システム作りに目を向ける

前田有佳利氏(以下、前田):それではそろそろ質疑応答の時間とさせていただきたいと思います。お話が盛り上がっているところ申し訳ないですけれども、そろそろ収束していただけるとありがたいです。

渡辺直樹氏(以下、渡辺):再開しまーす!

前田:ありがとうございます。では早速質問のある方、誰かピンポイントでもいいですし、3名それぞれ全員に答えてほしいという広い質問でも構いません。

(会場挙手)

前田:はい、早っ!(笑)

質問者1:僕は今、19歳で仕事では働き方改革をしていて、今までの働き方だと、会社があって会社がいろいろなにかを始めてみんながそこにいる人たちが動くっていうものだと思います。

僕のところだとプロジェクトベースでなにか経験を持った、これをしたい、それに対して人を集めて終わったら解散みたいな。

そういったプラットフォームを今作ろうとしていて、フリーランスの登壇されてるみなさんはどういった将来設計を考えていますか? 僕は今の時代の人たち、これから来るかもしれない時代もずっと良い意味で力動感というか、なにかあっても変動しないポジションなんじゃないかなと思って、そういう社会的な働き方とかそういった中で自分の立ち位置を見た時にどういう風に捉えていますか。教えてください。

渡辺:将来設計……。イケハヤさん将来設計ってあります?

イケダハヤト氏(以下、イケダ):ない。

渡辺:ない。

(会場笑)

渡辺:けっこうあれですよね。今取り組んでいるものをいかに面白くやるか、みたいな。

イケダ:今の話、どうやってエコシステムを作ったりとか、僕もよく考えていて、別に1人が飯を食うのは難しくないんです。今の現代社会においては。

たぶんここに来ているような人はすごい優秀なので、たぶん今から別にフリーになって、ていうかもうたくさんフリーになっている人もいるでしょうし、別に今の資本主義市場、ぜんぜん1人は家族養うぐらい戦うのは、たぶん誰でもできますよ。

そんなに難しくないので。でも、その全体のシステムをどう作っていくか、みたいなのは、やっぱりまだ議論の余地があるし、そこはなにかおもしろいことをやりたいなと思って僕も田舎でいろいろ考えていると。

「日本円」にしばられない未来の生活

イケダ:今、僕が個人的にすごくやりたいのは、報酬をビットコインで払うようなネットワークを作りたいんですよ。仮想通貨で暗号通貨、別にビットコインにこだわるつもりはないんですけれども、日本円ではない形で報酬をやり取りして、っていうような。

わかりますか? たぶん、非常におもしろいことができると僕は思っています。今後、暗号通貨の市場自体がどんどんまだまだ成長していくので、今、新たに払った1ビットコインが1年後くらいにその2倍くらいの価値になっていてもおかしくないし、実際過去になっている。

今日もイーサリアムとかバカみたいに上げてますから。だったり、日本円というのは非常に変動が小さいけれども、今、たまたま僕ら、暗号通貨の時代が来そうなので、例えばそういうもので払う、っていうと今までの仕事のあり方とか関係性がだいぶ変わりますよね。

「なんだろう、それは」みたいな。新しいコミュニケーションが発生するでしょうし税金も。どうかまったくわかりませんけど。新しいルールとか新しい再分配のあり方、新しい仕事の融通の仕方が、ちょっとブロックチェーンだったり暗号通貨っていうものを混ぜるだけでなにかまったく違うものができるような気がしています。

今、まだ19。若いのでこれからまた、たぶん新しい技術がたくさん出てきます。新しいプラットフォーム、新しいまったく僕らが知らない技術、もしくは新しいデバイスだったり。そういうもので働き方って一瞬にして変わるので、そっちのほうをよく見ておいたほうがいいと思います。

日本円じゃないお金が今、出てきているわけです。現に。そういうレベルでどんどん自分たちにできることが増えてくるので、もっともっと技術について学ばないとダメだっていうのは僕は最近思っています。そういう意味では。

渡辺:昨日の「地方創生×お金」の方が良かったんじゃないか、みたいなお話。

(会場笑)

前田:両方入っていただきたかったですね。

渡辺:両方。すごいですね。でもまさにこの新しいことを学んでいく力が、イケハヤさんすごいな、といつも思っていて。先輩、尊敬します。本当に(笑)。

前田:その構図なんですね(笑)。

とりあえず飛びついていく

渡辺:僕はそうですね。考え方というか、今のあり方というか、世の中に対する視線みたいなところをすごい大事にするようにしていて、逆に将来設計は、僕まったくないんです。持たないようにしているっていう方があれですかね。

例えば、会社勤めている時に、別に僕、会社が面白くないとかそういうのはなかったんです。でも1個ちょっとしんどいなと思ったのが、50歳くらい、60歳くらいまでの先輩方が同じ空間にいて、マネージャーがいて、課長がいて、部長がいて、統括部長がいて、本部長がいて、キャリアが全部見えちゃって。

それ見えちゃうとこんなに面白く感じないんだってことに気づいた自分がいて、逆に僕は高校生の時は体育の先生になりたかったし、でも肩ケガして諦めて、大学生の時は、国際交流するNPOをやっていたりして、その後ITの会社に勤めて、ぜんぜんキャリアに一貫性がないんです。

でも、おもしろいな、と思ったことについて飛びついたりとか、人に誘われてそっちに行ってみたっていうのを繰り返してると、今すごく楽しく思えている自分がいるというか、その感覚を大事にしたいなと思っていて、あとはひたすら自分の価値観を養っていくか、ブラッシュアップしていくか、みたいなところがあって、新しいところに飛び込んでいかないと新しい気づきってないですし。

今、僕、日本の仕事が多いので海外に行く機会はなかなかないですけど、去年、香港にたまたま国際会議みたいなところに行かせてもらうことがあって、35ヶ国から人が集まってて、そういうところにとりあえず行ってみたら、いろんな出会いがあって、とりあえず、まがいなりにもコミュニティデザインってつぶやいてたら興味を持ってもらえるので話しかけてもらえるとか、友達ができるとか、そういうスタンス。

飛び込んでいくとか。そういうのを大事にしてやっていったら、まあ10年後も20年後も楽しくやっているんじゃないかぐらいの気楽さでやってます。そんな感じですけれども、僕は。

前田:ありがとうございます。すごいメモってくださって。

渡辺:答えになっているのかな。

面白い人をくどく

前田:私も将来設計なんですけど、イタリアの男性がきれいな女性を見つけたら思わず口説いてしまうように、「この人おもしろいな」って思ったら和歌山に来てくださいっていうのを、けっこう言うようにしているんです。

そうすると、ひょいと遊びに来てくれる人がだんだん増えて、すごい和歌山めぐりのアテンドをすることも多くなって。

そういう暮らしをしているんですけど、そうこうしているうちに面白い人、私がたまたまフリーランスで関わっているメディアがそういうところが多いっていうのもあるんですけど、フリーランスの人たちが平日に来てくれることがけっこう多くて。

そうすると、「Wi-Fi飛んでる場所ない?」とか「どこ泊まったらいい?」みたいな質問を受けて、「あの人のお店がおすすめだよ!」とかと紹介はするものの、ふと「なんで私、人の場所を紹介ばかりして『うちにおいでよ!』って言える受け皿となる自分の場所を持ってないんだろう」ってだんだん疑問に思ってきて。友人がきてそのまま和歌山住んじゃおうかなってなるくらいの場所を作れたらいいなっていうのが将来的に思っていることです。

質問者1:ありがとうございます。

結果的にフリーランスだった

前田:他に、もうひと方くらいいけますか。もう1人。ご質問ある方いらっしゃいますか?

(会場挙手)

質問者2:お話ありがとうございます。東京から来ました。フリーランスになってやっているっていうことで、フリーランスになろうって思った時に、自分が社会に対して与えていく影響、社会をこうしたいっていう思いを考えた結果、フリーランスがいいと考えたのか。

もしくは自分がこうありたい、自分がこうあるのが幸せだからフリーランスになったのか、どっちだったのかなっていうのを、もしそこで悩まれたりしていたらどう自分で結論を出したのかなっていうのを話を伺いたいです。お願いします。

前田:私は、結果的派なので、こうなりたいっていうよりも、なっていってこれをなにかに当てはめるんだったらフリーランス、っていう感じだったんです。

なので、ゲストハウス紹介サイトは、マネタイズが単独ではあまりなってないんですけれども、そこから派生する仕事がすごく多くて。なので自分の看板をたまたまずっと作り上げていって、その看板が目立ってくれたおかげでいろいろ仕事が成り立ってきて、それを受けるとしたらそれはフリーランスっていう括りが適していた。ただ法律に当てはめたっていうような状態です。

渡辺:なるほど(笑)。

僕は前、会社に勤めながら会社の外でもいろいろ活動していて、その1つに、2013年ごろってハッカソンっていうのが流行ってたんです。今もいろんなところでやっていると思うんですけれど、当時、流行り始めて。

ただ、例えばエンジニアとかデザイナーが集まって一緒にワークショップをして商品開発をする。でも、そのワークショップのファシリテーションできる人材が意外といないみたいで、僕、割とボランティア活動でそういうことやっていたんですよ。

ある時、僕が参加したハッカソンの担当したテーブルの人たちが、初対面で集まったにも関わらずけっこういいアイデアが思いついて起業されたんです。起業されて、今もう『Moff』っていう会社なんですけど「Moff Band」っていうのを売り出してまして、スマホと連携したおもちゃなんです。

そのチームの初対面の写真、未だに残ってて、その人たちとけっこう、密にやり取りもしてたから。こういう変化がもう起こってるんだ、っていうのに、その時衝撃受けましたね。

一方で僕の同年代って地方に行って活動している人たちもいて、地方でそういう動きが起きていくと面白いかもな、って思った時に、そういう仕事なかったんです。

だから、とりあえず会社を辞めてフリーランスでやってみようかなって思って、いろいろいただく仕事をやりながら、気が付いたらコミュニティデザインというところで山崎亮さんの取り組みを知りました。

そこもフリーランスの仕組みのままやっているので、「あ、そのままやります」っていう形で、結果的に他に手段がなかったというところもありますかね(笑)。

やりたいことがあって、その手段としてフリーランスが一番良かったというところで選んだりしてます。

わくわくすることが大事

イケダ:僕個人に関して言ったらもう満員電車が嫌だっただけなので。

(会場笑)

そこはとくにないんですけど。でも今の彼の話はすごい象徴的で、やっぱり一番うまくサステナブルに続く意思決定って、たぶん嫌なことから逃れること。単純にプリミティブに嫌じゃないですか、満員電車とか。だったらやめた方がいい、じゃあやめましょうと。

もう1つはワクワクすること。これに関わったらおもしろそうだなってことは非常にオープンにどんどん手を出していく。それが重要ですよね、ワクワクすること。あとは人。この人はおもしろそうだと。人をちゃんと選んで人についていく。

(渡辺さんが)山崎さんについていったっていうのがまさにそうで、僕もこの人おもしろそうだなと思ってその人に、家入さんとかそうですね。家入さんはおもしろいから、この人はちょっとついていきたいなと思って、ついていったり。

嫌なことから逃れつつワクワクすることにもひたすら手を出しておもしろそうな人にちゃんとついていくと、働き方とかそういうことはどうでもよくて、いい仕事ができるんじゃないかなっていうのは今の話の流れですごく思えて整理されました。

前田:ありがとうございました。では、お時間がもう間もなくとなりますのでこれで終わりたいと思います。フリーランスについていろいろお聞きいただいて、それぞれ3人フリーランスっていう言葉で括ってもぜんぜん違うことをしているので、いろいろまた気になる点があったら会場に残っている間に、もしかしたらイケハヤさんいらっしゃらなくなるかもしれないので(笑)。いる間に捕まえてぜひお聞きください。

最後、ひたすらやるっていう言葉がイケハヤさんから出たと思うんですけれども、本当にそれに尽きるなと思います。

フリーランスって聞くと「やりたいことをやっている」っていう、ふわっとした言葉に聞こえがちなところもあるかもしれないんですけれど。やりたくないことを削る、イコールやりたいことをふわっとやるっていう意味ではまったくなくて「これだって思うものに集中して、本当にひたすら貫く」っていうのが、そのやり方だって思っています。

それぞれ異なる3つの軸からお話をさせていただいた「地方創生×フリーランス」今回はこれで終わらせていただきたいと思います。誠にありがとうございました。

(会場拍手)