「医療費控除」に含まれるものは?

頼藤太希(以下、頼藤):こんにちは。

高山一恵(以下、高山):こんにちは。

頼藤:ゆるーくマネーについて語るラジオ。

頼藤・高山:マネラジ。

(両者拍手)

頼藤:はい、第14回目ということで……長寿番組になってきましたけど。

(両者笑)

高山:続きましたね、14回ね。

頼藤:続きましたね。それでは、本日のテーマですけれども。年末(2016年12月26日放送)ということと、来年(2017年)確定申告もあるということで、「医療費控除」!

高山:医療費控除。出ました! って感じですね。

頼藤:出ました、医療費控除! ってことで。じゃあ、医療費控除の簡単なご説明をお願いします。

高山:ご説明ですか(笑)。医療費控除は、まず確定申告が必要ですよっていうこと。とくに会社員の方は、確定申告ってやらないと思うんですけれども、ここをまずは押さえておいていただいて。

頼藤:まず、「年末調整ではできない」?

高山:年末調整ではできないというところが、ポイントです。それと、年間の医療費が10万円を超えたら医療費控除ができますよ、っていう制度です。

頼藤:その「(年間の)医療費」っていうのは、どういうものがあるんですか?

高山:医療費は、通常の医療費・治療費もそうなんですけど。

頼藤:病院のね?

高山:病院のね。あとは歯の矯正、通院のための交通費、治療のための医薬品。他にも、医師の処方による漢方薬とか、治療のためのマッサージ代とか。こういったものが、医療費の対象として認められますね。

頼藤:なるほど。じゃあ、病院でかかった医療費とか交通費は、ガソリン代はNGなんだけれども、電車やバスはOKと。タクシー代もやむを得ない場合、あると思うんですよね。

高山:例えば、妊娠しているときとか、(タクシーで)行かないといけない機会がありますよね。

頼藤:そうですね。あとは、骨折していて歩けないとか、車椅子とか。そういった場合は、タクシーもOKと。入院のための部屋代・食事代も、OKということですよね?

高山:OKですね。

頼藤:歯の矯正は、ちょっと注意点がありますよね?

高山:これは、「美容目的じゃないもの」というとこですね。

頼藤:なるほど。だから、えっと……。

高山:(健康に差し支える可能性がある)子どもとか、OKです。

頼藤:子どもはOKですね。歯並びをキレイにするみたいなのは……健康に差し支えがある場合は、医療費控除に認められるけども、ただ「見た目をキレイにしてモテたい」とか。

高山:そうそうそう(笑)。

頼藤:そういう場合はダメと。

高山:ダメということですね。全体的に、美容目的のものはダメということですね。

頼藤:治療のためのマッサージ。これも、治療のためであればOK。鍼とか指圧とか。あとは、温泉療法(「温泉利用型健康増進施設」に認定された施設なら、温泉療養費が医療費控除の対象になる)があるじゃないですか。あれもOKなんですよね?

高山:うんうん。そうですね。

頼藤:でも、(目的が)疲労回復とか健康維持はNGと。ここは難しいところですね。簡単に、医療費控除が認められるものを挙げてもらいましたけれども。原則認められないのが、健康診断とか人間ドックなどの検診費用。

高山:ダメですね。

頼藤:だから、予防とか……健康を維持するためのものは認められない、って考えてもらえればいいと思います。

高山:だから、予防接種もダメなんですよね。

頼藤:予防接種もダメです。サプリメントもダメ。

高山:ダメ。

頼藤:コンタクトレンズもダメ。ただ、(健康を維持するための行為で)認められるケースは、例えば、人間ドックでがんが見つかったとします。その場合は、人間ドック(の検診費用)からがんの治療まで、全部医療費控除に含められるってことになっていますよね。

高山:そうですね。

頼藤:インフルエンザも、予防接種はダメなんだけれども、治療はOKと。

高山:うん。

頼藤:だから、治療に関してはほぼ全部出ると。ただ、健康維持とか疲労回復とか予防については、出ない。このように覚えていただければ、まったく問題ないのかなと思います。タクシーとかを使った場合は、必ず領収書や「通院に使いました」みたいなメモを、残す必要があるという感じですね。

高山:そうですね。

医療費控除は、所得税が高い人から申告

頼藤:やっぱり塵も積もれば山となるという感じで、(領収書などを)集めれば10万円以上になると。でも、10万円以上にならないケースもけっこう多いのかな。その場合は……ご安心ください。1人分じゃなくていいんです。家族の分も使えるっていうことがね。

高山:これがポイントですよね、医療費控除は。奥さま、旦那さま、子ども。あとは、例えば親と同居していたら、その分の医療費も合算できますし。それか、同居していなくても……生活が同一生計(の場合はOK)?

頼藤:生計を同一にしていたら、OKってことですね。

高山:仕送り関係にあるとか、そういうことですよね。

頼藤:扶養しているとか、そういった感じですね。家族全員分を合わせれば、(年間の医療費は)10万円以上になるのかなと。

高山:意外にね。

頼藤:そう、簡単に10万円以上になります。けっこう医療費控除は、使える控除の1つになります。医療費控除を使えば、払う所得税・住民税が減るので、手取りが増えるというかたちです。

高山:だから申告するときは、所得が高い人・税率が高い人から申告してもらうのが、いいですよね。

頼藤:そうですね。例えば、旦那さんが年収600万円・奥さんが年収200万円とかの場合は、やっぱり年収600万円の方(旦那さん)のほうが、所得税が高いので。

高山:税率が高いから、戻ってくる税金が高いですよね。

頼藤:高いのでね。1人の人(旦那さん)が申告したら、奥さんからも(申告する)というかたちは、無理なんですよね? どちらかから。

高山:はい、どちらかから。そこは、注意ポイントですね。

頼藤:そうですね。あと、領収書は必ず1ヶ所に集めておく習慣が必要なのかな。

高山:そうですね。お客さんを見ているとね、「(医療費控除を)やろうかなって思っていたら、領収書がない!」って言って、今慌てて探している人が、けっこういらっしゃいますので。ボックスなどを作って、領収書を入れておくといいかもしれないですね。

頼藤:そうですね。じゃあ、「医療費控除を使うと、どれぐらいのお金が戻ってくるのかな?」というのは、気になるところだと思うんですけれども。例えば、医療費の総額が、1年間で20万円になってしまったとします。10万円を超える部分を医療費控除できるから、控除できるのは……10万円ですよね。

高山:はい。

頼藤:例えば、夫の所得税率が20パーセントだった場合、20パーセント×10万円で、いくらですか?

高山:ん? 2万円。

頼藤:2万円。住民税は一律10パーセントなので。

高山:1万円。

頼藤:そう。合わせて?

高山:3万円。

頼藤:3万円が返ってくるということですね。

高山:正確には、2万円が戻ってきて……。

頼藤:2万円が、所得税として還付されて……。

高山:1万円が安くなるんだよね?

頼藤:そう、翌年、住民税が安くなるというかたちになります。これが医療費控除ですよね。

「セルフメディケーション税制」って?

頼藤:年末なので医療費控除のご説明になったんですけれども、さらに2017年の1月から、「セルフメディケーション(自主服薬)税制」というものが始まる。

高山:はい。

頼藤:別名「スイッチOTC薬の所得控除(医療費控除の特例)」という名前で……ちょっと名前が覚えづらいんですけれども。

高山:覚えづらいですよね。

頼藤:これが始まるんですよね。どういった制度なんでしょうか?

高山:「スイッチOTC……」って、名前は難しいんですけれども。「医療用医薬品から転換された市販薬の購入代金が1万2,000円を超えると、控除が適用になる制度」ってことなんですけど。例えば「ガスター10」「ロキソニン」とか。

高山:「ロキソニン」とか、なんだったっけ……「エスタックイブ」?

頼藤:「エスタックイブ」とかですね。

高山:そういったものですよね。

頼藤:はい。「もともと医療用だったけれど、市販薬に転換されたもの」が、今や薬局・ドラッグストアで購入できるようになっているので。それが1万2,000円を超えた部分から、所得控除できるようになると。ただ上限が決まっていて、最高8万8,000円まで、となっています。

「スイッチOTCの『OTC』って何?」って言うと、「Over The Counter」。日本語に訳すと「店頭」っていう意味なんですけど。その店頭で買える医薬品が、控除できますよっていうかたちになります。

高山:うちの母親とかもね、ぜんぜん病院に行かないんですよ。

頼藤:最近、病気になっても病院に通わないで、市販の薬で治す人が多いと思うんですね。

高山:それでけっこう、頑張って乗り切っているので、そういう人にはすごくいいんじゃないかと。

頼藤:これってちょっと条件があって、利用期間が2017年の1月1日から2021年の12月31日まで、というかたちですね。

高山:期間限定措置ですか、これ?

頼藤:期間限定措置ですね。もちろん、(期間を)拡大する可能性もあるかもしれませんけども、とりあえず今(2016年12月29日時点)は、この期間になります。

これを利用できる人は、特定健康診査・予防接種・定期健康診断・健康診査・ガン検診など、ふだんから検診や予防接種に行っているよという方。そして、病気の予防や健康増進に取り組んでいるよという方は、対象になる。

だから、「毎年、健康検診に行っていないな」という方は、受けられない可能性が高いということですね。

高山:なるほど。

頼藤:スイッチOTC薬に設定されているのは、(2016年12月29日時点で)現在1,000種類以上ありますので。

高山:けっこう、ありますね。

頼藤:だいたい店頭で買えるような市販薬は、スイッチOTC薬に含められるのかなというところですね。詳しくは、厚生労働省がホームページ上に載せているので、「これはOTC薬なのかな?」と気になった方は、調べていただければと思います。

高山:1万2,000円なら、超えそうですよね。風邪を引くとか、あと花粉症の季節とかだとするとね。

頼藤:そうですね。「じゃあ、医療費控除とスイッチOTC薬(の所得控除)は、ダブルで利用できるの?」ってなると思うんですけど。そこの注意点をお願いします。

高山:それはね、残念ながら、どちらかしか適用することができないんですね。なので、確定申告をするにあたって、1年分のスイッチOTC薬と医療費の支出をそれぞれ計算して、どちらで申告するのがお得なのかを計算してみるといいと思います。

頼藤:なるほど。じゃあ、数値の例を出しますと……スイッチOTCの医薬品を除いた1年間の医療費が、12万円かかった場合。そして、スイッチOTCの医薬品が1万2,000円の場合ですね。2つを合わせた1年間の総医療費が、13万2,000円になります。

これは、医療費控除でやろうかなっていった場合は、13万2,000円引く10万円で、3万2,000円。この3万2,000円が、通常の医療費控除でできるってことですよね。

じゃあ、これをセルフメディケーション税制でやる場合。セルフメディケーション税制は、スイッチOTC薬のかかった総額引く1万2,000円なので、この例では……1万2,000円引く1万2,000円で、0円と。所得控除ができないということです。

だからこの場合は、通常の医療費控除で申請したほうがお得ですよ、ということになります。

高山:そうですね。

頼藤:仮に、病院に行かないで(市販薬を使用して)、スイッチOTC薬が5万円になる場合。医療費が10万円を超えていないから、医療費控除を申請しても意味がないんですよね。でも、セルフメディケーション税制は、5万円から1万2,000万円を引くから、3万8,000円の所得控除ができるようになります。

ということなので、こういったかたちで、「どちらで申請したらお金が戻ってくるかな?」というのを、計算してから申請するといいですよということですね。

高山:そうですね。

頼藤:これが、2017年1月1日から始まるということです。(スイッチOTC薬の費用が)1万2,000円を超えることは、家族全員分を足せば、多分あると思いますので。領収書はどこか1ヶ所に、「医療費控除ができる領収書ボックス」みたいなものを作って、そこに集めていただければなと思います。

高山:はい。

頼藤:どうですか。ほかに、補足するところはありますか?

高山:そうですね。医療費控除のところで、やっぱり(なにが医療費に)認められるか認められないかという……そこの判断がつかない場合も、あるとは思うんですけど。ここは、難しいところですね。

頼藤:そうですね。

高山:意外に(対象外のものを医療費に)入れ込んじゃっている人は、いるし。こういうことは言っちゃいけないけど……。

頼藤:(笑)。そうですね。あとはあれですかね、社会保険から出る給付金があるじゃないですか。

高山:あー、はいはい。社会保険から出る給付金や、生命保険から出る給付金ですよね。

頼藤:生命保険は、ちょっと置いといて……まず、社会保険のやつでは?

高山:あ、出産手当金とか、育児休業給付金。あと傷病手当金は、医療費から差し引く必要はない、ということですか?

頼藤:そうです。「そうですか?」って、僕に聞きましたよ、今(笑)。

高山:こういうことですね(笑)。

頼藤:そうです。なので、通常医療費控除の計算式を正確にいうと、「かかった医療費から、保険金などを除いたものから、さらに10万円引く」。もう一度言いますね。総額の医療費があって、民間の給付金が出た場合は、その分を引く。

高山:普通の生命保険から(の給付金が出た場合)。

頼藤:生命保険の給付金が引かれて、そこから(医療費控除分の)マイナス10万円。そして残った金額を、所得控除できるということなんですよね。

この給付金が、民間の保険会社から出ている手術給付金とか。

高山:医療保険とかね。

頼藤:はい。入院給付金とか、そういうものです。この「給付金」に関して、先ほど言ったのは、「社会保険からの給付金のうち、出産手当金・育児休業給付金・傷病手当金などは減らさなくていいですよ」というところになります。大丈夫ですかね?

高山:はい。

頼藤:高山さんは、補足事項とかありますか?

高山:大丈夫です。

頼藤:大丈夫ですか? はい。というわけで、ぜひ医療費控除の活用と、あと来年(2017年)から始まるセルフメディケーション税制、別名スイッチOTC薬の所得控除。これらをぜひ活用して、税金を減らして、プチリッチになっていただければと思います。

高山:(笑)。

頼藤:はい。というわけで、今日もお時間がきてしまいましたので、こんなところで終わりにしたいと思います。頼藤太希と。

高山:高山一恵が。

頼藤・高山:お送りしました。またねー、See you!