シャワーを浴びる頻度はどのぐらいがいい?

ステファン・チン氏:ハードな運動を終えた後に浴びる熱いシャワーほど気持ちのいいものはありません。また体を清潔にしておくことは、感染を防いだり、臭い匂いで周囲に不快感を与えないようにする点でもいいことです。

では、清潔にするために毎日シャワーを浴びるのは本当に必要なのでしょうか。それとも実は害のほうが多かったりするのでしょうか。

結論から言えば明確なルールがあるわけではありませんが、皮膚の生物学的な観点、つまり皮膚にいる生物を念頭に置いてやり方を推奨する科学者もいます。

皮膚は体に有害なものが体内に侵入するのを物理的にブロックする巨大な臓器です。例えば、微生物、細菌、ウイルス、とても小さな虫などが含まれ、こうしたものは「皮膚マイクロバイオーム」と呼ばれています。

研究者たちは、こうした皮膚にいるマイクロバイオームは大抵無害であると考えています。ですが日常生活では病気の原因となるマイクロバイオームが付着する可能性があります。

その状態で目をこすったり食べ物を口に運んだりすることで、そうした細菌は肌を飛び越えて手から直接体内に侵入するかもしれません。

石鹸で手を洗うことが重要なのはこうした理由であり、とくに医療従事者や食品を扱う人ならなおさらです。

石鹸は界面活性剤、つまり水を汚れや油、細菌と結び付ける分子でできています。このため余計な物質を洗い落とせるのです。細菌が感染できる機会も激減しますね。

ですが、体全体を洗うことはどうなのでしょうか。皮膚には汗や油を分泌する腺があり、体温を下げたり肌を保湿したりして健康的に保つはたらきがあります。ですが、なにごともバランスが大切です。

細菌の中には汗で死んだ後にチオアルコールのような臭い匂い分子を放ちます。また、皮膚が汚くなり、死んだ細胞や油によって毛穴がつまると、ニキビのようなトラブルにつながります。

つまり石鹸でシャワーを浴びれば、余分な汗や油を洗い落として見た目も匂いも清潔に保てるのです。

また、手術の前の晩などには、細菌を殺す物質が含まれた特別な抗菌石鹸を使ってシャワーを浴びるようにと、医師から言われる場合もあります。医師は切開する際に、余計な危険な物質が入り込む恐れがないようにします。

ですが、あまりにもシャワーを浴びすぎるのも考えものです。皮膚には自然に存在する細菌もいます。また石鹸を水は脂分を流れ落としてしまうため、肌が乾燥しすぎてひび割れることもあります。するとその隙間から病気の原因になる細菌が入り込むかもしれないのです。

こうしたことから皮膚科学の専門家は、汗をたくさんかいたりハードな運動をしたりしていないのであれば、毎日シャワーを浴びて全身を石鹸でくまなく洗うことはやりすぎだろうと言っています。

言いかえれば、2日に1回ぐらいが皮膚の細菌にも優しく健康的に過ごす上でちょうどいいだろうということです。