年間1,000冊以上の読書を楽しむ“本のソムリエ”が登場

頼藤太希氏(以下、頼藤):こんにちは。

高山一恵氏(以下、高山):こんにちは。

頼藤:ゆる〜くマネーについて語るラジオ、マネラジ! 今日は46回目ということで、スペシャルバージョンです(笑)。

高山:楽しみですね。

頼藤:いつもお世話になっている本のソムリエ・団長さんに登場していただく前に、簡単に紹介させていただくと、年間1,000冊以上の読書を楽しむ本のソムリエです。また、ロックバンド「一里塚華劇団」のボーカル&ギターとして、東京とヨーロッパを拠点に活躍しています。

高山:すばらしい。

頼藤:NHKをはじめとするテレビやJ-WAVEなどのラジオ番組に多数出演されていて、渋谷の大盛堂書店でやっているトークイベントの司会をされています。では団長さんどうぞ。

団長氏(以下、団長):ありがとうございます。ごきげんよう。

頼藤:では団長さん、簡単に自己紹介をお願いします。

団長:自己紹介ですか? 今おっしゃっていただいたとおりでよろしいかと思います。

高山:PRポイントとかないんですか?

団長:自分で「これがPR(ポイント)」ということはとくにないです。それは視聴者が決めていただければよろしいかと思います。

高山:なるほど、ありがとうございます(笑)。

日本・海外で展開する絵本の読み聞かせ活動

頼藤:団長さんは、大人のための絵本教室をやっていたり、幼稚園・保育園で(絵本の)読み聞かせをされているということで、本当にいろんなところで活躍されています。

本も年間1,000冊以上という、けっこうすごい量を読んでいますし、全世界に旅立っています。今はどんな生活なんですか? 日本にどれぐらいいて、世界(海外)にどれぐらいいるのかという。

団長:割合的には海外に3ヶ月ぐらいいて、残りは日本にいます。

頼藤:外国語もご堪能ということですよね。

団長:そうですね。自分の行く範囲というか、活動エリアに関しては問題ないです。

頼藤:年間1,000冊以上というと、ジャンルもいろいろなものなんですか?

団長:そうですね。自分の好みというか、守備範囲だけで読んでるだけではないので、やっぱり書評を書いたり、お二人に出ていただいている大盛堂書店の「シブ読」というイベントとかあると、自分の望む望まないに関わらず読まねばならないところもありますので、結果的にかなり広いかたちになっていると思います。

頼藤:そうですよね。

団長:除外されてるものがほとんどないと言っても言い過ぎではないぐらい。

頼藤:すごいですね。小さい頃から本を読むのが好きだったんですか?

団長:小さい頃から好きです。だから、ある日突然変異で、まったく読まなかった人が急に何かをきっかけに読むようになったとかではありません。

高山:なるほど(笑)。

団長:そっちだったら物語としてはおもしろいと思うんですけど、残念ながら純粋培養です(笑)。

誰もが真似したくなる「ゲーテの名言」

頼藤:団長さんは(読書)経験が長いから、本を読むコツもたくさん書かれていますよね。

団長:『年間1000冊以上読書を楽しむ本のソムリエ団長の読書教室』ですね。

頼藤:大盛堂書店から出版されているやつですよね。僕たちも拝見しまして、そこでゲーテの言葉とかも……。

高山:かなりいろんなところで(ゲーテの名言を)パクっています(笑)。

団長:そうなんですか?

高山:はい、(講演などで)「最後にメッセージを」とか言われるときに。

団長:そうですか? それはうれしいです。ありがとうございます。

頼藤:「持っているだけでは十分ではない、活用せよ。望んでいるだけではすべてではない、実行せよ」でしたよね。

団長:すばらしい。

頼藤:ありがとうございます。

高山:覚えてるんですね、すばらしい。それを(色紙に)書きました。

団長:そうなんですか。

高山:「高山さん、読者にひと言」とか言われて、団長さんの本を後ろの方で見ながら……バレちゃった(笑)。

団長:ゲーテの言葉だから。僕の言葉ではないから問題ないです。

高山:そうなんですね。

ミュージシャンとしてのもう1つの顔

頼藤:ロックバンドは今、休止中と聞いているんですけど。

団長:そうですね、今ちょっと休止して、充電期間ですかね。

頼藤:団長さんと言えば、今日もおしゃれな格好で。

高山:リスナーの方たちに見えないのが残念ですよね。後で写真を。

頼藤:いつもサングラスもバシッと決まっていて。

高山:帽子がいい感じで。

団長:ありがとうございます(笑)。

高山:私は1回ライブに行かせていただいたことがあるんです。

頼藤:そうなんですか?

高山:はい。すごく良い感じの『遠くの空はうわのそら』というタイトルの歌がすごく好きなんです。

頼藤:聴きたいですね、本当に聴きたいです。もうやらないんですか? 再開するかもしれない?

団長:もちろんそのつもりの充電期間なので。今のところ引退の予定はないです。

高山:よかったです。

トルストイ作『ふたりの兄弟』の読後感

頼藤:先ほども少しご紹介したんですけど、日本だけではなく海外の小学校や幼稚園・保育園でも(絵本の)読み聞かせをされているということです。その中で、この度『ふたりの兄弟』という新刊が(出たそうです)。こちらはトルストイさんが作者なんですけれども、その翻訳を本のソムリエ・団長がして、和全さんという方が絵を描きました。発売してすぐ増刷ということで、すごいですよね。

団長:ありがとうございます。

高山:これは大盛堂書店さんに行けば売っているんですよね。

団長:そうですね。出版社が大盛堂書店で、お二人にも出ていただいている「シブ読」の10周年記念作品ということです。

高山:そうなんですか。

頼藤:渋谷大盛堂書店は、渋谷駅前のスクランブル交差点を渡ってすぐの目立つ位置にありますので、ぜひ行っていただきたいと思います。

そもそもなぜ『ふたりの兄弟』をセレクトしたのかを教えていただいてもよろしいでしょうか?

団長:そうですね……表向きと本音とどっちがいいですかね?

頼藤:両方聞きたいです(笑)。まずは表向きから。

団長:表向きは、物語としてとても興味深いというのと、これはロシアの文豪トルストイの知られざる名著、隠れた傑作で、日本で今まで絵本化もされていないというところでの格式の高さと、サッカーのワールドカップが来年ロシアでやりますよね。

頼藤:ああ、なるほど。

団長:そこで、日本とロシアの架け橋にというのが表向き(笑)。

頼藤:なるほど。でも、すごくきれいな表向きですよね。でも、なぜ日本で紹介されていなかったんですかね?

団長:トルストイの民話がそもそもたくさんあるので、岩波文庫などにいくつか入っていたりはするんですけれども、出版社側としては内容的に出しやすいものと出しにくいものがあるんですよ。

高山:なるほど。

団長:それで今回絵本にしているんですけど、終わりのほうに解説というか、僕の言葉が入っているんです。これがなかったら恐らく「ん? ここで終わり?」とか、「これどういうこと?」みたいな、ひと言でいうとスッキリしないというか、モヤモヤ感が残るお話なんですよ。

高山:『ふたりの兄弟』ですか?

団長:そうそう。よく「読んだ人の9割が涙する」とか「感動する」って(本の)帯に書いてあるじゃないですか。この本をひと言でいうなら「(読んだ人の)9割がモヤモヤする本」。

頼藤:そうなんですか?

団長:読んで涙することはまずないと思うし、感動で最高に力がみなぎるということも恐らくない。むしろ物語が終わってから本編が始まるといっても言いすぎじゃないぐらい。

頼藤:ええっ!?

団長:ちょっと哲学的な要素があるというか、深いお話なんですよ。

頼藤:なるほど。

団長:だから桃太郎みたいに、最後が明確なハッピーエンドという、誰が読んでも同じような感想になる本ではないんです。

頼藤:一人ひとりによって解釈がさまざまで、それこそがこの本の醍醐味みたいな。

団長:そうですね。すごく僕の好みなんですよ。

頼藤:なるほど。

高山:今、5歳の息子がいるんですけど、息子に読んだらどんな感じになるんですか?

団長:たぶん、小さい子と大人の反応はまったく違って、小さい子は小さい子なりの視点で楽しめると思いますよ。