須藤騒動、「女って怖い?」

山田玲司(以下、山田):こっからだよ、こっから。

乙君氏(以下、乙君):こっから来ますか。

山田:そんなこんなで、(NMB須藤凛々花の騒動で)女の子が怖いですっていうことになりかねないじゃない? で、女の子怖いですか?

乙君:まあ怖いですね、やっぱり。

山田:どこが怖いですか?

乙君:やっぱりよくわからんところですわな、いつまでたっても。経験でわかったつもりでもやっぱり1人ずつ違うし。だけど同じだしみたいな。その辺の通り一遍の理論じゃもう太刀打ちできないところはやっぱり怖いですね。未知なるものっていう。

山田:しみちゃんは怖くないね?

しみちゃん氏(以下、しみちゃん):いや、僕も彼に激しく同意を(笑)。

山田:マジで。だって毎日切ってるんでしょう、女の子の髪の毛。

しみちゃん:はい。

山田:でもやっぱり思ったことと違ったりとか予想どおりにいかないっていうことのほうが多いですよ。

山田:女はわからない。

しみちゃん:わからないです、やっぱり。

山田:そう。これが昔の人も同じことを考えてたわけですよ。それで「心っていうものはなんぞや」「女ってなんぞや」みたいなことを研究してる人がいるわけですよね。その心理学の立場から女ってなにかってことを研究してた人がいますね。

それがフロイト派ではなくユング派にいて、それで女ってなんだってことを分析してるわけです。それが昔から俺はすげーおもしろくて。

「この女ってなんぞや」ってユング派の人が分析しているっていうことが、俺は女が怖いとか女がわかんないって問題をちょっとだけ解決するヒントがあるような気がする。

乙君:ほうほう。

山田:そしてアイドル文化にどういう心持ちで挑んだらいいか。

乙君:アイドル文化もそれでいけるの?

山田:いけるっていう確信が持てたんで。いや、確信か?

(会場笑)

そんな気がしてきたんで(笑)、言おうかなと思って考えてきました。

乙君:ちょっと覚悟はしておけ的な。

(会場笑)

それは後半に。

山田:いや、このあとやります。

乙君:やるの?

山田:今すぐやります。

乙君:わかりました。

山田:問題は女だって自分のことわかんない。男だって実はそうなの。

乙君:そう。男だって男のことわかんない。

男女の違いを哲学から紐解く

山田:なんでかっていうと、人間には表層の心理と深層の心理があって、深層心理というものは不可解なの。ただ、それは存在する。その存在する深層心理、無意識っていうものを発見したのがジークムント・フロイトですね。それの弟子がユングですね。

ユング派が流れ出た中で見つけたんですよ。

乙君:見つかりましたか。

山田:お前の心の中にも乙女がいるじゃんっていうやつ。これがいわゆる女性原型っていうやつですね。男の心の中にいる女。女の心の中にいる男。それをアニマとアニムスっていう言い方してて。

実は女の中には男と女、両方いる。男の中にも男と女、両方いる。それを分析したのがノイマンで、ノイマンの分析の仕方って意外とちょっと無理があるよっていうふうな言われ方もしてます。

乙君:ああ、そうなんだ。

山田:言われ方をしてるんだけど、俺がこれすごい好きなの、実は、ノイマン型って。何でかっつうと、ややこしいけど、まずすげーわかりやすく言いますと、最初にこれどーんとあります。女とはなにかといったら中心に包み込むものだと。 自分の中に女性性があったというのは、それはもうなにかを包み込む。包み込もうとする性質っていうわけ。これがこっちの軸とこっちの軸に分かれてます。

グッドマザーのほうに動くと生む、放つの方向で解放の方向で動くとグッドマザー。要するにマリア。母。聖母。

乙君:中島みゆきですね。

山田:「行ってらっしゃい」、中島みゆきです。中島みゆきは両方あります。テレブルマザーもあります。「行かないで」もやります。

反対側に行くと「道に倒れて誰かの名を呼び続けたことがありますか」ってことになっちゃうわけ。「恨みます」とか言い出して。「あんたのことを死ぬまで」ってやつで、これがテリブルマザーです。

これは神話の中に蛇女ゴルゴンとしてヘカテーとかカリとかいろんな老魔女のイメージで出てくるのがテリブルマザー。これはいわゆる毒親って言われているもので、これは誰にでもあるんだけど、どっちが中心に働いてるかによって変わってくるということなんですよ。

もう1つ重要な女性の原型のラインがあって。このラインです。変容的性格っていうのが入ってて。要するに変わりやすいというのが女の性質なんです。

乙君:なるほど、女心と秋の空。

山田:そう。「お前、さっきまでの人と違うじゃん。」

乙君:ちげージャンですね。

山田:「甘いもの食ったらそれで終わりかよ」みたいな。「何怒ってたの? さっきまで」みたいな。「帰る! 私帰る!」みたいな。「え? 何で今?」 みたいなそういうやつが変容的性格。

これがプラスのやつとマイナスの要素があって、いわゆるマイナスのほうに行くと御息所になるわけですね。六条御息所。狂気。この辺にこの人いるんじゃないですかね。こっちへこう行くと、反対側に行くと霊感とかソフィア、聖処女。ミューズみたいな。

アイドルって知らないから燃える

これが女性原型と言われてるわけ。全ての女の子がこれをセットされてると思ったら、何が起こっても理解しやすいでしょう?

男、バカだから感覚よりも理論で物事を理解したがるんで、女がわからない。だから女っていう不可解なものをまずこういう形で論理的に頭の中に入れとく。そして乙君さん、ここからが大事なんですが。

アイドルと付き合いたいなんて思ってしまってるときに、自分の心の中の女性原型はどうなってるかっていうとテリブルマザーになってるんですよ。

乙君:え、なんで?

山田:包み込む、俺だけのものにしておきたいっつってマイナス変容。このラインでアイドルをファンやってると病みます。

乙君:ああ、執着に。

山田:君の笑顔が見れるんだからいいんだよ、好きなやつと付き合えば。俺はたまたま通りかかっただけで君の魅力を発見した。だから頑張ってねっていう。

乙君:あしながおじさんだよみたいな。

山田:そうだよっていうグッドマザー、プラスの変容って方向に持ってく以外にアイドルとうまく、幸せなアイドルとの関係は難しいんじゃないでしょうかって話なんです。ていうのがありますよっていう話なんですよ。

こんなことが1つノイマン型の答えとしてあるんですが。これはやめようかな。要するに最後思ったのが、アイドルって知らないから燃えるんだよね。

乙君:それはそうでしょうよ。それはアイドルだけじゃない。

山田:そうなんですよ、乙君さん。言いづらいなと思ったんですけど、なぜこのようにこれほどまでに仲がいいのにセックスレスが多いのか。知ってしまったからですね。

乙君:そうなんですよね。それはそう。

男女の温度差はどこで生じるか

山田:そうなんですよ。これすごいおもしろいなと思うのが、女の人ってこの間なんかの映画でこういう話があったって聞いたんだけど。すごい好きになっちゃった男の子がいるって女子高生がいて、なんとか彼と付き合いたいんだけど、自分はとってもさえない女で処女なんでなんの経験もない。だから思い切りビッチなふりをして彼に近づくと。

それでめちゃめちゃエロいことをメールで送信しようとして書くんだけど、間違えてうっかり送信しちゃった。もう、「あなたとしたい」みたいな。「あなたになんでもしてあげる」みたいな。

そんなことを思わず彼に伝えちゃった。「もう終わりだー」と思ったら、「え、マジで?」と男の子から来ちゃうという。そんでデートすることになる。男のほうはやる気マン。女のほうはどうするかっていうとそんだけなんでもいい、抱かれたいって言ってたくせに「ちょっと待ってよ、話し合いましょう。私、あなたのことをよく知りたいの」。

これどういうことかというと、答え合わせしたいんだよね。要するに恋愛っていうのは幻想を抱いて、実際にこうありますって。このルックスがかわいいとかって。この裏側は多分もっといいはずだ。そしてもっと夢とか持ってるはずだ。そして多分来年はもっといいパンダになってるだろう。

というそういうやつがあって、「好きです!」って行くわけだよ。好きですって行くけど、実際のところどれくらい行けんのかなっていう。確認したいから話し合いましょうってなるのが女子。

でも一方で男のほうは知らなきゃ知らないほど燃えるんだよね。ここの行き違いは大きいよね。

乙君:まあ確かに。

山田:実はだから男の多くが数字にこだわるでしょう? 年収とかの数字にこだわるのは女だけど、男は例えば年齢とか胸の大きさとかそういった数値化できるもので相手を見てる傾向が多い。

だからスリーサイズなんて必ず書くでしょう? 年齢いくつ。アイドル何とかです。何歳です。スリーサイズは何とかって全部数値化されてる。男は痛い話ですけど記号を抱いてるっていう。

乙君:スペックを抱いてるということだね。

山田:スペックというか女子大生とかOLとか美人看護婦とか、そこの最上級にアイドルっていうのがあって。アイドルが好きっていうか。

乙君:じゃあステータスに恋してるってこと?

山田:つまり記号っていうこと。ここが非常に悲しい川が流れているという。ここはもう本当に最初から理解しながら行くしかないだろう。

乙君:確かにそれは、俺の友達の久世っていうやつが滅多にいない職業の女の人に出会うとすごい恋してしまいそうになると言ってたんで、確かにそれはそうかもしれない。

山田:はい。すごい汗かいた。

(会場笑)

アイドル

違うんだよ。これ宗教問題なんだよ。

乙君:宗教問題なの? これは。

山田:うん。だってアイドルファンにとってアイドルって神さまじゃん。だから簡単にしたらそのことをディスってるようなニュアンスでしゃべると誤解されると困るじゃん、これ。

だからニコ論壇で何度もアイドルの話ししてますけども、相変わらず難しいね。

(会場笑)

ていう話だ。伊代ちゃんが『センチメンタル・ジャーニー』で昔歌ってましたよ、80年代に。

乙君:何て?

山田:松本伊代って知ってます?

乙君:ヒロミの奥さんでしょう?

山田:そう。「私のページがめくれるたびに放り出されてしまうのかしら。それが知りたくて」。80年代の歌詞は本当すばらしい。まあ70年代・80年代、リリックの時代、すてきですよね。そんな感じですね。27分ですけどやばいですね。

乙君:男と女の性質の違いを踏まえた上で。

山田:お勧めです。要はわかんないっつってもそれを研究してた人たちがいるので、ユング派なんてものをちょっと勉強すると女がわかったような気になります。気になるだけですけどね(笑)。実践とは関係ないですけど。

乙君:わかりました。それに対する僕の違和感は後半にちょっと。

山田:えーっ。マジかよ。

制作協力:VoXT