マクドナルドでマーケティングを学ぶ

吉田将輝氏(以下、吉田):こんにちは。株式会社ギブリーでマーケティングを統括している吉田と申します。本日はよろしくお願いします。

(会場拍手)

今まで紹介された会社さんの中では一番若い会社なのと、SATORIを入れてから3~4ヶ月ぐらいしか経ってないので、導入期かなというところはあるのですが、そのあたりでどうPDCAを回したかとか、いろいろお伝えできればと思います。よろしくお願いします。

お話しする流れとしては、最初に自己紹介や会社の概要を説明させていただき、その後マーケティング施策の全体観から、SATORIの具体的な活用方法をお伝えさせていただければと思います。

まずは自己紹介なのですが、改めまして、株式会社ギブリーの吉田と申します。(スライドを指して)細かくいろいろ書いてあるのですが、かいつまんでお話ししますと、まず学生時代に、アルバイトでマクドナルドに勤めていました。

高1から大学4年まで7年間やっていたので、アルバイトながらも店舗責任者として1店舗運営していた経歴があります(笑)。

その時に店舗全体の戦略だったり、店頭でのマーケティング施策、イベント企画、ポップの配置をどうするかということまでを含めてやっていたので、学生時代からマーケティングに興味がありました。

新卒で入った会社は、比較的老舗のマーケティングリサーチ会社で、ドゥ・ハウスという定性調査に強みがある会社です。

キャリアはリサーチャーとしてスタートしていて、リサーチ手法として定量や定性も全部経験しました。食品や日用雑貨などの一般消費財を対象に調査をしていまして、その時とくにやっていたのが商品開発や商品コンセプトの設計など、いわゆるマーケティング活動の中の上流領域です。

その後、24歳の時に独立して、1度起業を経験しました。アレンジベースという会社なのですが、この会社で2年ぐらい、リサーチをそのままやっていて、現在は別の方に代表権を譲って、そのあとに去年の6月にギブリーにジョインしました。現在ギブリーでは、マーケティング全体を統括する役割をやらせていただいています。

エンジニア評価がメイン事業

吉田:弊社は創業9年目の会社です。現在は50人程度在籍しています。事業も複数あるのですが、主な事業としては、エンジニア特化型のHRテック領域の事業を展開しています。

エンジニアHR領域において、採用、育成、評価でサービスを持っています。採用においては、エンジニアを中心とした人材紹介のサービスを展開しているのと、育成では、オンラインでのプログラミング学習サービスをプロダクトとして持っています。

評価については、BtoB向けにプログラミングのスキルチェックツールである「codecheck」というサービスを運営していて、SATORIさんを導入しているのはこのBtoBのcodecheckというプロダクトです。

もう少し弊社の紹介をさせていただきます。教育や評価に関わるサービスですので、技術顧問として、東京大学名誉教授でIPA「未踏」統括プロジェクトマネージャの竹内郁雄先生をお招きしていて、アカデミックなサポート体制も今作っている段階です。

他にも産学官連携をやっていまして。国内最大級の学生向けのハッカソンイベントである「JPHACKS」というのがあるのですが、こういうイベント運営などを大学や行政などと連携してやっています。

codecheckに関しては、昨年の12月に、インターネット業界ではけっこう大きめのカンファレンスであるIVS(注:Infinity Ventures Summit)の中で新サービスを発表する場である「Launch Pad」というピッチでプレゼンをさせていただいています。そんな会社なのですが、実はまだ他にも事業があって、もう少しだけ紹介させていただきます。

あらゆるサービスを統括するマーケティング

吉田:HR領域においては、エンジニア以外にも総合職も対象とした人材紹介サービスがあります。また、デジタルマーケティング領域ではWebマーケティングの支援を行なっている事業などもあります。

下のところはニッチなのですが、お墓の比較サイトとか、あとは「治療家ナビ」という国家資格をお持ちのマッサージ師さんの就転職サービスのナビ媒体を持っていたり、メディア事業も密かにやっていたりする会社です。

弊社の組織体制の紹介なのですが、基本的には事業部制を取っています。結構サービスが多いので縦軸でそれぞれの事業で組織を作っているんですが、私がいるマーケティングチームと、あと開発のプロダクトチーム、あとはバックオフィスのコーポレートチーム、ここだけが横串で全サービスを対象に動かないといけないところです。

とくに私のマーケティングチームは、7サービスぐらいある全部を対象としてマーケティング活動をしなきゃいけないので、結構しんどいかなというところです。

少し生々しいですけど、うちのチームの紹介です。いわゆるマーケティング部のほかに広報機能を持っています。マーケティング部に関しては、広告運用のチームと、メールマーケティングとかホワイトペーパーを作成するコンテンツチームと。

結構特徴的なのは、エンジニアとデザイナーをマーケティング部においていまして、ここでサイトの制作や改善というのをマーケティング部主導でできるような体制を取っています。

基本的にマーケティングの施策は全部インハウスでやっているので、PDCAを高速で回せるような体制を築けたのが強みです。実はマーケティングチーム自体を立ち上げたのが今年の1月なので、まだまだチームも発足期ではあるんですけど、なんとか頑張っています。

うちのマーケティング部のミッションというかKGIは、基本的に事業部があるのでそこへのリード供給がメインとなります。PRのほうはいろいろあるのですが、マーケティング部に関しては、会員の登録数であったり、BtoBのリードの供給をメインに仕事をしています。

類似サービスがない難しさ

吉田:ここから具体的なマーケティング施策の概要をお伝えさせていただきます。改めて、今回の対象プロダクトはプログラミングスキルチェックの「codecheck」という商品です。

codecheckは、もう少し説明すると、プログラミングスキルを点数化するためのテストを複数用意して、そのテストを実際にエンジニアの方に受けてもらって、それを定量的な点数として採点するようなプロダクトです。エンジニア版のSPIやTOEICなどに近いイメージのプロダクトです。

エンジニア採用においては、技術力を把握するために人事だけだと完結できない課題が選考フローのなかにあって、基本的に現場のエンジニアの人を巻き込まないと次に進めないというのが人事の課題です。

そこでなるべく現場のエンジニアの工数を割かないようにこのプロダクトを導入してもらうのが価値提供になっています。

なので、現在ではエンジニアの新卒採用におけるスクリーニングで利用していただくことが多いです。

特徴的というか、今まであまり市場にない、類似性のないサービスですので、そもそもマーケティング施策を展開するときに顕在層がまったくいなかったのが結構きついです。

サービスの特徴的にも、採用スクリーニングに使うので比較的大手の人事担当者じゃないと導入ができないところで、このあたりがかなり当初は課題があったかなというところです。

大手相手のテレアポの限界

吉田:では、MA導入前はどういう流れだったのかをご説明させていただきます。もともと、先ほどお伝えしましたが、昨年の12月にIVSに登壇してから、今年の1月に入ってやっと営業を本格化した、本当に近々に開始したサービスです。

当初は、まず1月はテレアポをメインでやっていたのですが、基本的にはほぼほぼアポを取れない状態でした。やはりターゲットがわりと大手さんに絞られてくるので、新規のリードが取れないことが課題でした。

それを踏まえて、2月の前半からインバウンド施策をやろうという会社の方針になりまして。ただ、この時、サービスサイトがまったく存在しないような、ツールがまったくない状況だったので、急ぎでとりあえずランディングページだけ作って、Facebook広告を回してみようとしたのですが、ぜんぜんCVが取れず、取れたとしても割の合わないCPAでした。

その後すぐに「ナーチャリングが大事だ」という感じになり、2月の後半あたりから3月にかけて「ナーチャリング施策を本格化しよう」という時期に、MAの導入を検討していった感じです。

ただMAを入れられるサイトもなかったので、このタイミングでサービスサイトの制作を意思決定し制作を始め、社内でしかも内製で作っていたので、このあたりは一番しんどかった立ち上げ期間です。ただ、なんとか乗り切って、MAの導入まで完了できたというのが3月で、4月から本格的に施策を走らせました。

SATORIさんを選んだ理由としては、例えば他にはPardotさんとかも見てたのですが、このスピード感でついていくMAツールがあまり見当たらなかったからというところです。

SATORIさんは、スコアリングとかではなくて、キラーコンテンツをもとに簡易的なシナリオをどんどん走らせるイメージがありました。そういうものじゃないと、他は導入のハードルが高すぎたのでSATORIさんを選びました。

現状のマーケティングチームの体制としては、マーケティング部がメインで管轄しているのはリードジェネレーションの部分です。リードナーチャリングに関しては、インサイドから継続して、営業が送るようなメルマガも用意しています。チーム内にエンジニアがいるので常にサービスサイトを改善する体制を作っていて。1~2週間で10何箇所とか、数十箇所をどんどん変えていくこともやっています。

あとはイベント。大型のイベントだったり個別相談会みたいなセミナーも施策として動いています。具体的に、このSATORIさんのマークがついているところが、SATORIさんを使っているところです。

ここだけの話で、生々しい成果を出してしまおうと思って、今日は持ってきました。まだ立ち上げ期なのでぜんぜん大きな数字ではないのですが、4、5、6月とリード数も増えていきまして、先月は4月に比べると約14倍になるまでに成長しています。MQLからの受注も、少ないのですが、上がるようにはなりました。

最初はサービスサイトをすぐに出してしまったので、まずは基盤を固めるために、サービスサイトの改善だったり既存カスタマーへのメールマーケティングをやっていました。あとはホワペ(ホワイトペーパー、白書のこと)をかなりこの時に作り込んだ気がします。5、6種類ぐらい増やしたかなという感じです。

それをもとに広告運用を5月から開始して、この頃からメールのマーケティングも最適化して、HTML化やステップメールを始めました。6月からこういうイベントだったり、SEOなど、他のチャネルも拡大して施策が進んでいます。

最初は細かいカスタマージャーニーとか作って、各ファネルステージを徐々にあげていくようなファネルマーケティングみたいな感じでやろうと思っていたのですが、それが思った以上に機能しなかった。結局Web上だけのコンテンツだと、カテゴリがないプロダクトだったので、ぜんぜんナーチャリングがされない状況でした。

なので、最近は1回の接触で多くの情報を与えられるイベントだったり、オフラインの施策に切り替えてきています。あとは、インサイドセールスをサポートするような施策を進めていっています。

メールが見られない状況にも対応できる設定

吉田:最後に、具体的なSATORIさんの活用事例をお話しさせていただきます。

広告施策としては、Webページ機能を活用して、広告専用のランディングページをSATORIさんで作っています。

(スライドを指して)こちらは普通のサービスサイトのダウンロードページなのですが、ファーストビューを広告用に最適化したものに変えるなど、非エンジニアのマーケターだけで回せる仕組みを作ったりしています。

インサイドセールスのフローに関しては、メール通知をシナリオで組むとかはやっています。CVしたときの通知と、もう1つは行動のログの通知を行っています。

ここはPDCAを重ねて、営業の人がタイトルを見ただけで、架電していいのかダメなのか判断できるようにしたり、あとはメールのタイトルに電話番号を入れて、外出先からでも電話がかけられる状態を作ったりしています。SATORIさんの動画で見た、Googleで社名を検索できる変数を入れたり、なるべく営業の負荷がかからないような通知設定を作っています。

弊社、チャットツールはSlackを使っているのですが、そこにも飛ばしてあげて、Gmailを見れない状況でもSlackから確認して、速攻メール、電話をかけられる体制を作っています。

メルマガに関しては、大きくステップメールと全体メルマガと個別メルマガがあるのですが、基本的には今は全部HTMLで対応しています。

これは自動返信メールです。CVしたときに「資料ダウンロード、こちらからお願いします」というメールなのですが、他の全部のホワペを縦につながる感じでレコメンドするテンプレートを今作っています。

メルマガに関しては、週に1回ぐらいカスタマーリスト全体に、記事紹介だったりホワイトペーパーの紹介を中心に、あまり嫌味がない感じで送っています。

ステップメールは最近やり始めました。コンバージョンしたあとにインサイドセールスがまずは架電をしています。架電のヒアリング内容によって関与度を3ランクに分けて、架電した営業マンがSATORI上でABCのタグをくっつけて、そのランク別にステップメールを配信するという、タグがトリガーとなるステップメールを組んだりしています。

コンバージョンレートを上げるために

吉田:最後の個別メルマガというのは、基本的に営業がSATORI上から個別のメールを送るものです。つまり一見全体メルマガに近いようなテイストの内容にしておいて、それを営業が架電をする前だったり商談前後だったり、営業の判断のタイミングで送信して、電話の内容を盛り上げやすくすることをやっています。

とくにキラーページとなる、価格ページとかでログの通知を飛ばしてあげているのですが、「電話がしづらい」というオーダーが来て。「じゃあ、テンプレ5、6種類作るから勝手にメール選んで送って、それをもとに営業トークを盛り上げてください」ということをやっています。

カスタマーの行動履歴を分析すると、けっこう回遊をする方が多かったので、ホワペのダウンロード時におけるサンクスページもけっこうデザインを凝って、他のホワペを同時にダウンロードしてもらえるようなレコメンドの作り方をしています。

コラムページの最後にCVポイントとしてホワペを設けるところもあると思うのですが、ここは結構デザインも意識して、細かい修正を何度も加えたものです。

ここの文章を自動でレコメンドするのではなく、1つの記事ごとに全部内容を変えるという泥臭いことをやって、コンバージョンレートを上げようとしています。

あとは、エントリーフォームの最適化でエンベッド機能を活用させてもらっています。アドレス取得済みのカスタマーが来た場合は、2度目のフォームは名前とアドレスだけにすることをやっています。最初は部署名などを入れるのですが、2回目以降はエントリーフォームのハードルを下げる施策をやっています。

一応、設定はこんな感じです。

少し前にSATORI社に確認したら、100パーセントは表示がされないものなんですけど、だいたい表示されている状況で。すべてのカスタマーとアドレス取得者を特定するセグメントを作って、それぞれで設定を変えています。

あとは細かいポップアップやタグの管理も、ある程度のルールは決めてやっています。

吉田:最後に課題というか質問したいことなのですが。やはりリードは取れてきてるのですが、商談化率のところを上げるのに結構苦戦していまして。インサイドセールスの配置の仕方などをみなさんどうやっているかがすごく気になっています。

とくに今、弊社は事業部とマーケティングが分かれてしまっているので、「どのあたりまでを僕らがやって、どこを事業部がやるんだ?」みたいなのが一番苦戦してるところです。

あとはSFAを活用している場合にはどんな情報を返しているのかとか、逆にMAからSFAにどういうものを送っているのかを、もし聞けたらうれしいです。

すみません。ちょっと長くなってしまいましたが、以上になります。ありがとうございます。

(会場拍手)