グラスを声で割るには何が必要?

マイケル・アランダ氏:『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』で、グリフィンドールの中の女性が自分の声でワイングラスを破ろうとしていたシーンを覚えていますか? 彼女は成功しませんでしたが、あなたなら科学の力でできるかもしれません。

音はただの振動です。ですからグラスが割れるまで激しく振動させればいいのです。全ての物体には「共振周波数」と呼ばれるものがあります。物体が自然に振動する周波数のことです。その周波数は物性によります。

例えばギターだと、弦を弾くときその「共振周波数」で振動し、それが音色を作り出します。

物体はその「共振周波数」で振動するのは簡単なことですので、その周波数の音波になったとき、その分子が音波に合わせて前後に発振し始めます。

ちょうどブランコを正しい間隔で押していくとどんどん高くなっていくように、その振動もどんどん強くなっていきます。もし物体が十分に激しく振動し続けると、振動がどんどん物体を伸ばそうとするので、物体が結局割れてしまうのです。

ほとんどの物体は壊れる前にかなり激しく振動することができますが、石やコンクリートなどの強固な物体ですら限界はあります。グラスは薄い場合はとくに簡単に割ることができます。もし古かったり安物だったりすればさらに割りやすくなります。なぜなら古いグラスや安いグラスには割れ目の原因になる欠陥がある場合が多いからです。

我々SciShowはみなさんにガラス製品を割ることを勧めたり、ガラスの破片が飛んでくる状況に身を置くように勧めたりはしません。でも、仮にあなたが音でグラスを割ることになったとしたら、まず、そのグラスの「共振周波数」を見つけなければなりません。それは優しくフォークでグラスを叩いたり、音がなるまでグラスの口の周りを濡れた指でこすることでわかります。その音程に合わせなければなりません。

ほとんどの場合それは500ヘルツを少し超えるくらい、1秒間の振動で高いCのような音が出るくらいになるでしょう。もしそのグラスが厚すぎたり、正しい音程があなたの音階の限界を超えていたりすれば、割るのは難しくなるでしょう。

それにあなたの声は非常に大きくなくてはならず、100デシベルを超えなければなりません。それはヘアドレイヤーや掃除機よりも大きい音になるでしょう。『MythBusters』という番組でロックシンガーのジェイミー・ヴェンドラがこの実験に挑戦したとき、彼は105デシベルで556ヘルツの声で歌い、成功するまでに12個の異なるグラスを要しました。

問題となるのは、グラスを自分の肺の力だけで割るためには、グラスを顔の前で持っていなければならないという点です。つまり、もし成功したら、グラスはあなたの目の前で粉々に砕けるのです。それは非常に危険ですから、試したりしないでくださいね。

代わりに、あなたとグラスの間に十分安全な感覚を置き、マイクとアンプを使って、ボリュームを大きくすれば同じ実験ができます。しかし、極端に走らないでください。もしボリュームが十分に大きければ、どんな周波数でもグラスを割ることができてしまうからです。音はただの空気中の圧力波ですから、その圧が高くなればその力だけでグラスを砕くことができてしまうのです。

それはそんなに興味深い現象とは言えませんし、あなたの鼓膜も破裂してしまうでしょう。ですから、それも我々はお勧めしません。正しい音程で少しのブーストを聞かせるだけで、グラスは鼓膜を破壊しなくても割ることができるのです。

一度セットアップできたら、グラスにストローを入れて、マイクに向かって歌い始めてください。そのストローが動き回る音程になるまで声のピッチを調整してください。ストローが動き出したらもう少しです。正しい音程を数秒間出し続ければ、グラスは割れることでしょう!

試してみてください! そして割れたグラスを片付ける時には十分注意してください。