死を間近に感じると、人はどうなるか

原崎大作氏:はい、こんばんはーっ! 僕が薬剤師って知ってる人? 「知らん!」って言ってるのがいた! まぁ、ええわ。

まだ(2014年は)半年ちょっとしか経っていないけど、これ、鹿児島の交通事故の件数。そのうち、50人くらいが死んでます。交通事故に遭ったことがある人? 何人いる? 1、2、3、4、5……結構いるね。実は僕、(交通事故に)3回遭っているんですよ。

最初は車に撥ねられて側溝に落ちて。2回目は(事故での負傷が)重くて、片足をなくしまして。3回目はそこの照国神社の前で、護国神社の巫女さんに突っ込まれました。

(会場笑)

しかも、クリスマスイブの夜でした。

(会場笑)

神々の戦いに巻き込まれるとね、いろいろ見えてくるんですよ。

みんな、運転免許証持ってますよね? 裏見たことあります? 臓器提供意思表示が書いてあるって知ってる人? それ、丸付けてる人います? 結構、何人かポツポツいるね。

「ご自身の意思についてご家族や友人と話し合って意思表示をしておきましょう」って厚生(労働)省のページに書いてあるんですよ。わっせ悩んで、「僕の意思は何だろう? 何ができるのかな」と思って運転免許証をずーっと見てたんですけど。

「生きたい!」って思ったんですよ! まだ7歳と4歳の子を残して「死にたくない」って。とりあえず13年ぐらいはまだ生きていたいかなと思ったんですよね。まだもうちょっと長く生きたいです。そういうのを考えてると、なんかだんだんすごい違和感を覚えるんですよ。免許証の裏の臓器提供(の表示)に。

死ぬこと前提の意思表示をしないといけない。おかしいよね。がんの告知とか、不治の病とか、そういうのを受けた時に死ぬこと前提の意思決定をしなきゃいけないんですよ。

夜中じゅう、なにすると思います? ……ググるんですよ。いや、結構笑うけど、がんとかなったら夜中じゅうずっと泣きながらググります。答えを見つけるんじゃないんですよ、生きる方法をずっと探すんですよ。その診断がウソだと思いたいんですよ。

とにかく生き残りたい。意思表示とかできない状況でも助けてもらいたい。どうして欲しいっていうのを伝えたい。そのためには情報をまとめておきたいなって。

"凡ミス"による死を避けるには

僕は薬局でそういうことを患者さんにお伝えするんですけど。はい、皆さん、お薬手帳持ってる人? 持ってるなぁ、結構! 今持ってる人? おっ、今持ってるね! 偉いね! 

このお薬手帳、結構みんな持ちたくないって言うんですよ。でもね、持ちたくない裏で、相互作用とか凡ミスで死にたくない人? 死ぬんだったら、できれば結構テクニカルな、すっげえ難しいので死にたいと思うんですよ。

(会場笑)

凡ミスは止めて! って言いたいんですよね。

とりあえず凡ミスしてもらわないためには「飲めない薬」を教えてください。副作用が起きたことがあるやつとか、アレルギーがあるから止めてとか。あとね、ちょっとマイナー系なんだけど、宗教上の理由でコレ飲めませんとかね。直感的に向精神薬系は止めてとか。そういうのを書いておくといいと思います。

あと、飲めたお薬。一生のうちで今までにこういうの飲めましたとか、PL顆粒飲めましたとか、クラビット飲めましたとか、そういうのをずっとつらつら書いておくと、なんかの病気にかかった時にこの薬なら使えるんだ、って道具箱がバッと広げられますから。すごく役立ちます。

アルコールとかタバコ。これも薬の作用を1.5倍とか、2倍とか、3倍とか(上げたり)、逆にガーッと落とすのがあるんで、結構それが好きかどうかっちゅうのを出してると、分かりやすかったりします。

生き残るためにすべきこと

とにかく、「生きたい! だからこれは使わないで」「生きたい! これ使ってくれ」「生きたい! 今、こんな状態だ!」。とりあえずこの3つを医療者に伝えて下さい。薬局でもいいし、病院でもいいです。看護婦さんでもいいです、誰でもいいから言って下さい。

スマホとかでやればいいじゃんとか結構ムーブメント的には出てるけど、10年前からiPhone使ってた人? ……いないよね。9月のiPhone 6の発売が待ち遠しい人? いるよね! みんな、コロッコロ変えるんですよ。

流行は速いです。人の価値観もどんどん変わります。10年前同じ収入だった、20年前同じ収入だったっていう人もいないと思います。やっぱ収入によっても価値観ってどんどん変わるので。

やっぱり、どんどん変わる価値観がグッと一瞬「3.11」では圧縮されたんですよね。そこにあるのは「生きたい」「助けたい」、この2つの気持ちだったと思うんですよ。

僕の薬剤師仲間も結構頑張って、体育館に集められた患者さんとかから情報を集めるんです。実際の患者さんのお薬手帳。(スクリーンを指さして)4月3日に血圧のお薬5日分もらっているんですよ。この薬が分かるのがすごいんですよ。そのおばあちゃんと小一時間しゃべって、どんなお薬だった? どんなマークだった? って、そういうのを聞いて情報収集をやります。

お薬の情報を医療者に伝えると言ったけど、今隣に座っている人がパッと倒れたとします。そういう場合、やっぱり自分自身が情報を出していたら助けてもらえるんですよ。まずは、何でもいいです。「生きるために」自分の身に付けているものに何かメモを残すようにしてください。

できればお薬手帳を持って欲しいとは思うけど、やっぱりツールとして不十分なところもあるし。今からどんどんいいものができていくと思います。ただ、メモを取ってそれをうまく活用していくといいものができると思います。ありがとうございます。