「ネット上の産直市場」をつくる

原田大作氏(以下、原田):キッチハイクさん、BrainCatさん、ポケットマルシェさんですね。よろしくお願いします。

本間勇輝氏(以下、本間):ポケットマルシェ、本間と申します。どうぞよろしくお願いします。

原田:お願いします。

本間:僕の経歴はどうでもいいとして、ぜひ質問させていください。今日、3食ごはん食べたと思います。食べたごはんの中で、1つでも、それを作った農家さんもしくは漁師さんの顔が思い浮かぶって方いらっしゃいますか?

(会場挙手)

お1人。ありがとうございます。どちらかというと狙いどおりの反応。僕たち、食のC2Cやってるんですけれども、この人数がせめて半分ぐらいいきたい。そのためにこの事業をやっています。

僕らがやっているのは、「ネット上の産直市場」です。スマホさえあれば日本中の道の駅、産直市場にすぐに行けますよという、農家さん漁師さんから直接買える、しかも会話しながら買えるというC2Cサービスを、ちょうど1年前ぐらいからやっております。

C2Cはめちゃめちゃ流行っているというか、今すごい流れが来てると思います。ファッションなど、いろんなものが買えると思うんですけど、食のC2Cってあんまり聞いたことないですよね。

食のC2Cが実現しなかった理由

本間:「食」って川下で市場規模が100兆円あるんです。一次産業の生産でいうと10兆円。それが末端にいくと100兆円です。半端ないです。ファッションとかよりもずっとずっと大きいのになんで食のC2Cが実現してこなかったのか?

それって、その片側のCである農家さんもしくは漁師さんという彼らが、なぜかこのマーケットに来なかったからなんですね。それを僕らはなぜか実現しているということで、メルカリさんにもご評価いただいてチームに入っているところです。

なので、食のC2C、「ポケットマルシェ」でやっているのはネット上のマルシェです。出店者は農家さん漁師さんのみに限っているのが1つ目の特徴。

もう1つは、やっぱりリアルマルシェに行ったときに、おいしいものを買えるだけじゃなくて、なにか出店者としゃべっておいしい食べ方を聞いたりとか、そこの会話が喜びですよね。それもアプリの中で実装しようとしている。この2点が僕らのサービスの特徴です。

農家さん自身もスマホから出品します。農家さんがスマホから出品するとどういうことが起こるか? 代表的なのを3つ出しています。スライド一番右、生クロマグロ、本マグロですね。秋田の漁師が「釣れたら送ります」って出品してるんですね。漁師から1本マグロ届きます。

原田: 2万4,000円もするんですか?

本間:「メジ」が小さいという意味なんですけど、軽いんですよ。マグロは5〜7キロで小さいんですよ。というのもあります。

原田:すごい。

本間:(スライドを指して)例えば一番左。まず商品タイトルから意味不明なんですけど。「ヘラガニ 千里を泳ぐ」って意味不明なんですが、カニが10個入ってて1,000円です。

流通に乗らないレアな生産物も出品

本間:なんでこんな安いかというと、タコの餌にしちゃってるんですね。彼の漁場では、流通に流れないんですよ。流通に流れないけど産地だけで消費されているおいしいものってめちゃめちゃあるんですね。そういったものもスマホからパシャッと1分で出品できるので、実現できています。

今、海産物が続いたんですけど、(スライドの)真ん中、生姜。この農家さん、先月に2回目出してくれましたけど、1年に5日しか出品してくれないんですよ。だからうちにとって実はいい農家さんかわからないんですけど。

「生姜が1年に 5日間だけ、グッと新生姜、新しい根が出てくるタイミングがある。ここがうまいからこのタイミングでしか売らない」って人がいるんですね。

こういう「旬の今だけ」「数量限定」「規格外」。こういった今まで流通に乗らなかったものがスマホのC2Cで実現しているというのが特徴です。

今日(会場で)配られているヨーグルトドリンク飲んでない方ぜひ飲んでください。まだちょっとあるので。広島のある農家さんが出してるんですけど、牛乳だとかヨーグルトドリンク。

特徴はいろいろ書いてあるんですけど、ノンホモ低温殺菌と言ってピンとくる人いますか? 普通に流通してる牛乳ってめちゃめちゃ高温で殺菌してます。匂い全部飛んじゃってるんですね。「缶コーヒーが全部一緒」みたいなイメージだと思っていただければと思います。

そういうのも直送で、こだわっていて普通に買うよりはちょっと高いかもしれないけれども、背景を知って直接買える。こんなサービスです。ヨーグルトドリンク、すごくすっきりしておいしいと思いますけど、ぜひぜひサイトのほうも見て来てください。

生産者とコミュニケーションできる利点

本間:もう1つの特徴で、コミュニティと会話できるって話をしました。我々のサービス、商品の下、生産者の情報の下にコミュニティウォールがあります。そこに「ごちそうさま」ってユーザーが伝えたりとか、もしくは「おいしい食べ方を教えてください」って聞くと生産者が答えているようなコミュニティのウォール。Facebookなどと一緒ですね。そういったものが流れています。

ユーザーはここを見て「なんか盛り上がってるから買おう」とか、いわゆるレビューみたいな位置付けになっているんですけれども。どんどん売ると投稿が増えて盛り上がって、シズルところが良いレビューになって交流が増えるみたいなことが起きています。

(スライドの)一番右の事例ですね。これちょっと見づらいんですけど、漁師さんが、ハタハタの注文にエビとカニをおまけでつけてるんですね。ユーザー喜ぶじゃないですか。この漁師のウォールとかやばいんですけど、なんかおまけしすぎという。

原田:(笑)。

本間:でも、ダイレクトに繋ぐおもしろさってそういうところだし、たぶん漁師の友達がいる人は少ないですよね。そういう今までC2Cマーケットに来なかった人を持ってきてるというのがたぶん僕らの特徴だと思います。

原田:メルカリチャンネルというのがあって、そこでも野菜売ってる方がかなりの量を売っているので、あると思います。

本間:ありがとうございます。

原田:はい。じゃあ、続きまして……。

本間:あ、すいません。(スタッフを)募集してます。お願いします。

原田:募集中ですね。

KitchHikeの意外な知名度

原田:じゃあキッチハイクさん、お願いします。

山本雅也氏(以下、山本):みなさん、こんばんは。キッチハイクと申します。キッチハイクは共同代表制でやっていますので、今日は2人でお邪魔しています。山本と申します。

藤崎祥見氏(以下、藤崎):藤崎といいます。

山本:今日この中で、KitchHikeを知っているという方は手を挙げていただけますでしょうか?

 

(会場挙手)

山本:あっ! 

本間:おっ、すっげえ。

藤崎:おおっ。

山本:4年前とぜんぜん違う。

(一同笑)

原田:違う世界が広がってますね(笑)。

山本:違う。もう時代は変わりましたね。じゃあ使ったことがあるという方はいらっしゃいますか?

(会場挙手)

あっ! ええ!

藤崎:おお。えぇ!?

山本:嘘ですよね?

(一同笑)

山本:本当ですか?

参加者1: 手作り餃子を見に集まって。

山本:おっかさんですか? スナックおっかさん? すごいディープなクック行きましたね。ありがとうございます。

藤崎(笑)。

料理を作る人と食べる人が繋がるサービス

山本:KitchHikeは、料理を作る人と食べる人がつながってみんなでごはんを食べるコミュニティサイトです。私、前職は博報堂DYメディアパートナーズという会社で働いてました。

藤崎:野村総合研究所でエンジニアをやっていました。

山本:我々、冒頭で原田さんからご紹介いただいたように、もう実は4年半以上やっています。実は明日が会社の第6期目になっておりましてですね。

原田:おお。おめでとうございます。

(会場拍手)

山本:「世界を変えるにはどうしたらいいか?」というのをずっと考えていまして、友人の紹介で藤崎と出会って、もう出会った瞬間に、会社員を辞めて「世界を変えるぞ」というので、覚悟決めて始まったのがKitchHikeです。

ただ、今のサービスコンセプトになった2016年4月までは、なかなか利用者が増えずに苦労しました。 

藤崎:少しだけですね。ほとんどいない。

山本:ほとんどいないような。

原田:そのへんの話もちょっとあとで深掘りしたいですね。

山本:ええ、そうですね。

原田:「なぜいなかったのか?」と。

山本:はい。ようやくこの1年半成長することができて、先日、メルカリファンドさんとMistletoeさんなどから調達をさせていただきました。

KitchHikeは孤食の時代を繋ぐ

山本:このイラストを見てください、みなさん、これが100年前のキッチハイクです。

(会場笑)

藤崎:100年じゃないでしょ、これ(笑)。

原田:しかも解像度がちょっと荒い。

山本:もうちょっと前。120年ぐらい前。

藤崎:1万年ぐらい前だよね。

山本:1万年前のキッチハイクです。

これが今のキッチハイクです。

原田:おお、みんな女性になりましたね。

(会場笑)

山本:原田さんの視点はアレですけども、確かにそうですね。女性のユーザーさんは実際多いんですけれど。

僕らがやってることはとても新しいことではぜんぜんなくて。昔はもっとみんなでごはんを食べていたはずなんですね。今は孤食だったり、街に出れば1人で食べられる場所、ファーストフードとか牛丼チェーンがたくさんあるんですけど、実はとても不思議な状況で、ここ100年ぐらいの特殊な社会なんですよね。100年以上前はもっとみんなでごはんを食べていた。

そのほうが社会にとって健全だし、楽しいし、人の生活は豊かだよねというのを僕らはもう1回取り戻したくてもう5年やっています。

今のフレーズは、「きょうは、みんなで食べよう」というフレーズでやっています。「食べることが好きな人をつなぐ」。「みんなで食べる」で略して「みん食」と言っています。外食、中食、内食に続く第4の選択肢としてみん食なんですね。「昔はあったけど、もう1回取り戻したほうがいいんじゃないか?」というのでずっと言っています。

原田:これ、僕めっちゃ欲しかったんですよ。

山本:えっ。

みんなで食卓を囲む喜び

原田:シェアハウスに住んでた時期が長くてですね。起業してお金ないじゃないですか。僕バツイチなんですけど、離婚してもう家もないじゃないですか。

(一同笑)

原田:行くとこないのでシェアハウス行ってたんですけど、シェアハウスってみんなでごはん食べますよね。その時にジョエル・ロブションのシェフがいたんですよ。そこに。神ですよ、もう(笑)。

(一同笑)

だから帰ってくると、だいたい夜の11時半ぐらいになると彼が帰ってきて、みんなキッチンに集まって、彼がちょっと作るフレンチとかを食べられるという謎の特典があったんですけど。あと女の子が「いっぱい作っちゃった」とか黙って待ってるんですね。食費が不安みたいな。そういう感じですよね。

山本:本当におっしゃるとおり、料理を作る人と食べる人の垣根をなくすというのが僕らのテーマだと思っていて。今も本当に、ホスト・ゲストみたいな関係では実はないんですよね。ホストがゲストになるし、ゲストがホストになるという世界。

みんなで一箇所に集まっているので、そこに瞬間的な場が生まれるというか。みんなが集まらないとできないことがこの世界には存在するというのをすごく思ってやっています。

原田:はい。

キッチハイク内、3つの指針

山本:今日は採用ということで、我々も今絶賛採用活動中でして。新しいことをやろうとしたり、前例のないことをしようとすると、すごくいつも迷うんですよね。迷うときにどういう行動指針を持ってジャッジしたらいいんだろうというので、チーム内でこの3つを徹底しています。

せっかくなので紹介しますと、1つ目は「メッセージより仕組み化」というのをすごく言っていて。前職、広告会社にいたこともあり、メッセージであまりに世の中が変わらなすたというのをすごく今トラウマに持ってるぐらいなんですけど。

やっぱりメルカリさんのように、仕組みが世界を変える時代に本当にここ20年ぐらいで一気になったなと思っているので、どんどん仕組み化していこうという。

キッチハイクはメンバーの7割近くがエンジニアだったり、プロダクト部門の藤崎CTOの下についているプロダクトチームなので、すごくテッキーなチームでやっています。

2つ目は、この「常識の比較より逆説のアイデア」というのを考えていつもやっています。AかBか悩んだときに、単純に比較して良いほうを選ぶんじゃなくて、Cを考えます。すべてを同時に解決するCを考えついてやってみようというのをやっています。じゃあ、3つ目は藤崎から。

藤崎:「今の改善より、未来のプロトタイプ」。これがプロダクトチームがなにか迷ったりしたときに振り返っている言葉です。今の改善の結果からではなく、未来から逆算したプロトタイプを作ろうとプロダクトチームは常に考えています。

山本:今、募集してるポジションはこのような感じです。Railsでやっています。

原田:よろしくお願いします。

(会場拍手)

原田:オフィスは、オシャレな感じなんですね。

山本:そうですね。我々、オフィスはこんな感じでやっていまして、お昼ごはんは「みんなで作ってみんなで食べる」というのを実践しています。もしご興味ある方いたら、ぜひまかないランチを食べに来てください。ありがとうございます。