大阪オフィスの社員全員でIoTの実証実験

司会者:「IoTは面白い!センシングの先に生み出されるビジネスとは? ~ 農業・運輸 × IoT、製造業×音×AI ~」と題しましてご登壇いただきます。なお、当セッションはウイングアーク1st大畠がモデレーターを務めます。それではよろしくお願いいたします。

大畠幸男氏(以下、大畠):みなさま、こんにちは。

(会場拍手)

大畠:今日のテーマはIoTです。IoTはやはり非常に関心度が高く、このように多くのお客様にお越しいただきまして、ありがとうございます。

今日は、IoTというテクノロジーを使って集めたデータを、どのようにビジネスに活かすことができるのか。そしてやはりAIですよね。AIというキーワードで、その集めたデータをさらにどのような感じに描いていけるのか、について、このあと私から数分お話をさせていただいて、そのあとにレンジャーシステムズ様と、スカイディスク様にお話していただきたいと思っております。

私どもは昨年、ちょうどこのフォーラムでIoTの実証実験のお話をさせていただきました。日々のそういったビジネスから、今年もいくつか事例がありますのでご紹介したいと思います。

8月のことなのですが、弊社の大阪オフィスの全員が、IoT実証実験に参加したんです。何をやったかと言うと、それぞれの社員、誰と誰がコミュニケーションをとっているのかということを、IoTで見たらどんな感じになるのか。そういうことをやったんです。

このときに使ったセンサーが、日立製作所様のセンサーです。このセンサーを使うことによって、例えば私、大畠が今日ご登壇いただく木村様とお話をした。あるいは橋本様から私に話しかけていただいた。こういったことがデータとして見えてくるんですね。

社員のコミュニケーションをデータとして可視化

大畠:さっそく、その見えてくる内容をちょっとご覧いただこうかなと思っております。こちらの画面をご覧ください。

(スライドを指して)社員なので実名のままになっていますが、左側が「ピッチャー率」と言って喋っている側です。右側の青いほうは、「キャッチャー率」。話を受け取っている側です。

この左側を見ていきますと、一番飛び出ているのが「ツキナミ」という者なんですが、「ツキナミは本当によく喋る人間なんですよ」と言っているとおり、やはり本当によくしゃべっているんですね。

こういったことが見えてきたり、あとは右側なんですが、「サイク」と言う人間がいるんですけれども、このサイクはずっと話を受けまくっているっていう感じですね。だいたいこの2人が会話のトップ1、2なんですけれども、こんなことが見えてきます。

さらに、誰と誰が話をしているかというだけではなく、こんなことも見えてきます。

(スライドを指して)これを見ていただくと、最初はけっこう、ぐちゃっとしてると感じるかもしれませんが、これは(コミュニケーションを)線で表していくものです。(スライドの一部を指して)そのなかで例えば、先ほどのサイクを見ましょうか。サイクは誰と話しているのか。

確かにツキナミと話しています。その次に話しているのは、シムラという人間ですね。ではこのシムラはいったい誰と話しているのか、今度はハシモトという者と話しています。このように、その組織のなかでどういったコミュニケーションをとっているのかを見ることができます。

「もしかするとあの部署は、ちゃんとコミュニケーションをとれていないのかな」や、その部署の活性度がどうかなど。実際に画面を見てみると、本当は話さなければいけない人が、ぜんぜん話していなかった。センサーの値を使って可視化することで、こういったところまで見えてくるのかなと、我々はトライをさせていただきました。

さまざまなデータを可視化する取り組み

大畠:もう1つご紹介したいのが、こちらです。これも大阪のオフィスなんですけれども、弊社の大阪オフィスの会議室にはセンサーが付いています。

何のセンサーが付いているか。それは温度、湿度、そしてCO2です。最近よくオフィスのIoTをやっているなかでもおもしろいのが、CO2なんです。部屋のCO2の数値が2,000を超えてくると、ミーティングの効率が悪くなるというふうになったりします。

実はこの左上の「28.9」と赤くなっているところ、ここの部屋が当初よくなかったんですよ。今は改善されて値が減ってきています。これをROHM様、それからNISSHA様と弊社で、EnOceanを使ったかたちでデータをとって、MotionBoardで可視化をしている。このようなことをやっています。

あとは、お名前は申し上げられないですが、駅のまわりの混雑している駐車場・駐輪場の状況を改善していこうと、IoTで何かできないかという取り組みとしてやらせていただいたのがこちらでございます。

(スライドを指して)ご覧いただけるように、さまざまなデータが上がってくる。我々のポジショニングとしては、それらのデータを可視化していくというところです。これは昨年まででございます。

今年は、我々はどこに向かっていくかということなんですが、可視化の先を考えています。取ってきたデータ、それを見てさらに予測をし、そして通知をしていく。これは基調講演で話がありましたが、弊社はそこをチャットと連携していきます。

ChatWork、LINE WORKS、Slack、そしてChatter。これらと連携して、今までは見なければいけなかったBIを、見なくてもいいBIにしていく、これが我々の今後のメッセージです。

直近では弊社は、物流コンテストに2作品を応募しました。そのうちの1つの内容なんですが、ドライバーの待ち時間をなくすためにトラックがどこまできているのか。今出て行ったらいいのか、待たなければいけないのか。こういう情報をチャットで連携したら便利になるのではないかと考えました。

おかげさまでこちらは賞を獲らせていただきました。

我々がやりたいことは、エコシステムです。お客様が何かやりたいとなったときに、「センサーがほしい」「ネットワークに繋ぎたい」ということではないと思うんです。こういったシステムが(すでに)でき上がっていることによって、エンドユーザー様がなにを解決したいのかということに基づいて、我々はパートナー様と一緒にビジネスをさせていただいております。

直近では、SORACOM様のSIMが「SORACOM Funnel」を使うことで、MotionBoardに繋がっていく。そして昨日、ウフル様とプレスリリースを出させていただきました、「enebular」との連携ですね。APIの連携を行うことによって、簡単にMotionBoardにデータを流し込んでいける。こんなこともできるようになって参りました。

すべてはお話できません。ホワイエに、今日は8つのベンダー様、弊社のコネクティビティパートナー様がいらっしゃいますので、ぜひ後ほど、ご覧いただければと思います。

「農業とIoT」「運輸とIoT」の取り組み

大畠:それでは、私の話はこのあたりまでとさせていただきまして、ここから、さっそくお呼びしたいと思います。レンジャーシステムズの木村様です。みなさま拍手でお招きください。

(会場拍手)

よろしくお願いします。

木村秀一氏(以下、木村):はい。ただいまご紹介にあずかりました、レンジャーシステムズの木村と申します。よろしくお願いします。

本日は、私どもが取り組みました「monoコネクト」というサービスがございまして、そのなかで「農業・運輸 × IoT」というテーマで、いくつか事例をご説明させてもらえればと思っています。

わりとみなさんが知っているようなことも数多くやっているんですけれども、今日はあえて、たぶんみなさんがあまりやらないだろうなと思う事例を中心に、お話させていただければと思っています。

大畠:ありがとうございます。

木村:まず簡単に、レンジャーシステムズという会社の説明をさせてもらいます。レンジャーシステムズは2007年創立で、ちょうど10年目を迎える会社でございます。

事業の主体としてはMVNE、あまり聞かない言葉かもしれないですが、MVNOという昨今、格安SIMなどでいろいろとモバイル事業をやっている会社様の、裏側のモバイルコールのシステムなどの開発と保守といったところを得意にしている会社でございます。

あとは、昨年からIoTの分野で「monoコネクト」というものをはじめ、レンジャーシステムズは今、このMVNE事業とIoT事業の2本の柱で、どんどんがんばっている会社です。

IoTコネクティングサービス「monoコネクト」

木村:昨年の5月、IoTコネクティングサービス「monoコネクト」というサービスを開始しました。どういったものかと申し上げますと、(スライドを指して)「低価格なデバイス」、「システム設計の柔軟性」、「可用性/保守性」と3つありますけれども、基本的にはデバイスのホストを、とくに注力して作ったサービスでございます。

ですので、センサーならびにゲートウェイ、そういった部分でコストはかなりお安くご提供できたのかなと思っています。

「システム設計の柔軟性」というのは、ゲートウェイはお客様が好きなところに、簡単に接続できるようなUIを用意していますので、「簡単にお客様が作りたいようなシステムが設計できますよ」ということ。あとはデバイスの管理マネージャーがありますので、そのあたりで保守性もあり、簡単にデスクワークもできますよと、この3つを大きな特徴としたIoTサービスになっています。

このあたりを簡単に説明します。基本的なBLE(注:「Bluetooth Low Energy」の略。無線PAN技術「Bluetooth」のうち低消費電力のもの)のデバイスを、我々が作っているゲートウェイ経由でお客様が用意されているAWSだったり、Azureだったり、そのほかお客様の自社サーバーだったり、そういったところにHTTPやMQTT、そういった通信プロトコルで簡単にデータを飛ばせる、そのような仕組みを提供するのが「monoコネクト」の役割です。

実際にはこういった手のひらサイズのセンサーおよびゲートウェイを自社で作りながら、お客様のIoTサービスの構築のお手伝いをしているというところでございます。

ここまでがざっくりと、monoコネクトのサービスの説明になります。

農業のIoT、その主役は「マルハナバチ」

木村:今日の本題なんですけれども、「monoコネクトが取り組む農業・運輸 × IoT」ということで、農業というとおそらく、水田の温度や湿度、そういったものを計って、稲を育てる最適な環境を整えるといったことが一般的だと思うんですが、レンジャーシステムズが取り組む農業というのは少し違っています。テーマは「ハチ」です。

大畠:いいですね、ハチ。

木村:ハチというと、たぶんみなさんがパッと思いつくのは「なんだレンジャー、ミツバチ育てて、はちみつでも作ってるの?」と思われるかもしれないですが、そうではなくて、今日の主役は「マルハナバチ」というハチでございます。

もしかすると知っている方がいらっしゃるかもしれませんが、ミツバチよりも2まわりぐらい大きくて、少し気立ての優しい感じのハチです(笑)。

大畠:マルハナバチって、ご存知の方はどのぐらい、いらっしゃいますかね?

(会場挙手)

1人、2人、3人。

木村:なるほど。絶対に農場関係のことをやっていますね。

大畠:ははは(笑)。

木村:はい、今日の主役はマルハナバチというハチでございます。実際に、私も今回の取り組みをやるうえで、千葉の農場に何度も足を運んでおります。(スライドを指して)ここにございますように、実はこのマルハナバチというのは、この箱に30匹ぐらい入ったセットで売っているんです。

この箱が、1箱でだいたい3万円ぐらいするらしいです。これが例えば、昨年度に何箱ぐらい出ているか、知っていますか? 

大畠:数百とかですか? 

木村:これはですね、昨年だけで20万箱ぐらい売れたそうです。

大畠:おお!

木村:3万円で20万箱ということはけっこうなビジネス規模なんです。このハチに需要があるということを、僕もこれをやるようになって知ったところでございます。

大畠:なるほど。

センサーでハチの行動をカウント

木村:実際、このマルハナバチがどこで使われたかと申しますと、メインはトマトです。それ以外のナスやメロン、そういったところでもマルハナバチは活躍しています。今、トマトの半分近くは、このマルハナバチががんばって受粉をさせて、育てているというかたちになっています。

実は人の手で受粉させるよりも、ハチがやったほうが美味しいトマトができるんです。これを説明すると長いんですけれども、これは実証実験済みで、科学的に証明されています。

その点で、実は今ハチの行動準備を知ることがとても大事な状況になっています。どの時間帯、あと温湿度との関係、そのほか環境との因果関係、そういったものを今は知る由がないんですね。それを知ることによって、効率のよい野菜の生育ができるようになります。

そのために今回、我々はこういった青い、オリジナルのハチのカウンターを作りました。実はこのなかにフラップと赤外線のセンサーがあって、それによって(箱からの)ハチの入と出をカウントしています

大畠:これで(入と出が)取れるんですね。

木村:はい。こちらは、千葉のトマト農園で我々がMotionBoardを使って実際に可視化をしているものでございます。来年のサービス化に向けて、今進めているところです。

大畠:楽しみですね。

木村:はい。これが1つ目の、レンジャーシステムズが取り組む農業というところです。

運輸のIoT、マットセンサーでバスの乗降客数を計測

木村:続きまして、「運輸 × IoT」ということで、レンジャーシステムズが取り組む運輸について申し上げますと、キーワードは「バス」です。主役はとあるバス会社です。

実はバス会社というのは地域公共交通確保維持改善事業費というのが、毎年国からの予算としてついています。平成29年では214億円でした。

いろいろなことに使われていますが、1つとしては、いわゆる過疎地で、使う人数が少なくても、バスの運行はやはりどうしても生活に必要なので支えないといけない。そういったところに対しての補助金が国から出るんですね。バス会社はその補助金の申請のために、路線区間ごとの乗降客数を調べる必要があります。この数によって、補助金の金額が変わってくるんです。

東京など、そういったところのバス会社は、だいたいICカードのデータを利用して計測をしている例がほとんどです。ただし、そうできるのは都会だけなんですね。田舎は、いまだに現金でバスの乗り降りをしているお客様がほとんどで、ICカードのデータは使われない。

では田舎のバスは今、どうしているかと申しますと、これは地方バスのぶっちゃけです。我々も聞いてびっくりしましたけれども、地方の路線バスの乗車数の確認は、実は運転手が(お客様が)乗ったり降りたりするときに、ペンで正の字を書いて数えている。

大畠:これ本当ですか!?

木村:本当です。僕も聞いて驚いたんですけど、「どうやってやっているんですか?」と聞いたら、「運転手が紙に書いてるんです」と。とてもアナログな感じでやっているんですね。今もやっているという驚愕の事実を知りました。

そこで我々は、こういったオリジナルのバスの乗降キャッチ数がカウントできるマット型のセンサーを作りました。今これを実際にバスに載せてカウントをしております。

大畠:黄色い部分が、このマットセンサー。

木村:そうです。今は後ろと前と両方ついていますけども、今後は、後ろ側だけになる予定です。

大畠:はい。

木村:こういったかたちで乗降客数のカウントをしていますが、この可視化もMotionBoardを使って、現在やっているところでございます。

大畠:ありがとうございます。

「monoコネクト LoRaWAN」で工期を圧倒的に短縮

木村:ここまではレンジャーが取り組む農業と運輸です。最後におまけでほかにもMotionBoardを使ってやっていることがありますので、少しだけご説明させてください。

実は私どもは11月1日に、monoコネクトの新しいサービス、「monoコネクト LoRaWAN」をはじめております。我々が提供しているLoRaWANは、エンドデバイスとゲートウェイと、あとはネットワークサーバーも自社で開発しておりますので、ワンストップでセンサーからネットワークサーバーまでを提供できるようなものとして、開発をしております。

木村:デバイスはGemtekという台湾の会社の製品と、販売と技術提携をしています。実際にこの会社のセンサーやゲートウェイを使って、既に導入を進めているところがございますので、その事例を2つご紹介します。

まず1つは、スマートパーキングというものを、実際にお客様に導入して進めております。こちらのお客様は、駐車場に300車室ございます。そこにパーキングセンサーを付けてLoRaWANのゲートウェイ1個で、リアルタイムで可視化をするということをやっております。こちらは、お客様からやりたいと言われて、実際にサービス構築が終わるまで1ヶ月かかっていないです。

実はこのLoRaWANを使うと本当に、圧倒的な工期の短縮ができるので、コストも削減ができるという利点もあります。そして、この可視化をする部分もMotionBoardを使って、進めております。

大畠:ありがとうございます。

手軽なデバイスと簡単な可視化でお客様の役に立つ

木村:あともう1つ、実際に導入して進めていることは、車両のモニタリングです。これは車両と申し上げましても、建設現場にある重機です。建築会社から重機のいろいろなお話をすると、重機が実際に稼働している時間を、しっかりとモニタリングしたいという話をよく聞きます。

それを実現するものがなかったと言われていたんですけれども、今回我々が提供するGemtekのセンサーのなかには、車のアクセサリーキーやスターターと連携するローラーモジュールがあるんです。

それを重機に取り付けることによって、重機にはGPSもありますので、どの場所で何時何分にエンジンがかけられて、何時何分にエンジンを切ったかという情報がリアルタイムで取れるような仕組みを、某大手建設会社と進めているところです。

これも、可視化のときにMotionBoardを実際に使わせていただいています。これはお客様から要望があってから、ここまで作るのに2、3週間でした。その要因の1つとして、やはりビジュアライズも簡単にできるといったことがあり、短納期でもこういった開発ができるということでございます。

我々のmonoコネクトのように、手軽にお客様に提供できる簡単なデバイスと、あとは簡単に可視化ができるMotionBoardを組み合わせることによって、本当に手軽にIoTサービスを実現できるということが、今我々が付き合っておりますお客様にとってすごく役に立っていると感じます。

このように我々はこのMotionBoardを使って、いろいろとお客様にサービスを提供していけると思いますので、どうかよろしくお願いします。

IoTの導入依頼が一番多いのは「トイレ」

大畠:ありがとうございます。1つだけ質問で、今、レンジャーシステムズさんに1番多くIoTの依頼が来ている業種や業態はどのようなものがあったりしますか?

木村:「レンジャー トイレ」「IoT トイレ」と検索するとだいたいレンジャーシステムズの名前が一番上に出てくるんです。今、圧倒的に売れているのが、IoTトイレなんですね。

IoTトイレ、既に1,000個室以上の導入事例があるんですが、最近では電車の、電鉄会社の導入も進めたりしています。やはりそういったわかりやすく手軽なサービスが、すごくウケがいいなとすごく感じています。

大畠:なるほど。トイレビジネスはまだまだこれから広がるというところですね。どうもありがとうございました。みなさん拍手で、お願いいたします。

木村:ありがとうございました。

(会場拍手)

協業によるMESソリューションの提供を開始

大畠:もう1社、スカイディスクの橋本様にご登壇いただきたいと思います。みなさま拍手でお迎えください。お願いいたします。

(会場拍手)

橋本司氏(以下、橋本):よろしくお願いします。

大畠:よろしくお願いします。今日この場でお伝えできるお知らせがあるんですよね?

橋本:そうですね。

大畠:これは今日のプレスリリースですよね? こちらはどういった内容ですか?

橋本:我々スカイディスクはAIのサービスで「SkyAI」というのを提供しているんですけれども、それと、ウイングアークさんのMotionBoardでMESソリューションを一緒に提供していくというお話です。

ターゲットというか、何を解決するかというと、やはり工場内です。工場内の生産状況や効率性、そういったところをまず可視化して、分析をしていく。といったところでタッグを組ませていただいたという事例が、まさに今日、解禁しました。

大畠:本当によかったですね。

橋本:はい。

大畠:こういう場でもお話できて非常にうれしいなと。我々はやはり、製造業のお客様が非常に多いものですから、そのなかでまさに今日のテーマでもあるAI、このキーワードを入れられるのは非常にうれしいなと思っております。

ではさっそく橋本さん、よろしくお願いいたします。

センシングから分析までの「ワンストップソリューション」

橋本:はい、ありがとうございます。よろしくお願いします。あらためまして、我々スカイディスクは何をやっている会社かと言うと、IoT、AIを進めている会社です。

世の中には、まだデータ化されてない事象がたくさんと思っていまして、まずそれをデータ化したいと、そこからたくさんデータが集まってきますので、それを分析してサービス化に繋げていきたいと考えている会社です。

実は我々は福岡に本社がありまして、福岡から参りました。東京にも営業所がございますが、福岡から世界に羽ばたいていこう、という会社でございます。2013年に立ち上げまして、今5年目になっております。

我々は何をやっているかと言いますと、3つ軸がございます。1つはIoTセンサーデバイスの開発、2つ目がAIクラウドの構築。3つ目が、これら2つを組み合わせてIoTの分野別のサービス化を行う、ということをやっています。

さらに2つ、我々は会社としての強みを持っています。そのうちの1つ目ですけれども、ワンストップソリューション。これは何かと言いますと、みなさんも携わったことのある方は、痛感していらっしゃるんじゃないかなと思うんですけれども、IoTではセンシングがあり、通信をして、可視化をして分析をするという、非常に幅の広い領域の技術が必要です。我々はこの技術領域すべてを提供しております。

これは、ただセンサーの単体販売をするとか、通信の販売をするということだけではなくて、業種別パッケージです。例えば今回お話をさせていただくような設備向けのIoTやAIソリューションというかたちで、全体をカバーして必要な機能を提供する「ワンストップソリューション」が我々の1つ目の強みです。

2つ目のAI、なかでもとくに時系列データに特化したAIを提供させていただいております。時系列データに特化した、とはどういうことかと言いますと、センサーデータというのは、タイムスタンプ付きで時系列に並んでいるデータになります。

このデータをAIで分析をする、というところに我々は強みを持っています。本来は、時系列とAIは少し相性が悪いんですが、それを我々のノウハウを活用して、AIを使って分析をするということをやっております。

それをさらに、例えば保全分野のなかで、歯車に傷が付いてるかどうかを分析するような学習モデルを生成して、それを分野別の学習モデルとして提供する、ということもやっております。

大学での研究をきっかけにIoTビジネスへ

橋本:そもそもなぜIoTビジネスに取り組んだのか、こういう背景を少しお話ができればと思います。みなさん、たぶん今日来ていらっしゃる方はIoT、もしくはAIに何らかの興味がある方ですよね?

大畠:そうですね。

橋本:そうですよね(笑)。そもそもセッションがIoT、AIのセッションなのでそうだと思うんですけれども、そもそも、なぜ会社を立ち上げたのかというきっかけのところからお話をしたいと思います。

私は2つの背景を持っています。1つは大学での研究が、いわゆる人工知能だったんです。もしデータ分析とか人工知能、AIを使った何かをやっていらっしゃる方ならわかると思うんですが、アカデミックな分野でAIの研究をやろうとすると、けっこうデータありきなんです。

データがすでにある状態ではじめることが多いんですね。そこで、たぶんデータを集めるのも大変だろうと思って、最初にセンサーのデバイスの開発をしてみました。

センサーの開発をするときに、単に温度データだけを取ってもおもしろくないので、温度も取れるし加速度データも取れるし、明るさのデータも取れる。というように、さまざまなデータを組み合わせで取れるようなセンサーを開発して、AIに食わせていく、ということをやった経験が、今の会社のきっかけになっています。

大畠:もともと、こういったいろいろなセンシングができるデバイスを作られて、データを集めてAIで分析するということをやられていたんですね。

橋本:今ではIoTの企業はけっこう一般化してきていて

大畠:先ほどのお話は何年前くらいですか?

橋本:2011年が一番最初だったと思います。6~7年前ぐらいですね。

大畠:その頃は、IoTってなかなかできないですよね。

橋本:そうですね。少しIoTに関する企業が出はじめたかなというぐらいだったと思います。あと、当時はセンサーをネットワークに繋げるということすら、けっこうハードルが高かった時代です。今はかなり改善されてきているなと思います。

きっかけはそういうところなんですけれども、そういったなかでビジネスとしてはじめていくと、AIが適用できる分野はさまざまあるなと思いはじめて、単にAIで分析するだけではなく、それを実サービスに繋げていきたいと思うようになりました。

電力設備と建設機械、IoT化の2つの事例

橋本:ここから実際に適用している例を、少しだけお話をさせていただければと思います。1つ目はとある電力会社さんの事例になります。とあると言っても、日本に11個しかないのですが(笑)。

大畠:そうですね(笑)。

橋本:何をやったかと言うと、電力会社さんは設備産業になっていますので、そのなかの設備の状態を分析をしたいというニーズをいただいて取り組んだ事例になります。

温湿度の情報、振動、あとは音の情報ですね、これらを設備の状態の情報として収集をいたしまして、蓄積して分析をする。そうすることによって、機械の故障の予兆を見つけていくということをやらせていただきました。

2つ目は、これも保全の一環でやらせていただいている例になります建設機械のIoT化というところです。

大畠さん、建設機械ってあまりまじまじと見たことはないんじゃないかなと思うんですけど。

大畠:そうですね、携わることがなかなかないので、あまり見ないです。

橋本:実は建設機械のアーム、手の部分ですね、この先端があるじゃないですか? ショベルの先端。

大畠:はい。

橋本:実はそこが取り外しできること、ご存知でした?

大畠:いや、あまり私は詳しくないですし、そう思っていなかったです。

橋本:ですよね。実はこれ取り外しができるんですね。この例は「油圧ブレーカ」というシステムなんですけれども、ショベルはスコップになっているものですが、今回は、岩を砕くようなものをIoT化したいということで、建設機械のなかでも、けっこうニッチなところをIoT化させていただきました。

これによって、例えば打撃した回数、岩を砕いた回数がわかります。岩を砕くために何回突いたかという回数や作業情報の詳細、メンテナンスの履歴、こういった情報も取れるようになっています。

まだここから先は、実は今まさに取り組んでいるところではあるんですけれども、稼働状況がリアルタイムにとれるようになってくると、油圧ブレーカは建機のなかでも一番壊れやすい部類のものなんですが、それが壊れる前提、どうやったら壊れるか、どういう行動を起こすと壊れやすいか、という予測に繋げていく。そういったことをやっている事例です。

大畠:ただこれ、打撃数を測るって、かなりの圧力と言いますか……。

橋本:すごいですね。

大畠:そうですよね。

橋本:「100G」という圧力がかかってきます。

大畠:それでもセンサーは大丈夫だったんですか?

橋本:やはり専用のセンサーはないので、我々はそこから開発をしています。

大畠:なるほど。

協業のきっかけは多様な可視化のニーズ

橋本:ここで、ウイングアークさんとの関わりについてお話しします。

大畠:はい。ありがとうございます。

橋本:実は私、十数年間、SI事業をやっていたことがあって、そのときに帳票ソリューション「SVF」をものすごく利用させていただいていました。

大畠:ここでSVFが出るとは思わなかったですね(笑)。

橋本:そうですよね。今日のテーマとはぜんぜん違うと思います。

大畠:まったく違います(笑)。

橋本:はい(笑)。実はこのSVFが私と、当時は翼システムさんですが、ウイングアークさんとの(最初の)繋がりです。ただ、その後に、非常におもしろいサービスの提供をしていただきました。それがMotionBoardです。これがIoT、AIと非常に相性がいいということで、本日のアナウンスの協業にも繋がっているんですけれども、我々がIoT、AIを実現するなかで、3つ課題を抱えていました。

1つは、可視化ニーズが非常に多様だったり、入ってくるデータもさまざまなものだったり、顧客側でカスタマイズしてデータを見てみたいというニーズもあるんです。こういうものを、MotionBoardを使うことによって一気に解決できるということで、本日発表させていただいたように協業させていただきました。

またもう1つの課題ですが、我々は今社員が25名で、私自身はSI出身なんですが、SIを会社としてできるような体力がまだないので、これは福岡の会社ですが、エコー電子さんというインテグレーターさんと一緒にタッグを組んで、インテグレートはエコー電子さんがやり、ツールとしてウイングアークさんがいて、我々はIoT、AIの分析をやるということをやらせていただいております。

「スマート聴診棒」で機械装置のヘルスチェック

橋本:我々はAIに対する取り組みとして、1つ、少しだけおもしろい事例を持っていまして、みなさん、聴診棒ってご存知だったりしますかね?

大畠:聴診棒をご存知の方、どれぐらいいらっしゃいますか?

(会場挙手)

大畠:1人、2人。あ、けっこういらっしゃいますね。

橋本:10人ぐらいはいらっしゃるような気がします。聴診「器」というとお医者さんが使うものだと認識していただけると思いますが、それとほぼ同じような機能で、機械装置のヘルスチェックをするために使う棒状の器具、それが聴診棒になります。

これを使って、人間の耳で音を直接聴いて、機械装置の状態を診るというのが聴診棒の役割です。これを我々がスマート化するということでやらせていただいたのが、「スマート聴診棒」という事例になります。

これが実際にMotionBoardを利用させていただいて、可視化をしている事例になります。ここにはほかの情報も少し付与していて、CO2や湿度、温度、こういった情報もあわせて表示しています。

MotionBoardを使うと、例えば、1日の不快指数がどうかなど、そういったところまでわかるようになっていて、これを1から開発しようとするとやはり大変なので、非常に我々も助かっているという事例になります。

今後は可視化だけでなく、分析とフィードバックが重要

橋本:最後に、我々とウイングアークさんも絡めての今後のビジネス、IoT業界がどうなっていくのかというのを、じっくり考えてみますと、今は、ウイングアークさんも可視化のニーズって非常に大きいですよね?

大畠:大きいですね。

橋本:それはつまり、IoTのニーズの高まりだと思うんです。そこが、これから先どうなっていくかと言うと、やはり単に可視化するだけではなく、分析をして、それを何らかのフィードバックに繋げていくということが広まっていくと、我々は考えています。

なので、IoTの可視化のニーズと、そこに対する分析のニーズを加えて、AIを組み合わせることで、例えば先ほどの熟練工をAIに置き換えるとか、人材不足をAI、IoTによって考えるとか、そういう動きに繋げていきたいと思っております。

以上で発表を終わりたいと思います。ありがとうございます。

大畠:はい、ありがとうございます。

(会場拍手)

大畠:1つだけ質問なんですが、AIにはいろいろな広がりがあると言っていましたけれども、橋本さんの目から見て、どういったところに広がっていくと思われますか?

橋本:まず、今回の発表では、工場の設備のIoT化というところで事例をお話をさせていただきましたが、工場のIoT化は、やらせていただければいただくほど奥が深いなと感じています。

大畠:なるほど。

橋本:やはり日本の工場は、もう30年、40年、下手すると50年経っていて、それに合わせて、メンテナンスを専門でやっている方もいらっしゃいます。既にスペシャリストがいて、そこではやはり人が不足してきている。

その状況をIoT、AIで変えていくにあたって、「工場」とひと括りできず、さらにいろいろと細分化されたところに広がっていくんじゃないかなと思っています。

大畠:はい。ありがとうございます。これからまだまだ、AIのチャンスはあるかなというところでございますね。

橋本:まだまだ、はじまったばかりだと思います。

大畠:そうですね。どうもありがとうございました。

橋本:ありがとうございます。

(会場拍手)

橋本:今ご覧いただいたように、我々(の領域)は可視化で、さまざまなメーカー様とお付き合いさせていただいて、エンドユーザー様に対してエコシステムをお届けして、何かのお役に立てていただきたい、そのように考えております。

以上で我々のセッションは終わりとします。どうも、ご清聴ありがとうございました。

(会場拍手)