絵本業界に嫌われている?

のぶみ氏(以下、のぶみ):だけど、俺の場合なんだけど。本がすごいベストセラーになる前に、なんかそういった「えー! ありえねー!」っていうトラブルが起こるんですよ。

西野亮廣氏(以下、西野):なるほどね。

のぶみ:『ママがおばけになっちゃった!』のときも、講談社が「こんなの絶対売れない」って言って、4,000部にされたことがあって。で、「今回も本屋から言われる?」と思って。「俺、この本けっこうおすすめなのに、本屋さん置かないんだ、俺の本」と思って。ピンチじゃんかって。でも、その後巻き返すんだよね。

西野:たしかに。

のぶみ:そういう、なんだろうな、前振りみたいなのがあるのかもしれないですね。

西野:なるほど。僕の絵本が嫌われるのってすごくわかるんですね。

のぶみ:嫌われる?

西野:僕の絵本が、絵本業界の人から、「ケッ」てされてるかどうか知らないですけど。(手のひらを前に向けながら)こうされる感じってなんかわかるんですよ。

「分業制やっちゃおうぜ!」とか、「無料にしちゃおうぜ!」とか言うから、絵本業界の人は「いやそんなんやめてよ」っていう感じって、なられても仕方がないなと思うんですけど。のぶみさんが、こうされる理由がよくわからないんですけど。

のぶみ:なんでなんだろうね? よく言われるよね(笑)。よく言われるんだけど。

西野:なんか、妬みもあるんですかね。絵本ってほとんど売れてないじゃないですか。世の中の絵本ってほとんど売れてない。でものぶみさんの本って売れるじゃないですか。

のぶみ:そうそう。

西野:そういう妬みというか、「売れるものはダメ」みたいなのがあるんですかね。

のぶみ:あるいは、むかつく顔なのか(笑)。かもしれない。でも、愛される顔だとも思ってるのに(笑)。なんなんでしょうね? ちょっとよくわかんないんだけど。

僕らは“助けて商法”で生きている

それで、西野さんにもシェアしてもらったんですけど、すごいなと思ったのは、俺、この個展にみんなに来てほしいんですよ。だって来てくれないと困っちゃうから。で、「個展に来るといいよ」ってメリットをFacebookにいっぱい書いたことがあってね。でもこれには、あんまり反応しないんだよ、人って。で、3日目くらいになって「これやべえな」って思って。1日、俺が行かない日200人しか来てないとかいう日があって。

西野:すごいですけどね、200人来るっていうのも本当に。

のぶみ:そうなんだけど、絶対600人ぐらいは来ないといけないやつだったから、やばいやばいと思って。「助けてー!」って書いたのね。思いっきり。そしたら、営業のプロの人に、「助けてとか、そういうネガティブなやつは、ぜったい広告としては言っちゃいけないんです」って言われたんですよ。

西野:へえー! (小谷氏を指して)そんなんばっかり言うてますよ、こいつだって。この夫婦は。

のぶみ:助けてばっかり!

西野:この夫婦それしか言ってないですよ? それで生きてるんですから。

のぶみ:死んじゃうよね、助けられなかったら。で、パフォーマンスとかだったらいいんだけど、俺本気で助けてと思ってんの。それで「助けて」って言って、俺のキャパ以上のことをしてしまったらしいっていうことになって、それを書いたのね、ずらずらと。

そしたら、その次の日に、全員が「のぶみさんが助けてって言ってたから来ました」っていう人だったの。俺ちょっと涙出たよね。

このコンクリートジャングルのなか(笑)。助けてって言って、来るんだと思って、嬉しかったなあ。まあ捨てたもんじゃないですよね。

西野:いや、僕らはそれでだいたい、「助けて商法」で生きてますから(笑)。

のぶみ:(小谷氏に)でも、堂々と助けてもらってるよね(笑)。

西野:全部人のお金でやられてますし。

のぶみ:すごいよね。

西野:全部そうして、そっちのほうが、僕らはもう完全にそうですよ、助けて商法です。

のぶみ:助けてって。

西野:はい。もうそれで一生生きていける。

のぶみ:(笑)。

お金を稼ぐのはやめて、信用を稼いだほうがいい

西野:そうそう、カンパしようと思って、これニコ生で言うようなことでもないですけど。もう、マネージャーさんにはさっきちらっと言ったんですけど。

のぶみ:はい。

西野:もう年明けから、自分の給料を放棄しようかなと思ってて(笑)。もう給料いらねえっていう。

のぶみ:え、ちなみに西野さんっていうのは歩合じゃなくて給料制なんですか?

西野:歩合なんですけど、月末になると吉本からお金が入ってくる。

のぶみ:そうなんだ。

西野:それが、たとえば出演したお金だったりとか、本の印税とかも吉本経由になってるので、そういうお金だとか。入ってくるんですけど、これいらないって思ってですね。

(一同笑)

のぶみ:なんで!?

西野:ちょっとなんか……。いや、そういう生き方される方もいていいと思うんですよ。ですけど、僕が常々言ってるのは、もうここからは、お金稼ぎよりも信用を稼いだほうが話が早いと思って。信用稼いで、っていうのは、稼いだ信用、集めた信用を、お金化するツールは出そろったじゃないですか。クラウドファンディングだったりオンラインサロンだったり。今だったらVALUだったりだとか。

集めた信用をお金に換金する、両替するツールは揃ったんだから。だからここからはもう、お金稼ぐのは1回やめて、信用を稼いだほうがいいっていうのを、けっこう何年か前から言ってたんですよね。

のぶみ:言ってますよね。

西野:何年か前から、「もう時代はそっちになる」って言って。もうお金稼ぐのやめて、しかもちょっとお金稼ぎって、なんかコスパ悪いと思って。コスパ悪いと言うか、貯金するって無駄遣いがひどいと思っていて。例えば、1千万円稼ごうと思ったら、すごくお金かかるじゃないですか。つまり、その都度その都度、たぶん国にすごいお金払ってると思うんですよ。1千万円稼ごうと思ったら、1千万円貯金しようと思ったら、たぶん1千7百万ぐらい稼げてると思うんですよ。

のぶみ:そうですよ。けっこう税金とりますからね。

西野:であれば、1千万円に両替できるだけの信用を稼いでしまって、信用を稼いでしまって、そのとき必要な分だけ、その信用をお金に両替してしまえばいいと思うんですよ。

つまりその、自分が入院するときに40万円いるなと思ったら、そのときにクラウドファンディングで、入院費集めますって言ったら、僕は1千万円分の信用があったら、40万円はそこから出るわけじゃないですか。で、信用稼いだほうが話早いなと思って。

のぶみ:ここでやっぱりみんなが聞きたいのは、「じゃあどうやって信用を獲得するか?」っていう話だよね。

西野:それは、もう簡単です。嘘をつかないってことです。

のぶみ:ああ、わかるねえ。わかる、そういうことね。

西野:みんな嘘つきじゃないですか。全員嘘つくじゃないですか。世の中の人ほぼ、100人いたら、まあ小谷とか、ここらへんはつかないですけど。つくメリットがないから、あんまり(笑)。

のぶみ:(見た目は)つきそうだけどね(笑)。

西野:一番つきそう(笑)。

のぶみ:つきそうだけどつかないんだよね。

西野:グルメ番組でまずいもの出てきたらまずいって言う、とか。でもみんなうまいって言うじゃないですか、嘘つくじゃないですか。「うまい」って言わないと食っていけないから、ごはんを。だけどそれを1回やめてしまって、嘘つかない。あとムカついたら帰る。

(一同笑)

西野:裸の王様に「あいつは裸だ」っていうとか。よくないことはよくないって言うとか、当たり前のことなんですけど。それをやって、とにかく信用稼いでしまって。で、生きていったほうがおもしろいんじゃないの? っていうのを何年か前から言っていたんですけど。

カンパで生きるには常におもしろいことをしなければいけない

この言い分には、多少は説得力あると思うんですよ。具体的な話で言うと、僕クラウドファンディングで、日本で一番集めてるんですよ。

のぶみ:そうですよ。

西野:1億円ぐらい。クラウドファンディング、人からのカンパで。だから、それは信用をお金にしたんだよっていう。この言い分には多少説得力はあると思うんですけど、ただやっぱり穴があって。何かっていうと。

のぶみ:穴が?

西野:穴があって。この言い分には突っ込みどころが残っていて。それが何かと言うと、「とはいえ月末になったら、お前お金もらってんじゃん」っていう。つまり「信用稼いだほうがいいですよって言ってるお前、まだお金稼いでんじゃん」って。しかも、僕けっこう稼いでます。

のぶみ:そうだよ。

西野:けっこう、同年代で。

のぶみ:漫才すごいやってるからね(笑)。もらえるわそりゃ。

西野:そうなんですよ。あと。

のぶみ:講演会ね。

西野:そう。あと、意外とベストセラー作家だったっていうのも。で、「お前信用稼いだほうがいいって言いつつ、お金稼いでんじゃん」。で、そこにはぜんぜん説得力がないなと思ったんで、誰かに言われたわけじゃないですけど、僕がお客さんだったら僕に対してそう思うなと思ったので。じゃあ、もうお金稼ぎもう一切やめてやれと思って。吉本に入ってくる給料は、全額次の何かおもしろいことに投資するか、それか被災地に全額寄付。

のぶみ:えー!

西野:もう給料は1円もいらないっていうふうにして、じゃあ来年から何で生きるかって言ったら、もうカンパですよね。カンパしかない(笑)。

のぶみ:すごいねー。ほぼ浮浪者だよね?

(一同笑)

西野:だから、空き缶持って「生活費ください」っていう(笑)。でもそっちのほうがわかりやすくて。

のぶみ:俺がやらなくちゃあいつ死ぬぞっていう。

西野:そう、それと、こっち側の背筋も伸びる。それは何かっていうと、おもしろいことをしないと、カンパ額が減るわけじゃないですか。つまり、なんでカンパをするかって言ったら、西野の来月の活動も見たいから、来月もおもしろいことやってくれるの見たいからってカンパするわけじゃないですか。だから、僕が食いっぱぐれてしまうと、来月おもしろい活動が見れなくなるからっていうことで、50円とか100円とかカンパするわけですよね。

であれば、そういう生き方をしてたら、僕は常におもしろいことしてなきゃいけないっていう。

のぶみ:なるほどね。

西野:で、この芸歴になってくると、もう癒着で生きれるんですよ。偉いおっさんと仲良くなって、この年齢だいたいそうなってくるじゃないですか。偉いやつと仲良くなって……。

のぶみ:芸能界もそうですよね。

西野:はい。癒着で生きれると思って。そうなったときに、おもしろいだけじゃなくて癒着で生きてる部分があると思っていて。そうなったら、おもしろいっていうことにあんまりコミットしなくなるなと思ったんで、とにかく毎月、毎月おもしろいことをするっていうふうにしたいなと思ったときに、まずこの給料形態を変えたほうが良いと思って。お客さんからのカンパで生きるっていうふうにしてしまえば、否が応でもおもしろいことしなきゃいけないっていう。

のぶみ:それ来年からもうはじめるんですか?

西野:はい。もう。

のぶみ:ええー、すごいな。