オーガニック専門家のオーガニック遍歴

小原壮太郎氏(以下、小原):青田さんも杉田さんも著書を出されていて、ひと通り拝見させていただいたんですが。実は僕自身も今おふたりがおっしゃったような体験を通して気づきがあったので、ちょっと簡単にお話しさせていただきます。

もともと広告代理店で10年ほど働いていたんですね。毎日朝の8時から夜の3時まで働いて。

27から31歳くらいまで、やっぱり体にだんだんダメージが蓄積してきて、毎年7月になると食中毒で救急車で運ばれて10日間入院するというのを本当に毎年繰り返していたんですよ。

部下は同じものを食べても3日くらいお腹下したくらいで治るんですが、僕は41度の熱が出て吐いて下してというような感じで。10日間ずっと抗生物質を点滴で入れ続けて、ヘロヘロになってようやく退院するといったことを繰り返していたんですね。

アトピーやうつ病の駆け込み寺へ

小原:2009年の頭に千葉県の「くりもと地球村」というオーガニックな農園があった。そこはアトピーの子どもやうつ病の方の駆け込み寺のような感じで、行っては治っている話を聞きました。

当時、僕は広告代理店で労働組合の代表委員をやっていたんですが、やっぱりうつ病がすごく増えていたんですね。今もそうですが。うつ病が多いから、健康保険組合の人に医療費の使用項目を調べてもらって、うつ病がダントツ1位になっているだろうというデータを出してもらおうと思ったんです。

調べたら、実は1位はアトピー治療になっていたんですよ。社員にアトピーがいなかったので、たぶん子どもたちがアトピーになっている。それが医療費の使用項目で1番多くなっていて、2位がうつ病治療になっていたんですね。

うつやアトピーが治っている農園が本当にあったらすごいなと思いました。でも、怪しい宗教系じゃねぇの!? と思って、覆面調査のような感じで行ったんですね。1泊2日の農業体験ですよ。

そこで生まれて初めてオーガニックの野菜と玄米を食べたんですが、翌日から顔が真っ赤に腫れてきて「なんじゃ!?」と思ったらニキビみたいのがバーっと出てそこから透明な液体がダクダクに出るのを10日間くらい続けました。

青田典子氏(以下、青田):え~!

農園で体験した衝撃の「好転反応」

小原:当時、アメリカから帰ったばかりで、実家のおふくろから「変な病気を持って帰ってきたんじゃないの!」と良からぬ疑いをかけられまして(笑)。

青田:そのくらいひどかったということですよね。

小原:ひどかったです。本当にお岩さんのような感じになりました。

杉田かおる氏(以下、杉田):好転反応?

小原:そうです。あとで好転反応と言われるものだと気づいたんですが。僕は2週間おきに3回アポを入れていました。10日間くらい出続けたあと、日焼けのあとのように皮がだんだん剥けて綺麗な肌が出てくるんですが、2週間おきに行って食べるとまた出てくるんですよね。ドバーッと。

だけどドバーッと出る液体の量がどんどん減ってきて「あ、なんか改善してるな」と。農園に実際に滞在してる中学生の女の子は、半年から1年もかけてそこの農園に滞在して、もう中学校も転校してきて。

それで治っているんですが、本当にお2人みたいに肌がつるつるで。「お前本当にアトピーだったの?」と言ったら、半年前の写メを「これ見て」と、もうボコボコだったんですね。

青田:半年でですか?

小原:半年で。結局人の体は今食べているものによって、そうした影響が出ていることがわかりました。僕自身も3回出したら、30代くらいから男はおでこがけっこう脂ぎるじゃないですか?

その脂ぎるのは加齢だと思っていたんですが、ドロドロしたものを出したあとは脂が一切出なくなってサラサラの汗に戻ったんですね。あれは加齢ではなくて体に溜まっている化学物質の影響だったことがわかりました。

うつやアトピーで病院に行っても僕の友人もなかなか治らないし、僕自身デトックスもして、「だったらこうしたオーガニックの農園が増えて少しでも健康な人が増えたほうがいいじゃん」と思い、そこからオーガニックの普及啓発活動をやっているんですが。

蓄積した化学物質が不調の原因

青田:原因は化学物質なんですか? 体の中に溜まるというか。今は便利な時代ですが、電子レンジなどでチンがあまりよくないと、私はそう聞いたんですが。そうしたもので化学物質が中に入って、外に出ないということありますか?

小原:そうですね。そこの農園の農家さんと赤峰勝人さんというお師匠さんが大分県にいらっしゃって。

杉田:あ~。

小原:ご存知だと思います。無償で食事指導をすることでアトピーの方を治したりしていたんですね。農家さんたちの実践からの気づきとしては、農薬や化学肥料もそうだし、僕が入院して入れてた抗生物質など。やっぱり、石油合成でできたものは、だんだん体内に蓄積していくわけですよね。

青田:油が溜まっているということですかね? よくない油というか。体から出ないんですね。

小原:ある程度はもともと野菜やデトックス力があるものを普段も食べているんですが、やっぱり追いついていなくて、どんどん体内に蓄積していると。アレルギーの方はガンの罹患率は低いという研究者の論文もありますね。

青田:アトピーというのは一生懸命出そうとしているということなんですね。

小原:そうです。出しているんです。出すものを出し切れば治まるはずなんですが、食べ続けてどんどんまた体に入れているから出続けてなかなか治らないということらしいんですね。

玄米は認知症やアトピーを改善させる?

青田:人は7年の間に骨の髄まで全部変わると聞いたんですよ。だから7年間食事を気をつけるとすべてが変わるから、食べることはすごく大事だと気づいたんですが。そうした意味で、より毒素が出るものというのがオーガニックということになっていくんですかね?

小原:そうですね。もともと玄米にはフィチン酸という成分があり、それは重金属を排出するのは医者もわかっているんですね。だけどそれ以上の機能はよくわかってないというか、一般的には語られていなくて。

でも実践していくと実際にアトピーの方のは排毒して改善していくのは、僕も目の前で見てきているので。

青田:玄米の重金属は、これはアトピーだけじゃなく?

杉田:認知症にもそうした影響があるのではないかと言われています。アメリカではキレーション治療といい、うちの母にもしてもらったんですが。点滴で重金属を排出する予防医学があって。それでうちの母も認知が進んでいないんですが。

青田:え! なるほど。

杉田:もちろん保険が効かないので、めちゃくちゃ高い点滴なんですが(笑)。それを点滴じゃなくて、食べる点滴というか。玄米だったり、抗酸化力のあるもので。結局、重金属を出すときのデトックスのために、良いものも出ちゃうんですよね。

青田:え!

小原:そうですね。

旬の食物が健康をつくる

杉田:デトックスなので。そのあとにまた吸収をさせなければいけないので、なぜオーガニックのお野菜などが必要かと言うと、しかも旬のもの。

例えばうちの農業のお師匠さんは、玄米がいいからと1年中食べちゃダメだと。秋から冬にかけて収穫されたものを食べる。夏だったら麦。そうじゃないと、体に負担がかかるらしいんですね。

玄米がいいからとずっとそればかり食べ続けていると、夏は胃腸がちょっと弱くなったりもしますから。やっぱりそのときそのときに穫れるものをいただくのが、そういう意味でも理にかなっている。

青田:旬のものをいただくのは健康にとって、とても大事なことなんですね。旬もわからないくらいスーパーには常に並んでいるので、その意識も持たなければいけないですよね。

小原:そうですよね。僕はたまたまオーガニックな玄米や野菜でデトックスを体験したんですが、だから必ずしも「オーガニックの野菜がスーパーパワーです!」「これを食べればみんな安心です!」ということではなくて。

そもそも、今食べているものは大量生産して効率良く作ろうとするために農薬や化学肥料、除草剤などを使ったりしている。そうした便利さのために入れてるものが体に蓄積して、悪さを起こしたりしているだけなので。

オーガニックへの入り口は武田鉄矢

杉田:はじめにオーガニックのことを10年前に知ったのは武田鉄矢さんからで、『降りていく生き方』という映画を作るときでした。もともと奥様が目覚めていらして、私がすごく不摂生だったので寺田本家さんの玄米酒ををお誕生日にくださって、「食には気を付けた方がいいよ」と2時間くらいオーガニックの話を聞いてからです(笑)。

青田:2時間ですか(笑)、楽しそうですね。

杉田:それから目覚めて、そこからなんですよね。

青田:そうなんですね、武田鉄矢さんのお話からなんですね~!

杉田:それで北九州に行ったときにアイガモ農法の方の取材に行ったら、そこに研修生の方がいらして、アジアからヨーロッパからいろんなところから来るんですが、そこでみんなはじめは日本にいる在日の方と、例えば韓国から来た人があまり仲良くなかったりするんです。

でも一緒に作業をしていると、畑には国境がないという、同じものを作って同じものを共有して、おいしいもの、いいものを食べると、本当に1年を通じて仲良くなる姿を見て、申し訳ないですが政府などが介入しなくてもできる友好関係だと言っていたのがすごく……。

青田:なるほどねー!