犬が見ている映像は人間とは異なる

ハンク・グリーン氏:みなさんのお宅の犬は、『ゲーム・オブ・スローンズ』の新シーズンを、あなたよりも楽しみにしているような様子を見せることはありますか? もしくは、ネイチャー系のドキュメンタリーに、執拗に吠えつくことはあるでしょうか?

もしそうなら、みなさんは、この動画のスポンサーがそうであるように、犬がテレビを実際に視聴しているのか、はたして自分の考え過ぎか、迷っていることでしょう。

ところが、科学の光を当ててみると、犬は、実際にテレビを視聴しているようなのです。とはいっても、人間と同じものを見ているとは限りません。

テレビを見ることが大好きな犬はいますよね。視聴の習性は、犬種によって異なります。たとえば、猟犬であれば、嗅覚が行動の主な動機なので、臭いの無いスクリーン上の像には、あまり興味を示しません。

一方で牧羊犬は、動くものを見ると興奮するため、動く映像に、より引き込まれやすい性質があります。

いずれにせよ、どんな犬種であれ、犬がスクリーン上に見ているものは、人間が見ているものとはまったく異なるものだということは、断言できます。

犬の視覚は、点滅するものに機敏に反応します。動く物に対し、良い反応を得るためです。

さて、光を点滅させて、そのスピードを徐々に上げていくと、1秒間に55コマ以上の点滅では人間には判別できなくなります。しかし例えばビーグル犬であれば、1秒間80コマの点滅でも見分けることができます。

よくあるタイプの旧式のテレビの映像は、1秒間に60コマ点滅して更新します。このスピードであれば、人間の目では、個々の映像は判別できませんが、我らが毛むくじゃらの友人たちであれば、簡単に見分けることができてしまいます。

つまり、みなさんのお宅の子犬にとっては、みなさんがよく視聴する番組は、動画ではなく、めまぐるしいストロボの光の中で何かが踊っているか、パラパラマンガのように見えるのかもしれません。

犬にとってつまらないのは、これだけではありません。みなさんのお宅のテレビがどんなタイプであれ、人間にとって活気に満ちカラフルに見える映像は、犬にとっては退屈なものかもしれません。

なぜなら、標準的な画像に使用される色調は、犬には識別できないものが多いからです。人間の目は、3色の色を認識しますが、犬の目が可能なそれはわずか2色です。そのため、犬が見ているのは、黄と青だけの世界なのです。

犬を引きつけるテレビ番組は?

でも、もしみなさんが、ハチ公やポチと一緒にテレビを楽しみたいのであれば、科学にはちょっとしたコツがあります。

残念ながら、色覚に関しては、できることは何もありませんが、もしお宅のテレビが古い型であれば、新しいものを買ってみるのも手かもしれません。最近のテレビの多くは、1秒につき60コマ以上の速さで画像が変化するからです。

また、毛むくじゃらの親友が一緒に楽しめるような番組を、選んで視聴することもできます。犬は、吠え声やキューキュー鳴る玩具のように、すでに興味がある音を出す映像に引き付けられます。

また、犬が、他の犬を見ることが大好きなのは、何もおどろくべきことではありません。というわけで、今度新たに配信されるのは、犬による司会の、4匹の犬による、犬だけのSciShowです。……冗談です。

見るのであれば、アニメではなく、実写が良いでしょう。『クリフォード』ではなく『ラッシー』が良いですね。犬の知能は高く、写真や動画であっても、犬とその他の動物をよく見分けます。アニメーションに対する犬の反応が良くないのは、もしかしたらこれが原因かもしれませんね。あまり実物に似て見えないのかもしれません。

ちなみに、当番組のスタッフから、アニメーションを好んで見る犬が1匹いるという報告が来ています。

愛犬とテレビを見ることに本気を出したい方には、犬専用に特化された番組を放送する衛星放送チャンネルがあります。輝度、色彩、音声、カメラアングルに至るまで、犬だけにウケるよう特化されています。

……何ですって? もし、みなさんのお宅の犬が、テレビを喜んで見ないようであれば、無理をする必要はありません。

画面の視聴時間と、犬への影響についての研究結果は無いため、長期間の視聴の結果、犬がどうなるかは、まだわかっていないのです。また、そうなってしまうと、お宅のわんちゃんは、ちょっとぐうたらが過ぎるかもしれません。

いずれにせよ、一緒にお散歩に行ってあげるほうが、犬にとってはずっと幸せでしょうし、みなさんの健康にもよいかもしれませんよ。