AKBに入って感じた夢と現実のギャップ

司会者:はい。では続いてのテーマに参りましょう。

「夢と現実のギャップ」ということで、就職をされてからこれを実感するという方も残念ながら多いと思うんですけれども。川栄さんは、なにか夢と現実のギャップを感じるようなこと……先ほど劇場公演をご存じなかったというのもありましたけども。印象的なものはありますか?

川栄李奈氏(以下、川栄):それこそ本当にAKBに入ったときですね。テレビに出ているメンバーはだいたい16人なんですけど、ほかのグループを合わせたらほかにも何百人もメンバーがいます。

ただテレビを見ているだけの時は「あーなんかAKB入ったらここ入れるんだ」と思ってたんです。(入ってみると)まったくそれは違っていて。ちゃんと自主練もしなくちゃいけないですし、レッスンもたくさんありますし。すごく大変だなと思いました。

佐藤裕氏(以下、佐藤):そもそも自分の小さいときの夢って、なにかあったんですか?

川栄:私は犬が好きだったので、犬関係の仕事をしたいなと思っていました。

佐藤:犬関係?

(一同笑)

佐藤:すごくふわっとした感じ。

川栄:ペットショップとかで働いたり、なんか犬に触れたらいいなって(笑)。犬にたずさわれたらいいなと思ってました。

佐藤:なるほど。ちなみに、犬は何犬を飼われていたんですか?

川栄:犬はミックス犬6匹を飼っていました。

佐藤:6匹? 本当に好きなんですね。

川栄:好きです。

働く中で仲間は絶対に必要

佐藤:でもその夢と現実って、大きなギャップあるじゃないですか。

川栄:はい。

佐藤:それはあまり考えないとは思うんですけど、どう思われています? 今の自分と、ワンちゃんと戯れてる自分。

川栄:犬は6匹いるので、ペットショップみたいな感じなんです。仕事じゃないですけど、そこはすごく充実しているというか。自分のやりたい犬関係のことは、プライベートでできている。

佐藤:なるほど。お仕事の話で言うと、夢の中でAKBが好きだったという話があって……。好きだったところに自分が入って感じたギャップに、お芝居とか難しいなどがありました。それ以外になにかギャップはありますか? 

川栄:本当にすごく大変でした。高校1年生で入ったので、学校にも途中から通えなくなってしまって転校したり。友達もだからぜんぜんいなかったです。

佐藤:そこを乗り越えていったのは、どういうエンジンというか原動力なんですか?

川栄:私にとって一番はメンバーですね。メンバーは今でもずっと仲がいいんですけど、ドラマは3ヶ月間とか終わったらもう次の現場になります。そうすると、もうその人たちとは会わなかったりするんです。でもAKBはもう何年も同じメンバーでいるので、本当に家族みたいな感じですごく支えられています。

佐藤:では、働くという中に川栄さんは「仲間」は絶対に必要?

川栄:絶対に必要ですね。

佐藤:これから働く人たちにも、それはおすすめですか?

川栄:もう絶対です。

佐藤:なにかあったときに、乗り越えるときに。

川栄:はい。友達が一番だと思います。

佐藤:なるほど。ありがとうございます。

女優になって意識したのは「昔のキャラクターを消す」

司会者:はい。では続いてのテーマに参りましょう。

「会場からの質問」ということで、Twitterに投稿された質問を選んでいきたいと思います。2つご紹介したいと思います。

まず1つ目はtw37さんから「アイドルから女優にシフトした際、立場がなにかしら変わったと思います。その際に苦労したことや、自分らしく変えたことはありましたか?」ということです。

川栄:いろいろあるんですけど、1つはアイドルというグループから1人になったので。1人だという自覚を持たなくちゃいけないなと思いました。

司会者:具体的になにか自分で努力されたとかはありましたか?

川栄:努力をしたことは、「AKBから女優になる」と言って辞めて……。私はずっとおバカキャラだったんですけど。そういうキャラクターの方ががお芝居してるのを見たとしたら、バカな人なんだとか思っちゃうタイプなんですね、私は。

佐藤:自分が見てて。

川栄:自分が見てて。なので、自分のキャラクターは消すようにしました。

佐藤:ものすごく難しそうですけど……。昔のキャラクターは、どうやって消していったんですか?

川栄:簡単なことだと、あまりしゃべらないとかですね。

(会場笑)

バカがバレるようなことはしないとか。そういうことは大半できるようなことからやっていきました。

「おバカキャラ」は本当は賢い?

佐藤:今意識してることはあります?

川栄:今は……これでたくさんしゃべると出てきちゃうんですけど(笑)。

佐藤:大丈夫ですよ。

川栄:大丈夫ですか? 雰囲気からちょっとおとなしくしてます。ふふっ(笑)。

佐藤:ですって。

(会場笑)

そういうことは意識しているんですね。

川栄:意識してます。

佐藤:いろんな場面で?

川栄:いろんな場面でしてます。

佐藤:そうなんですね。では、名古屋でご挨拶した、あのパックで出てきた時は?

川栄:あれはちょっと、出ちゃってた(笑)。気が抜けちゃっていて。

佐藤:今の質問からちょっとそれるんですけど。おバカキャラというキャラクターですが、ビジネスマンからすると賢いんですよね、川栄さんって。

ここでみなさんにすごく伝えたいのが、いわゆるおバカキャラの裏側でいうと、頭の回転が速いんですよ。だから今もそうですけど、一緒に仕事していると頭の回転が速いんですよ。

(押し黙る川栄氏を見て)なんで黙るの? (笑)。

川栄:(笑)。

佐藤:ということはたぶん、昔からそうじゃないんじゃないかなと思っているんです。

グループから離れるからこそ意識した言葉遣い

大人の世界で揉まれることによって、なにか変化とかってありました? 15歳でこの世界に入って。

川栄:そうですね、15歳でそんなに大人の方と接する機会ってあまりないので、そういう大人の人の意見とかを聞くようにしてたりしてました。

佐藤:アイドルの時と女優になって今……関係者も違うと思うんですけど、なにか変化とかありました? しゃべり方とか言葉の伝え方とか。

川栄:ちゃんとした言葉を使うようにしてます。

佐藤:それは意識して?

川栄:意識です。

あと、AKBの時はグループだったので、とくに一緒にいるだけでした。だから、なにかを代表してキャプテンがしゃべってくれたりとかあったんです。でも今は1人で全部やんなくちゃいけない。そこはすごくちゃんとするように意識はしてます。

佐藤:それはさっきの「自覚」につながるんですね。

川栄:はい。

佐藤:はい、ありがとうございます。

熱意ある人の共通点は「ちゃんとあいさつをする」

司会者:はい、ではもう1ついきましょう。

ヤマウチユカさんから「さまざまなフィールドで働いている人がおり、その内容は人それぞれだと思います。川栄さんがこれまでに出会ってきた方の中で、熱意のある働くことを楽しんでいる人にはどんな共通点がありましたか? またその姿を見て、実際に自分に影響を与えたものがありますか?」というものです。

川栄:なんですかね……熱意のある人? 最初の印象だと、ちゃんとあいさつする人とか、声を張ってちゃんとしゃべる人はすごく伝わりますよね。

佐藤:川栄さんって、人見知りですよね?

川栄さん:人見知りです。

佐藤:本にも書いてましたよね? でも僕が初めて会ったときに、ものすごく元気だった印象なんですよ。楽屋の奥からキャッキャと聞こえていたし、会ったときのあいさつをものすごく丁寧にするじゃないんですか。あれは意識しているんですか?

川栄:意識してます。人としゃべるときだったりあいさつするときだったり。私はもともと体育会系なので、そういうのをちゃんとするようにしてます。

佐藤:教育、厳しかったんですか?

川栄:厳しかったです。あいさつはもう絶対ですし、声も大きくないとダメだと、ずっと言われていました。そこは意識するようにしてます。

佐藤:でもそのときの、学生のときにそういうのって嫌だったんですか? 厳しい教育みたいなのは。

川栄:厳しいのはすごく自分のためになるなって思ってました。

佐藤:じゃあ今それ生かされてるっていう感じですか?

川栄:はい。

佐藤:なるほど、ありがとうございます。

女優をやってみて気づいた自分の特徴

司会者:はい。ではここでもう一度ランダムにピックアップしていきたいと思います。次のテーマはこちらです。「尊敬する人」ということですが、川栄さんにとって尊敬する人はどなたかいらっしゃいますか?

川栄:私は、女優の満島ひかりさんがすごく好きで、ずっと尊敬しています。

司会者:どういった点が?

川栄:ずっと好きだったんですけど、「ごめんね青春!」というドラマで一度共演させてもらったときに、本当にすてきな女優さんだなと思ったんです。そこからすごく、もっと好きになりました。

司会者:実際にお会いされてみて、なにかイメージと印象は違いましたか?

川栄:すごく静かな方だと思ってたんですけど、とっても明るい方でした。そこがすごい意外だなと思いました。

佐藤:それはもともと持ってたイメージと、会ったときに違うわけですよね? そういうギャップは、川栄さんから見てどう思います?

川栄:明るそうに見えて静かな人だと、「あー静かなんだ」と思うんですけど。静かそうに見えて明るいと、すごくうれしくなります。

佐藤:そこから魅力をつかんで、好きになる感じなんですかね?

川栄:はい。

佐藤:そうなんだ。もうちょっと具体的に、もっとギャップがあったところ、イメージと違うところ……。僕らもテレビで見ているとそんなに(川栄さんが)やんちゃな感じもしないし、お茶目な感じもしないんですけど、実際はそうなんですか?

川栄:そうですね。あとすごく、1つの作品をやっていたらプライベートでもずっとその役が抜けない方がいらっしゃったりします。私もそういうタイプなのかなと思ってたら、カットがかかったらもうコロッと元に戻るというか、オンオフがすごく切り替えがすごくうまい方でした。

尊敬する人になりたいタイプ?

佐藤:尊敬する人で挙げていただいたんで。川栄さんは自分の尊敬する人になりたいタイプなのか、いやいや参考としてぜんぜん違うことをやるタイプなのか。どっちですか?

川栄:違うタイプですね。

佐藤:尊敬している人に自分を寄せていったりとか……。

川栄:ないですね。尊敬している人に自分を寄せたりしても、その人は超えられないと思うので。なので、違う方向にいきます。

佐藤:自分にないものを持ってる人に少し惹かれる傾向があるかもしれない?

川栄:そうですね。

佐藤:それって、自分の成長になにか後押しするものってあります? 要は、人を尊敬することによって、自分の成長に繋がることはあります?

川栄:それこそ、私は本当にあまり明るくなかったので、満島さんを見ててすごく明るい方で「こういう明るさもすごい大事なんだな」「いろいろと自分と違うな」と思ったんです。そういうのはすごく勉強になるなと思いました。

佐藤:なるほど。今日の会場のみなさんもこれから尊敬する人を見つけたり、自然と「この人いいな」となったり、もうそこに真似しようとしたり。そういったことが多くなってきたりすると思うんですけど。

それに関して、なにかアドバイスはあります? 真似するのが悪いわけじゃないですけども。

川栄:そうですね。真似するより、自分の個性がすごい大事だと思うので。自分のもともと持っているものを生かした方がいいんじゃないかなと思いますね。

「壁をつくるタイプ」だった自分を変えるために

佐藤:自分の個性って、いつごろわかってきました?

川栄:私はけっこう人に言われたりとか、「こうだよね」と言われることで「私ってこうなんだ」と思ったりとかしました。

佐藤:それは言われていいことも悪いこともあるじゃないですか。

川栄:いいことも悪いことも言われます、はい。

佐藤:悪いことを言われた時って、イーッてなりません?

川栄:「そうだな」となります。つい最近、小学生時代からの親友に会っていたんですけれど、「人と壁をつくるよね」と言われたんですよ。

佐藤:友達に?

川栄:初めて会った人への壁が厚すぎて、そこが縮められないよねと言われて。そこは、たぶんあまり良くないことだなって思ったので、調べました。

佐藤:どうやって調べたんですか?

川栄:「壁を崩す方法」で検索、みたいな。

佐藤:なにかあったんですか? トンカチで叩くみたいな。

川栄:結局、気持ち次第だなっていう。

佐藤:それって実践してます?

川栄:してないです。

佐藤:してないんですね(笑)。

川栄:してないっていうか、できないです。人見知りがちょっと強すぎて「ちょっとダメだな」と思いました。

佐藤:それは閉じる感じ? 蓋を閉める感じ?

川栄:はい(笑)。

佐藤:はい、ありがとうございます。