2018年3月期第2四半期決算説明会

安永竜夫氏:おはようございます、社長の安永です。本日はお忙しい中、ご参加いただき誠にありがとうございます。まず私から、上半期の経営成績概要及び通期業績予想について、ご説明いたします。その後、経理部長の塩谷より、詳細をご説明いたします。

当上半期決算を一言で申し上げれば、中核分野の各事業に加えて、鉄鋼製品が堅調であったことから、利益・基礎営業キャッシュ・フローとも、非常に順調な進捗となりました。同時に、課題案件の対応を含め、将来の収益基盤強化に向けた足場固めを進めることができた期間といえると思います。

経営成績サマリー

それでは、プレゼンテーション資料の3ページをご覧ください。上半期の経営成績サマリーについて、ご説明します。

当上半期の世界経済は、先進国・新興国ともに、回復の動きがみられ、総じて堅調に推移しました。この良好な経営関係のもと、当社の上半期利益は前年同期比1,163億円増益の、2,383億円。

基礎営業キャッシュ・フローは、前年同期比1,233億円増加の、3,046億円の獲得となりました。事業計画に対する進捗率はそれぞれ、(上半期利益が)74パーセント、(基礎営業キャッシュ・フローが)61パーセントに達しました。

堅調な金属資源・エネルギーや、機械・インフラ、好調な鉄鋼製品に加えて、Valepar再編にともなう評価益計上が、業績に貢献しました。

一方、ブラジルにおける穀物集荷・販売事業の環境が著しく悪化するなか、Multigrain事業に関する損失計上を行いました。損失額の算定においては、将来の機動性を確保するため現時点で想定しうる、最大の損失を引当計上しております。

また、日鉄住金物産株式会社と連携した、鉄鋼製品サプライチェーンの強化を進めるなど、強靭な収益基盤の構築を加速しています。

また、当四半期には、Penske Truck Leasingへの追加出資を実行して、モビリティ分野の事業基盤を拡充するなど、新たな成長分野を確立しました。その一方、並行して戦略的な資産リサイクルを着実に実行した結果、フリー・キャッシュ・フローは2,067億円の黒字となりました。

これら当上半期の実績をふまえ、通期の業績予想を上方修正し、当期利益は800億円増加の4,000億円。基礎営業キャッシュ・フローは、1,000億円増加の6,000億円といたします。

地政学リスクへの高まりなどの注意は必要ですが、世界経済は今後も全般的に緩やかな回復基調をたどるとみています。

引き続き、商品市況や為替の動きを含め、当社を取り巻く経営環境に十分留意しながら、今回修正した業績予想の達成に向けて、経営にあたります。

重点施策①

4ページをご覧ください。中期経営計画の重点施策の1つである、強固な収益基盤づくりと、既存事業の徹底強化の進捗について、ご説明します。

金属資源・エネルギー、機械・インフラ、化学品からなる中核分野は、上半期利益の合計が2,697億円。基礎営業キャッシュ・フローの合計は、2,672億円となりました。

金属資源・エネルギーは、好調な豪州鉄鉱石・石炭事業や、エネルギー各事業におけるコスト削減に加え、Valepar再編による評価益の計上を主因に、上半期利益は2,098億円と、極めて高い進捗となりました。

また、基礎営業キャッシュ・フローも1,944億円と、順調な進捗を示しました。

機械・インフラは、事業全般が堅調であったことに加えて、英国の揚水発電事業の売却益も加わり、上半期利益は470億円・基礎営業キャッシュ・フローは474億円と、いずれも高進捗となりました。

一方、化学品はNovusがメチオニン価格の回復遅れにより減益となりましたが、メタノール事業やトレーディング収益の貢献がこれをカバーしたことから、上半期利益は129億円とやや出遅れているものの、基礎営業キャッシュ・フローは254億円と、計画どおりの進捗率となっています。

また、当上半期は機械・インフラや化学品、鉄鋼製品を中心に売る力の一層の強化を進めたトレーディングが、好調に推移しました。

加えて、先日公表いたしました、鉄鋼製品事業における日鉄住金物産株式会社との取り組み強化により、サプライチェーンの強化と、総合力発揮による新たな事業展開を目指す体制を整えるなど、今後も既存事業の徹底的な競争力強化を通じた、強固な収益基盤づくりを力強く進めてまいります。

重点施策②

5ページをご覧ください。2つ目の重点施策である新たな成長分野の確立における、主要な取組みについて簡単にご説明します。

モビリティ分野では、米国を中心にトラックリースレンタル事業およびロジスティックス事業を展開する、Penske Truck Leasing、略称PTL社の10パーセント持分を約480億円で追加取得し、当社持分を30パーセントまで引き上げました。

PTL社も拠点とする米国においては、持続的な人口成長および荷動きの増加が見込まれ、これに環境規制に対応する機材高度化などの要請も相まって、輸送サービスの需要が高まっています。

三井物産株式会社の総合力を駆使し、PTL社を通じてパートナー企業各社や関係会社向けに、フリートマネジメントやサプライチェーンの効率化などの、高度なソリューションを提供していきます。

ヘルスケア分野では、医療市場の拡大が見込まれるアジアで、「場×人×モノ×サービス×情報」の5要素をつなぎ合わせた、ヘルスケア・エコシステムの構築を図っていますが、今般、当社出資先病院グループであるColumbia Asia傘下の3病院において、Panasonic Healthcare製血糖値測定器の採用が、正式に決定しました。

また、Columbia Asiaのすべての病院が、当社が一昨年に共同買収したMIMSが提供する、医療情報サービスの導入を決定するなど、エコシステム内各社間における、具体的なシナジー効果拡大が加速してきています。

今後も人口増加や高齢化、所得水準の向上にともなう慢性疾患の増加が見込まれるアジア新興国で、利便性が高く効率的な医療提供を通じ、医療の質の向上とコスト抑制に貢献していきます。

重点施策③-1

6ページをご覧ください。重点施策の3つ目であるキャッシュ・フロー経営の深化と、財務基盤強化について説明します。

資産リサイクルは、第1四半期における自己案件に加え、機械・インフラにおけるIPP事業における貸付金回収や英国揚水発電事業売却を主因に、上半期累計で1,850億円の獲得となり、着実な進捗がみられました。

一方、投融資は合計で2,850億円のキャッシュアウトとなり、ほぼ計画どおりに推移しています。主な案件としては、中核分野において第1四半期からの継続案件に加えて、ガーナでのFPSO案件の進捗にともなう支出などがあり、成長分野ではPTL社への追加出資や、米国ヘルスケア専門職派遣事業の買収。また、曽田香料の公開買付などがありました。

重点施策③-2

7ページをご覧ください。

当上半期では、基礎営業キャッシュ・フロー3,050億円の獲得に資産リサイクルを合わせ、4,900億円のキャッシュ・インとなりました。一方、投融資2,850億円に中間配当額である525億円を足した、3,375億円がキャッシュ・アウトとなりました。

この結果、株主還元後のフリー・キャッシュ・フローは、1,525億円の黒字と順調に進捗しています。

重点施策③-3

8ページをご覧ください。当上半期末のバランスシートについてご説明します。

2017年3月末と比較して、ネット有利子負債は3兆3,000億円と横ばいだった一方で、株主資本は利益剰余金の増加に加え、豪ドル高の進行を主因とした外貨換算調整勘定の増加もあり、2,335億円増加の4兆円となりました。

この結果、Net DERは3月末比で0.06ポイント下がり0.82倍となるなど、さらなる財務基盤の強化を進めています。

当期利益

9ページをご覧ください。これまでご説明しました上半期の実績を踏まえ、通期業績予想についてご説明します。

当期利益は800億円増加の、4,000億円に上方修正しました。主な修正セグメントとしては、Valeparの再編に伴う評価益に加え、石炭価格の上昇があった金属資源で、1,000億円の増加。IPP事業のリサイクルを主因に、機械・インフラで200億円の増加となっています。

一方、生活産業はMultigrainに関連する損失を主因に、500億円の減少としています。

基礎営業キャッシュ・フロー①

10ページをご覧ください。基礎営業キャッシュ・フローの通期業績予想について、ご説明します。

基礎営業キャッシュ・フローは1,000億円増加の、6,000億円に上方修正しました。

主な修正セグメントとしては、機械・インフラで主にIPP事業からの資金回収により、700億円の増加。エネルギーではコスト削減を主因に、100億円の増加となっています。また鉄鋼製品では、市況回復および取扱数量増による売上総利益の増加を主因に、100億円上方修正しました。

株主還元方針

11ページをご覧ください。最後に、株主還元方針について説明します。

2018年3月期の年間配当金については、期首計画において予定した1株あたり60円を据え置き、中間配当は30円とします。

なお、本日ご説明しましたとおり、今期の基礎営業キャッシュ・フローは期首計画を上回る創出力を見せておりますので、今後の状況も踏まえながら、追加還元についても総合的に判断してまいりたいと思います。

以上で私からの説明を終わります。続いて経理部長の塩谷より、上半期業績の詳細をご説明します。

上半期利益①

塩谷公朗氏:それでは、当上半期業績の詳細についてご説明申し上げます。

資料13ページをご覧ください。まず、当上半期利益の増減について、セグメント別にご説明します。

当上半期利益は、前年同期比1,163億円増加の2,383億円となりました。

金属資源は、1,422億円増益の、1,867億円の利益となりました。Valeparの再編に伴う評価益や、石炭・鉄鉱石価格の上昇による豪州石炭・鉄鉱石事業の増益、およびチリ銅鉱山事業における減損損失の戻入れが、おもな要因です。

エネルギーは、232億円増益の、231億円の利益となりました。LNG配当金の増加やガス価格の上昇、およびMarcellus一部売却を主因とした、MEPUSAの増益がおもな要因です。

機械・インフラは、144億円増益の、470億円の利益となりました。英国揚水発電所の売却による利益が、おもな要因です。

化学品は、メチオニンの価格下落に伴うNovusの減益を主因に44億円減益の、129億円の利益となりました。

鉄鋼製品は、製品の市況回復および取扱数量の増加や、Gestampの新規連結取込みなどを主因に74億円増益の、111億円の利益となりました。

生活産業は、600億円減益の、マイナス369億円となりました。Multigrainに関連する損失や、前年同期におけるIHH社株式一部売却による利益の反動が、おもな要因です。

次世代・機能推進は、国内倉庫売却益があったものの、新興国における携帯通信事業の公正価値評価損を主因に38億円減益の、16億円(の利益)となりました。

基礎営業キャッシュ・フロー②

14ページをご覧ください。基礎営業キャッシュ・フローの前年同期比増減について、利益の増減とは異なる要因を中心に、セグメント別にご説明します。

当上半期の基礎営業キャッシュ・フローは、前年同期比1,233億円増加の、3,046億円の獲得となりました。

金属資源では、市況上昇に伴う売上総利益の増加を主因に、486億円増加の1,130億円の獲得となりました。

エネルギーでは、市況上昇に伴う売上総利益の増加や配当金の受取増加を主因に、272億円増加の、814億円の獲得となりました。

化学品では、堅調なトレーディングによる一部カバーはあったものの、Novusでのメチオニン価格の下落による売上総利益の減少を主因に、27億円減少の254億円の獲得となりました。

生活産業では、前期干ばつの影響を受けたXINGUの売上総利益回復を主因に22億円増加の、45億円の獲得となりました。

上半期利益②

15ページをご覧ください。ここでは、当上半期利益を前年同期と比較し、その増減を要素別にまとめています。

なお、第1四半期と同様に、本年度より並べ方を変更し、当社の主体的な取り組みによる変動要素である基礎収益力、資源コスト・数量、資産リサイクルの3つを先に示し、そのあとに市況・為替と評価性を配置しました。

まず、基礎収益力です。これは、主体的な取り組みによる変動要素のうち、資源コスト・数量と資産リサイクルを除いた、すべての要素を含みます。

当上半期では、LNGの配当金の増加や鉄鋼製品での収益増加がありましたが、Valeparの再編に伴う一般社外化による取込み益減少、およびNovusやMultigrainの減益を主因に、前年同期で約100億円の減益要因となりました。

次に、資源コスト・数量は、マイニングプランの変更に伴う石炭のコスト増はありましたが、エネルギーでのコスト削減効果を主因に、40億円の増益要因となりました。

資産リサイクルは、前年同期における株式売却の反動がありましたが、英国揚水発電事業の売却や国内ビルの売却を主因に、170億円の増益要因となりました。

一方、市況・為替は、おもに石炭・鉄鉱石、原油・ガス価格の上昇により、710億円の増益要因となりました。

また、評価性は、Multigrain関連で著しい事業環境悪化に伴い、さまざまな契約関係を見直した結果、引当金を計上しました。一方、Valeparの再編に伴う評価益やチリ銅鉱山事業に関する減損戻入れを主因に、340億円の増益要因となりました。

以上でございます。