結婚を扱う会社自身が改革を起こす

小室淑恵氏(以下、小室):そうした働き方改革ということと、仕事における付加価値や成果。どういう関係なんだろうか? ということも聞いていきたいと思います。ぜひ山口さんからうかがえればと思いますがいかがでしょうか?

山口文洋氏(以下、山口):そうですね。今の話の延長までいってしまうと、このような状態になるので、婚姻組数の減少に関して取り組んでいるんです。

社内恋愛や合コンみたいな昔の文化もなくなってきて、若い子たちが出会えないという環境になってきています。僕らは『ゼクシィ』という結婚のメディアをやっているんですけど。最近で言うと安心安全にパートナーをみつけられるような出会い、もしくは婚活事業も行っています。また妊娠、出産、育児みたいなところのサービスも手広くやって、なんとかこの人口減少の抑制に至るようなことを民間でやっていきたいなあと思っています。

そんななか、そんなことを提供している事業だからこそ、僕ら自身がやっぱり、ちゃんと家族を形成して、豊かな生活を一社員として送っていこうよ。ということで、働き方改革をもう1段、ライフとワークを繋げてやるんですけど。

ミドルマネジメントを巻き込む

山口:今日みなさんに伝えたいのが、先ほどお話した働き方改革。1つは成功する階段を登ったのかなと自分たちでは思ってるんですけど。トップダウンとしてはITインフラと人事を同時に変えるか? ということがまずスタート段階です。ただ3年間やってきて1番成功したポイントは何だったのかって言うと。

1番は、そのインフラとルールを変えながら、ミドルマネジメントを巻き込んだことです。要は、いろんな事業部とか職種を含めて、働き方改革を「いっせいのせ!」でやろうぜって言っても、やっぱり置かれている職場環境は違うわけです。

その人たちに対してトップダウンで画一的に「これを使ってやろう」とか「こんなやり方!」とかって言っちゃうと、うちには合う合わないっていうのが出てくるんですよね。その時のポイントは「部」もしくは「グループ」。要は部長・課長に全部権限を委譲しました。

「君たちが半年ごとに、その部のグループのメンバーを巻き込んで、どこまで働き方の意識と生産性のアウトプットを上げるか」。そういうことは部とグループのメンバーと話し合って決めていこう、と。そして、半年ごとにちゃんと、アンケートみたいなアセスメントも含めて、1個1個、意識と結果が変わってきたか。ということを確認しながらこの3年間やり続けてきた。

だから「やらされ」じゃないんです。「自分たちで、自分たちの生活をよくしよう」「働く環境をよくしよう」という当事者意識をもってやってもらったのが一番の成功要因かなと思っています。そんななかで、小室さんの会社にもお手伝いをしてもらったんですけど。

3年間伴走していただいて。最初はこの働き方改革に対して、組織のコンディションが「2:6:2」って別れちゃうんですよ。最初はやる気が高い2割を伴走してもらいました。それですぐに成功体験というか成功事例として「こんなやり方あるんだよ!」というふうにして。

これが2年目、3年目になってくると、今、3年目の伴走は「2:6:2」の1番のテールですね。「うちらなんて無理だよ!」って言ってるところにコンサルで入ってもらって「そんな部署でもできるんだ」っていうことを事例にしています。

この「2:6:2」の意識と生産性の山を全体的に、横にずらしていくことができているので。やっぱり、現場をどう巻き込んでいく? っていうのがポイントかなあと思っています。

「8時に帰りなさい」は意外に即効性があった

小室:ありがとうございます。本当にそのチームごとに「自分たちが残業している正当な理由」ってあるんですね。なので一律に来ると、自分たちの今までの成果まで否定されたような気持ちになるので、社内にたくさんの敵ができると。

そこを上手く、やり方自体は任せてやっていくということで徹底してやられたかなあと思います。野坂さんにもおうかがいしてよろしいでしょうか? 成果の部分と困難だったこともぜひ。

野坂章雄氏(以下、野坂):そうですね。その前に本当は先ほどの「なぜ働き方改革」やボーナス・オーナス、人生100年の議論をしたいんですけど。ちょっとあとにしまして。いま山口さんがおっしゃたことに、「あ、同じなんだなあ」と思ったんですけど、我々も徐々に広げていったんですね。

「もともと反対派」として言うんですけれども、原点に戻ると、「8時に帰りなさい」とやることで、意外と思った以上に即効性があったことは確かです。とくに仕事のできる連中は「俺はもう十分やっているから、これ以上残業はなくならないよ」って言ってたんですけれども。

この記事は無料会員登録で続きをお読み頂けます

既に会員登録がお済みの方はログインして下さい。

登録することで、本サービスにおける利用規約プライバシーポリシーに同意するものとします。

SNSで会員登録

メールアドレスで会員登録

パスワードは6文字以上の文字列である必要があります。