エグゼクティブ・サマリー

北村巧氏:CFOの北村です。よろしくお願いします。それでは、2018年3月期第3四半期の決算についてご説明いたします。

2ページをご覧ください。第3四半期までの9ヶ月累計ですが、税前利益は前年同期比17パーセントの増益の2,812億円、当期純利益は10パーセント増益の1,967億円、ROEは9.3パーセント、EPSは55円12銭となりました。

昨年はアメリカの好調な企業業績を背景に、ニューヨークダウが史上最高値を更新し、日経平均株価も11月に26年ぶりとなる2万3,000円台へ回復しました。株価上昇を受けまして、個人投資家のマインドが改善し、営業部門では株式、投信など、幅広いプロダクトで取引が活発になりました。

アセット・マネジメント部門でも、運用資産残高が積み上がり、アメリカン・センチュリー・インベストメンツ関連の損益も収益に貢献しました。

その結果、営業とアセット・マネジメント部門の税前利益は、前年同期比で6割以上の増益となっています。

また、今期は資本効率の改善に向けた取り組みとして、昨年4月に持分法適用会社である高木証券の株式、7月にジャスコ株式を売却しました。

また、後ほど詳しくご説明いたしますが、経営資源の再配分を担ったブッキング戦略も進展し、セグメントその他の利益が増加しています。

2018年3月期決算の概要

続きまして、第3四半期の状況です。全社の税前利益は前期比45パーセント増の1,208億円、当期純利益は前期比70パーセント増の880億円、ROEは12.4パーセント、EPSは25円12銭となりました。

セグメント情報

4ページ、セグメント情報です。3セグメント合計の税前利益は662億円、ホールセール部門の減速を、営業部門の利益拡大や好調なアセット・マネジメント部門が吸収した結果、前期比で5パーセントの増益となりました。

今回、3ページの当社の(第3四半期)税前利益(1,208億円)と、3セグメント合計の税前利益(662億円)に大きな開きがあります。これは子会社の清算手続きが進み、約450億円の利益を認識したためです。この点について補足いたします。

当社は2012年にブッキング戦略の再構築をスタートさせ、2015年にデリバティブ取引のポジションやリスクを管理していた欧州の子会社、ノムラ・キャピタル・マーケッツ(NCM)の解散を決定しました。

実はこの子会社を設立してから、現在までに円安がずいぶんと進み、当社のNCMへの投資について、約450億円の為替差益が生じていました。

この分はバランスシートに留まっていたわけですが、NCMの清算手続きが予定どおりに進み、昨年12月に実質的な清算状態にあるとみなされたことから、この約450億円を今回利益として認識することになった次第です。

営業部門

それでは、各ビジネスの状況について、営業部門からご説明いたします。

5ページをご覧ください。収益は前期比9パーセントの増の1,113億円、税前利益は前期比22パーセント増の313億円となりました。

株価上昇を受けて、お客さまの投資マインドが改善し、下段にありますように株式の総募集買付額は大型の売出案件があった前期と比較しても2割近く伸びています。

また、ヒアリングを通じてお客さまのニーズに合ったサービスをご提案した結果、投資一任、保険販売も前期から79パーセント増加しました。

営業部門:残高が積み上がり、ストック収入も拡大

6ページ右上に記載していますように、年換算したストック収入は900億円に迫る水準です。

投信純増は日本株投信を中心とした利益確定売りでマイナス(624億円)でしたが、投資一任純増は800億円近くまで回復しています。

こちらにマーケット要因も加わり、ストック収入の源泉である投信と投資一任残高は、左下の図にありますように積み上がってきています。

また、現金と本券の入りと出をネットした現金本券差引は、株式が大幅な売り越しに転じたことで、140億円のマイナスでした。

ただ、今期より新たな評価指標として追加した、個人のお客さまからの現金と本券の入りである入金預りという項目は、右下にありますように増加基調にあり、第3四半期は1兆2,000億円を超す水準でした。

アセット・マネジメント部門

次にアセット・マネジメント部門です。7ページをご覧ください。

収益合計は前期比3パーセント増の365億円となりました。今期はマーケットの上昇やETFへの資金流入で、運用資産残高が初めて50兆円を突破しました。残高拡大による運用報酬の増加や、アメリカン・センチュリー・インベストメンツ関連の損益約90億円を計上した結果、前期同様高い収益水準を維持しています。

税前利益は208億円ですが、四半期では最高益を更新しています。

アセット・マネジメント部門: ETFによる主要資産への分散投資が可能に

8ページをご覧ください。上段にありますように、今期は投資信託ビジネスで7,700億円程度の資金が流入し、野村アセットマネジメントの公募投信シェアは27パーセント近い水準まで上昇しています。

その中でも、ETFに対する継続的な資金流入により、右下のETF残高は13.8兆円と、過去1年間で4.5兆円増えました。昨年12月には国内債券、外国株式、外国債券、外国REITを投資対象とする6本のETFを(東京証券取引所に)新たに上場させ、機関投資家に加えて個人もETFを通じて幅広い資産に分散投資できるよう、ラインナップの拡充を図っています。

ホールセール部門

次にホールセール部門です。9ページをご覧ください。

収益合計(金融費用控除後)は前期比4パーセント増の1,656億円、マーケットの活況を受けまして、日本や米州のエクイティビジネスが好調だったほか、インベストメント・バンキングでも日本やアジアで収益が伸びました。

なお、今期の業績は、証券担保ローン案件で発生した評価損、約140億円を含んでいまして、ビジネスラインで申し上げますとアジアのエクイティ、欧州のインベストメント・バンキングに、それぞれ約70億円(の損失)が計上されています。

この影響を除きますと、部門収益は前期比で13パーセントの増収でした。

税前利益は前期比17パーセント減益の140億円と、業績に応じて賞与引当金が増えたこと、売買高の増加に伴って支払手数料が膨らんだことで費用が増えています。

ホールセール部門:グローバル・マーケッツ

それでは(ホールセール部門を)ビジネスラインごとにご説明します。

まず、10ページのグローバル・マーケッツですが、収益合計が前期比3パーセント増の1,402億円となりました。

うち、フィクスト・インカムは794億円と、ほぼ前期並みの水準です。市場のボラティリティが低く、顧客アクティビティも低調だったことが影響していますが、アメリカの税制改正法をめぐるマーケットの動きが活発化したタイミングでは、収益機会をうまく捕らえることができました。

プロダクトで見ていきますと金利と証券化商品が回復、地域では日本が減収となりましたが、欧州は回復しました。

エクイティの収益は前期比5パーセント増の608億円でした。右側(の表)にありますように、日本と米州はキャッシュ、デリバティブともに好調で(前四半期比で)上向きの矢印、一方でアジアは証券担保ローンの評価損を計上して下向きの矢印になりました。

ホールセール部門:インベストメント・バンキング

続いてインベストメント・バンキングです。11ページをご覧ください。

左上にありますように収益は前期比11パーセント増収の255億円、他部門にアロケーションする前のグロス収益は前期比11パーセント減収の389億円でした。

先ほど申し上げた証券担保ローン案件の評価損は、半分の約70億円をネット収益、全額をグロス収益に含めています。この影響を除くと、各地域のグロス収益は前期比、前年同期比ともに増加しました。

日本ではグローバル連携を生かして多くの高プロファイル案件を手掛けた結果、M&A収益が増加し、ECM収益も堅調でした。昨年1年間の日本関連のリーグテーブルでは、ECM、DCM、M&Aでそれぞれ1位を獲得しています。

海外でもM&AやM&Aに付随するファイナンス案件が収益に貢献したほか、DCMでも数多くの案件に関与しました。

金融費用以外の費用

次にコストです。12ページをご覧ください。

全社のコストは前期比で6パーセント、約170億円増加の2,859億円となりました。主な要因は人件費で、業績に応じた賞与引当金が増えたほか、当社株の上昇を受けまして繰延報酬費用が増加したためです。

また、その他の費用としては、連結子会社の一時的な費用増などが影響しています。

強固な財務基盤を維持

次に、13ページの財務基盤です。

(昨年度)3月末の普通株式等Tier 1比率は18.2パーセント、(今年度12月末の)普通株式等Tier 1比率は17.3パーセントと、9月末からほぼ変動はありません。

以上、第3四半期決算についてご説明申し上げました。

最後になりますが、1月に入り、日経平均株価は一時2万4,000円台に上昇するなど、活況な市場環境が続いており、株価が調整する局面では個人のお指名買いが入るなど、力強さも感じられます。

足元の当社業績は、営業部門で第3四半期と同じペースで進捗していますし、アセット・マネジメント部門でも運用資産残高が積み上がっています。

また、債券市場でも金利上昇やボラティリティの回復が見られ、欧州、アジアのフィクスト・インカムが好調、株式市場の活況を受けてエクイティビジネスも健闘しており、ホールセール部門全体では順調な滑り出しとなっています。

今後、各国の金融政策の転換や、米国株の高値警戒感などの懸念材料もありますが、好調な企業業績に支えられ、株価がさらなる上値を目指す展開も期待できます。

当社は、人生100年パートナーとして、より長期的な視点で長寿社会におけるお客さまの資産形成と、真に豊かな社会の創造に貢献しつつ、さらなる成長を目指してまいりたいと考えています。

どうぞご支援のほどをよろしくお願いいたします。