Ⅰ.2018年3月期 第2四半期 決算概要 ハイライト

中村幸治氏:それでは、2018年3月期第2四半期の決算について、まずはハイライトからご説明申し上げたいと思います。

当期のハイライトはご覧の2点です。

まず1点目、当期は中期経営計画に基づいたホテル事業の先行的開発事業の影響によりまして、期初段階の業績予想では営業利益・経常利益ともに6パーセントの減益となりましたが、今回の決算では寮事業・ホテル事業・その他事業が各々の利益計画値を上回り、増益決算とすることができました。

これによりまして、第2四半期累計ベースで7期連続で経常増益、かつ、5期連続の最高益の更新を実現いたしました。

2点目は、株主様への株主還元の計画的な実施です。

1株当たり第2四半期配当額を18円としました。これは分割調整後で、実質的には5円の増配、38パーセントの増加となりますが、2022年3月期までに配当性向を20パーセント超にするという中期計画で設定した目標に向かって、確実に踏み出しております。

第2四半期累計減益予想を覆し増益決算(セグメント利益計画対比)

ハイライトでご説明したポイントについて、グラフで改めて説明いたします。

グラフは各々の事業について計画対比の差異を表しておりますが、ご覧のとおり、セグメント利益ベースで寮事業でプラス1億6,600万円、ホテルでプラス1億3,300万円、その他事業でプラス1億4,400万円と、各部門が計画を上回り、調整額を合わせた連結全体として、営業利益で計画比では5億1,500万円のプラス、経常利益で同じく6億6,100万円のプラス、そして、増益決算といたしました。

その結果、連続増益となりましたが、トレンドを次のページでご覧いただきたいと思います。

経常利益7期連続増益・5期連続過去最高更新(第2四半期累計ベース)

ご覧のグラフは経常利益の推移であります。

黄色が第2四半期累計、青色が通期であります。

2018年3月期の第2四半期累計で、計画比6億6,100万円の上乗せによりまして、対前年でも2億円増の70億6,100万円と、増益トレンドを維持することができました。

通期予想が117億円で、現段階では据え置いております。

株主還元の計画的実施

そして、ハイライトの3つ目のグラフです。

株主還元です。

前期は株主様への複合的な利益還元を実施しました。

まず、プラス19パーセントとなる分割前ベースで10円の増配を行いました。

それから、株式流動性向上を目的とした1対2の分割を実施いたしました。

また、中長期保有の株主様の増加を目的とした長期保有株主優待制度を新設いたしました。

当期は、新たに中期計画で目標設定した配当性向20パーセント超に向けて、計画どおりにプラス38パーセント、5円の増配を第2四半期段階で実行いたしました。

2018年3月期 第2四半期累計 決算状況

それでは、2018年3月期第2四半期累計の決算概況についてご説明をさせていただきます。

売上高は前期比24億5,900万円増の709億3,600万円、3.6パーセント増。

営業利益は前期比4,200万円増の72億1,500万円、0.6パーセント増。

経常利益は前期比2億円増の70億6,100万円、2.9パーセント増。

当四半期純利益は前期比3億6,400万円増の46億3,200万円、8.5パーセント増。

営業利益・経常利益につきましては、期初の減益予想から一転し、増益決算ということになりました。

売上高 セグメント別増減要因

続きまして、売上高のセグメント別増減要因について説明をさせていただきます。

まず、寮事業の売上高は233億4,300万円、3.5パーセントの増収となりました。

期初の定員稼働率が前期同水準の98.3パーセントと好調にスタートいたしまして、9月末現段階でも契約者数が3万4,305名、597名増と好調を維持しております。

この要因は、社員寮事業におきまして、積極的に新卒採用をする企業が増加したこと、それから、福利厚生や研修を目的とした社員寮制度を新設または増強する企業のニーズを取り込めたことの2つです。

このことが契約数の増加につながりまして、受託寮案件の増加と合わせて、寮事業全体の増収に寄与したということです。

次に、ホテル事業の売上高は347億6,900万円、15.6パーセント増と2桁増収となっております。

増収率の内訳は、ドーミーイン事業が23.1パーセントプラス、リゾート事業が7.1パーセントのプラスでございます。

ホテル事業は、新規にオープンした事業所の増収寄与に加え、既存事業所の稼働率と客室単価の増加が売上を順調に押し上げたということです。

ちなみに当期オープンの事業所は、ドーミーインが東京の神田、それから九州の宮崎、仙台のシーサイドである仙台港の近く、それから出雲、甲府丸の内の合計5棟です。

リゾートは、出雲大社のお膝元にタイプの異なる2つの宿、「佳雲」と「月夜のうさぎ」を開業いたしております。

その他事業につきましては、総合ビルマネジメント事業・フーズ事業を中心にしております。主力事業の寮事業・ホテル事業の拡大に伴いまして、全事業が増収となっております。

営業利益 セグメント別増減要因

次に、セグメント別営業利益の対前年増減です。

寮事業は1億5,200万円の増益で、前期比4.2パーセント増、ホテル事業は7,500万円の増益で、前年比6.1パーセント増となりました。

内訳は、ドーミーインが4億3,000万円のプラス、リゾートは3億5,500万円のマイナスとなっております。

その他事業は、9,200万円のマイナスになりました。

当期は中期計画の1年目として、先行的開発費用の影響により、緩やかな利益成長の計画となっております。その先行的費用、それから、地震や台風など自然災害による一過性とみられる要因を取り除いて、既存事業所の巡航ベースの利益成長を比較してみますと、ドーミーインの国内は21.1パーセントの増加、リゾートは9.8パーセントの増加、連結で9.9パーセントのプラスということで、順調に推移しております。

とくにドーミーインはRevPARの上昇の継続によって好調に推移しておりますので、あくまでも参考値でございますが、報告させていただきます。

なお、詳細につきましては、セグメント別に説明をさせていただきます。

寮事業 営業利益増減要因

まず、寮事業の営業利益の増減要因について、説明をさせていただきます。

当期の寮事業の期初計画稼働率は98.3パーセントと、前年と同水準で、非常に好調にスタートしております。

学生寮・社員寮契約の増加に加えて、受託契約や一般の賃貸住宅事業のドミール契約の増加によって、第1・第2四半期を通じて稼働率が堅調に推移しました。この結果、営業利益は前年同期比で1億5,200万円のプラスとなっております。

内訳は、学生寮・社員寮契約の増加分で1億900万円、受託契約とドミール契約の増加分で4,300万円です。

寮事業 契約状況

次に、寮事業の契約状況です。この事業のいわゆるKPI、最も重要な指標は期初稼働率でございます。

2011年3月期をボトムに上昇を続けておりまして、当期初は98.3パーセントと、前期に続いて高水準を維持しております。

来期期初は、早稲田大学様向けのシェアハウスタイプの寮を500室をはじめ、沖縄・那覇市内の専門学生様向けの学生寮、海外初出店となるタイ郊外のサービスアパートメントなど、新たな市場の開拓にもチャレンジして、1,700室の開業を予定しております。満期閉寮分を差し引いた定員室数に対して、来期期初は98.5パーセントの契約稼働率、1,525室の契約増を見込んでいます。

このように、寮事業の業績も非常に堅調です。

当社収益構造上の安定基盤となっていることを、PRさせていただきたいと思います。

ホテル事業 営業利益増減要因

次に、ホテル事業の営業利益の増減要因についてのご説明です。

ホテル事業は前年同期比で7,500万円の増益となりましたが、その内訳は、ドーミーインが4億3,000万円の増益、リゾート事業が3億5,500万円のマイナスです。

ドーミーインの増益要因をブレイクダウンさせていただきます。

まず国内の要因として、増減要因の「a.」と書いている国内既存事業所の稼働率と単価の上昇をご覧ください。このKPIをRevPARと呼んでおりますが、この上昇に伴う限界利益増が3億9,400万円です。そして、前年の熊本地震からの回復による、ドーミーイン熊本の反動増が1億9,600万円です。これらをあわせて、5億9,000万円のプラス効果がありました。

次に、表の中の「b.」をご覧ください。ドーミーインの場合は立ち上りが早いので、開業2年目の事業所が通年稼働すると利益に貢献しますが、これがプラス4億700万円でした。そして、「c.」の当期開業事業所5ヶ所の開業赤字が、マイナスで4億4,000万円です。

また、ドーミーインで展開している海外事業ですが、現在韓国のソウル市内に2店舗開業しております。

THAAD(ミサイル)配備による中国との関係悪化・北朝鮮有事による日本その他外国人の訪韓の減少など、外部環境悪化の影響を受けて、主要な顧客ターゲットを韓国国内に切り替えた営業展開を図っております。

地域内では非常に高い評価を受けておりまして、江南地区にある1号店ソウル・カロスキルの稼働率は76.0パーセントとなり、前期比2.4パーセントプラスと、改善傾向にあります。

ただし、客室単価につきましては1万2,491円、前期比8.8パーセントと減少しており、この結果、売上利益がマイナスとなっております。

2号店のソウルのカンナムホテルは、前期に開業いたしました。

認知度の浸透と集客に時間を要しており、開業赤字段階にあるということで、2店の合計で、前期に比べ1億2,700万円のマイナスとなっております。

次に、リゾート事業のブレイクダウンです。

既存事業のRevPARの上昇による限界利益のプラスが、2億4,200万円。それから、仙台から1時間ほどの鳴子温泉にある、開業2年目のホテル事業所「吉祥」の赤字が、1億4,000万円です。リゾートの場合は、営業を黒字化するまで標準モデルで概ね3年を要しております。

そして、今回の先行的開発による当期開業2ヶ所の開業赤字が、マイナス4億5,700万円です。合わせて、リゾート事業全体で3億5,500万円の減益となりました。

計画の範囲内でありますので、ご安心いただきたいと思っております。

ドーミーインの概況

続きまして、ドーミーインの営業概況についてご説明させていただきます。

当期は客室稼働率・客室単価ともに、各四半期及び第2四半期累計において、すべて前期を上回っております。

第2四半期累計では、客室稼働率が89.0パーセントから90.6パーセントということで、1.6ポイントのアップ。

客室単価は1万1,100円ということで、3.7パーセントのアップ。

RevPARは6.3パーセントのアップになり、計画値の4.0パーセントのアップをさらに2.3ポイント上回る、当初の予定以上の伸びとなっています。

当期は現在開業・運用しているドーミーイン66ヶ所のうち、稼働率で95パーセントを超える事業所がすでに16ヶ所となっております。ホテルの供給増による需給バランス悪化という懸念の声が聞かれる中で、ドーミーインは好業績を続けております。

地域別に稼働率を見ますと、首都圏の渋谷神宮前が100パーセント稼働です。

それから浅草が96パーセント、上野が96パーセント、軒並み高稼働で推移しました。

関西圏でも京都駅前が99パーセント、梅田東が96パーセント、心斎橋が96パーセント。なんばは2店ございますが、合わせて98パーセント。また、名古屋が96パーセント、札幌が96パーセント、博多が2件で97パーセント、仙台が3件で94パーセントと、大都市圏での高稼働率が全国をリードするという傾向になっております。

当期はさらに、高松が96パーセント、倉敷が95パーセント、姫路が96パーセントと、地方中核都市にも広がりを見せ始めました。

そして、昨今のドーミーインの利用者はビジネス目的のみならず、レジャー目的のお客様もたいへん増えております。

1部屋当たりのお客様の宿泊人数を同伴係数と申しますが、1.34から今期は1.36と堅調に増えております。高稼働を維持しながら、客室単価の上昇に繋がっております。

なお、足元の稼動状況ですが、速報ベースで10月は稼働率92.2パーセントで、全体の前年同月比でプラス0.7ポイント。11月も稼働率91.2パーセントで、前年同月比でプラス1.3パーセントと、引き続き好調に推移しております。

インバウンドの状況 ①売上構成比

ドーミーインにおけるインバウンドの状況について、ご説明を申し上げます。売上高に占めるインバウンドの比率は、第2四半期累計で25.2パーセントと、前期比7.3ポイント増。宿泊者数は63万3,000人で72パーセント増と、大変勢いを増している状態です。

客室単価においても1万3,900円と、インバウンドの単価そのものが前期比3.0パーセント増と、上昇を続けております。同時期の国内の単価1万1,100円に対して2,800円、約25パーセント高くご利用いただき、利益率の向上にもつながっております。これは、インバウンドのお客様はご家族や友人同士でご利用される方が多く、同伴係数が1.77となっており、国内のお客様の同伴係数の1.27に対して高くなることに起因しています。

ちなみに、この9月でインバウンド比率の高い事業所は、大阪にある和風タイプの「野乃 なんば」です。95パーセントがインバウンドとなっています。

それから、洋風の「ドーミーインプレミアムなんば」が76パーセント。また、「ドーミーイン心斎橋」が80パーセント。

ちなみに、野乃 なんばという和風タイプの新タイプのホテルは、インバウンド効果だけではなく国内のお客様のご利用を受け、開業2年目の当期に稼働率99パーセントと、大幅な黒字化を実現しております。

インバウンド比率に話を戻しますと、東京では浅草が55パーセント、渋谷が52パーセント、上野が43パーセントです。相変わらず、アジアからのお客様は、大阪・東京を中心としています。しかし今年の特徴としては、当期に増加した、新しい名古屋の栄のドーミーインに関して、54パーセントがインバウンドのお客様です。また、奈良が51パーセントです。そして博多の2物件が43パーセントということで、全国的に当社のドーミーインでインバウンドのお客様のご利用が広がっていることが、数字に表れてきております。

インバウンドの状況 ②国別構成比

インバウンドのもう1つの特徴をご紹介したいのですが、まず国別の内訳です。韓国、香港、台湾の順番に、それぞれ28パーセント、25パーセント、12パーセントの構成比となっております。アジアからのお客様が、当社のインバウンドの中心におられるということです。

ただし、中国からのお客様の割合は6パーセントと、非常に抑制的にコントロールされており、過度に依存することなくバランスのとれた国別顧客属性です。

当期のシェアの構成比の増減率では韓国・香港・米国のお客様の割合が増加しており、台湾と中国のお客様の割合が減少となっております。これは、日本全体の訪日来客数の傾向値と、だいたい同様の推移です。当社のインバウンドのお客様の実数は、韓国は87パーセントの増加、香港は138パーセントの増加、米国は370パーセントの増加、台湾は5パーセント増加、中国は9パーセント増加です。いずれも増加しておりますので、ご安心いただきたいと思います。

リゾートホテルの概況

続きまして、リゾートホテルの概況です。当期は客室稼働率は第1四半期に上昇、第2四半期は台風等の自然環境の要因でマイナスとなっております。だいたい1.0ポイントの影響が出ていました。

客室単価は各四半期で、前期を上回ることができました。その結果、累計で客室稼働率は、85.5パーセントから85.7パーセントへと、0.2ポイントのアップ。客室単価は4万2,500円ということで、2.6パーセントのアップ。RevPARは3.1パーセントのアップとなっております。

稼働率を地域別に見ると、基幹の事業所になっている函館が95パーセント稼動、草津が93パーセント、箱根強羅で91パーセント、京都「秀峰閣」で97パーセント、沖縄で94パーセントです。この主力事業所に加え、伊勢神宮のお膝元にあります「伊久」が93パーセント。それから前期に開業した箱根湯本のホテルが91パーセントで、新しい事業所が着実に業績を引き上げております。

その他地域での好調も維持した結果、全国的に展開するリゾート事業としては非常に高水準の、平均稼動率85.7パーセントを獲得しております。

またこちらも足元の状況ですが、10月の稼働率は87.6パーセントで、残念ながら台風の影響で前年同月比マイナス1.7ポイントです。ただし11月は稼働率90.5パーセントで、対前年比4.6パーセントのプラスと、引き続き堅調に推移しております。

その他事業 営業利益増減要因

次に、その他事業における営業利益の増減要因です。

フーズ事業が8,500万円のプラス。これはホテルレストラン受託事業の増加です。デベロップメント事業は1億4,200万円のマイナス。こちらはホテル開発関係の受注は増加しておりますが、分譲マンションの販売利益の反動減があり、差し引きでマイナスになっております。その他事業は、3,500万円のマイナスとなっています。

貸借対照表

次に、財政状態のご説明です。

中期計画に基づく先行的開発投資ということで、2017年3月末から2017年9月末にかけて、土地建物や敷金保証金などの事業所開発に必要な不動産の仕入れによって、固定資産が1,409億円から1,520億円に、111億円増加しておりますが、当初の計画に基づいたものです。

有利子負債

次に、有利子負債の状況です。

弊社は管理すべき重要な財務指標の1つとしまして、純資産に対する有利子負債の割合、これを示すD/Eレシオ(デットエクイティレシオ)を掲げております。当期におきましては、事業所開発の先行投資により、有利子負債自体は増加しておりますが、2017年この9月末現在のD/Eレシオは1.0ということで、健全な水準の範囲内を維持しております。これも、中期計画に基づいた財務基準の範囲内での負債調達です。

なお中期計画に掲げましたオフバランス、不動産流動化については5年間で約300億と公表させていただいておりますが、確定案件が6物件、ドーミーインが4件、リゾートが2件で、この6件で124億円です。このうち当期の決算には、約50億円がすでに反映されています。

さらにこの期末2018年3月に向け、和風タイプの「野乃」の「御宿野乃」の「御宿金沢」、それから洋風リゾートの「ラビスタ霧島」、この2件の103億円についても、流動化にチャレンジするという計画を持っています。

決算パートについては、以上でございます。

Ⅱ.2018年3月期 業績予想

ご覧の写真は今年の10月にJRの奈良駅前に開業した、和風タイプの「御宿野乃 奈良」です。

2018年3月期 業績予想

続きまして、2018年3月期通期の業績予想について説明させていただきます。

2018年3月期の業績予想ですが、第2四半期累計、実績ベースでの利益の上乗せとして、約6億円の計上がございます。また、足元の業績は堅調に推移していますが、下期については、さらにドーミーイン4棟、リゾート2棟の開業を予定しております。その動向の見極めもございますので、当期の段階では据え置きとさせていただきたいと思っております。

それでは、私からの説明は以上でございます。ありがとうございました。