Google翻訳に感謝を

ジョン・ブレット氏:みなさん、こんばんは。(日本語で)私の名前はジョン・ブレッドです。正しく言えました?

(会場笑)

最初にお伝えしておきますね。私、この美しい東京という街が大好きです。なので、このような機会をいただいて、とても光栄に思います。

WIRED誌のみなさま、ありがとうございます。そしてたくさんのストーリーをお話ししてくださったスピーカーのみなさまにも、感謝をいたします。これだけたくさんの才能を持ち、情熱にあふれ、そしてファッショナブルな方々とお話ができとても嬉しいです。

私は、Refinery29というデジタルメディア会社で働いています。本日は、EmpathyLabについて、そしてコロンビア大学のDigital Storytelling Labとのパートナーシップについてお話をしたいと思います。

最初に、Google翻訳に感謝したいと思います。また、通訳の方にも。がんばってくれて、ありがとうございます。私は日本語が話せません。ごめんなさい。そしてGoogle翻訳、ありがとうございます。おかげで、こちらのスライドはしっかりと日本語になっていると思います。100パーセント正確にね。私はそれを保証します。

(会場笑)

前例を壊してきた10年間

では、Refinery29とは何か? 非常にいい質問ですね。ここで、短いビデオを通してRefinery29とは何かについてご紹介をしたいと思います。

(映像が流れる)

どうでしょう。非常にシンプルに表現できていたのではないでしょうか。Refinery29とは、前例を壊すデジタルメディア会社で、グローバルな読者がおよそ5億人にも及びます。

この10年間で我々は、ニューヨークベースの出版業界における前例を壊し、そして今後の10年ではロサンゼルスのテレビと映画業界の前例を壊していきたいと思っています。

私たちはさまざまなソーシャルプラットフォームを所有しており、その月間ユーザー数は4.5億人です。さらに、Eメールのニュースレター、iOS・Androidに向けてのモバイルアプリもあります。

また、refinery29.com というニューヨークに拠点をおくのメディアプラットフォームもあり、3,000万の月間ユーザーがいます。refinery29.uk というロンドン拠点のサイトも。refinery29.de というベルリンが拠点のものもありますよ。そしてまた、できれば「refinery29.jp」を東京で作りたいなと思っております。ご興味のある方いましたら、ぜひお話をしましょう。

また、パートナーの方々は無償でタトゥーも入れられますよ。

(会場笑)

いいニュースですよ。骸骨の絵じゃなくてもいいんです。今であればお好みのタトゥーを入れられます。以前は私の肩にも掘り込まれている骸骨マークだけだったのですが。ただ、それからポリシーがちょっと変わったようです。

(スライドを指して)またこちらのチャートは、18〜34歳の女性を対象に、毎月米国でRefinery29がリーチしています。かつ、プラットフォーム毎の分布図も描かれています。

そして競合ですが、例えば、大変申し上げにくいのですが……コンデナストさんですね(注:コンデナスト・パブリケーションズ。『VOGUE』『WIRED』などを出版する米国の出版社)。申し訳ありません。それに、レガシーブランドなどといった大きな会社が競合で、ライバル企業以上の数字を毎月出しています。右肩上がりです。

でも、どうやって? 私たちは自分のルールを作っています。1つは、競合他社に比べて、スピーディーであること。自分たちのルールを作るということは、すなわち自分たちの考え方が他とは違うということです。ですので、本日は「共感」についてお話をしたいと思います。

共感を定量化する

共感とは、ほかの人の見解を深いレベルで理解するということです。Refinery29では、この共感のためにデータを使い、この理解を定性化しそして定量化していきます。事例もご紹介していきましょう。Refineryでは、平等というものを信じております。すわなち、機会の平等であり、そして表現の平等です。

米国の女性で、男性と同じ機会を与えられていると感じている女性はほんの53パーセントにすぎません。つまり、残り約50パーセントは男性と同じ機会が得られていないと思っているということです。

しかし、同じ質問を男性にするとどうでしょうか? 驚くことに72パーセントの男性が機会は平等であると思っています。

想像してみてください。この質問をさまざまな民族の方に聞いてみたらどうなるでしょう。例えば黒人の方、白人の方、アジア人、そしてラテン人。この差はもっと大きくなるでしょう。今日他のセッションでもあったように、抑圧されてきた人とそうでなかった人との感じ方は違います。同じように表現されていても、うまく表面に現れていないと感じてしまうでしょう。

例えば、女性は毎日目の当たりにするメディアについて、出てくる広告が間違っていると感じています。すべてが間違っていると思うかもしれないし、その一部分が間違っている、と思うかもしれません。

ここにはギャップがありますよね。ギャップというのは、そのメディアの現実と、そして白人男性ではない人たちが、それをどう見ているかという点です。このギャップこそが我々の基盤です。我々はここに手を打つことができます。

今新世代の女性は、これまでのどの世代よりも知的で、想像力に富み、型にはまらないタイプだと思います。また数値的に見ても女性人口は増加しており、多様性が広まってきています、今日見たように、彼女らはリスクを厭わない。そして自分たちのルールを作っていけるほどパワフルです。

そして、ここからは個人的な見解です。私は、結婚してジリアンという妻がいます。今日、お客さんの中にいます。ここまで来てくれたことをうれしく思います。感謝しています。いい言葉ですよね?

(会場拍手)

妻は、13時間かけてここまで来てくれました。

アメリカにおける、この世代の女性の購買力は実に何兆ドルにも及びます。億ではなく兆です。女性は我々の経済を担っており、これは非常にいいことだとも思います。

彼女たちの信頼を得ている、ロイヤリティを得ているという点は、長期的に非常にパワフルなブランドになることを示しています。我々Refinery29のゴールは、こういった女性に向けて世界中でナンバー1ブランドであり続けるということです。

女性登用から生まれた実績

では具体的に何をしているのか? Refineryは、コンテンツを作っています。日々使用されているプラットフォームの中で女性の情熱が向けられるような。、例えば旅行、自宅、リビング、ファッションとか。けれど、それ以上に注目しているテーマは、政治やセクシュアリティ、あるいは経済についてです。コメディもあります。コメディは、ツールとして使っています。社会に対しての見解を表すツールとして使っていますし、また映画の製作も行っております。

このプログラムは、Snapchatというプラットフォームを使っています。こちらでご覧いただいているとおりです。携帯端末にいま、示されているものです。

また、サンダンス映画祭にも参加しています。では、ここからは本年制作をした、サンダンスでお披露目された映画のタイトルについてご紹介をしたいと思います。

(映像が流れる)

ちょっと当初の予定から外れてしまいますが、フィルムプロジェクトについてお話します。ある研究が南カリフォルニア大学で行われました。その中で、これまで制作されたハリウッド映画を過去2年間にわたって調べ、その中の4パーセントにしか女性の監督がいないことを発見しました。

そこで動きを変えなければ、ということで、私たちは短編映画の予算を提供することになりました。すべて女性の監督を登用しましたので、ここでは100パーセント女性の監督のみです。

過去2年間で、コンテンツの消費は約2,000パーセントも増加しました。これはアクティブユーザー、例えばFacebookなどで投稿したり、「いいね!」をしたり、コメントしたり、共有したりしている積極的なユーザーです。ユーザーたちは、ビデオをカバーしたり、見たりしているのです。

ということで、これを実際に開いて、読んでいる人たちが大勢いるということになります。ライブイベントとかそういったものにもどんどんと参加しているということがわかります。けれど、この話はまたあとで。

まとめると、私たちの観客には女性がどんどん増えてきているのです。

ここで1つ。たぶんみなさんは、「女性に向けてコンテンツを発信するメディア会社の話を白人男性がしている。それは何なのだろうか?」と疑問に思ってらっしゃるのではないでしょうか? きっとそうだと思います。

非常にいい質問です。私はこの仕事に3年間従事しています。いまお見せした映像コンテンツの制作チームに一番最初から携わっているメンバーの1人です。そこでわかったのは、人の話を聞き、そしてそれを考察し、解釈することの大切さです。

私たちの考え方というのは、みなさますべての会社に関係するのではないでしょうか? これこそが、共感の力だと思うわけです。

生まれてはじめてのカルチャーショックは日本で受けた

ということで、Refineryの話はこれぐらいにしておいて、私の個人的な話を少ししてみようと思います。このストーリーは、今回が私の初来日ではない、というところから始まるストーリーです。

実は私は、15歳の時に、交換留学生として日本に来た経験があります。その時の私です。そしてカイさんという栃木の家族にお世話になりました。

(スライドを指して)そしてこれ。このネクタイ見てください。黄色のチェック柄。ごめんなさい。

そこで、私は高校に半年間通いました。私が一番得意だったのは体育です。午後のスナックは、ピーナツバターとジェリーのサンドイッチから、鮎の塩焼きなりました。

(会場笑)

そして自販機でビールが売られているということに驚きました。これはすごい発見でしたよ。

(会場笑)

15歳で、私は生まれて初めてのカルチャーショックを経験しました。本当に文字通り「病気」になってしまいました。率直に言うと、とても悲しかった。食べ物も、家族も、それから自分の国も、すべて遠いところに行ってしまったような気がして、とても悲しかったわけです。

そこでタカマサという同い年のホームステイ先の男の子が、ビデオゲームをやろうと誘ってくれました。そのゲームがこれです。『ベースボールスター』という名前のゲームでした。

ベースボールスター

私がこれまで見た中で、最もすごいゲームでした。だって、テレビの上で野球ができるんですよ。

タカマサ君と私は、子ども時代は6,550マイルも離れたまったく違う文化圏に住んでいたのに、このゲームのルールはちゃんとわかります。このテクノロジーがあったために、私とタカマサ君はお互いに「共通」のものがあるということが分かったのです。これまでは、自分とは違うという気持ちがあったのが、同じものがあるという共感を得ることができたわけです。これこそが「共感」の力です。

そこで、今日のセッションの最初に戻りましょう。ゲームを通して、同じ経験ができました。そして、同じ経験によって私たちのアイデンティティが近くなってきたのです。つまり、私たちがおのおの持っていたアイデンティティが少しずつ変わり始めたということです。人間として、私たちは常に変わることができる、進化することができるのです。

『ベースボールスター』をタカマサとやっていた時、私はアメリカの交換留学生ではありませんでした。そして彼も日本の学生ではなかった。お互いがデジタルベースボールプレイヤーになっていた。バーチャルゲームを一緒にやる仲間に。2つの言語、英語と日本語が1つの言語になっていたのです。

そしてその後、一緒に電車に乗って栃木から東京に出てきました。地下鉄に乗って、そして迷子になって、最終的には秋葉原にたどり着きました。

秋葉原でいろいろなお店を見ているうちに、これを見つけました。これこそ、私の人生における最大の本当に幸せな経験の1つです。一生忘れることはないでしょう。

「カイさん、そしてタカマサ。本当にありがとう」という感じです。私のアイデンティティと、それからまた共感ということを自覚したのもこの時です。今でもこのゲームボーイを持っています。

このストーリーが教えてくれるのは、共感というのが実はとても力強いということです。文化の違いや、どれだけ物理的に離れているかということは関係ありません。私たちが、共感を自ら育てていければ、世界を変えることができるのです。