前で100社超えていましたので、今だと150ぐらいあるかもしれないんですけれども、大企業やベンチャー企業、両方にものすごい提供企業が増えています。 市場規模は年率40数パーセントで成長しています。みなさん、いろいろな業界にいらっしゃると思うんですけれども、みなさんの業界で40パーセント成長している業界がたぶんないと思うんですね。それぐらい成長しています。 株式市場も反応しています。株式市場ではHRテクノロジー銘柄って最も株価が高くて、私おつきあいしている会社、1年で株価10倍になりました。IPOするスタートアップが増えてきました。 ユーザー側も、さきほどのtransformationみたいな一気に進める企業、これは欧米では多いんですけれども、日本はなかなかここまでやる企業というのは数えるほどしかいないんですけれども、ただ、やれることからやっていこうということで進めている企業さんが多くてですね。 今どこの企業さん見ても、さきほどのピープル・アナリティクスの体制を立ち上げている会社が今ものすごく急増しています。人事の横にデータサイエンティストを置いて、社内の人事データを分析しています。

HRのデータをどう連携させるか

日本のHCMアプリケーションのマーケットは2017年度156億ということで、さきほどの1兆8,000億円に比べると100分の1なんですが、ただ日本の企業のキャッチアップの速さはものすごくて、成長スピードという観点ではものすごい成長しています。 そういった意味では、ここにハマったスタートアップは今、各社上場準備を始めるぐらい売上利益があがっています。HCMのアプリケーションベンダーが直近どんな動きをしているかを3つぐらいあげています。 1つはHRのデータ連携ですね。さきほど採用とか育成とかいろいろな領域でアプリケーションのサービスプロバイダがいる話をしましたけれども、使う側に立ってみるとわかると思いますが、国内に百数十社あると、どのサービス使っていいかよくわからないと思うんですね。 そういったこともありまして、データを連携させていきます。「うちの会社に頼んでくれたらワンストップで人事データの面倒を見ますよ」ということですね。ただ、各社サービスプロバイダがすべてのデータに強いわけではないので、データをいろいろな企業さんと連携できるようにする必要があります。 あとは他ベンダーとのデータ連携ですね。ベンダーが変わっても、使う側からすると「1回どこかのサービスベンダー使うと変えられない」のような問題があると思います。常に変えられるように各ベンダーも、データがほかの会社のデータも扱えるようになっていたり、APIをオープン化してほかとつなげられるようなことをやりだしています。 もう1つ特徴的なところとしては、クラウドのサービスですのでコストが圧倒的にオンプレミスでやるよりも下がっていて、今、中堅・中小企業にものすごく広がっています。 とくに中小企業さんは人材採用でものすごい困っています。それこそ人事機能をクラウドのサービスで代替できるとなると、そちらのほうが圧倒的に安いので、中堅・中小企業で広がり始めているということです。

中堅・中小起業への補助金制度

さらにここに補正予算も今ついています。500億ぐらいついているんですけれども、テクノロジーを導入して生産性を高められる中小企業さんには、半分くらい補助金が出ることもありまして、中堅・中小に広がっています。 HRのデータってどんなものがあるか? 本当にみなさんの企業もそうだと思いますが、会社全体を見渡すとさまざまなデータをお持ちですね。採用や育成のデータ、あるいは評価や給与、タレントのデータ、さまざま持っているかと思います。 ただ、これ持っているだけでは意味がなくて、このデータをどう連携させて経営に活かしていくのかというのが、HRテクノロジーを活用する上で重要です。逆にいうと、その部分はなかなかテクノロジーでレコメンドしてくれるものではなくて、人事が戦略的に考えて、どんなデータをどう連携させて、企業の経営にどう活かすかを考える必要があります。 さきほど申し上げた補助金の話。補正予算が先日発表されています。100万〜200万円の補助金が出るという話です。 HRテクノロジーをどう活用するべきか。大きく3つに分かれるのかなと思っています。要はどんなデータを整備するのか。これをどう分析をしてどう経営に活かすか。ここのグランドデザインが極めて重要になっています。 しかも今テクノロジーがいろいろ出てきているので、データの種類が、数値やテキストだけではなくて、音声や画像や映像など、あるいは最近センサーでリアルタイムで動的なデータを採ることもよくやられていますけれども、そういった人に関するさまざまなデータが採れるので、どのデータを整備すべきかということですね。 これをどういうデータを、意味のないデータを使ってもしょうがないので、意味のあるデータをどう連携させてどう分析するのかが必要です。 分析のところは、人事の方だとハードルを感じるんですけれども、人事の世界をいったん離れると、分析できるエンジニアが山のようにいます。みなさんの社内にも技術の会社だと必ず何十人何百人っていらっしゃると思うので、実は分析すること自体はそんなにハードルはないと今考えています。

戦略的に人事をしていくことが重要

分析結果をどんなアウトプットにしていくか。そこの3つのポイントをいかに設計するかによって、ここがポイントになってくるかなと思います。「戦略人事」という言葉がありますけれども、経営や人事が、戦略的に人事をしていくことが重要かなと思っています。 一昨年から、HRテクノロジーで先進事例を出している会社を表彰する「HRテクノロジー大賞」をやっています。これはホームページに出ていますので、ぜひ検索をして見ていただければと思います。このあとのパネルに登壇されるサイバーエージェントは2年連続受賞されています。 サービス側でいいますと、(このあとのセッションで)モデレーターをされるPwCや、今日の主催社のカオナビなどが受賞されております。先進的な事例ということで、このあとのパネルディスカッションでぜひお話をうかがっていただければと思います。 昨年の7月に経済産業省と、今あるサービスではなくて働き方改革のためにこれから考えるサービスを募集したところ、103件集まりました。うち8件はファイナリストということでイベントをいたします。 優勝はジンズなんですけれども、眼鏡で集中力を測れます。ジンズによると、人間は1日4時間ぐらいしか集中できないので、まさに1日4時間集中的に働けば逆にいいことかなと思います。あとの残りの4時間はテクノロジーでいろいろな作業をしてもらってみたいな働き方を、実はできなくはないです。

ハイパフォーマーをどう育成すればいいか

まとめになります。具体的にどういうデータを連携するかという話は今日の私の時間内ではできなかったんですが、例えば採用をするときでも、採用のデータだけでやるのではなくて、将来どんな人材ほしいかという人材定義をして、その人材データと採用を結びつける。 私がやった研究でハイパフォーマーの分析に、モチベーションのデータとスキルのデータと、コンピテンシーのデータですね。これに経験データをテキストで入れてもらって、データマイニングとテキストマイニングを両方使って統計分析をして、ハイパフォーマーをどう育成すればいいかなどの分析もしています。 そういったいろいろなやり方があったりするので、一概に「これはこう」というのはまだなかなか言いにくいところはあります。そういったバラバラになっているデータをうまく連携をさせて経営に活かす。 テクノロジーが実はものすごく進化していて、世の中に山のようにあるので、むしろWhatの部分、なにをなんのためにやるのかということ、そこが実は重要になってくるかなと思います。

肝要となるポイント3つ

最後、まとめですけれども、人事・人材マネジメントにおいても、データを活用した論理的な経営のあり方ですね。日本の企業はやはり、みなさんも自社を考えていただくと「論理的にこれ変だよな」のように、「過去うちはこうだから」と、やっている習慣とかあると思います。「これって無駄だよな」というのはけっこうあると思うんですね。 そういったことをしっかりデータにすると、みんなが納得するので、とりあえずデータにして「少し論理的に考えましょうよ」ということですね。 もちろん経営は論理100パーセントでできないので、勘や経験の部分も重要なんですが、日本の企業の場合は勘と経験の比率が高すぎるので、もう少し論理やデータなどを入れる必要があります。 そのためにはデータリテラシーを高める必要がありまして、そういった体制を作ることですね。先ほどピープル・アナリティクス部門の話をしましたけれども、人事とデータマネジメントとICTのシステムを連携させるといったことです。 3つ目としては、今日は人事の方が多いと思うんですけれども、「デジタルHR」という言葉がありまして、人事はデジタルHRになるということですね。 これはどういうことかといいますと、必ずしもエンジニアになれということではなくて、まずテクノロジーの進化をとりあえず最先端をしっかり理解することは必要なんですけれども、どんなデータをどう連携させて、分析することでどう経営に活かすか、これを考えて実行するということです。

アメリカで見られるキャリアアップのケース

事務作業はテクノロジーに任せる。「戦略人事」という言葉も言われて久しいかと思うんですけれども、本当に人事の方が戦略人事やっているかというと、そうでもないです。やはり事務作業に追われている人事も多いんじゃないかと思うんですが、そういったことはテクノロジーに任せてしまって、本当に100パーセントに近い割合で戦略人事に仕事の時間を費やす必要があると思います。 デジタルHRは今海外ではすごくいいポジションです。よくやるのは、エンジニア上がりの人が「俺は人事に興味があるんだ」といって人事部門に入ってデータ分析とかをして、その経験を3年ぐらいするとデジタルHRということで、高い給料で雇ってくれるんですね。それで転職をしてキャリアアップするケースがアメリカではけっこう起こっています。 そういった人材が日本でも最近だいぶ増えてはきたんですけれども、デジタルHRという人材がこれからまさに必要になってくるんじゃないかなと思います。 マクロ的な話ではありましたけれども、時間がまいりましたので、私からの話は以上になります。このあとのパネルディスカッションでぜひ、より具体的なお話していただけると思いますので、そのへんでまたお話を聞いていただけたらなと思います。どうもありがとうございました。 (会場拍手)

  
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